春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

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報告 2


「団長、準備できたぞ」

リヒトが通信石の準備が終わり、いつでも起動できると知らせにくる。

「ああ、ありがとう。今行く」

リヒトに呼ばれレオンとアスターは通信石がある部屋に向かう。

団長達全員に一斉に通信するのでそれ相応の大きさが使われるので部屋で大切に保管されていたものを使う。

この報告はある意味第五騎士団に喧嘩を売る行為になる。

それでも誰かが知らせないとこのままでは町の人達が危険な目に遭う。

下手したら国全体が危険な目に遭うかもしれない。

レオンは覚悟を決め通信石がはめ込まれた機械を起動させる。

全団に繋がるまでは少し時間がかかる。

繋がるまで三十秒程かかったが一秒が物凄く長く感じ息が詰まるかと思った。

通信に出てくれたのは第四、六、七、九、十三、そして五騎士団だけだった。

残りはきっと気づいていたが敢えて無視しているのだとわかっていたので、出ないなら出ないで仕方ないと諦め無視をする。

第十三騎士団だけは団長のジャンが出ている。

第七騎士団はユエルが今いないということはアスターからの話で知っていたのででないとわかっていたが、代わりに出たのが副団長のリーアで驚いた。

残りは多分団員達だ。

出てもらえるとは思っていなかったので団員が出てくれただけでもありがたかった。

「レオン団長、全団に通信をしているみたいですが一体何があったのですか?何団かは出ていませんが、出る気配がないので教えてください」

最初口を開いたのはリーアだった。

レオンの顔がずっと強張っているのに気づいていて何か最悪なことが起きているような胸騒ぎがして尋ねた。

「わかりました。時間がないので結論から言います。私の部下が先程第五騎士団管轄の森でワームを見たと報告がありました」

四と六と九の団員はたかがワームくらいで通信してくるなよという顔をするが、ジャンとリーアは東南に現れた全長百五十七メートルのワームのことを思い出す。

まさか、それほどのワームが現れたのかと二人は冷や汗が流れた。

「部下は遠目から見たので断言はできませんが百メートル近くあったと言っています」

「ひゃ、百メートル」

第六騎士団の団員が素っ頓狂な声を出す。

「それは確かなのか」

リーアはレオンの後ろにいるアスターがワームを見た者だと気づきそう問いかける。

「はい。この目で見ました。間違いありません」

きっぱりと断言する。

「なぁ、さっきら黙っているが本来ならこれは第五騎士団のお前達が報告しないといけないことなんじゃないのか」

ジャンが何も言わないレミリアにドスの効いた声で話しかける。

レミリアはジャンの言葉を無視し「貴様のようなクズが高貴な存在の俺に話しかけるな」と心の中で悪態をつく。

「黙っていられるのは困ります。何も話す気がないのなら貴方達の団長に話を聞く必要がありますので呼んできてください」

リーアはレミリアの態度に苛立ちさっきよりも強めの口調で命令する。

「待ってください!それは困ります」

団長に話を聞くと言われ慌ててやめてくれと言う。

団長にこの件を知られたらクビどころでは済まない。

「何が困るのですか?」

レミリアの態度から第五騎士団の団長はワームの存在を知らないのだとわかる。

部下であるレミリアが団長に報告せずにいるのは普通だったらあり得ない。

それをしているとなるとよっぽど何かやましいことをしてしまったのか、それとも自分達の管轄すら守れないのかと馬鹿にされるのが嫌で隠していたのかもどちらかだ。

思いつく理由がどれも幼稚なもので自分達の団ではあり得ないとリーアは思うも、こいつらならあり得そうだと思ってしまう。

「それは……」

「もういいです。そこの者達早く呼んできてください」

リーアはレミリアの傍で待機している者達に声をかける。

団員達は顔を見合わせどうするか迷っていると一人の者が「団長は今ここにはいません。貴族達との会議で出かけています」と言う。

まさかの最悪のタイミングで貴族会議が開かれていることにレオン達は頭を抱える。

団長である以上、自分の管轄で暮らしている貴族達に現在の状況を報告する義務があるのは全員知っているので仕事で出掛けている者を責めることはできない。

「そうですか。わかりました。では、戻り次第直ぐに連絡するよう伝えてください。レオン団長。今回の件の報告ありがとうございます。後は我々で何とかしますのでお任せください」

ユエルからレオンが王命を下さられたと知っているので今回の討伐に参加できないのはわかっている。

もしできるのなら、団長全員に報告などせず自分で解決しようとしたはずだと、

「ありがとうございます。では、後はよろしくお願いします」

レオンはリーアに頭を下げ後はアスターに任せる。

詳細なことはレオンではなく実際に見たアスターが報告すべきなので頑張れよ、という意味を込めて肩をポンポンと叩く。

後はリーアに任せていたら全て上手くいくだろうと思いレオンは部屋から出る。

レオンが部屋から出て行くとほぼジャンとリーアとアスターの三人での会話になった。

レミリアはこれからの自分の未来を想像して魂が抜けたように立ち尽くし、残りの三団は自分達の手には負えないと急いで団長に知らせにいった。
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