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一時間目
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さっきまで高かった彼女のトーンは回想用にかなり落ちた。
「小学校二年生になる頃に、今の家に引っ越してきたじゃない?
その転校する前の学校に初恋の人がいたの・・・」
驚いた。彼女は転校する前の学校のことを話そうとはしなかった。
話出したら、止まらない彼女も今回の話題には躓きがあるらしい。でも口が動かない間は足が動いていた。話をきくために私も彼女の後についていく。誰もいない、日も当たらない所に着いた時ようやく彼女は話を続け出した。
「転校する前、というか、転校する原因は私がいじめられていたの。そのいじめの原因になったのが県内で少し有名になったあの事件なのね・・・。あの事件以来、私の家族の仲が滅茶苦茶になったの。家の中も、私たちの心も・・・」
「いや、待ってよ。そういう時って普通、ちょっと遠目に引っ越さない?今の家って、前の家からそんなに遠くないって言ってたじゃない?」
「うん。犯人は見つかってたから事態は終わってたんだけど、気分悪いじゃない?誰がも知らない人に裸足で荒らされた家に住み続けるのは。だからそんなに遠くに行かなくてもよかったのね。お姉ちゃんも今の家の方が高校も近かったし、私は少し時間かけたら前から仲のいい友だちとも会えるしね」
「確かに・・・だから、今の家なんだね」
彼女の言葉に私は、多くの言葉を連想できなかった。
「徐々に私は明るく振る舞うことが出来なくなっていったの。ずっと恐怖って感じの空気の中にいたんだ。そんな状態で毎日過ごしたら、流石に一日や二日じゃ治らないよね。なのに元に戻そうと無理したら、周りにもその影響が出ちゃうよね。その影響が私に対する他の人の対応を変えたの。私の気を使って優しくなっていったの。それで、小学生なんてさ、表も裏もないようなもんじゃん?すぐにどっちも口にしてしまうものじゃん?」
「・・・」
私は言葉なんて出ない。彼女の言葉をそのまま自分の中に入れ込む以外のことができない。
「私の前で表の顔を使う周りの裏を見ていて、学校に行きたくなくなっていったの。それで家族で話して近くでもいいから引っ越して、転校することになったの。でも引っ越す直前でそんな学校生活に終わりがついたの。ある男子のおかげでね」
「それが、あの明日薫くんだったってこと?」
「そうだよ!カッコよかったんだよ!裏口たたいてた女子にズバッと言ってくれたんだよ!」
彼女は回想話の時とは全く違うトーンで口が動く。
「つまり、幸はそんな彼の行動に惚れたの?」
彼女の長い話に私は反応を困って特に変化のないことしか言えなかった。幸の上下したテンションに私はついてはいけない。
「うん。元々女子からもすごく人気のある人だったのね。でも私自身、彼のことよく知らなかったから興味も何もなかったけでね」
「へぇ、そんな人だけど、助けてもらった時に完全に惚れたんだ」
私はこんな機会はもうないんじゃないかと思い、過去最高のいじりをしていく。そのつもりなのに・・・。
「いいからっ!」
「え・・・」
「なんとなく顔も思い出して、多分合ってると思うけどね。でも名前も聞いたし、今日一緒に遊ぶ約束もし、ワボも交換したし・・・」
やる気で満ちていた彼女の声は、突然自信のない声に変わる。本当に難しい子だ。
「彼女・・・やっぱりいるのかな・・・」
私は多少呆れた。少しの笑みが湧き上がった。
「ちょっと!笑わないでよ!」
軽く叩く彼女の手は、素直な気持ちの現れと思った。嬉しいのか喜ばしいのか、そう思うとどうしてだか笑みが絶えず湧き上がった。
「小学校二年生になる頃に、今の家に引っ越してきたじゃない?
その転校する前の学校に初恋の人がいたの・・・」
驚いた。彼女は転校する前の学校のことを話そうとはしなかった。
話出したら、止まらない彼女も今回の話題には躓きがあるらしい。でも口が動かない間は足が動いていた。話をきくために私も彼女の後についていく。誰もいない、日も当たらない所に着いた時ようやく彼女は話を続け出した。
「転校する前、というか、転校する原因は私がいじめられていたの。そのいじめの原因になったのが県内で少し有名になったあの事件なのね・・・。あの事件以来、私の家族の仲が滅茶苦茶になったの。家の中も、私たちの心も・・・」
「いや、待ってよ。そういう時って普通、ちょっと遠目に引っ越さない?今の家って、前の家からそんなに遠くないって言ってたじゃない?」
「うん。犯人は見つかってたから事態は終わってたんだけど、気分悪いじゃない?誰がも知らない人に裸足で荒らされた家に住み続けるのは。だからそんなに遠くに行かなくてもよかったのね。お姉ちゃんも今の家の方が高校も近かったし、私は少し時間かけたら前から仲のいい友だちとも会えるしね」
「確かに・・・だから、今の家なんだね」
彼女の言葉に私は、多くの言葉を連想できなかった。
「徐々に私は明るく振る舞うことが出来なくなっていったの。ずっと恐怖って感じの空気の中にいたんだ。そんな状態で毎日過ごしたら、流石に一日や二日じゃ治らないよね。なのに元に戻そうと無理したら、周りにもその影響が出ちゃうよね。その影響が私に対する他の人の対応を変えたの。私の気を使って優しくなっていったの。それで、小学生なんてさ、表も裏もないようなもんじゃん?すぐにどっちも口にしてしまうものじゃん?」
「・・・」
私は言葉なんて出ない。彼女の言葉をそのまま自分の中に入れ込む以外のことができない。
「私の前で表の顔を使う周りの裏を見ていて、学校に行きたくなくなっていったの。それで家族で話して近くでもいいから引っ越して、転校することになったの。でも引っ越す直前でそんな学校生活に終わりがついたの。ある男子のおかげでね」
「それが、あの明日薫くんだったってこと?」
「そうだよ!カッコよかったんだよ!裏口たたいてた女子にズバッと言ってくれたんだよ!」
彼女は回想話の時とは全く違うトーンで口が動く。
「つまり、幸はそんな彼の行動に惚れたの?」
彼女の長い話に私は反応を困って特に変化のないことしか言えなかった。幸の上下したテンションに私はついてはいけない。
「うん。元々女子からもすごく人気のある人だったのね。でも私自身、彼のことよく知らなかったから興味も何もなかったけでね」
「へぇ、そんな人だけど、助けてもらった時に完全に惚れたんだ」
私はこんな機会はもうないんじゃないかと思い、過去最高のいじりをしていく。そのつもりなのに・・・。
「いいからっ!」
「え・・・」
「なんとなく顔も思い出して、多分合ってると思うけどね。でも名前も聞いたし、今日一緒に遊ぶ約束もし、ワボも交換したし・・・」
やる気で満ちていた彼女の声は、突然自信のない声に変わる。本当に難しい子だ。
「彼女・・・やっぱりいるのかな・・・」
私は多少呆れた。少しの笑みが湧き上がった。
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