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手紙と写真
「レオン様。着きました」
馬車が止まり男がレオンに声をかける。
「ありがとう。ご苦労様。また次回も頼む」
レオンは今日のお駄賃を男に手渡す。
男はレオンに礼を言われ「こちらこそ毎回ありがとうございます」と頭を下げてお礼を言う。
男の家は貧しい。
レオンが町の視察をするときは、本来なら自分の馬でした方が早く終わるが毎回男の為に自腹で依頼をしていた。
男はそのことを知っているので、レオンに感謝してもしきれない。
もし、レオンがいなければ自分も自分の家族もとっくの昔に死んでいたかもしれない。
レオンは男に礼を言うと自分の団の建物の中に入っていく。
ゼインも男に「ありがとう」と礼を言いレオンの後を追う。
男は二人の姿が見えなくなるまで頭を下げ続けた。
「ここは?」
レオンの家に比べると十倍以上大きいが、ゼインの屋敷に比べたら三部屋分くらいしかない大したことのない大きさ。
まぁ、人間達の建物では充分過ぎるくらい立派なものだとは理解している。
「ここは俺が所属している騎士団の建物だよ」
入ろうか、そう言って二人で中に入っていく。
「団長。おはようございます」
一人の団員がレオンに気づき挨拶する。
「ああ、おはよう。ユーリ」
ユーリはレオンのところまで近づいてくる。
「今日も一日頼むぞ」
「はい。お任せください」
ユーリはレオンに会えると幸せになる。ユーリにとってレオンは太陽のような存在。
ふと、横から視線を感じ目を向けると知らない男がそこにいた。
ユーリの目には最初からレオンしか写っていなかったので、いつからいたのかと驚いて目を見開く。
「団長。こちらの方は」
初めて見る人だ。
レオンの知り合いだろうか。
どういった関係なのかと、思っていることが顔に全部でる。
「昨日から一緒に住んでいるゼンだ。俺の友達だ。仲良く頼むよ」
ほら、ゼインもなんか言えよ、と肘で小突く。
「ゼンだ。よろしく」
レオンと接するときと比べ少し素っ気無い態度をする。
ユーリはレオンの一緒に住んでいるという発言で羨ましさのあまり発狂しそうになっていた。
「(いいな。いいな。俺もレオン団長と一緒に暮らしたい)」
羨ましすぎて思考回路が遮断され固まる。
「おーい、ユーリ」
目の前でレオンが手を振り声をかけると漸く我に返り自己紹介をする。
「ユーリです。こちらこそよろしくお願いします」
バッと頭を下げる。
「ああ」
ゼインはただ一言そう言う。
レオンは二人のやり取りを見て何だが仲良くなれそうな雰囲気をみて、あっ、と何かを思いついた。
「ユーリ」
「はい」
レオンに名を呼ばれ元気よく返事する。
ユーリから犬の耳と尻尾が見え、レオンはついぷっと笑ってしまう。
「悪いがしばらくゼンのことを頼んでもいいか。俺はこれから会議があるんだ」
「はい。わかりました」
ゼインを一人で待たせるのが心配でそう頼んだのだろうと推測する。
確かに一人で待たせるのは危ない気がする。
気がつけばフラッとどこかに行ってしまいそうな感じがした。
「ありがとう」
ユーリに礼をいい、ゼインに話しかける。
「ゼン、これから会議に行くから終わるまでの間ユーリと一緒にいてくれ」
ゼインが一人でいると他の団員も知らない人がいて驚くだろうからとユーリを傍に置いておくことにした。
「わかった」
ゼインは素直に頷く。
二人と別れレオンは会議室へと向かっていく。
レオンの姿が見えなくなるとユーリはゼインに話しかける。
「ゼンさん。何かしたいことはありますか」
レオン直々の頼みなので粗相のないよう丁重にもてなそうと心がける。
「あれは何だ?」
少し離れた場所にある本棚を指差す。
ユーリはゼインの指差した方をみて、「ああ、あれはお礼の品ですよ」と言う。
「みてみますか」
「ああ」
二人は本棚のところに向かう。
「これ、ほとんど団長宛のものなんです」
はい、本棚からと一つ取ったのをゼインに渡す。
本かと思ったがよく見ると違う。
中を見ようと開けると、そこには手紙と写真が貼られていた。他のページも見てみようとめくると、そこも笑顔の写真が大量にはられてあり、レオンへの感謝の気持ちが綴られた手紙があった。
「これ全てレオンへのものか」
「いえ、ここは違います。でも、それ以外は全部団長へかのものです」
九割近くのものがレオン宛のだと知り、無意識に顔が綻ぶ。
「そうか」
優しい顔でレオン宛の手紙や写真を見つめる。
「(この人こんな顔するんだな)」
表情筋が死んでいるのではと思うくらい一切動かなかったゼインの顔があまりに変化して驚く。
「レオンはどういった人間なんだ」
暫く手紙と写真を眺めていたが、ユーリに話しかける。
「団長?団長は誰よりも強くて、誰よりも優しいく、皆に愛されている人です。私の憧れの人なんです」
「そうなのか。なぁ、レオンのこともっと教えてくれないか」
ゼインがレオンの事を教えて欲しいと頼むとユーリはパァーと顔を輝かせて嬉しそうにレオンの事を話した。
レオンがどうやって団長になったか、団長になって何をしたのか、この町をどうやってここまで復興させたのか、レオンが二人の前に現れるまでユーリは話し続けた。
ゼインは黙ってユーリの話しを聞き続けた。
人間と関わるなんて二度御免だと今でも思っているが、そこにレオンが関わると不思議ともう一度いいかもしれないと思えた。
こんなに穏やかな気持ちで人間ともう一度接することができるなんてあの頃の自分に教えても「嘘だ」と言って信じないだろう。
馬車が止まり男がレオンに声をかける。
「ありがとう。ご苦労様。また次回も頼む」
レオンは今日のお駄賃を男に手渡す。
男はレオンに礼を言われ「こちらこそ毎回ありがとうございます」と頭を下げてお礼を言う。
男の家は貧しい。
レオンが町の視察をするときは、本来なら自分の馬でした方が早く終わるが毎回男の為に自腹で依頼をしていた。
男はそのことを知っているので、レオンに感謝してもしきれない。
もし、レオンがいなければ自分も自分の家族もとっくの昔に死んでいたかもしれない。
レオンは男に礼を言うと自分の団の建物の中に入っていく。
ゼインも男に「ありがとう」と礼を言いレオンの後を追う。
男は二人の姿が見えなくなるまで頭を下げ続けた。
「ここは?」
レオンの家に比べると十倍以上大きいが、ゼインの屋敷に比べたら三部屋分くらいしかない大したことのない大きさ。
まぁ、人間達の建物では充分過ぎるくらい立派なものだとは理解している。
「ここは俺が所属している騎士団の建物だよ」
入ろうか、そう言って二人で中に入っていく。
「団長。おはようございます」
一人の団員がレオンに気づき挨拶する。
「ああ、おはよう。ユーリ」
ユーリはレオンのところまで近づいてくる。
「今日も一日頼むぞ」
「はい。お任せください」
ユーリはレオンに会えると幸せになる。ユーリにとってレオンは太陽のような存在。
ふと、横から視線を感じ目を向けると知らない男がそこにいた。
ユーリの目には最初からレオンしか写っていなかったので、いつからいたのかと驚いて目を見開く。
「団長。こちらの方は」
初めて見る人だ。
レオンの知り合いだろうか。
どういった関係なのかと、思っていることが顔に全部でる。
「昨日から一緒に住んでいるゼンだ。俺の友達だ。仲良く頼むよ」
ほら、ゼインもなんか言えよ、と肘で小突く。
「ゼンだ。よろしく」
レオンと接するときと比べ少し素っ気無い態度をする。
ユーリはレオンの一緒に住んでいるという発言で羨ましさのあまり発狂しそうになっていた。
「(いいな。いいな。俺もレオン団長と一緒に暮らしたい)」
羨ましすぎて思考回路が遮断され固まる。
「おーい、ユーリ」
目の前でレオンが手を振り声をかけると漸く我に返り自己紹介をする。
「ユーリです。こちらこそよろしくお願いします」
バッと頭を下げる。
「ああ」
ゼインはただ一言そう言う。
レオンは二人のやり取りを見て何だが仲良くなれそうな雰囲気をみて、あっ、と何かを思いついた。
「ユーリ」
「はい」
レオンに名を呼ばれ元気よく返事する。
ユーリから犬の耳と尻尾が見え、レオンはついぷっと笑ってしまう。
「悪いがしばらくゼンのことを頼んでもいいか。俺はこれから会議があるんだ」
「はい。わかりました」
ゼインを一人で待たせるのが心配でそう頼んだのだろうと推測する。
確かに一人で待たせるのは危ない気がする。
気がつけばフラッとどこかに行ってしまいそうな感じがした。
「ありがとう」
ユーリに礼をいい、ゼインに話しかける。
「ゼン、これから会議に行くから終わるまでの間ユーリと一緒にいてくれ」
ゼインが一人でいると他の団員も知らない人がいて驚くだろうからとユーリを傍に置いておくことにした。
「わかった」
ゼインは素直に頷く。
二人と別れレオンは会議室へと向かっていく。
レオンの姿が見えなくなるとユーリはゼインに話しかける。
「ゼンさん。何かしたいことはありますか」
レオン直々の頼みなので粗相のないよう丁重にもてなそうと心がける。
「あれは何だ?」
少し離れた場所にある本棚を指差す。
ユーリはゼインの指差した方をみて、「ああ、あれはお礼の品ですよ」と言う。
「みてみますか」
「ああ」
二人は本棚のところに向かう。
「これ、ほとんど団長宛のものなんです」
はい、本棚からと一つ取ったのをゼインに渡す。
本かと思ったがよく見ると違う。
中を見ようと開けると、そこには手紙と写真が貼られていた。他のページも見てみようとめくると、そこも笑顔の写真が大量にはられてあり、レオンへの感謝の気持ちが綴られた手紙があった。
「これ全てレオンへのものか」
「いえ、ここは違います。でも、それ以外は全部団長へかのものです」
九割近くのものがレオン宛のだと知り、無意識に顔が綻ぶ。
「そうか」
優しい顔でレオン宛の手紙や写真を見つめる。
「(この人こんな顔するんだな)」
表情筋が死んでいるのではと思うくらい一切動かなかったゼインの顔があまりに変化して驚く。
「レオンはどういった人間なんだ」
暫く手紙と写真を眺めていたが、ユーリに話しかける。
「団長?団長は誰よりも強くて、誰よりも優しいく、皆に愛されている人です。私の憧れの人なんです」
「そうなのか。なぁ、レオンのこともっと教えてくれないか」
ゼインがレオンの事を教えて欲しいと頼むとユーリはパァーと顔を輝かせて嬉しそうにレオンの事を話した。
レオンがどうやって団長になったか、団長になって何をしたのか、この町をどうやってここまで復興させたのか、レオンが二人の前に現れるまでユーリは話し続けた。
ゼインは黙ってユーリの話しを聞き続けた。
人間と関わるなんて二度御免だと今でも思っているが、そこにレオンが関わると不思議ともう一度いいかもしれないと思えた。
こんなに穏やかな気持ちで人間ともう一度接することができるなんてあの頃の自分に教えても「嘘だ」と言って信じないだろう。
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