君が見せた私の夢

浅村 英字

文字の大きさ
12 / 23
第二話 衝撃は予想以上に

想定外

しおりを挟む
 三人とも別の飲み物を頼んでテーブル席に座る。
 少し緊張感をまとった今の空気から別のものに変えるために俺から話を切り出す。

「どこから話したらいいのかな」

「俺と会った時と同じ感じが一番分かりやすよ」

 そっかと思って智と会った時のことを思い出す。

「さっき言った通り東京に行ってしばらくしたら交通事故にあってそれ以前の記憶が俺にはないんだ」

 俺の話に唯斗は何も言わずに沈黙のまま言葉を飲み込む。

「それで、何か昔のことで引っかかっているところがあったから、なんとか思い出そうとしてるんだよね」

 俺的にはこんな簡略化し過ぎた説明でいいのかと、思ってしまう。

「・・・そっか・・・」

 あ、いいのか。

「こいつはたまにこっちに来てるんだよね」

「そうなんだ。・・・智は何で俺に教えてくれんかったと?」

 親友を取られたから拗ねているように彼は智に話す。

「別に言わなかったわけじゃないよ。ってか、インスタとかでもあげたし」

 多くのフォロワーをもつ智のインスタは発言してないことを発信する。

「そう、そっか・・・」

「とにかく、唯斗には悪いし変な言い方するけど、俺のこと、教えてくれない?」

「俺のことって、言われてもな・・・」

 言葉に詰まる唯斗の姿は智と同じ反応でなんとなく懐かしく思ってしまった。
 そこからは、一時間近く俺のことを教えてくれた。

「なあ、それにしても本当に何も覚えてないと?」

 唯斗の言葉に俺は頷いた。

「別に全部って訳じゃないよ。だから俺はこの辺りの存在を知ってはいたから」

 存在だけは知っている。

「でも、誰と関わって、どこに住んでいたとかはあんまり覚えてないんだよね」

 俺の話に唯斗は顔をうつむせて、衝撃を受けてこぼれた声を出す。

「なんか変な感じの雰囲気にしてごめんね」

 俺はこういった空気感がとても苦手で、俺自身のことを話すのが嫌になることがある。

「ううん、大丈夫。俺が話せるのは、小学校二年生からだよ。それ以前は俺も分からないから」

 俺は彼の言葉に違和感を持った。小学二年生からなんてキリが悪すぎる。至る所で聞いてきたが小学校のクラス替えは二年に一度、三年生に上がるときと五年生に上がる時と聞いている。福岡の小学校も智から聞いていて同じことを知っている。福岡の中でも俺たちがいたところは特殊なのかな・・・?
 とにかく、小学二年生以降の話を聞いてみる。その中にも俺の気になっている不思議に思って探しているものはなかった。ないというよりも、思い当たらなかったという方が正しいのかもしれない。

「なんで、一年生よりも前の話を知らんと?」

 智の言葉に俺の考えは案外間違いではないことが分かった。

「一年生の頃は、福岡にいなかったから」

 俺はそこでさらなる新事実を聞かされた。福岡にいないことがあったってことは、まだ探すことができる場所があるということが、どこからか喜びを得た。

「つまり、転校生の真鳳は、転入生ってこと?」

 智は他人からすれば、理解のし難い言い方でまとめたかのように言うことがよくある。今回は一緒に聞いてたからなんとなく分かるものの、この場にいない人には理解できないことの方が多いだろう。

「どこから転校してきたか分かったりする?」

「どこか、詳しい場所は覚えてないけど、関西弁を言ってて結構人気だったことは覚えてるよ」

 関西弁。関西弁と言うものの、その言葉に似てる言い方をする方言は関西だけでなく広島などの中国地方も使われるから、関西以外の人に関西弁と言っても大阪や京都以外のことも多いらしい。

「ってか、その辺は自分の親に聞いたらいいっちゃない?」

「あぁ、俺の両親さ事故で亡くなったんだよね。だから里親に聞こうにも、教えてくれる親がいないんだよね」

 俺は軽く笑い、彼らに衝撃の事実を伝えた。

「なんか、ごめん。そこまでとは考えなかった」

「いいよ。普通そこまで考えないでしょ」

 俺も彼らと同じで今回のような特殊な条件は予測しないというのは分かっている。

「それなら、よく福岡に来れたね。記憶がないなら福岡に来れたってことは何かあったんじゃない?」

 智は案外物事を考えてるらしい。

「そんなの、学校に聞いたら教えてくれるんじゃないの?」

 何をいってるのかわからない表情を簡単に出す。

「いや、個人情報ってそんな簡単に教えていいの?」

「個人情報っていっても自分の情報なら教えてくれるでしょ」

 唯斗と智で喧嘩が始まりそうな気がして、それを止めようと俺が立つ。

「いいから。確かに学校に聞いたけど、その前に友達に聞くだろ」

 俺はここで色んな情報をもらいそうだな。そんなことを思っていても、手に入った情報はここで仲が良かった友人と、関西弁を使う都市に俺がいた事。それだけなら俺からすれば、ここに来たにしては少なすぎる情報だ。

「今日はどこ泊まると?」

 智には福岡に来ると度々、家に止めてもらってた。他にも俺が当時住んでいた近所の家に止めてもらっていた。そこに行き着いたのも智が当時の俺の家について知っていてくれたからなんだけど。

「今日は最終便で帰ろうって思ってる」

 流石にずっと福岡にいるわけにはいかない。関西弁らしき言葉を使うのが出身地と、分かっただけでも今回は良しとして今回は帰る。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

五月病の処方箋

松丹子
恋愛
狩野玲子29歳は五月が大嫌い。その理由を知った会社の後輩、石田椿希27歳に迫られて… 「玲子さん。五月病の特効薬、知ってます?」 キリッと系ツンデレOLとイケメン後輩のお話です。 少しでも、お楽しみいただけたら幸いです。 *Rシーンは予告なく入りますのでご注意ください。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

二年後、可愛かった彼の変貌に興ざめ(偽者でしょう?)

岬 空弥
恋愛
二歳年下のユーレットに人目惚れした侯爵家の一人娘エリシア。自分の気持ちを素直に伝えてくる彼女に戸惑いながらも、次第に彼女に好意を持つようになって行くユーレット。しかし大人になりきれない不器用な彼の言動は周りに誤解を与えるようなものばかりだった。ある日、そんなユーレットの態度を誤解した幼馴染のリーシャによって二人の関係は壊されてしまう。 エリシアの卒業式の日、意を決したユーレットは言った。「俺が卒業したら絶対迎えに行く。だから待っていてほしい」 二年の時は、彼らを成長させたはずなのだが・・・。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...