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第十二章 分水嶺
⑫・エリックー2
しおりを挟むもう洒落で済まないことになってるよね、王国。
防衛技術も公爵当主らを味方に付ける縛りつけるのも陛下の治世の根幹ではないか。
そこをぐらぐら揺さぶろうと義兄は人外を彷彿させる美しいお顔で、悪魔的な嫌がらせを考えているのだと思います。多分、間違いなく嫌がらせを全力でやると思います。
俺にトバッチリが降って湧いてこないかどうかが目下の心配事ですね、はい。
「王家に神殿。国内の二大権力ではありませんか。それに立ち向かうのでしょう? 大丈夫なの?」
二大悪の巨頭。ちょっとサスペンスっぽくない?
でも冗談抜きで二大巨頭が徹底抗戦を構えたら被害が甚大じゃん? それはちょっと不味い。
「おう、不安にさせてしもうたか、すまんなティよ。なに、神殿も一枚岩ではなくてな。協力者が取り込んだ者がおる。それに帝国と戦こうて勝てると思うか? 魔法術師による攻撃で蹂躙されるがオチじゃて」
「王国の騎士団は年々弱体化していますからね。我が公爵家が軍事に力を入れていたのも有事を苦慮してです。ですがその国内最大武力を誇るザックバイヤーグラヤス騎士団も封じられました。現状、開戦は自殺行為に等しいでしょう」
お、そうなん? 戦争を免れるのはいいけど、心中は複雑。
二人からのお墨付きでも何故か胸中の不安は消え去らない。何か引っかかってる。
「儂らが内密で手を結んだのは人道によるで。徒に世を混乱に招きとうはないわい。皇帝陛下は如何に被害少なく利を得れるかをお考えじゃて。それに今回は特に慎重に事を進めておられる。儂の役割は二つじゃが、協力者の動向は知らされておらぬ、計画もじゃ。あくまでも与えられた役割を全うするのみじゃが…‥」
意味深な視線を俺達に‥‥
「じゃがのう、儂も長年の癖があって、全体を把握せんと落ち着かんのじゃ」
ううん、義兄を捕らえたお祖父ちゃんは不敵な笑みを浮かべて。
「どうじゃラムよ。全てを知りたいと思わんか? まぁ全てとはいかんとも裏で何が起こっているか知りたくはないか? 公爵家の恥を雪ぐは、その機会を与えようぞ。どうじゃ、儂に貸を作る気はないか?」
うわ! 悪魔の囁き!!
義兄がこの上ない喜びに満ちた表情で笑っていらっしゃいます。ええそりゃもう目がヤバい、ヤバい人でございます。
おう! ここで大魔神と悪魔が手を結んだよ!
隣のコナキジジイが砂…じゃなくて雪の結晶を舞い散らかして‥‥風流かよ。
いやいやいや、そうじゃなくて。
さっきからいろいろと故意にはぐらかされた気がして、モヤる。
この際、すっきりさせておこう。
「話を戻しますが、今回の皇子殿下ご一行様の訪問目的は婚約披露式に出席ですよね? そのお相手であるエリックを帝国は祝福するのね?」
石化。お祖父ちゃん石化した。
俺の鋭い質問に慄いたのかカチンコチンに固まった。そのリアクション、二マってしちゃうね。
「ぬう、あくまでも儂らが王国に入るための口実なんじゃが‥‥一応あの男を祝う事でアドルフの容疑を晴らす交渉も任されておるんじゃ皇子がのう。‥‥じゃが交渉が難航、もしくは皇子らが裏切りよったら」
「…裏切りよったら?」
お祖父ちゃんは深く頷く。え? 何その了承?
「あの男はダシじゃ。いや、餌じゃのう。餌として獲物を釣ればよいだけじゃ」
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