私達、婚約破棄しましょう

アリス

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秘密の花園 2

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「だからタイトルが'愛の悲しみ'なんですね」

シオンは話を聞いて、タイトルの謎が解けた。

だが、話を聞いて一つ気になることがあった。

「その後、女の人はどうなったんですか?」

話は男が亡くなったところで終わった。

女のその後も知りたかった。

「わからないわ。その後は書かれてないの。一生独りだったのか。それとも他の男性と結婚したのか。どうなったかはわからないの。多分、読者にその後の物語を考えて欲しかったんじゃないかな。人によって答えは変わるから」

私は一生彼だけを想っていて欲しいと思いつつ、幸せになって欲しいとも思っていた。

矛盾していたけど、それが私の本心だった。

「そうですね。人によってその後の彼女の想像は異なると思います。そう思うと、いい終わり方だと思います。でも、どうなったのかは知りたい気持ちもあります」

シオンは複雑な気持ちだ、といった表情をした。

「私もよ。いくら自分で好きな最後を思い浮かべても納得できなくて、答えが知りたいなって思うの」

それさえわかれば、私の最後も簡単に選べることができたかもしれない。

「お嬢様。教えてくださりありがとうございました。私は読んでないけどこの本がとても好きになりました。秘密の花園に絶対行きたくなりました」

シオンの目はキラキラというより、ギラギラと輝いていた。

「今日はもう暗いから、帰って休みましょう。明日、また探しに来ようか」

空はまた明るいが、山を降りていったら暗くなる。

知らない山の中で迷子になるわけにはいかない。

「はい。そうしましょう」

今日の夕食はどこで食べるか話しながら降りていると、来たときには見なかった山小屋を発見した。

「お嬢様。あれ」

シオンが山小屋を指差す。

「うん。行ってみよう」

人がいるかわからないが、いたら秘密の花園を知っているかもしれない。

そんな期待を胸に山小屋へと向かうが、残念ながら人はいなかった。

鍵はかかっておらず扉は開いていた。

外観だけで、何年も放置されていたのがわかるほど荒れていた。

失礼します、と言って私たちは中へと入った。

ゴホッ、ゴホッ。

入った瞬間、咳が出る。

埃がかなり溜まっている。

頭や目が痒くなる。

我慢しながら中に入っていくと、綺麗な花と小さな池の絵が描かれているのが壁に飾ってあった。

それを見てすぐにこの絵が'秘密の花園'を描いたものだとわかった。

「綺麗ですね」

シオンの目は絵に釘付けのまま、そう呟いた。

「ええ。本当にね」

他にも手がかりがないか探すが見つからない。

これ以上ここにいると降りれなくなると思い山小屋から出た。

それから少しして空の色が変わっていき、降りたときには空は暗くなっていた。

星がたくさん出ていた。

この街の星はとても美しい。

小説が有名で舞台になっている場所が観光名所になっているが、星が美しいと有名になってもいい場所だと思った。



「あ、あれが昨日の山小屋じゃないですか?」

私たちは昨日見つけた山小屋を目指して今日は山に入った。

昨日は登ったときは見つけられなかったのに、今日はすぐに見つけられた。

不思議に思いながらも、山小屋に入る。

「昨日と特に変わりありませんね。気になるのは何かありますか」

シオンの問いかけに私は首を横に振る。

昨日まで普通に話せていたのに、今日は上手く話せない。

目も掠れて、視界がぼやける。

朝起きたときからなんとなくわかっていた。

私は今日までだと。

シオンもそれがわかっているのだろう。

私以上に必死になって秘密の花園を見つけ出そうとしている。

見落としがないか隅々まで手がかりがないか探している。

壁に隠し扉がないか叩いている。

流石にそれはないだろ、と思っていると壁を叩いている音が突然変わった。

シオンは音が変わった場所の壁を調べはじめた。

少しして扉が開き、隠し部屋を見つけた。

私たちは顔を見合わせた後、ゆっくりとその部屋に入った。

そこには大量の絵があった。

一番前にある絵を見ると女性の絵だった。

他の絵を見ても、ほとんどが同じ女性を描いた絵だった。

絵に詳しくなくてもわかる。

この絵を描いた人はこの女性のことが好きなのだと。

女性はどの絵も幸せそうに笑っていた。

女性のことが好きでなかったら、こんな素敵な絵を描くことはできない。

全部の絵を見たが、秘密の花園の手がかりになるようなものは何一つなかった。

わかったのは、この山小屋の持ち主はこの女性のことがとても好きだったということだけだ。

私たちは山小屋を出て、また秘密の花園を探しに歩いた。

景色はずっと同じなのに、どうしてか初めて通る道だと感じた。

昨日とは違う道を歩いている。

そう思えた。

シオンも同じように思っているのか、不思議そうに首を傾げ周囲を見渡していた。
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