ドラゴンパイロット! ―少女の歌と竜の瞳―

伊武大我

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マッハ2.5で異世界へ

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 「國島ァ!出てきやがれェ!!緊急発進スクランブルだぞ!!」

アラート待機室に武市隼人たけちはやと一尉の声が響く。
國島春樹くにしまはるき三尉がスクランブルがかかってもすぐに出てこなかったのでお怒りだ。

「スクランブルがかかってすぐに出てこねぇたぁどういうつもりだてめぇ…」

「いや、だって、まさか、トイレに行った瞬間に来るとは思わないじゃないっスか」

「うるせぇ!ホットスクルランブルは待ってくれねぇんだ!早くしやがれ!」

やっとパイロットスーツを着終わった國島を残して武市は足早に部屋を出た。
國島も急いで追いかけ、ハンガーへと向かう。

 ハンガーに入ると整備士たちがせっせと國島たちの乗るF-15Jイーグルの発進の準備をしていた。
國島がぺこぺこしながら機体に駆け寄ると1人が声をかけてきた。

「ハル!遅かったじゃん!何してたの?」

彼女は榛地飛鳥しんぢあすか
いつも國島の搭乗機を整備している髪が短めでボーイッシュな女性だ。
國島のタイプらしい。

「生理現象はいつ来るかわからないね…」

國島がコックピットへと昇りながら答える。

「あ、またトイレ?そろそろトイレ行くの止めた方がいいんじゃない?」

「無茶言うな!」

しかしフライト中はトイレに行けないからとオムツを付けている人もいるし自分も常にそうすればいいのかと思う國島であった。

「國島ァ!口動かしてる暇あったら手ェ動かせェ!!さっさと上がるぞ!!」

「うっす」

ヘルメットを被り、キャノピを閉め、点検項目を確認すると二機は滑走路へと向かっていった。


  * 


 <<ところで先輩、今日の任務って何なんすか?>>

隣を飛ぶ武市へ無線を通じて尋ねた。

「ウンコしててブリーフィングに来ねぇ奴になんで説明しなきゃぁならねぇんだぁ?!」

と、ブチ切れたかった武市だがグッとこらえて

≪あぁ…俺もよくわからねぇが…なんでもドラゴンが出たとかなんとか…≫

≪ドラゴンッ?!そんなのいるわけないじゃないですか!!そんなのでスクランブルかかったんすか!?≫

≪知らねぇよ!俺もいるわけねぇとは思うがレーダーに映ったっつうんだがら仕方ねぇだろ!!≫
≪しかも富士山の付近でだ。もしどっかの国の兵器とかだったら気付かれねぇうちに領空侵犯されちまったって事だ。それで見てこいってことなんだろ。≫

≪ドラゴンなんているかなぁ…≫

≪ていうかお前ッ!任務中はTACネーム使えっつったろうが!≫

≪ハッ!すみませんでした!ファルコン!≫

國島は武市の方を向いて敬礼した。


  *


 「ブリーフィングの時はこの辺だっつってたけどなぁ…」

國島と武市はドラゴンが出たとかいう場所まで飛んできていた。
富士山のすぐ近くだ。
しかし思ったよりも雲が濃く、視界が悪い。
と、その時、地上の基地から無線で指示があった。
目標の現在地と近づいて写真を撮り、警告しろとの事だった。

≪よし、聞いたなアーチャー。行くぞ≫

武市の後に國島が続く。
地上からの指示の場所に近づくと機内のレーダーでも機影が確認できた。
しかし雲が多くなかなか目視で確認できない。

≪一面真っ白でなんにも見えないっすねぇ…≫

≪グダグダ言ってねぇで早く探せ!すぐそこにいるんだ!攻撃されたらどうすんだよ!≫

必死で目と頭を動かし周囲を探し続ける國島の目の端に一瞬だけ雲の白とは違う色の物体を見つけた。

≪ファルコン!こちらアーチャー!未確認飛行物体を発見!確認に向かいます!≫

一方的に武市に告げ、國島は勝手に未確認飛行物体へと突っ込んで行った。

≪オイっ!!勝手に動くんじゃねぇ!!≫

ドラゴンという事は生物だ。しかし目の前の未確認飛行物体はとても生物だとは思えない速度で飛行している。
このままでは引き離されそうなスピードだ。

「くぅ…この速さ…やっぱりドラゴンなんかじゃなくてなんかの兵器なんじゃないの?」

國島はスピードを上げた。
エンジンノズルが炎を噴いた。
機体の周りに円錐状の雲ができた。

「うおおおぉぉし!!もうちょい!!」

目玉が飛び出そうなGに耐えながらあともう少しで目視で確認できそうな距離というところで國島の機体は忽然と

消えた。

「…!?國島ァ?!」

武市のレーダーからも目の前からも國島の機体は消え、空中に蜃気楼の様な揺らぎだけが残っていた。
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