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一週間後。

カルーナはカルファート達と町や森を捜索し修羅を必死に捜し続けるも一向に見つかる気配がない。

「お疲れ、カルちゃん。その様子だと今日も駄目だったみたいだね」

「はい。紫苑さんの方はどうですか」

一週間ずっと朝から夕方まで歩き続けたので疲かれてベットの上に倒れこむように寝る。

「うーん、それがね、なんとも言えないだよね。この町にはいるけどどこにいるかはわからないんだよ。それよりクオンは?今日は一緒に出かけたよね?」

珍しく今日は修羅を捜しにいくと言って出かけた。

いつもは屋敷の料理人が作る料理を食べるか寝るかのどちらかなのに。

まぁ、なんで一緒に行くと言ったのか大体予想はついていたが。

「あー、それが……」

ばつが悪そうな顔をする。

「オッケー。迎えに行こうか」

カルーナの顔を見て全てを察しクオンのいる場所に向かう。

「はい。すみません」



「これはすごいね」

今日は年に一度の大食い大会がある日。

昨日カルファートの使用人達が話していて興味を示していた。

見た目からは優勝できそうに見えないが、クオンの食べる量を知っていたのでいい勝負ができると予想はしていたが、それを遥かに超える圧倒的な差をつけて優勝していた。

「あれ、全部クオンが食べたんですよね」

クオンの後ろにつまれてある皿の数を指差す。

「だろうね」

二人の反応は真逆だった。

紫苑はクオンの食べっぷりに感心し微笑み、カルーナは驚きすぎて顎が外れるのではと心配になるくらい口を開けている。

「あ!紫苑兄ちゃん!カル!優勝したよ~!」

短い腕をぶんぶんと振る。

二人は手を振ってその声に応える。



「二人共応援に来てくれたのね。ありがとうなのよ」

優勝者の証として金の花を首から下げて自慢げに見せる。

「どういたしまして。それにしてもすごい食べっぷりだったね」

「あれくらい余裕なのよ。本気を出したらあと三倍の量食べれるのね」

「さ、三倍!冗談だろ」

一体どこにそんな量が入るのかとクオンのお腹をじっと見てしまう。

「冗談じゃないのね。本当なのね」

クオンは自慢げに言うが、カルーナはドン引きしてしまう。

いっぱい食べることはいいことだが、クオンのは食べすぎを遥かに通り過ぎる大食い。

クオン一人で一体どれだけ食費がかかるのかと心配になり、こっそり財布を中身を確認する。

カルーナは確認したことを後悔する。

最近お金を稼いでいなかったので、手元にあるのは二枚のコインだけ。

今はカルファートの屋敷でお世話になっているためお金の心配はないが、ずっといるわけではない。

出る前に稼がないとと思っていると、肩を突かれ後ろを向く。

「大丈夫。心配は要らないよ」

紫苑がウインク付きで札束を見せる。

「(あー、そういえばこないだめっちゃ稼いでたな)」

ここに来る前の町で大量に大金を稼いでいたのを思い出す。

そのせいで、また追いかけられ怖い思いをすることになったのを思い出す。

紫苑のお陰でお金に困ることもなくいい旅をできているが、同時に人に殺されそうになることも多々ある。

「はい、確かにそうですね」

もうカルーナには笑うしかなかった。



「じゃあ、そろそろ行こうか」

紫苑がパンッと手を叩く。

「行くってどこにですか?」

ここにはクオンを連れ戻す為にきた。

あとは屋敷に戻ればいいだけなのに、紫苑の話し方は今から違う所に行くという感じだ。

「俺達がここにきた目的を果たすための場所だよ」

カルーナは言っている意味が最初はわからなかったが、少ししてわかり「え?どこにいるかわかったんですか」と言おうとして途中で手で塞がれ話せなくなる。

「カルちゃん。シーッだよ。周りにきこえちゃうよ」

いい?手を離すけど静かにね、と釘をさされカルーナが頷くとゆっくり手を離す。

「紫苑さん。ちゃんと説明してください。今の話からだとここにきた目的が達成されるってことですよね」

周りに聞こえないよう声を小さくし、念の為聞かれても何のことかわからないように話す。

そもそもなんで周りに聞かれたら駄目なのかがわからない。

聞かれてもまずいことなんて何もない。

これはカルファートと一緒に捜索しているのだから。

「わかってる。ちゃんと話す。でもその前に、クオン」

「なに?」

ずっと黙っていたが紫苑に名を呼ばれ会話に入る。

「魔法で俺達の会話を聞かれないよにしてくれ。あの、肉買うから」

屋台で売られている大きい肉を指差す。

「いいのよ」

肉を見た瞬間目を輝かせ了承する。

肉を買った後に魔法をかける。

「とりあえず、歩きながら説明するよ。早く行かないと面倒になるかもだからね」

紫苑の後を追いかけるように歩く。

「今から話すのはあくまで俺の予想で絶対じゃない」

「でも、確信はあるんですよね」

その問いに紫苑は一瞬驚くも、すぐに元に戻り頷く。 

「今から話すことを聞いても驚かないで。今と変わんない感じでいてね」

「わかりました」

「多分、今この町に魔族がいる。それと今俺達尾行されてる」

「……」

発狂しそうになるのを何とか耐え、腰が抜けそうになるのを何とか踏ん張り根性で歩く。

その為、周りから見たらカルーナの歩き方はうんこを我慢しているように見える。

「なんだ、気づいていたのね」

クオンはこの町にきたその日に気づいていた。

「勿論。ただ、どこにいるのかがわからないけどね。上手く紛れていて見つけられなんだよ。クオンはわかる」

やっぱり気づいていたのかと心の中で呟く。

「無理ね。見つける方法はあるにはあるけど、この姿だと仮にできたとしても町に被害が出るのよ」

「(何の魔法が使われているのかにも気づいてるんだ)」

「紫苑さん。何か手はあるんですよね」

「うん、勿論。その為に今修羅さんの元に向かってるんだから」

紫苑はここ一週間その魔法を無効にする方法を捜していた。

修羅に関しては正直捜さなくても向こうから来てもらえばいいと思っていたので、捜してすらいなかった。

そのお陰で魔法を無効にする方法を見つけることはできたが、それには膨大な魔力がいる。

正直紫苑達では無理。

この町に残された時間も残り僅か。

魔族とその協力者にばれる可能性は高いが、そんなことを言っている場合ではないので修羅に会いに行くとこにした。

「え?いつ見つけたんですか」

「さっき」

そう言って紙をカルーナに渡す。

その紙には『森に中にあるネモフィラの花畑で待っている』と書かれていた。

「これいつ渡されたんですか?」

カルーナはずっと紫苑といたが紙を渡されたとこも人が近づいてくるのもなかった。

それならいつ紙を受け取ったのだ。

魔法を使っていたなら気づかないが、多分違うと何となく感じていた。

「肉買ったとき店員さんから受け取った」

その言葉を聞いて、あのときか!と納得する。

確かに肉と一緒に受け取っていたなら、当の本人達以外誰も気づかない。

「さてと、こっからはカルちゃん案内よろしくね」

紫苑は修羅の捜索には参加していないのでネモフィラ畑がどこにあるか知らない。

その点カルーナはここ一週間ずっと捜索をしていたのでネモフィラ畑がどこにあるか知っている。

三日目に帰ってきたとき興奮気味に話していた。

「はい、任せてください」
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