春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

文字の大きさ
18 / 47

町の案内 2

「ついた。ゼイン、ここだよ」

レオンが指差した建物はレオンの家よりさらに小さい。

ゼインはここは店なのかときょとんした顔で建物をみる。

建物の色は白く小さな窓が一つ。

入り口は茶色。

入り口の前に小さな机があり、その上に蓮の置き物が置いてある。

「おっ、今日はやってるな。よかった」

レオンの口ぶりからして店が開く日は決まってないのだろう。

店主の気分次第か。

ゼインはレオンが嘘を言う男だとは思っていないが、本当にここなのかと目で訴える。

「俺も初めまして来た時は同じことを思ったよ。でも、本当にここは飲食店さ。ここは知る人ぞ知る隠れ屋的な店なんだ。さっ、行こう」

ゼインの訴えに答え、手を取り扉を開ける

チリン、チリン。

扉を開けると上についている鈴がなる。

これでお客が来ることを知らせる。

ゼインは鈴を不思議な形をしたものだなと物珍しさに凝視する。

天界にはこんな物はないのでつい気になる。

「いらっしゃい、って、レオンじゃないかい。久しぶりだね。元気にしてたかい」

店の中に入ると女性がレオンに話しかける。

どうやら、レオンと女性は仲がいいみたいだ。

「ああ、久しぶりだね、リリーさん。この通り元気だよ」

力こぶをつくってみせる。

「リリーさんの方こそ元気にしてた」

「もちろんさ。私はいつまでたっても元気さ。そんじょそこらの若い女達にはまだまだ負けないよ」

ガハハッと大笑いするリリーに「だろうな」と心の中で呟く。

「あら?」

レオンの後ろにいたゼインに気がつく。

「珍しいね。あんたが人を連れめくるなんて、てゆうか初めてじゃないか」

一瞬驚いた顔をするもすぐににやけた顔をする。

「まぁ、そうなるか。ゼンにここの料理を食べてほ……」

しいと思って連れてきた、と続けたかったのに、それを遮るようにリリーがゼインに話しかける。

「あんた、ゼンというのかい。いい名だね。それに美人だ。私は美人は大好きだよ」

ゼインの顔は整っていて、今まで出会った人達の中で断トツで美しかった。

「美人って、リリーさん。ゼンは男だよ」

レオンも男だからわかる。

美人と言われるより格好いいと言われ方がいい。

「そんなの見りゃあわかるわい。人を老眼扱いするんじゃないよ。それに、美人じゃなければなんというんだい」

ほれ、言ってみろといわんばかりの顔をする。

レオンはゼインの顔ををじぃーーと見つめてできた言葉は「美しい人?」だった。

「それじゃあ、私とたいして変わらないじゃないか」

たしかに、そうかもしれないと思う。

初めてゼインにあったとき「美しい」とはこの人の為にあるような言葉だと思った。

ゼインの顔は男らしいとも可愛いらしいとも違う。

中性的な顔立ちで美しい顔だ。

ゼインも自分の顔が人や神よりも美しく整っていることは知っていた。

まぁ、あれだけ天界で耳にすればそう思うだろう。

「ゼイン様はなんてお美しいのだろうか」

屋敷から出て少し歩いているだけでそう言った声がよくする。

あれだけ言われ続けて気づかない方がおかしい。

だから、リリーに美人だと言われてもたいして何も思わなかったのに、レオンに言われると少し胸がくすぐったく感じた。

何故かはわからなかったが嬉しかった。

「さっきから騒いどるけどどうしたんじゃ」

男性が厨房から出てきて声をかける。

バチッ。

レオンと男性の目が合う。

「レオンじゃないか。久しぶりじゃな。元気にしとったか」

バッと近づきレオンの肩に手を置く。

「それ、さっき私が聞いた。元気だってさ」

レオンが答える前にリリーが言う。

その言葉でホッとしたのも束の間、リリーをキッと睨む。

「レオンが来たんなら何故すぐに言わんのじゃ。わしだって話したいこといっぱいあるんじゃぞ」

先に一人だけレオンと話しをしたことが許せない。

「そうだった、すっかり忘れてたわ。それはそうとごめんなさいね。私はいっぱい話したわ。やっぱりレオンと話すのは楽しいわ」

リリーは男性をからかう。

「もう、今日という今日は絶対に許さんぞ。前回も前々回もその前も自分ばかりレオンと話しをって。わしも話したい。今日はわしも話す。今日はもう店閉める」

「ハルさん!?」

まさかの仕事放棄に驚いて名を呼ぶ。

「そりゃあいい、そうしよう。今日はもうしめましょう」

レオンの静止など無視して、リリーは扉を開け外に出る。

チリン、チリンと鈴の音がする。

もう一度鳴ると蓮の置き物を手に持っていた。

この店は客に店が開店しているか閉店しているか教えるのに蓮の置き物を使っている。

変わった方法で客に伝えるので、この店のことを知らない人達はここを普通の家だと思っている。

「ところで隣の別嬪さんは誰じゃ?」

ゼインをみる。

「私も気になってたの!」

さっきレオンは説明しようとしたが、話しを遮りってしまったので、もう一度紹介してもらおうとタイミングを伺っていた。

「彼はゼン。俺の友人だ。夏の間だけこの国で過ごすんだ。今は俺の家で一緒に住んでいる」

二人はえっと声に出し驚きを隠せない。

久しぶりに会ったレオンが連れてきた男が、あの家でレオンと一緒に住んでいる。

レオンはあの家に人を入れるのを嫌がっていたのに。

初めて会ったときは町を守る為に奮闘し、それからすぐに団長となりこの町だけでなく他の町も守っている。

あの頃からずっと女の影が全く無かったので心配していた。

これは一生一人かもしれないと。

どうしたものかと二人でつい最近までその話していたら、今日一緒に住んでいるとゼインを紹介された。

ようやく、レオンの傷も癒えてきたのだと喜び安心した。

夏の間いるということは約十ヶ月ここにいるのだろう。

この国はほぼ夏で、他の国に冬が訪れるときだけ三ヶ月春の季節になる。

どうせすぐにまた帰ってくるのだろうと思い、二人はそこを深く追求しないことにした。

「ゼンです」

レオンの紹介が終わるとペコッと少し頭を下げる。
感想 0

あなたにおすすめの小説

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

恋をあきらめた美人上司、年下部下に“推し”認定されて逃げ場がない~「主任が笑うと、世界が綺麗になるんです」…やめて、好きになっちゃうから!

中岡 始
BL
30歳、広告代理店の主任・安藤理玖。 仕事は真面目に、私生活は質素に。美人系と言われても、恋愛はもう卒業した。 ──そう、あの過去の失恋以来、自分の心は二度と動かないと決めていた。 そんな理玖の前に現れたのは、地方支社から異動してきた新入部下、中村大樹(25)。 高身長、高スペック、爽やかイケメン……だけど妙に距離が近い。 「主任って、本当に綺麗ですね」 「僕だけが気づいてるって、ちょっと嬉しいんです」 冗談でしょ。部下だし、年下だし── なのに、毎日まっすぐに“推し活”みたいな視線で見つめられて、 いつの間にか平穏だったはずの心がざわつきはじめる。 手が触れたとき、雨の日の相合い傘、 ふと見せる優しい笑顔── 「安藤主任が笑ってくれれば、それでいいんです」 「でも…もし、少しでも僕を見てくれるなら──もっと、近づきたい」 これは恋?それともただの憧れ? 諦めたはずの心が、また熱を持ちはじめる。

側妻になった男の僕。

selen
BL
国王と平民による禁断の主従らぶ。。を書くつもりです(⌒▽⌒)よかったらみてね☆☆

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる(第12章終了しました)

ir(いる)
BL
※2025/11 プロローグを追加しました ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元軍人の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。 ※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。 ※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話) ※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい? ※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。 ※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。 ※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。