そろそろ最強勇者にも飽きてきたので最弱勇者の話を書くことにしました。

伊武大我

文字の大きさ
4 / 5

旅立ちだ…フフ…

しおりを挟む
 「はッ…!」

「だ、大丈夫ですか勇者様…?」

ぬう…また死んだのか…同じ場所で二度死ぬとは…
しかし今のは仕方あるまい…誰も振り向きざまに殴られるとは思わんだろう…フフ…

「また助けられてしまったな女僧侶よ…フフ…やはり君を仲間にしてよかった…」

「い、いえ、そんな…お役に立てて嬉しいです…」

また恥ずかしがっている…かわいい…フフ…

「さて…すまなかったな…話の途中で死んでしまって…」

さっき殴ってきた男へ話しかけたつもりだったが…いない

「ああ、さっきの奴ならあたしが話付けといたぜ。金払うっつったんだけど逆に置いてったよ。ハハハッ!」

一体どんな話を付けたのだろう…

「ふむ…そうか…それはありがとう…見た目通り頼りになるな…フフ」

「いやあ、慣れてるだけだって」

な、慣れてるのか…どうやら思ったよりおっかな…心強い女を仲間にしてしまったようだな…フフ…

「まあいい…仲間もできたし…もうここに用はない!さらば屈強な戦士たちよ!私は仲間と共に魔王退治の旅へと出る!私の留守中は頼んだぞ!ハハハハハハハッ!!」

酒場全体に響く大声で高らかに告げると、勇者はマントを翻し、高笑いだけ残して酒場を出ていった。
マントなんて王様から貰った時には付いてなかったのにいつの間に…

 魔王を倒すべく国を発った勇者たち。女たち3人は行き先を知らなかったがとりあえず勇者の歩く方について行った。

「で?勇者さんよー、魔王はどこにいるんだ?」

「フフ…知らん」

「はあッ!?王様から話聞いたんじゃねぇのかよ!?」

「倒してきてくれとは言われた…場所は聞いていない…フフ…今言われるまで気付かないとは…」

「お前、意外とバカだな…」

「フフ…まあそう案ずるな女戦士よ…行く先々の村や町で聞き込みをすればいずれわかるだろう…空の天気まで変えてしまうほど影響を及ぼしているのだ…まったく誰も知らないという事もないだろう…」

「まあそれもそうか…どっかの村の長老さんとかが教えてくれたりしてくれるもんだもんな…
ていうかさー、その女戦士って呼ぶのやめない?なんか距離を感じるよ」

「フフ…そうか…では何と呼べばいいのだ女戦士よ…」

「あたしはレナスってんだ!あたしの事は名前で呼んでくれていいからさ。」

レナスか…なぜだか知らないが神に近い存在のような雰囲気を感じる名だ…英雄の魂を集めているような…高く飛び上がって光輝く翼と共に巨大な槍が現れる必殺技を使えそうな…そんな感じの名だ…

「フフ…良い名だな…私は好きだぞ…」

「お、そうか。サンキューな!」

レナスはまた笑いながら勇者の背中を叩こうとしたがすんでの所で思い出して寸止めにしておいた。

「で?勇者さんの名前は?」

「勇者に名前など無い!勇者は勇者であって勇者以外の何者でも無い!勇者は勇者であって然るべきだ!故に勇者の事は勇者と呼ぶがいい!」

「いや、いくら勇者でも親に貰った名前ってのがあんだろ?」

「無い!勇者は勇者と呼べ!」

「ああもうわかったよ…勇者の事は勇者って呼ぶよ」

「で、あんたは名前なんていうの?」

レナスは後ろを控えめについてくる僧侶のようなシスターのような恰好の子に話しかけた。
この子の名前は絶対に知っておきたい…

「わ、わたしの名前なんて覚えなくても…」

「いや気になる。教えてくれ。」

「なんで急に素の喋り方になるんだよ勇者」

「わ、わたしはエリカっていいます…あ、あの、お役に立てないと思いますが…よろしくお願いします!」

そういって彼女は被っているフードの端を握りながら勢いよく頭を下げた。
よくシスターが被っているような物とは違い、服にくっついているフードのようだ。
かわいい…フフ…フードの端を握って顔を隠そうとしているのがなんとも可憐ではないか…
エリカというのか…彼女とは全然違う性格のドジっ娘のような名前だ…スカートの下にマシンガンを隠していそうな…プリンが好きそうだ…

「エリカちゃんというんだね。なんとも可愛らしい名前だ…。君が役に立たないわけがないよ。君がいなければ私はあの酒場で死んでいた。」

「いえ、そんな…たまたま使える魔法があれだっただけで…」


「なあ、なんで勇者はエリカに対して喋り方が違うんだ?」

「知らないわよ!リリルに聞かないで!」

なんだか置いてけぼりにされてしまったリリルと自分の事を呼ぶ女の子とレナスは2人のやり取りを呆然と見ていた。


「ん…?おい…!敵だぞ3人とも…!」

いまさら自己紹介をしていた4人の前にぷよぷよした魔物があらわれた!

「スライムか…フフ…雑魚め…」

「え、ちょっと!順番的に次はリリルの番でしょ!?」

「うるさいッ!ガキに興味はないッ!それにお前の名前はもう自分で言ってるだろう!!」

「ムカッ…!ガキじゃないって言ってるでしょ!!!燃やすぞてめぇ!!!」

「燃やすならば魔物にしておけ!!」

王様から貰った鋼でできた銀色に輝く剣と中古屋で買った有名ブランドのケンちゃんちのお父さんに研いでもらった剣(1500ゴールド)を両手に持ち、切っ先を向けたまま右手を後ろに下げて、左手を前に出した「ちょっとそれっぽいかっこいいポーズ」のまま勇者は魔物とにらみ合っている。

チラッと横を見てみた。
エリカちゃんは怯えて後ろに下がっている。
レナスは「お手並み拝見」とばかりに腕を組んでこちらを見ている。
リリルはさっきの言葉にまだ怒っているようでそっぽを向いてぷんすかしている。

フフ…誰も助けてくれないという事だな…ハハハッ…いいだろう…

「さあ来い魔物よ!勇者の剣の錆としてくれようぞ!」

スライムは「そちらから来ないのならばこちらから行くぞ!!」と言わんばかりに体当たりをかましてきた!

だがそこは勇者。スライム如きの攻撃など庭においた犬のぬいぐるみとの壮絶な特訓で何千回と避けてきた!(イメージ)
ひらりと無駄に回ってかっこよく避けた!
そして勇者のこうげき!
両手に持った剣で二連撃を繰り出した!(回りながら)
ミス!スライムに避けられてしまった!

「フフ…今まで一刀流での戦いしか鍛錬していないからな…急に二刀流になったのだ…外れることもあるさ…フフ…」

フフ…だが次はそうはいかないぞ…と勇者は頭の上で剣をクロスさせた!

「必殺…」

おお、必殺技を出すのか!とギャラリーの女性3人が沸いた。
フフ…よい気分だ…悪くない…

そしてスライム目がけ、思いっきり切り付けようとした瞬間!

スライムが体を伸ばした反動を使った猛烈な勢いのストライクを繰り出してきた!

手を頭上に上げていたせいで腹にモロに食らった勇者は

「そんな攻撃…鍛錬の時はしてこなかったではないか…」

と呟きながら


死んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...