君が見せた私の夢

浅村 英字

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第三話 再会と人気

復帰

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 芸能活動再開日当日の正午頃。マネージャーからこれからの予定が届いた。そしてそれを合図に俺は校舎を後にする。

「予定変更で悪いが今日の本読みはなしだ。監督と神崎さんがお前のことを知ったみたいで、ぶっつけ本番にすると言い出したらしい。うちは君のことをがあったからこれ以上無理を言えない立場なのは分かってるよな」

 『ぶっつけ本番』普通に考えれば嫌な言葉だが、今の俺にはアドレナリンを発生させる言葉に過ぎなかった。移動中、台本を取り出し、そこに書いてある物語を自分の中で映像化する。自分のセリフ、動き、そして息遣い。相手の動き、間をいくつものパターンで複数作り上げる。相手の違和感を与えず、第三者には光を反射させないように自分が動く。どういう動きが自分の出来る範囲で自然な風に見えるかを想像し続ける。

「おい、ついたぞ」

 その言葉が聞こえたら、俺は俺を捨て、考えることを中止する。車を降りて、入館証を提示して中に入る。幾多の人とすれ違う時に、朝の挨拶をし、近藤さんの後をついていく。

「よろしくお願いします。相澤です」

 厚い壁の番人に近藤さんが俺のことを伝えると、俺の役名と名前を扉の向こう全体に拡げ、案内を開始した。

「よろしくお願いします」

 番人に負けない声量であいさつをすると、少し先に名の知る二人が話しているのが目に入った。

「お久しぶりですね、相澤くん」

 神崎 誠。確か、以前共演したことあるような。

「お久しぶりです、神崎さん。僕の配役に協力して頂いたらしいですね」

 内心いらないことをと恨みつつも、笑顔で感謝を伝えて相手の手を握り返す。

「いえいえ。『』も推してたので、だったらと思っただけですよ」

 上っ面な笑顔で力が増す右手。そこに『海華』という単語を言われ、少し力を入れ返す。

「はい、『』から聞きましたよ。本当に申し訳ないです」

 傍から見ると、二人の目線の間で火花が散っているかもしれない。そんな事態を治めようとするかのように、向井先輩が二人に役割を渡す。

「まぁまぁ、挨拶はそれくらいにして。真鳳くんには悪いが、着替えとヘアメイクしながら監督と俺とで打ち合わせと内容確認を頼める?」

「もちろんですよ」

「よかった。それじゃ、戻たらすぐに始められるようにこの場は神崎君に任せるよ」

「分かりました。不備なく準備しておきますね」

 大人の対応をする二人のうち、共演者には少しイラっとした。
 ともかく、俺と向井先輩は一度別の部屋に移動し、新たな三人組で話し合いを始めた。今日の話とドラマの理想的展開を話し終えた後、着替えを済ませさっきまでいたところに戻る。静かな廊下を渡り、厚い光の中に。

「それじゃあ、第三話、シーン十七。統と航太の出会いのシーンから」

 助監督が周りに声をかけ、カチンコをカメラの前に置く。
 叩き鳴る音の後、一のないカウントダウンが耳に届く。
 カメラが回っている。目の前の境界線の向こうとは別の世界となる。頭の中で何度もイメージしていたものを再現する。

「久しぶりだな。航太」

 スーツ姿の誠を今は睨む事が出来ない。ダメだ、自我はやっぱり消さなきゃ。この制服、にしても着心地悪いな。

「あぁ、うん。久しぶり」

「大学入試・・・は早いか。オープンキャンパス?」

「うん、そう。大学は俺もこっちにしようかなって」

 俺は、芽紅が好きだ。でも芽紅は俺を好きじゃない。芽紅は・・・統兄が好きだから、だから俺を見る事は絶対にない。

「いいじゃん。芽紅も航太も東京に来るのかぁ。何か楽しみだな」

 彼の背中を見ていても分かる。胸を膨らませている、そして何かを隠している。

「・・・だねぇ。また昔みたいに三人で遊ぶのも」

 鞄を背負い直し、俺は帰路に立つ。

「あ、待った。携帯持ってるだろ?流石に」

「えっ?あ、うん」

「連絡先くらい教えろよ。こっち来た時、連絡くれればうちに泊めてやるから」

「カット!」

 俺たちは、元の世界に戻った。耳に入った第三者の声が俺たちを一歳若返らせた。

「いやぁ、お二人の演技息ぴったりですね。大丈夫でした?監督」

 助監督は、俺たちの演技の前のめりになっていた。誠の姿を見ると、不思議といや、やっぱり統にしか見えなかった。

「すいません。水、もらってもいいですか?」

 俺は、自分が真鳳であることを忘れそうだった。誠を統と思い、自分を航太だと思い込もうとした。

「あぁ、はい」

 冷たい水が口から体中に染み渡る感覚が、俺を『相澤 真鳳』というであると思い出させてくれる。

「俺は十分だと思いますが、どうですかお二人さん?」

 監督も首を縦に振った後、ここにいつ俺を推してくれた二人にも声をかけた。

「そりゃ、百点以上の出来だな。誠くんはどう思う?」

 先輩に感謝を告げると、神崎さんにも答えを聞く。俺の今現在の実力を彼はきっと教えてくれる。

「・・・正直、気持ち悪い。・・・。早く次、撮りません?

 その日は、それから海華も合流し、俺が活動できる時間ギリギリまでドラマを撮影し続けた。
 
「疲れた・・・。久しぶりだなあ、この感じ」

 高校生の職業活動時間過ぎ。俺は疲れ果てて、椅子にもたれていた。一人でいるには明るく広すぎるこの部屋で。

「お疲れさま。いやぁ、驚いた。まさか半日分も収録を巻くなんて。思ってもみなかったよ」

 疲れ切った俺にマネージャーの近藤 撤哉さんは、約束通り水をコップ一杯差し出した。

「まぁ。自分でも予想以上の出来ですよ」

「あのさ、どうして芸能活動辞めてたんですか?」

「俺に、この世界で生き抜けるだけの力あると思いますか?」

 まだこの業界に関わっていない人の前では、飽きたと言っていたが、正直なところはちょっと違う。

「少なくとも俺は、いや俺を含めた四人は君の力を認めてると思うけど」

「そうですかね・・・」

 笑いながら誤魔化すと、彼は車の手配に向かった。
 一人になった楽屋で、本当のことを思う。

「本当、俺って何なんだろう・・・」

「そりゃ、私の彼氏でしょ?」

 ノックもしない俺の彼女は、俺との夢を叶えられることになった。

「ノックくらい・・・」

「ごめん。でもいいでしょ?せっかく共演できたんだもん!」

 海華は、俺と付き合う前から共演することを望んでいた。でも、俺は共演したくなかった。役を演じれば演じるほど、俺が、自分が誰なのか分からなくなる。その瞬間を海華に見られたくなかった。

「無理やりだったけどね」

「それは本当にごめんなさい」

 本音で話せば、俺の所から彼女は離れていく。だから本音を隠して、共演者にならなければいけない。彼女の温もりを感じながら、いつものようにならなければ。

「多分、もう戻ってくるから。先に帰ってる」

 繋いでいた手を放し、携帯で両親に帰りを知らせる。

「お待たせ。帰りの車・・・」

「ありがとうございます。『』それじゃ、お先に失礼します」

 そう言った俺は、楽屋を後にする。携帯片手に廊下を歩く。来た時より少ない人と挨拶をして、出口に向かうと車が一台停まっていた。

「あれ?北山さんじゃないいですか」

「そりゃ、俺が真鳳くんを送るからね」

「でも、松村さんはまだ仕事なんですよね?」

「そうだけど、近藤はまだ免許取れてないからな。近藤は松村も担当したことあるし、大丈夫さ。ほらっ、早く乗って」

 車に乗って周りの景色を流し見る。暗いところに割り込むそれぞれの輝きが、少し苦手だと思った。

「聞いたよ。今日の収録時間、そんなにと思ったのにすごいね、半日分も巻いたんだって?」

「あ、はい。久しぶりだけど、何とかなりました」

 流れる景色に北山さんの声が届く。こうして静かなところで話をすると、自分が小さく感じる。ただでさえ、自分の一部が無いことで人生が嫌になるのに。

「近藤の方はどうだった?」

「どう?って言われても・・・、北山さんと比べればまだまだですけど、僕的にはいい感じじゃ無いかなって思いますよ」

「そうか、君の目にはそう見えるか」

 笑う北山さんの感情に、俺は複雑な感情を残した。

「あぁ、安心してるんだ。いいペアになってくれたら言うことないからな」

 北山さんが他の会社の人と仲が良くて、業界に顔が利くのは、きっとこの優しさのせいでもあるのだろう。そんな会話が続いていると、あっという間に家の前に着いた。

「ありがとうございます」

「おう、疲れただろうから、今日はゆっくりしておけよ。明日は・・・、元々休みだったな」

「はい」

「なら明後日の集合場所は明日の昼までにメールするよ」

 そう言って、北山さんは車を進めた。久しぶりのレベルの高い現場は、家の扉を閉めた途端に疲れを表した。

「おかえり、真鳳」

「ただいまです。今日の晩御飯って・・・?」

「カツ丼よ。今温めるわね」

「お願いします」

 事故以前の記憶がない俺がわかっている数少ないものの一つ、この両親は産みの親ではないという事。

「真鳳、お疲れ様」

「ただいまです。父さん」

 だから二人に対する態度が他人のようにヨソヨソしくもなる。緊張感というより警戒心の方がしっくりくる。

「聞いたぞ、復帰早々ドラマの良い役もらったんだって?」

 また北山さん、いらないことをペラペラと話したのか。

「はい。そもそも、復帰するとこになったのは、そのドラマに出るためだったんですよね・・・」

「そりゃすごいな。その年で必要とされるなんて、として誇らしいよ」

「真鳳!出来たわよ」

 父とやらしく話す男、母親のようにご飯を作る女。俺が警戒心を持つ限り、そう思い続けるだろう。だから、この気持ち悪い感覚も、俺の気持ちさえ切り替えられれば・・・。

「うぅん!めっちゃ美味しいです」

 正面に座り、子供の笑顔を待つ顔を見て思い出す。俺が俳優業をしていた本当の理由の二つのうちの一つ、『この家にいる時間が苦だから』。だからこの場に戻ることを拒んでいたんだ。
 両親の笑顔を見た後、カツ丼をかきこんで他の用も済ませて布団に入る。

「もしもし?」

『良かった、繋がった。メールも全く返してくれなくなったから』

 相手の女性は、俺なんかより遥かに大人なのに、俺よりも子供のように感情を表に見せる。そう言えば、俺の前のおじさんの対応している時は、表情も曇っていた。

「すいません。バイトで疲れてて、携帯見てませんでした」

『そうなんだ。それじゃあ電話も切ろうか?』

 本当は続けたい。でも、大人の対応を取ろうとしているのがバレバレだ。

「俺はどっちでも良いですよ。里奈さんがまだ話したいなら付き合いますよ」

 正直、言葉は選んだが単に丸投げしただけだ。

「なら、もう少しだけでも話そ?」

 多分、相手が俺だから今も声を作っているのだろう、全然興味ないけど。

「あのさ、今更なんだけど、真鳳くんって彼女とかいないの?」

 いないと言えば嘘になる。でも、その嘘を吐こうか一瞬だけ迷ったのは、烏城のある記事のせい。

「一応いますよ。

 烏城の記事は、いつも一部の真実を大きく膨らませる
のが特徴的な他の記事とは違う。真実のみを記事にする、もし写真という名の証拠がなくてもだ。

『一応ってことは、何かあったの?』

「まぁ、そんな感じ?ですかね」

 大人になれば、嘘の吐き方を覚える。だから事務所の人間や海華は俺に何も言わず、何も感じさせようとしない。俺は、彼氏なのに。だから俺だけ一方的に距離をとりたくなる。
 なら、チャンス。そんな感じの言葉が聞こえた気がした。確認しようなんてどうでも良くて聞く気になれなかった。その後は、どうでも良い話をして時間を潰していると、鈴乃からメールが一件だけ届いた。

「ごめんなさい。俺はもう寝ますね」

 電話を切って、俺は少しの時間を開ける。二択の中、俺より先に電話をかける勇気を出した彼女の名前が携帯に表示される。

「・・・もしもし」

『もしもし、今大丈夫?』

 海華の声は、どこからか恐怖感を感じているようにも思えた。

「うん、大丈夫だけど。どうしたの?」

『もう見たでしょ?私と誠さんの件』

 浮気なのか、本気なのか、いやそもそも真実じゃないじゃないのか。その答えを出す気なのだろう。

『写真も出てたから、何も言えないんだけど』

 彼女が思ったことを言っても、俺に何も徳はないし、俺の聞きたい言葉が聞けるわけでもない。

「いつからなの?」

『関係を持ったのは、三か月くらい前かな』

 嘘でも『あの時だけ』とか、他にないと伝えて欲しかった。だから、すぐに言葉を返すことができない。

『そこからは、不定期に会ってたり・・・』

 芸能人にプライベートなんて存在しない。その結果、今回は二つの事務所にダメージを与えることとなった。

「そっか・・・」

 ちゃんとした言葉で返そうとしても、出てくることが出来ない。それもきっと、『すべて正直に話そう』そう決めた海華の要らない決意のせいだ。

「事務所の人とは話したんでしょ?」

『今回は何も言わないらしい。メイン出てるからドラマ自体の方向性は、脚本家と話して決めるって』

 少し前の話の内容を、業務として伝えることしか考えていないようだった。そんな彼女に言える言葉は、俺は持ち合わせていない、これが彼氏なのだろうか。

「なら、俺たちに出来ることはないね。とりあえず、一度ちゃんと気持ちをリセットする時間にでも使いなよ」

『・・・うん。迷惑かけるかもしれん。ごめんね』

 迷惑かけるかも、ね・・・。

『それと、裏切るようなことして・・・、本当にごめんなさい』

 携帯から聞こえる声に、涙が感じられた。でも、それが本当の涙とは思えなかった。心のどこかで泣いていることで不安をかき消そうとしている気がした。
 卑屈な自分に嫌気がさす。

「謝らなくてもいいよ。もう少ししてからゆっくり話そ」

 どうして海華は俺と神崎を合わせようとしたのだろう。そこまで考えてなかったのか、それとも今回でどちらかに絞ろうとしていたのか、考えても答えなんて分からない。

『もしもし、真鳳?』

「どうした。鈴乃から電話なんて初めてだよな」

 分かるわけないと思い、ただベッドでボーッとしていると不思議な違和感を与える鈴乃からの電話がその時間を止めた。

『いや、緋奈が電話しても出ないって言ってたから』

 そう言えば、履歴に何件か緋奈の名前があったっけ。

「別の人と電話してたからな・・・」

 鈴乃も何かを察したのだろう、俺の言葉の後に何も言わなくなった。そのせいで沈黙が電波に乗る。

「それだけ?切るぞ」

『あぁ!待った!』

「何?俺寝たんだけど」

 疲れがピークに達する直前で電話が切れた。そのあとは言うまでもない。
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