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第三章 チタニア教帝領~教帝聖下救出編~

チタニア作戦始動

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  俺達は今、河川敷にいる。昨日、スラリー調査団を放流した場所である。スライム2匹と、蛇2匹、俺、ラブォア博士、ピロロ、ジンク皇子、そして、三総主教が集まった。
  初対面のルチル総主教とブルッカイト総主教を、アナターゼ総主教が紹介してくれた。皆同じ白装束に身を包んでいるのだが、その雰囲気は三者三様だった。
  優等生ガリ勉系黒髪男子のアナターゼ総主教。ガッチリ型体育会系短髪男子のルチル総主教。リア充系茶髪男子のブルッカイト総主教。ざっくりタイプ別に分けると、こんな感じだった。何故だが、それぞれの国の雰囲気を表しているようだった。

「教帝聖下のことを、よろしくお願いします。」

アナターゼ総主教が代表していった。

「任せとけ!」

自信満々の3匹に、不安げな三主教。見事な対比だった。

ラブォア博士が白スラリーに、ヴェルナー博士のサンプルとサピグメントを渡した。スラリー2匹が川へと入る。

  それを確認した後、俺達も出動準備に取り掛かった。

「総員位置につけ!  」

「ダブルスネーク、ポケット・イン!  」

「準備完了!  」

「スラリーフィールド展開!   」

「展開完了、確認OKっす!  」

「ピロル、飛び込みます!  」

「ターゲットへの着水成功!  」

「スラリーフィールド拡大、ビジョン・ブルーからレッドへ変化します!  」

「ダメです、間に合いません!   」

「なんだと! 強制インジェクションだー!   」

「強制インジェクションモードに移行! まっ、間に合いました!   」

「色素核融合率上昇、80%、90、95、まっ、間もなく100%に到達します、3、2、1、100%到達。ピグメント濃度最適値を維持  」

「スラリー初号機、これより、潜水開始!   」

  俺達は、昨夜の特訓を十二分に発揮し、華麗にスラリー初号機へと乗り込んだ。

その時地上では、皆が言葉を失っていた。

「……今のは、なんなのだ」

「……さぁ」

ピロロとラブォア博士が呆れ果て、三総主教は青ざめながら。

「……カッコイイ、次は私も……」

厨二皇子は1人羨望の眼差しで。

  こうして教帝聖下の救出を目的とするチタニア作戦は、無事、始動したのだった。




(なぁ、ずーっと、思ってたんだが、アイツも作戦に参加すんのか)

順調な海遊を楽しんでいると、ドン・スネークが変なことを聞いてきた。

(アイツって誰だよ)

(いや、後ろの…)

(スラリー弐号機? 当然だろ)

(いや、そーじゃなくて、後ろの)

(えっ、だから、白スラ……って……ハクっ!?  )

(そう、ハク)

(なんで、アイツが白スラリーに乗ってんだよっ!  )

(そんなこたぁ、知らねーよ!本人に聞きやがれ!  )

  本人に聞きたくとも、俺はチタニア種を取得出来ていないから、思念通話が使えない。必然的に、水の中では会話ができない。
  
  ハクと目があった。嬉しそうに手を振っている。
  
  俺達がカッコよく出動を決めている間に、シレッと白スラリーに乗り込んだようだ。地上の奴らも俺らに見とれる余り、ハクを見過ごしたみたいだ。

  ここまで来て今更、帰りたくない。仕方ないか。連れていくとしよう。

  考えるのをやめた。どうしようもないことを考えるのは性にあわない。いや、どうしようもある気もするがね。

  教帝聖下がおられるのだから、何とかなるだろう。
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