春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

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報告


「そうか。団長は今町にいるのか。悪いが俺は団長のところに行くから暫くこいつらの面倒を見てやってくれ」

「わかりました」

休むべきだと言いたかったがアスターはレオンに何か報告しないといけないことがあるのだろうと思い何も言えなかった。

アスターが部屋から出て行くとカーターは寝ている団員達の手当てをする。

傷を見ただけで大変なことがこれから起きるのだと簡単に予想できた。



アスターは町につくなり町の人達に話しかけレオンがどこにいるか尋ねる。

レオンが町の中を歩けば視線はほぼ全てレオンに集まる。

闇雲に探すよりレオンがどこにいるか尋ねた方が確実に見つかる。

団の建物から出て十分もしない内にレオンを見つけた。

レオンは町の人達と子供達の遊び場を作りたいが何かこうして欲しいという意見はないかと意見を求めていた。

町の人達は次から次へとレオンの元へいき自分の意見を述べていく。

嫌な顔などせず全員の声に耳を傾ける姿に「ああ、本当にこの人が自分達の団長でよかった」と思う。

早くワームのことを報告しないといけないが、もう少しだけこの光景を目に焼き付けていたくて眺めていた。

そろそろ他の場所に移動しようとしているレオンにこれ以上先延ばしするのは駄目だと判断し後ろから声をかける。

「団長、面白いことを思い付きましたね」

周りの目が自分を不審者を見るような目つきだと気づいていたが気にせず話しかける。

「アスター!帰ってきたのか!いつ帰ってきたんだ」

「ああ、ついさっき帰ってきた」

フードを外し顔を晒す。

フードの下がアスターだとわかると周りの人達は安心し仕事に戻る。

「そうか。無事で何よりだ」

半年近く経っても帰ってこないアスター達をずっと心配していた。

「ああ、問題ない。どこも怪我していないからな。今団長達がしようとしていることの話を詳しく聞きたいところだが、それより今すぐ報告しないといけないことがある」

アスターの表情からただ事ではないと判断し「わかった。話は俺の部屋でいいか」と聞きアスターが「ああ、その方が助かる」と言う。

レオンがリヒトとアジュガも今いるが二人も呼ぶかと念の為確認すると「二人にもいてもらった方がいい、どうせ直ぐにわかることだから」と意味深な事を言うので余計に胸騒ぎがしてならない。

レオン達は急いで集合場所に戻り二人を連れて団長室にむかう。



「……それで今にいたるって訳だ」

アスターは話し終えると肩の荷が降りて少し楽になる。

レオンならワームを倒せるという信頼からここまで頑張れた。

「……アスター。よく帰ってきてくれた。それとすまない。俺がいたらないばかりでこんな目に合わせてしまった」

レオンはアスターに頭を下げる。

もし、これがユエルだったら他の貴族の団長達だったらこんな事にならなかった筈だ。

レミリアがアスター達を殺せば全て解決できると思ったのはレオンが平民の団長で何の後ろ盾もないから何をしても大丈夫だと、揉み消せると思ったからだろう、とレオンにはわかっていた。

自分が平民の団長のせいでこうなったのだと、アスター達がこんな目にあったのは自分のせいだと自身を責める。

「団長!頭を上げてくれ!団長は何も悪くない!俺が対処を間違えただけだ」

もっと上手くやれたはずなのに、レミリア達の態度に腹を立て怒り任せに出ていたったことを後悔する。

「そうだよ!団長のせいじゃないよ!どう考えても悪いのは第五騎士団の奴らのせいだよ!」

アジュガはアスターの言葉に同意する。

「そうだ。これは団長のせいじゃない。だから、謝ったりするな」

レオンが何でもかんでも自分のせいだと一人で抱え込むのがリヒトには許せない。

もう少し自分達にも頼って欲しかった。

「……ああ、その通りだな」

レオンはそう返事するもやはり自分のせいだと思ってしまう。

自分に圧倒的な力があればこんなことにはならなかった。

アスター達が危険な目に遭うこともなかったはずだ。

自分が弱いせいで団員達に辛いことをさせてしまったことを悔やむ。

「それで団長どうするつもりだ?俺達は王命でワーム退治にはいけないぞ」

リヒトの言葉にアスターは何の話だと問いかける。

「王命?俺達がいない間何があったんだ?」

「それが、実は……」

アジュガが王命のことをアスターに伝える。

第九騎士団の管轄のカメリアの森の魔物を退治するように命じられたことを。

「カメリアの森って、何故第九騎士団の管轄を俺達が代わりにやるんですか?等級が絶ならまだしも凶なら問題ないのでは?」

「それが、ある女が第九騎士団の団員達に『レオン・ハーデンベルギアを連れてこい。さもなくば、この国にも四百年前に訪れたあの呪いかけてやる』と。それでも討伐しにいく事になったんだ」

リヒトがアスターの疑問に答える。

「その女は魔物なのか?」

「それがよくわからないんだ。第九騎士団の団員達は恐怖のあまりわからなかったらしい」

レオンが首を横に振る。

手掛かりは人間の女の姿をした何かが森にいるという事だけ。

「なら、もし女が魔物だったら等級はわからないってことですか」

アスターの質問に全員顔が強張る。

「ああ、そうだ」

リヒトが答える。

「……本当に相変わらずクソヤロー共だな。これがこの国の王族と貴族のすることか」

大した情報を汚さず面倒な事は押し付ける。

レオンの力を利用しているくせにその実績も実力を認めようとはしない。

いいように使うだけ使って何の見返りもよこさない。

レオンがいなければ魔物によって殺されていた貴族も大勢いるというのに、未だに下に見ているその腐った心に嫌気がさす。

行かなくてもいい、行くべきではない、そう言いたかったが王命である以上従わないといけない。

それにどれだけ自分達がそう言ったとしてもレオンは一人でもカメリアの森に行くだろう。

言ったところで無駄になるだけ。

一緒にいってささっと退治して実力を見せつけて黙らす方がいいと思うが、それでも王族や貴族は半殺しにしたいという気持ちもある。

「団長、それでワームのことはどうするつもりですか」

アジュガが脱線した話を元に戻す。

「取り敢えず、全団長に報告する。今は一刻を争う緊急事態だから通信石を使おう。二人共準備をしてくれ」

通信石なら一瞬で報告できる。

勿論相手側が応じればの話だが。

「わかった」

「わかりました」

リヒトとアジュガが急いで通信石を使えるよう準備をする。

「アスター。悪いがもう少しだけ頑張ってくれ」

団長達に報告するには実際に見たアスターがいなければ。

本当は今すぐ休ませたかったがもう少しだけ頑張ってもらわなければならない。
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