春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

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昔の記憶 3

「二人共、そろそろお昼にしましょう」

レオンとサルビアがブランコで遊んでいる間に鞄からタオルを取り出して地面にひき、バスケットから料理を取り出し並べた。

「「します!」」

ギュルル。

二人のお腹から大きな音が鳴る。

レオンはブランコから飛び降りてタオルの上に座る。

サルビアもブランコを止めてからタオルの上に座る。

「美味しそう」

レオンはキラキラと目を輝かせる。

「本当じゃ、とても美味しそうじゃ」

三人は手を拭いてから料理を口に運ぶ。

「「美味しい」」

ヴァイオレットの料理を口に含むと幸せそうな顔をして言う。

ヴァイオレットは自分の料理を美味しそうに食べる二人の姿を見て嬉しくなる。

頑張って良かったな、と。



「また、ここに来よう」

「はい!来たいです!」

食事を終え三人仲良くブランコに座ってひまわりを眺めていたら、サルビアが突然そう言うのでレオンはすぐそれに賛同する。

「そうね。また来ましょう」

地面に足をつけたままブランコを揺らしながら返事する。

空が青から赤に変わりはじめた頃にひまわり畑を出て家に帰る。



「あの、ヴァイオレットさん」

「どうしたの?」

「聞きたいことがあって、今大丈夫ですか?」

風呂から上がってずっと気になっていたことを寝る前に聞いておこうとする。

「ええ、大丈夫よ」

「あの、ひまわり畑っていつからあるんですか?」

レオンの質問にこれは話しが長くなると思い、座るよう促し二人分のレモネードを入れて机の上に置く。

レオンは「ありがとうございます」とお礼を言いレモネードを飲む。

風呂上りのレモネードは最高だな、と思いながら飲んでいく。

ヴァイオレットも一口飲んでからレオンの質問に答える。

「ひまわり畑は私が生まれる遥か前からあったみたいだから、いつからあったのかわからないわ。それがどうかしたの?」

ヴァイオレットもいつからあそこに咲いてあったのかは知らないが、噂話程度のことは知っている。

「あんなに大量のひまわりが咲いていたので誰かが植えたのか、元々咲いていたのか気になったんです」

レモネードをグイッと飲み干す。

急に自分が変な質問をしたのではないかと思い恥ずかしくなる。

「ああ、そういうことね。私もよく知らないけど、ひまわり畑の言い伝え?というか噂?みたいな話は知ってるわ。それでいいなら、教えられるけどそれでいい?」

レオンが頷くと長話になるからと空になったコップにレモネードを注ぐ。

「わかった。私も小さい頃に教えてもらった話だから、あまり自信はないけどね。たしか、二つの噂があるの。一つは……」



昔、この国がまだゼリョルデ国とアイトゥル国の二つだった頃。

この町がアイトゥル国だった頃にアヴール国という今はもう存在しない国の王女がこの町に訪れ一人の青年に恋をしてしまう。

王女は身分を隠し他の国がどんなか自分の目で見てみたいと国を飛び出してしまう。

例え、身分を隠したところで服や所作、滲み出る偉い人特有のオーラがあり一目で貴族ではないかと疑われた。

この町がに来る途中に山賊に襲われる。

山賊達は王女から金目の物を奪おうと襲ったのだ。

山賊は三十人以上いて護衛二人と侍女一人ではどう戦っても勝ち目はなかった。

護衛の一人が殺され、もう一人も重症、殺されると覚悟した時一人の青年が颯爽と現れ山賊達を全員倒した。

青年は重症の護衛を馬に乗せ、侍女と王女に馬に乗れるかと尋ね「はい」と聞き自分について来るよ指示する。

青年のお陰で護衛は助かり、二人も助かった。

殺された護衛は青年のおかげできちんと弔うことができた。

王女は青年に感謝した。

どんな願いも叶える、恩返しがしたい、と申し出たが青年は首を横に振り必要ないと言った。

ーー私は自分の仕事をしたまでです。気にしないでください。

王女は気がつけば青年に恋をしてしまった。

最初は、お礼と護衛の体調が回復するまで町にいるつもりだった。

いつしか、この町で青年を見かけるたび自分の鼓動が速くなり、隣にいたいと思うようになった。

だが、青年には恋人がいた。

それも将来を約束した。

恋人だけに向ける笑みや仕草に胸が締め付けられ、その全てを自分だけに見せて欲しいと願いはじめた。

自分ではない他の者を特別扱いされるのが嫌で王女はあらゆる権力使って青年を自分の夫にしようとした。

青年は何度も王女の求婚を断ったが、結局最後は結婚することになった。

恋人は青年に捨てられた。

二人が結婚したという噂が町中で囁かれた。

恋人は悲しみのあまりその出来事を忘れ、青年は遠いところにいってしまったと思うようになった。

木も草も花も生えていない、ただ土だけがある場所でずっと太陽を見つめ青年の帰りを待ち続けた。

何日も、何ヶ月も、何年も。

ただ、自分のもとに青年が帰ってくると信じて。

その姿があまりに痛々しく可哀想に思った一人の少年が彼女が寂しくないようにと毎日周りに一本のひまわりを植えていった。

彼女は死ぬまでこの場を離れなかったので、少年も毎日ひまわりを植えた。

ひまわり畑ができたのは恋人に捨てられた可哀想な女に同情した少年が寂しくないよう植えたためできた。


「……って言われているわね。これが一つ目の噂ね。もう一つは、たしか……」

こめかみを押さえどんな噂だったか思い出そうとする。
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