転生先は小説の‥…。

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第一章 攻略対象一人目 正しい第一王子の取り扱い方

婚姻無効ー①

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神殿長が二人の名前が記された書面を恭しく掲げながら婚姻無効を願う祈りを始めた。

ちょうど会場となったこの広間には守護神像が飾られている。

神殿長はその像に向かって祈りを捧げていた。

レティエルに信仰心はなかったが、この時ばかりは神はいるのではないかと思えるほどの神聖さを感じ取り内心感嘆を漏らしていた。

(…今なら神の存在を信じれる。この後、王子を追い詰める予定だが躊躇ちゃう。このまま帰ろうか…)



祝賀会から一変して婚約解消の現場となった広間には息を呑む多くの貴族達が粛々と事の成り行きを見つめていた。

貴族達は寝耳に水‥‥ではなく、知っていた。今日何かあるのだろうと聞き及んでいた。

反レティエル派の貴族達と反クリスフォード王子派のそれぞれの陣営達が貴族達の間に流していたのだ。

なので皆さん、準備万端。お家にネタのお土産の準備は完璧。

誰も彼も聞き漏らさず、見逃さず。しっかりと見定めていた。



『祝賀会場で第一王子から宣言があるようだ』

『王太子候補の中で優勢だったクリスフォード王子の立場が危ういらしい。祝賀会で動きがありそうだ』



聞き及んでいた話との違いにこれから起こることの予想がつかない貴族は、今後どちらの陣営に付くべくか戦々恐々で見守っていた。



どうやら終わったようだ。

神官長が低音ボイスの良い声で婚姻は無効となったと告げた。神から与えられた良縁は無縁となったとも。



王子はレティエルにしてやられた感はあったが、これでマリエラと一緒になれると浮かれに浮かれた頭で危機感が欠乏していた。

王子はマリエラとのアレコレ不埒な妄想で大忙しだ。

そのため横にいるマリエラの不穏な雰囲気に気が付かなかった。



レティエルは神殿長に労いの言葉と自分の願いを叶えてくれたことへの感謝を述べ、もう用は済んだとばかりに踵を返して退室を‥…。ーーー出来なかった。

何故か、マリエラが立ち塞がったのだ。



「レティエル様、どこへ行かれるおつもりですか! まだクリスフォード様のお話は終わっていません!」
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