24 / 47
昔の記憶
「なぁ、レオン。これは町にもあるのか?」
相当ブランコが気に入ったのか椅子を揺らしながら尋ねる。
「いや、町にはないな」
ゼインにそう尋ねられ、町には子供が遊ぶ場所や遊具がない事に今更ながら気がつく。
そしてふと子供達の遊び場を作ったら喜ぶのではないか、とその光景を想像する。
明日、皆に聞いてどうするか決めよう。
「そうなのか…………、もし遊びたくなったらここに来るしかないのか」
しょぼん、とさっきまでの楽しそうな表情から一変して悲しそうな表情をする。
「レオン」
「どうした?」
「どうして、ここにブランコを作ったんだ?あまり人が来ないのだろう」
町から遠いし、人はあまり来ないし、ひまわりの中にあってわかりにくい。
何でここに作ったのか疑問に思う。
「ああ、それは、たしか…………なんだったっけ?」
昔、ヴァイオレットに教えてもらった記憶を必死に思い出す。
たしか、あの頃のレオンはサルビアとヴァイオレットに引き取られて三年目くらい経ったとき。
引き取られて一年目の頃と違い本当の家族のように仲良く暮らしていた。
ある時サルビアが「レオン、明日晴れだったらひまわり畑に行かないか?」と言われた。
よくヴァイオレットが話していた場所のことで行ってみたいと思っていたので「行きたいです!」と元気よく返事をした。
「そうか。なら、明日は朝早くに家を出るから今日は寝ような」
「はい!」
元気よく、おやすみなさい!と挨拶をして布団に入るが念願のひまわり畑に行けるのが楽しみすぎて中々寝られなかった。
「レオン、そろそろ起きろ」
サルビアが寝ているレオンに声をかける。
「おはよう、サルビアさん」
ふわぁ、と大きな欠伸をしながら挨拶する。
あれだけ楽しみで中々眠れなかったのに、気づいたら寝ていた自分に起きて早々感心する。
「おはよう、レオン。今日はいい天気だ。顔を洗っておいで」
「はい」
部屋から出て台所で料理しているヴァイオレットに挨拶をしてから外に顔を洗いに出る。
井戸から水を汲んでその水を桶に入れ直してから顔を洗う。
「ふー、すっきりした」
タオルで顔を拭く。
「サルビアさん、俺も手伝います」
早くひまわり畑に行きたくて仕方ない。
サルビアに言われたことをいつもの五倍の速さでどんどん片付けていく。
「あとは、馬だな。レオン、悪いが馬の準備をしてきてくれ。その間に俺はこれをまとめておく」
「はーい」
元気よく外に出て馬小屋に向かう。
「マーサー、フィリップ。おはよう。今日はよろしくな」
首を撫でながら二頭に挨拶する。
二頭はレオンに撫でられるのが嬉しいのか気持ちよさそうな顔をする。
二頭が満足すると玄関まで連れていき柵に手綱を括りここまで待つよう言ってから家に戻る。
「サルビアさん。終わったよ。次は何をすればいい?」
「もうないよ。レオンはこれを持ってくれ」
まとめた荷物を持つよう頼む。
「わかった」
こっちの準備は終わった。
後は、ヴァイオレットの料理が終わるのを待つだけ。
「ヴァイオレットさん。何か手伝うことはある?」
「そうね、なら料理をテーブルまで運んでくれる?」
「わかった」
皿の上に盛り付けられている出来立ての料理をテーブルの上にどんどん置いていく。
ヴァイオレットは昼食用のご飯をバスケットに入れていく。
サルビアが飲み水を汲んで戻ってくると、揃って食材に感謝して朝食を取る。
「レオン。今日はいつもより遠いところに行くから疲れたら迷惑をかけるとか思わずすぐに言うのだぞ」
よく二人で馬に乗って散歩をしたりするが、ひまわり畑までの道のりは散歩する距離の三倍。
慣れたといってもこれほど長い距離を走るのは初めてなので心配してしまう。
「はい。わかりました。でも、きっと大丈夫です。何故かそんな気がするんです」
根拠のないことを自信満々に言う。
「そうか。なら、いい。だが、そうなったときは必ず言うのだぞ」
もう一度念を押してから「では、行こうか」
バスケットを持ったヴァイオレットを前に座らせ、馬を走らせる。
その後ろについていくレオン。
ーーすごいな。
ヴァイオレットを乗せたままいつもよりスピードがあるのに余裕で山道を走るサルビアをかっこいいな、と後ろから尊敬の眼差しでみつめる。
サルビアの後ろ姿がレオンにはこの世の誰よりも格好よく頼もしく見えた。
将来自分も誰かにこんな風に思ってもらえるような立派な男になりたい。
なってみせる。
そう自分自身に誓う。
「綺麗」
ひまわり畑を丘の上から眺めそう呟く。
太陽の光に照らされ、ひまわりが輝いているの光景が上から見るとまるで黄金の海みたいに幻想的な美しさを放っていた。
今漸く理解した。
ヴァイオレットが何故あんなにひまわり畑の話をしたのか。
何故自分にもみて欲しいと言ったのか。
この光景を見て漸くあの言葉の意味を理解できた。
あの日、二人に引き取られ初めてヴァイオレットと星空を眺めながら人生に絶望していた自分に励ますでもなく、ただ事実だけを言ったであろう、その言葉はあの頃のレオンには理解できないものだった。
ーーレオン。貴方もあの光景をみたらきっとこう思うわ。この世界は捨てたもんでもないって。あらゆる角度から世界をみた貴方にはこの世界はとても残酷に映っているかもしれない。でもね、それだけではないの。本当にこの世界も美しいのよ。いつか、きっとそらがわかる日がくるわ。
相当ブランコが気に入ったのか椅子を揺らしながら尋ねる。
「いや、町にはないな」
ゼインにそう尋ねられ、町には子供が遊ぶ場所や遊具がない事に今更ながら気がつく。
そしてふと子供達の遊び場を作ったら喜ぶのではないか、とその光景を想像する。
明日、皆に聞いてどうするか決めよう。
「そうなのか…………、もし遊びたくなったらここに来るしかないのか」
しょぼん、とさっきまでの楽しそうな表情から一変して悲しそうな表情をする。
「レオン」
「どうした?」
「どうして、ここにブランコを作ったんだ?あまり人が来ないのだろう」
町から遠いし、人はあまり来ないし、ひまわりの中にあってわかりにくい。
何でここに作ったのか疑問に思う。
「ああ、それは、たしか…………なんだったっけ?」
昔、ヴァイオレットに教えてもらった記憶を必死に思い出す。
たしか、あの頃のレオンはサルビアとヴァイオレットに引き取られて三年目くらい経ったとき。
引き取られて一年目の頃と違い本当の家族のように仲良く暮らしていた。
ある時サルビアが「レオン、明日晴れだったらひまわり畑に行かないか?」と言われた。
よくヴァイオレットが話していた場所のことで行ってみたいと思っていたので「行きたいです!」と元気よく返事をした。
「そうか。なら、明日は朝早くに家を出るから今日は寝ような」
「はい!」
元気よく、おやすみなさい!と挨拶をして布団に入るが念願のひまわり畑に行けるのが楽しみすぎて中々寝られなかった。
「レオン、そろそろ起きろ」
サルビアが寝ているレオンに声をかける。
「おはよう、サルビアさん」
ふわぁ、と大きな欠伸をしながら挨拶する。
あれだけ楽しみで中々眠れなかったのに、気づいたら寝ていた自分に起きて早々感心する。
「おはよう、レオン。今日はいい天気だ。顔を洗っておいで」
「はい」
部屋から出て台所で料理しているヴァイオレットに挨拶をしてから外に顔を洗いに出る。
井戸から水を汲んでその水を桶に入れ直してから顔を洗う。
「ふー、すっきりした」
タオルで顔を拭く。
「サルビアさん、俺も手伝います」
早くひまわり畑に行きたくて仕方ない。
サルビアに言われたことをいつもの五倍の速さでどんどん片付けていく。
「あとは、馬だな。レオン、悪いが馬の準備をしてきてくれ。その間に俺はこれをまとめておく」
「はーい」
元気よく外に出て馬小屋に向かう。
「マーサー、フィリップ。おはよう。今日はよろしくな」
首を撫でながら二頭に挨拶する。
二頭はレオンに撫でられるのが嬉しいのか気持ちよさそうな顔をする。
二頭が満足すると玄関まで連れていき柵に手綱を括りここまで待つよう言ってから家に戻る。
「サルビアさん。終わったよ。次は何をすればいい?」
「もうないよ。レオンはこれを持ってくれ」
まとめた荷物を持つよう頼む。
「わかった」
こっちの準備は終わった。
後は、ヴァイオレットの料理が終わるのを待つだけ。
「ヴァイオレットさん。何か手伝うことはある?」
「そうね、なら料理をテーブルまで運んでくれる?」
「わかった」
皿の上に盛り付けられている出来立ての料理をテーブルの上にどんどん置いていく。
ヴァイオレットは昼食用のご飯をバスケットに入れていく。
サルビアが飲み水を汲んで戻ってくると、揃って食材に感謝して朝食を取る。
「レオン。今日はいつもより遠いところに行くから疲れたら迷惑をかけるとか思わずすぐに言うのだぞ」
よく二人で馬に乗って散歩をしたりするが、ひまわり畑までの道のりは散歩する距離の三倍。
慣れたといってもこれほど長い距離を走るのは初めてなので心配してしまう。
「はい。わかりました。でも、きっと大丈夫です。何故かそんな気がするんです」
根拠のないことを自信満々に言う。
「そうか。なら、いい。だが、そうなったときは必ず言うのだぞ」
もう一度念を押してから「では、行こうか」
バスケットを持ったヴァイオレットを前に座らせ、馬を走らせる。
その後ろについていくレオン。
ーーすごいな。
ヴァイオレットを乗せたままいつもよりスピードがあるのに余裕で山道を走るサルビアをかっこいいな、と後ろから尊敬の眼差しでみつめる。
サルビアの後ろ姿がレオンにはこの世の誰よりも格好よく頼もしく見えた。
将来自分も誰かにこんな風に思ってもらえるような立派な男になりたい。
なってみせる。
そう自分自身に誓う。
「綺麗」
ひまわり畑を丘の上から眺めそう呟く。
太陽の光に照らされ、ひまわりが輝いているの光景が上から見るとまるで黄金の海みたいに幻想的な美しさを放っていた。
今漸く理解した。
ヴァイオレットが何故あんなにひまわり畑の話をしたのか。
何故自分にもみて欲しいと言ったのか。
この光景を見て漸くあの言葉の意味を理解できた。
あの日、二人に引き取られ初めてヴァイオレットと星空を眺めながら人生に絶望していた自分に励ますでもなく、ただ事実だけを言ったであろう、その言葉はあの頃のレオンには理解できないものだった。
ーーレオン。貴方もあの光景をみたらきっとこう思うわ。この世界は捨てたもんでもないって。あらゆる角度から世界をみた貴方にはこの世界はとても残酷に映っているかもしれない。でもね、それだけではないの。本当にこの世界も美しいのよ。いつか、きっとそらがわかる日がくるわ。
あなたにおすすめの小説
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
恋をあきらめた美人上司、年下部下に“推し”認定されて逃げ場がない~「主任が笑うと、世界が綺麗になるんです」…やめて、好きになっちゃうから!
中岡 始
BL
30歳、広告代理店の主任・安藤理玖。
仕事は真面目に、私生活は質素に。美人系と言われても、恋愛はもう卒業した。
──そう、あの過去の失恋以来、自分の心は二度と動かないと決めていた。
そんな理玖の前に現れたのは、地方支社から異動してきた新入部下、中村大樹(25)。
高身長、高スペック、爽やかイケメン……だけど妙に距離が近い。
「主任って、本当に綺麗ですね」
「僕だけが気づいてるって、ちょっと嬉しいんです」
冗談でしょ。部下だし、年下だし──
なのに、毎日まっすぐに“推し活”みたいな視線で見つめられて、
いつの間にか平穏だったはずの心がざわつきはじめる。
手が触れたとき、雨の日の相合い傘、
ふと見せる優しい笑顔──
「安藤主任が笑ってくれれば、それでいいんです」
「でも…もし、少しでも僕を見てくれるなら──もっと、近づきたい」
これは恋?それともただの憧れ?
諦めたはずの心が、また熱を持ちはじめる。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる(第12章終了しました)
ir(いる)
BL
※2025/11 プロローグを追加しました
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元軍人の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。