春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

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謎の青年

「レオン様、到着しました」

魔法石を使い王宮からシルェス市まで移動し馬車で町まで送ってもらうレオン。

「ありがとう」

馬車から降り礼を述べ自宅へと足を進める。

しばらく町の中を歩いていると町の人達に声をかけられる。

「レオン団長じゃないか。今王宮から帰ってきたのか」

「レオン団長お帰りなさい。今日もお疲れ様。これ良かったら食べてください」

レオンを囲むように話しかけ食べ物を渡す。

「皆、ありがとう」

美味しそうな食べ物をこれでもかというくらい貰って嬉しいが、どう考えても一人で食べられる量ではなかった。

どうしたものかと困り果てしまう。

こんな夜遅くに団員達に会いに行くのは迷惑がかかるし、明日までに食べれば大丈夫かと思い有り難く受け取る。
 

町の人達に礼を述べてから別れ、鼻歌を歌いながら歩いているとどこからか声が聞こえてきた。

周りに人は居ないためすぐに路地裏から聞こえてきたのだとわかった。

レオンは妙な胸騒ぎがして路地裏に入る。

近づくにつれ言っている言葉がはっきりと聞こえてくる。

「おい、兄ちゃん。さっさと金だしな」

「こっちは五人。どうやっても兄ちゃんに勝ち目はない。痛い思いしたくないだろ」

物陰に隠れて様子を見ていたら五人の男がフードを深く被った男を取り囲むようにして脅していた。

最悪だ、嫌な予感が当たったとため息をつくレオン。

「おい、そこで何をしている」

物陰から出て声をかける。

「テメェには関係ねぇだろ。引っ込んでろ」

一人の男が叫び後ろを振り向くと、嘘だろと情けない声を出す。

その声に残りの四人も振り向きレオンの姿を見ると顔が青白くなっていく。

この町でレオンのことを知らない人間はいない。

この町だけでなくこの国でレオンのことを知らない人間はほとんどいないだろう。

なんていったって平民から騎士になり、そして王様から認められ最初に平民騎士団を作った男。

そんな男が自分達の前にいるんだ。

男達は自分達が悪いことをしていた自覚があるため恐怖に包まれた。

「今回は見逃してやる。次はない、わかったな。さっさと消えな」

レオンがそう告げると男達は一斉にその場から去っていく。

助かった、こんな思いをするくらいなら二度とこんなことはしないと誓う男達。

レオンは男達が消えたのを確認してからフードの男に近づく。

「おい、あんた大丈夫か。怪我はないか」

さっきまでの険しい顔が嘘みたいな優しい表情をして話しかけるレオン。

「お陰様で助かった。ありがとう」

フードを脱いでお礼を言う男。

遠くからだとわからなかったが、男は結構いい身体をしていた。

背はレオンより高いし、マントのせいで見えないが鍛えているのだろうとすぐわかった。

「(もしかしたら、俺の助けなどいらなかったかもな)」

心の中で呟くレオン。

「なら良かった。俺の名前はレオン。あんたは」

「私はゼ…」

「ゼ?」

「ゼン」

「ゼンか、いい名だな」

何故自分の名前に詰まったのか不思議に思ったがあまり深く考えず普通に褒める。

「ありがとう」

恥ずかしそうに下を向くゼン。

「ゼン、君はここには観光できたのか」

見慣れない格好をしているので他国から来たのだとすぐわかる。

「まぁ、そんなところだ」

「宿まで送るよ。夜に知らない町で一人で出歩くのは危険だし」

ゼンを送ろうと宿の名を聞くが「あー、それが、その…」となんとも歯切れの悪さに「まさか、宿とってないのか」と聞くと小さく頷くゼン。

まさかの出来事に、マジかと驚くがすぐに「なら、ウチに来い。野宿よりはマシだろ」そう言ってゼンの腕を掴み返事を聞くより先に歩き出す。




「そんな所に突っ立ってないで早く入りな」

中々家の中に入ってこないゼンを不思議に思ったのか玄関まで戻ってきたレオン。

「お邪魔します」

恐る恐る家の中へと入っていくゼン。

「ゼン、お腹は空いているか。ご飯にしよう。嫌いな物はあるか」

食事の準備をしながら質問をする。

「私は大丈夫。気にしないでくれ」

「そんなこと言わないでくれ。一人暮らしだと毎日一人で食べるのは寂しいんだ。それに今日はこんなに貰ったのに一人だと食べきれない。俺を助けると思って一緒に食べてくれ」

手に持っていた料理を見せて懇願するレオン。

「そういうことなら、ありがたく頂くよ」

「ありがとう」

少年のような屈託のない笑みを浮かべるレオン。

「私も手伝おう」

ゼンはフードのついた羽織りを脱いで食事の準備を手伝う。

「ゼン、ワインは好きか」 

前に買ったワインを見せてくるレオン。

「ああ、好きだ」

ふわり、と花が咲いたような笑みを浮かべるゼン。

その笑顔をみて、そんなにワイン好きなのかと思うレオン。
 
町の人達が作った料理は最高に美味しくワインをどんどん飲み干していく二人。

気付いたら料理は全部平らげ、家に保管していたワインも全部飲み尽くしていた。

二人共結構酔っ払っていた。

「ゼン、大丈夫か」

真っ赤に染まった顔で今にも寝てしまいそうなレオンが尋ねる。

「うーん、まだ私は飲める」

ドンッ。そう言って机に頭をぶつけて寝てしまうゼン。

「フフッ、アッハッハ」

腹を抱えて笑いだすレオン。

ゼンの行動がツボに入り涙を流すほど笑う。

「こんなに笑ったのは久しぶりだ」

このままここで寝たら風邪をひくな、と思い寝室に運ばないといけないとゼンを横抱きにして運ぶ。

自分より背が高く重い相手なのに軽々と運ぶレオンは流石十二騎士団第十一騎士団団長といったところだ。
 
寝室の扉を開け、ゼンをベットへと寝かす。

ゼンをなるべく壁際まで寄せてからレオンもベッドに入って抱きつくように寝る。
 
いつものレオンならソファで寝たりして一緒に寝ようとしないが、今回は酔っ払っていたのと物凄い眠気が襲ってきたためシングルベッドに男二人で一緒に寝た。
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