転生先は小説の‥…。

kei

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第十四章 王が住まう場所

敵認定ー⑤

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ジオルドを嵌め王妃を死に追いやった奴がライムフォードを狙ったってこと?
しかもパパンを道連れ? むむむ、コンチクショウめ。

となると、疑わしき第二側妃と人物が第三王子自然と浮かぶ。
王位から一歩、遠ざかった感が否めない弟王子は、この度、お気の毒な事に問題児皇女のお相手(候補)に指名され留学を余儀なくされた。事実上の人質である。

順当で行けば、次の王はライムフォード。
かつての影の薄いスペアな王子様は、頭角を現し存在感を見せつけ支持を増やした。母親が破竹の勢いで勢力を拡大する中、息子も頑張った。帰国早々、不正貴族の粛清や無能と敵対者を閑職に追い込み人事を刷新。城内の掌握に一役買ったのだ。

この親子タッグ最強。

方や、第三王子と妹姫が公の場で姿を現すのは陛下の誕生祝いぐらい。偶に支持貴族の子と交流会?とか。

伴侶の座を狙うお嬢ちゃんお坊ちゃんが鵜の目鷹の目でワンチャン狙いで群がるらしいが、そこは鉄壁の守り、母親が第二側妃立ち塞がる。積極的に勢力図の書き換えはしないみたい。
まあ、王宮内でひっそり? 一説によると母親の過剰防衛。暗殺を恐れての行動らしい。

・・・それって、間違いなく第一側妃を警戒して、だよね? 第三王子を帝国に送っちゃったの、人質に見せかけて安全圏に逃がしちゃった? 第二側妃が協力者の線もありだよね?

俺の当て推量。事の正否を知りたくてムズムズ。

「お義兄様、ライムフォード殿下に何かあれば、一番得しちゃう人って、第三王子殿下と側妃様よね? もしかしてもしかしたら、協力者って第二側妃様?だったりして。どう思われます?」

・・・あ、尋問中に邪魔してごめんね? 

嬉々としてライムフォードから情報を引き出していた義兄。相手が王子様でもこの容赦のなさ。ブレない人だよ。


自白剤の性質上、質疑応答っぽい答えが面白い。

ファンタジー世界の自白剤は摩訶不思議。
仕組みは不明でも効果は抜群。記憶に干渉し、思い込みや記憶違いを除いた事実を語らせる。記憶の再現性を極めた調合薬であった。制限は直接関与した出来事、そう、口に出せるのは五感に触れた経験談となる。感情や心情、お腹ん中で溜めた悪巧みも行動が伴わないと、口を割らせるのは無理。犯罪予備軍の早期発見に至らないのだ。とはいえ、5W1H、Whomも入れたら6W?の構成に当てはめてあるのか、手短な質問にでも情報の主旨を見失わない。性能の高さは言わずもがな。ただ一つだけ改善して欲しいのは、訥々とした語りかな。まどろっこしいの。粘着質な義兄は根気強いけど、俺は辛い。

・・・あ、翻訳お願いします。



ライムフォードも流石に首謀者はわからないよね。うん。
その代りにってわけじゃないけど、白状したのが、第二皇女と第三王子の決して結ばれることのない婚約について。仮初の婚約を条件で王子は帝国に向かったそうだ。

そういえば、確かゲームの続編が帝国編だったっけ? 
内容を覚えて・・・よくわからないな。あれ? 何だっけ?
えーと、第三王子ルートがヒロインと共に母国の危機を救う? だっけ? あれ? 思い出せないわ。

この世界はゲームの世界でも小説の世界でも違うってよく理解している。転生先は、小説の・・・じゃなくてれっきとした(前世いた世界と)異なる世界。前世の記憶を思い出した時の類似点の多さと、多分、ラノベとかゲームとか、もろサブカルの影響だよね。すっかり思い込んじゃって・・・ま、まぁそれはおいといて。

・・・はは、もう思い出せなくても、いいわ。



爵位が低く力のない伯爵家の彼女が側妃に召し上げられたのは、偏に魔力だという。当主であれば皆知っている公然の秘密ってやつね。お城では意外に魔力を使う。即位の際も魔力が必要だとかで両陛下の片方は必ず魔力を持つ人が必要だそうだ。

王妃は魔力の無い人だったけど、陛下は魔力がある・・・ホントかな?
第一側妃は無い人で、第二側妃は中級ぐらいの魔力だとか。

・・・魔力を求められて輿入れしたんだよね? だったら自分の息子を王座に就けたくならないかな?
両陛下のどちらかは必ず魔力持ちでなければでしょ? 息子くんの存在意義を思えばって親の欲が出そうだけど。どうかな?

「レティの言う通り、第二側妃が協力者の可能性もあるね。息子を帝国に留学させたのも、見方を変えれば繋がりを求めたともいえるかな?」
「ええ、協力の見返りにって」

したり顔で話す俺。

「それと、興味深い噂があってね。協力者に関してだよ」

おじいちゃんの話を鵜呑みにしちゃうのまずいかもだけど。実は意外な形で協力者の存在が囁かれていた。

「第二側妃は、第一側妃を恐れて保身に走ったと見做されていてね。ふふ、皇帝の保護を求めた裏切者と一部の貴族が吹聴していたよ。本人は嘯いていてもヴァンダイグフ老の差し金だと、殿下がね、調査の結果そう結論付けたそうだ」
「まあ酷い誹謗中傷ね。でも、ヴァンダイグフ老が第一側妃様の意向に沿った行動ととれるわ」

俺の意見に義兄は無邪気・・・うわぁ、邪気だ、邪気。ニタリと酷薄な笑みを浮かべ言葉を続ける。ゾッとした。

「ふふ、もう一つふざけた噂があってね。何でも、ザックバイヤーグラヤス家に関しての話らしくて。公爵家が今日の不幸を招いた原因が守護神の怒りに触れたから・・・。ふふ、馬鹿の思いつきそうなことだよ。守護神の祝福を受けた婚約を令嬢の身勝手で破棄させた。王家に盾突く行為を、神は殊の外お怒りで、令嬢の死だけではお許しにならず、兄までも命を以て償わせ、怒りはとうとう家門にまで及んだとか。ふふふ、ここまで愚かだと潰すのも躊躇わずに済むね」

酷い、酷いわー。
これ、名誉棄損で訴えていい?
義兄がさっき呟いた『信用の毀損』は、ヴァンダイグフ老の常套手段を指して?

義兄に視線を向けると、邪念まみれな顔だった。
あ、あの顔は何か計画を練ってる時によく見かける顔だ。もしかして、もしかしなくても、ライムフォードに手を貸す気? さり気なく加担する気だよね? 

義兄は一時、王城の貴族牢の中でお暮し遊ばしてたからね。ジェフリーを身代わりにして自由にお城の中を徘徊・・・侵入してた。きっと何かを掴んだに違いない。さぞやたくさんの情報を隠し持っているだろう。俺は、半分呆れ半分感心の複雑な視線を向けた。


「魔力を持つ王族は、王弟がああなった以上、もう第三王子しかいない。彼に王位を授けるのが手っ取り早いのだが、第二側妃の生家では第一側妃を抑え込む力もない。ライムフォード殿下が妥当だ。陛下もそれをよく理解されているから、皇帝の条件を呑んだのだろうね」
「確かに王宮を牛耳ってますものね、第一側妃様は。実家の方も太刀打ちできませんわね。ところで、皇帝の条件って何ですの?」


ねぇねぇ何それ? 聞いてないよ? 

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