春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

文字の大きさ
13 / 47

団会議

「「団長」」

レオンが部屋に入ると十一騎士団の幹部達が中に集まっていた。

「皆、おはよう」

元気よく挨拶する。

「おはよう」

「おはようございます」

各々がレオンに挨拶する。

部屋に参加する人達はほとんどがレオンより年上だが、皆レオンを尊敬し団長として認めている。

もちろん、団員達全員同じ気持ちだ。

「おっ、今日はワッフルか。最高だな」

席についてワッフルを早速食べる。

レオンは大の甘党で、このことはレオンが守る区域にいる人達全員が知っている。

そのため、団会議が開かれるたび順番に甘い物の差し入れをしてくれる。

いつも自分達を守ってくれるお礼の品だと。

最初はお礼で始まったが、今ではほとんどが若い女性達がレオンにアピールする為に行われるようになった。

レオン以外の団員は全員知っているので、あからさまに何度も好意を伝えられているのに全く気づいて貰えないので女性達に哀れみの目を向ける。

「美味しいか」

副団長のリヒトが隣に座り尋ねる。

「ああ。とても美味しいよ」

あっという間に平らげる。

「なら、俺のも食うか」

自分のワッフルをレオンに渡す。

「いいのか」

「ああ、かまわんよ」

「ありがとう」

パァーと目を輝かせてリヒトの分のワッフルを口に入れていく。

二人分食べ満足したのか幸せそうにお腹を撫でる。

「じゃあ、そろそろはじめようか」

さっきまでの和やかだった雰囲気が一変し空気が張り詰める。

「まず、最初に昨日の団長会議の内容を皆に伝える」

レオンが昨日の会議での事を話すと皆の顔がだんだん強張っていく。

「すまない。俺の力不足でまた最悪な任務を押し付けられた。本当にすまない」

レオンは皆に深く頭を下げ謝罪する。

「団長のせいじゃねぇよ。寧ろよくやってるよ。団長がいなけりゃあここはとっくの昔に終わってる」

リヒトがすかさずレオンの言葉を否定する。

レオンは何も悪くない。

悪いのは全て王族や貴族。

何もしないくせに嫌なことは全て押し付けてくる。

何の力にもなれない自分の弱さに苛立ちを覚える。

レオンの力になりたいと思っているのにいつも助けられてしまう。

自分の無力さに腹が立つ。

「そうだよ。団長は何一つ悪くないよ。悪いのは全部あいつらじゃん」

唯一この幹部会議でレオンより年下のカイがムッとした表情をする。

「そうですよ、団長。団長は出来る限りのことは全てしてるではありませんか。もし、ここに団長がいなければこの町だけでなく、我々が守っている全ての町がとっくに消されています。今こうして皆が暮らせているのは団長のおかげです。もっと胸を張ってください」

柔らかい物腰でハイネが言うと皆「その通りだ」と大きく頷く。

「ありがとう、皆」

自分は団長で皆を慰めたり引っ張ったりする立場なのに、逆に慰められるなんて少し情けなく感じる。

でも、そう言ってもらえて嬉しく感じる自分もいた。

一人では難しくても皆となら何とかなる。不思議とそう思えた。

だが、自分は団長だ。

もう二度こんな情けない姿は見せない。

もっと頼れるような、ユエルのような立派な団長にならなければ、と自分に喝をいれる。


それから、今回命じられた任務をどうやって対処するか、化け物から町をどうやって守るか、国から与えられる資金が前年の半分にまで減らされ町をどう活性化させていくかを話し合う。

三時間くらい意見を出し合ったがいい案はでず、次回の会議までに各自で考えをだすとして解散し、皆今日の自分の管轄区域担当に戻っていく。

「団長。あんまり自分を責めるなよ。さっきも言ったが、団長がいなけりゃあ俺達に未来はなかったんだ」

リヒトは皆が部屋からいなくなるのを見届けてからレオンにもう一度責任を感じる必要はないと伝える。

「ああ、わかってるよ」

「そういうことにしといてやる」

リヒトは残りの仕事を片付けるため部屋から出ていく。

「あれは、バレてるな」

部屋から出ていく前のリヒトの顔で自分の考えがバレているなと感じ思わず苦笑いする。

流石に長年レオンの右腕を務めていただけのことはある。

レオンが何でもかんでも自分のせいにしてしまうのを見抜いている。

深くため息を吐く。

「一体どうすればいいんだ」

レオンは自分が言われたり、何かされたりするのはいいが、団員や町の人達にまで危害が及ぶのは耐えられなかった。

レオンは自分が王族や貴族達に嫌われているのは知っていた。

理由も勿論わかっていた。

レオンが平民の中でもさらに下の方の人間でありながら、同じ位もしくは上の位にいること。

他人が聞いたら下らないと笑うようなことでもお偉いさん達には大事なことだった。

たったその程度の理由でここまで酷い事をされるとは思わなかった。

自分は何も悪いことはしていないのに何故こんな事をされないといけないのかレオンにはどうしても理解できない。

それが貴族だから、と言われてしまえばそれまでだが、同じ国の民として納得できなかった。

今回の団長会議で第十一騎士団は国からの資金が半分にされ、魔物が大量に発生した場所に行くように命じられた。

資金が半分にされたのは貴族達からの反発が理由だった。

元々王族は十一団の資金を減らそうとは考えていたのでちょうどいいとそれを利用した。

魔物が発生したのは場所は第九騎士団の管轄区域場所。

本来ならレオン達第十一団が赴く必要などないが王からの命であれば従うしかない。

嫌がらせがどんどんエスカレートしていきとうとう、管轄外の場所まで戦わされるようになる。

まぁ、今回は他の理由もあるが。

レオンの団やジョンの団は他の十騎士団と比べ団員数が少ない。

今でさえ人数が足りずに大変なのに、魔物退治で数日離れないといけない。

ユエルとジョンはそこはレオンの管轄ではないからレオンが対処するのはおかしいと抗議してくれたが、王も他の団長もそれを許さず仕方なくレオン達の団が引き受けることになった。

団長会議の事を思い出してしまい今日何度目かわからないため息を吐く。
感想 0

あなたにおすすめの小説

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

恋をあきらめた美人上司、年下部下に“推し”認定されて逃げ場がない~「主任が笑うと、世界が綺麗になるんです」…やめて、好きになっちゃうから!

中岡 始
BL
30歳、広告代理店の主任・安藤理玖。 仕事は真面目に、私生活は質素に。美人系と言われても、恋愛はもう卒業した。 ──そう、あの過去の失恋以来、自分の心は二度と動かないと決めていた。 そんな理玖の前に現れたのは、地方支社から異動してきた新入部下、中村大樹(25)。 高身長、高スペック、爽やかイケメン……だけど妙に距離が近い。 「主任って、本当に綺麗ですね」 「僕だけが気づいてるって、ちょっと嬉しいんです」 冗談でしょ。部下だし、年下だし── なのに、毎日まっすぐに“推し活”みたいな視線で見つめられて、 いつの間にか平穏だったはずの心がざわつきはじめる。 手が触れたとき、雨の日の相合い傘、 ふと見せる優しい笑顔── 「安藤主任が笑ってくれれば、それでいいんです」 「でも…もし、少しでも僕を見てくれるなら──もっと、近づきたい」 これは恋?それともただの憧れ? 諦めたはずの心が、また熱を持ちはじめる。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる(第12章終了しました)

ir(いる)
BL
※2025/11 プロローグを追加しました ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元軍人の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。 ※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。 ※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話) ※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい? ※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。 ※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。 ※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。