春夏秋冬〜神に愛された男〜

アリス

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第五騎士団団長

「なめやがって!」

机を思いっきり叩く。

この怒りがレミリア達部下へのものか、それとも第十一騎士団達によるものかライア本人ですらわからない。

ライアは昨日貴族達と会っていた為、来てすぐレミリアのしたことをを知らされた。

自分の管轄区域でワームが存在していることを把握できていなかったことが、全団長に知れ渡り王宮にも知られていると思うと恥ずかしさと怒りで体が震える。

部下にすら信用されていない、そう思われたことが許せない。

ワームの件をを知っていた部下達全員を殴り殺したくなるくらい殺意が芽生える。

だが、一番許せないのは平民騎士から報告されたこと。

今回の件を報告したアスターは町の子から話しを聞いたと言っていたと報告された。

部下だけでなく管轄区域の民にまで信用されていない状況が更にプライドを傷つけた。

「今すぐ、レミリアとワームの存在を知っていた者全員を連れてこい!」

殴り殺してやる!そう思い指示をしたが、勢いよく扉が開き「団長、大変です」と叫びながら部下が入ってくる。

「ノックもせずに入ってくるな!」

部下が口を開く前に怒鳴る。

「申し訳ありません。ですが、急いで報告しないといけないと思いまして」

「だから、俺への礼はかいてもいいと?」

「申し訳ありません。どうか、お許しください」

部下はライアの殺気が恐ろしくガタガタと体を震わす。

「次はない。それで、何のようだ」

「ユエル団長がお見えです」

「は?どうして、ユエル団長が?」

言ってすぐに気づいた。

ワームの事を聞きにきたのだと。

報告によればワームの等級は絶。

絶を倒せるのはこの国で二人だけ。

その内一人は王命で参加できない。

必然的にユエルがワームを倒すことが決定した。

だから、ここまで来たのだ。

さっき知ったばかりなのに……。

このことをどうユエルに話せばいいかわからない。

憧れのユエルに失望されかもしれないと思うと、黙っていたレミリア達とこのことを話した第十一騎士団達が許せない。

でも一番は、何も知らなかった自分自身が許せない。

「はい。先ほど部下から報告がありまして、魔導石を使ってこちらに来られたそうです。今は団長が用意ができるのを客室で待っています」  

「……わかった。下がっていい。今から行く」

部下が「はい」と返事しようとするが、ユエルによって遮られる。

「その必要はない。私はここにいる。すまんな、早く話しを聞きたくて来てしまった」

ライアの許可も得ず部屋の中へと入る。

その行動に部下はユエルに向かって注意する。

「いくら、ユエル団長でも勝手な行動は困ります。ライア団長の許可を得てから入ってください。ここは……」

「やめろ!もういいから下がれ」

部下が自分のために言ってくれているのはわかっていたが、それがかえってライアのプライドを傷つけてしまう。

部下が出ていくとライアはユエルに謝罪をする。

「部下が失礼をしてしまい申し訳ありません。代わりに謝罪します」

一応、ユエルとは位は一緒だがこれまでの功績から騎士達の中では暗黙の了解で国王と同等の対応をとっている者が多い。

そのため、部下が自分のためにしたことでも許せない。

「いや、彼は正しい。私の方こそ勝手をしてすまない」

「いえ、ユエル団長が謝ることなど……」

ユエルに謝罪させてしまい、さらに申し訳なくなる。

「それにしても、いい部下だな。大事にしろよ」

「……はい」

ライアの返事を最後に沈黙が続く。

次に何が言われるかわかる。

早く言ってほしいと願う。

静寂が耐えられず逃げ出したくなる。

「ライア」

「……はい」

「私がここに来た理由はわかっているな?」

「……はい、わかっております」

「どこまで把握していた」

「……申し訳ありません」

その謝罪でユエルは全てを察する。

元々、昨日リーアから第五騎士団員達の様子から「もしかしたら、ライア団長の耳には入っていないかもしれない」と聞いていた。

だが、そんなこと本当にあるのかと疑っていたがライアの顔を見れば本当か嘘かすぐにわかった。

同じ団長だからライアがわざと隠しているとは信じたくなかったから安心した。

「ライア、わかっていると思うが知らなかったでは済まされない事態だ。責任を取る覚悟はできているな」

「はい、できております」

「そうか、ならいい。だが、まずは討伐が先だ。自分のやるべきことはわかっているな」

「はい」

この討伐が無事に終われば団長は解任される。

団長として最後の討伐になる。

自分の管轄区域で起きたから本当は自分の手で後始末をつけたいが、等級が絶ならそれも叶わない。

せめて、自分にできることを精一杯やろうと誓う。

「それと、謝罪なら私にではなく他にしなさい。それとお礼もな」

そう言うとユエルは部屋から出ていく。

「……はい、わかっています」

その声はとても小さくユエルの耳には届かなかったが、ライア自身もそうしないといけないことはわかっている。

他の人が聞いていたら、国王と町の人達のことを言っていると思うだろうが、ユエルは第十一騎士団のことを言っていた。

ライアもそう捉えた。

「無事に終わったら謝罪と…………お礼をしよう」
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