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ワーム 3
「あの、騎士の方はどこにいますか?」
山から降りたアレンは急いでワームのことを騎士に知らせなければと思い、町の人に騎士の人がいるところを尋ねる。
「騎士?それならこの通りを突き当たりまで真っ直ぐ行って左に曲がったら第五騎士団の建物があるわ。そこにいけば会えるわよ」
優しい老婆が行き方を教えてくれる。
「ありがとうございます」
アレンはお礼を言うと全速力で第五騎士団の建物に向かう。
建物の前に着く頃には息切れが激しく倒れそうになった。
早く伝えなければと焦るが息切れのせいで上手く声が出せない。
地面に座り込み息を整えてして三十分くらい経過して漸く落ち着き騎士に話しかけた。
「あの、すみません」
アレンは一番偉い人そうな騎士に声をかけた。
「ん?何だ?お前が俺に話しかけたのか?」
騎士はアレンを見るなり冷たい声と口調で吐き捨てるように言う。
「はい、そうです。魔物を見たのでご報告に参りました。どうか倒してください」
「魔物だと!?どこでみた!」
アレンが魔物を見たと知ると目の色を変えて詰め寄る。
第五騎士団の騎士達は上に上がるための実績が欲しく戦いに飢えていた。
「あの山の向こうの山にいました」
アレンは自分がいた山を指さす。
「そうか。坊主よく教えてくれた。その魔物がどんな姿をしていたか覚えているか?」
「はい。体は蛇のようで頭はドラゴンみたいでした。あれはワームです」
アレンがそういうと周りにいた騎士達も二人の会話に参加し始める。
「おい、坊主。それは本当だろうな?嘘だったら殺されるぞ」
一人の騎士が話を聞いていた騎士の肩に手をまわし話しかける。
「嘘じゃありません。俺は本当に見ました」
アレンは疑われムッとした表情になるも望遠鏡を見せこれでちゃんと見たと主張する。
「そうか。それはいいことを聞いた。坊主、そのワームはどれくらいの大きさだったかわかるか」
「多分十五メートルくらいだったと思います」
アレンがそう言うと騎士達は心の中でガッツポーズをした。
十五メートルのワームなら等級は悪に近い凶だといえる。
こんな簡単な魔物退治で実績がつめるなんて自分達は何て運がいいのだろうかと喜びを隠せないでいた。
「坊主、ありがとう。坊主の情報のお陰で魔物を退治するのが楽になった。後は我々に任せて君は帰るんだ。いいな」
これ以上ここにアレンがいたら他の騎士にもワームのことを言うかもしれないと思い帰るよう促した。
他の騎士達もお礼を言いながら心の中では早く帰れと思っていた。
「はい。後はよろしくお願いします」
アレンは自分はきちんと役目を果たせたと、これで騎士の夢に一歩近づけたと喜ぶ。
アレンがその場から離れると騎士達はワームを討伐する準備をし次の日の朝出発した。
ただ、アレンは報告しに行った日が最終日だったのでその日の内に町に帰る為、馬車に乗って帰ったのでいつ出発したかはわからなかった。
だが、騎士達の様子を見て討伐には向かっただろうと思っていたので心配はしてなかった。
「……俺がワームを見たのはこういう経緯からだ。……なぁ、ワームはちゃんと倒されたんだよな」
アレンはワームを倒したという情報が未だにこの町にも入ってこないので本当にあの騎士達は討伐しに行ったのか不安になった。
「わからない。基本他の管轄の魔物の討伐は俺達の耳には入ってこないからな」
アスターは嘘をついて安心させることもできたが、そんなことはしたくなかったので正直に言った。
「じゃあ、もしかしたら……まだ倒せてない可能性もあるってことか」
「ああ。だが十五メートルくらいのワームなら問題はないと思うぞ。まあ、念の為確認しておこう」
「本当か!?」
「ああ。倒されたかどうか気になっていたんだろう?」
「ありがとう、おじさん」
アレンは心の底からアスター達に感謝する。
「(……おじさん。また言ったなこのガキ)」
おじさんという言葉にアスターは頬が引きつりそうなのを何とか耐え苦笑いする。
「気にするな。それが仕事だからな。夜遅くに済まなかったな。ありがとう。もう寝るんだぞ」
「明日見送りに行くよ。レオン団長にもちゃんと俺の勇姿を忘れずに伝えてくれよ」
最後まで釘を刺してくるアレンにアスター達は笑いそうになるのを必死に耐える。
まあ、でも全員アレンの気持ちはわからなくもなかった。
アスター達もレオンのことが大好きだから。
「ああ、約束は守るよ」
そう言うとアスター達は宿に戻り明日の準備を素早く済ませ就寝についた。
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