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魔物が強くなりすぎた世界 第2話
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「さぁ、さっさと本気を出してくれ。俺も気が長いほうではないんでな」
「焦るなよ・・・そ、それにホラ、剣折れちゃったしさ・・・これじゃどうにもなんねぇじゃんか」
「何を言っている?オルマを刃にすることも可能なのは知っているぞ。
かつてヤリあった事がある人間が使っていたからな」
「へ、へぇ・・・そいつは知らなかったぜ」
「知らなかった・・・か。
ふむ、人間誰しもが当たり前に使う戦術ではないのか」
これ以上コイツと事を構えれば、確実に殺されるぞ・・・
隙を見て逃げ出さないと・・・
全力で走れば、俺の脚なら逃げ切れるか・・・?
こいつも相当速いけど、一か八かやるしかないか・・・
しかし、コイツに背を向けるのが果たして得策なのか・・・?
「ふむ。まぁいいか。
もはやオマエの実力云々はどうでもよくなった。
出来れば十分に楽しんでから殺したかったが、腹が減った。
腹を満たす事で十分楽しませてもらう事にする」
ダッ!!
ゴブリンは剣を構えてライル目掛けて駆け出した!!
決断はやッ!!
もう逃げるしかねぇ!!
ライルはゴブリンに背を向けて逃げ出した。
「!・・・逃げるか・・・!!
だが、逃がさんぞ!!」
ダッ!ダッ!!
「く・・・!!背後から感じる圧が半端じゃねぇ!追いつかれるのかこれ!」
後ろを確認してる暇なんてねぇ!!
ドガッ!!
ライルは後頭部に鈍い痛みが走った!!
どうやらゴブリンが追いつき、剣でライルの後頭部を殴ったようだ。
前のめりに倒れこみ、勢いあまって二、三回転して地面に叩きつけられたライル。
「ガッ・・・」
「一気に仕留めてもよかったんだがな・・・
やはりそういうのは俺は好まない性質でな。
逃げる獲物を刈るよりも、命がけで抵抗してくる相手を殺したいのだ」
やべぇ・・・確実に殺される・・・なんとかしねぇと・・・
「さぁ、立ち上がって向かってこい小僧。
軽く峰打ちしたくらいでヘバるんじゃない」
「無茶言うぜ・・・普通に結構なダメージだっつうのに・・・」
何とか立てたな・・・後頭部はズキズキしてるが、フラつきもない。
だが、やはり正面から遣り合っても勝ち目はない。
かと言って逃げても結果は一緒か。
奴の攻撃をかわしつつ、隙をついて逃げるしかないか。
「いい面構えだ。とはいえ、やはり素手では、また逃げの一手になりかねんか。
よし小僧。この剣をオマエに貸してやる」
「はぁ・・・?」
ゴブリンは自分の剣を俺前に放った。
一体何を考えてやがる・・・!?
「俺は素手でヤル。オマエはその剣でヤレ」
「ゴブリンの考える事はよくわからんな・・・いいのかよ」
「戦いを楽しみたい、それだけだ。
ちなみに、その剣はドワーフが鍛え上げた特殊な鋼で出来た剣だ。
切れ味が申し分ないのは当然として、その強度も半端な代物ではないぞ」
こいつバカなのか!?
そんなモン渡して・・・だがこれはチャンスだぞ。
この剣ならアイツの硬い皮膚も斬れる!!
「勝機を見出すなり、途端に刈る側の顔になったな小僧。
そうだ。それでなくてはな。
では、早速行かせてもらおうか」
ダッ!!
相変わらず速い・・・!!
剣を捨てた事で、さらに速くなった!!
一気にライルの懐に入り込み腹を目掛けて拳を突き上げてくる!!
ガッ!!
咄嗟にゴブリンの剣の腹で拳を防いだライル!
衝撃で体が浮く!!
凄まじい拳打だ・・・だが、その拳打にも剣は耐えた!
やれる・・・!!
「フゥ~・・・来いよゴブリン野郎。
剣を手放した事後悔させてやんよ」
「凄まじい気合だな。構えられてしまえば、今のように迂闊には踏み込めんか」
「剣がありゃこっちのモンだ!!
そっちから来ないならこっちから行くぜ!!」
全開時の速度は出せない・・・にしても十分だろ!!
ライルはゴブリンの間合いに踏み込み、左肩から右腰目掛けて斬撃を放つ!!
だが、ライルの斬撃は空を切り、今度はゴブリンのカウンターパンチがライルのわき腹を捉える!!
ドスッ!!
バキッ!!バキッ!!
「ガハッ・・・にゃろ!!」
攻撃を受けながらも反撃に出るライルだったが、斬撃はかすりもしない。
「やはり人間の体は脆いな。
たった一打でこれか。
もう少し楽しめると思ったんだがな」
「ハァ・・・ハァ・・・もう勝った気でいやがるのかよ」
クッソ・・・骨何本かイッたな・・・
これじゃもう素早い動きも無理だな。
狙うはカウンター一本・・・!!
「強がるな。骨を砕く感触があった。
もうまともに戦えないだろう」
「・・・どうかな?人間の底力を舐めんじゃねぇぞゴブリン野郎が」
「確かにな。人間は追い詰めた所からが面白い。
いいだろう・・・お前のその底力とやら試してやろう」
乗った・・・!!
奴が間合いに踏み込んでから剣を振ったんじゃ間に合わない。
奴はこれまで真正面からしか突っ込んできてない。
恐らく次も真正面から来るはずだ。
だから、奴が動くと同時に剣を振るんだ・・・!!
恐らくその攻撃自体は奴も気付いて避けに来る。
本命の一撃はソコを衝く!!
「行くぞ!!」
ドッ!!
速い・・・でも正面!!もらった!!
「!」
ライルは剣を振るう!
だが予想通り、斬撃はあっさり読まれ、後ろに飛び跳ねかわされた!!
「はぁぁあああ!!」
すかさず踏み込みゴブリンの体がバックステップで僅かに浮いた所に斬り込む!!
バシュッ!!
斬撃が体に触れた感触はある・・・だが・・・手ごたえがない!
「く・・・!浅い・・・!!」
「いい攻撃だったぞ。久々に人間と楽しめた。礼を言う」
ゴブリンのカウンターパンチがライルの顔面目掛けて走る!!
ライルは死を覚悟した。
ドガッ!!
「!?」
一体何が起きたのか、突然ゴブリンが吹っ飛んだ!?
「ったく・・・お前は!!」
「師匠・・・!!」
ライルを助けたのは師であるアイザックだった。
「言いたい事は山ほどあるが、全部帰ってからだ。
さっさとズラかるぞ」
そういうとアイザックはライルを抱えて全力で街へと向かい駆け出した。
「く・・・新手の人間か・・・
まだあのような使い手が生き延びているとはな・・・
まだまだ楽しめそうだ。
小僧・・・その剣はオマエにくれてやる。
せいぜい強くなれ・・・俺も強くなるぞ・・・今以上にな!!」
・・・・
・・
街に戻った俺は、医者の治癒魔法によって回復し、夜も遅いと言う事でそのまま床についた。
翌日は朝から師匠の説教をたっぷり聞かされた後、ゴブリンの剣を取り上げられ、
ペナルティのシゴキを延々やらされるハメになった。
「これで思い知っただろう。
今のオマエじゃ雑魚すら倒せない」
「もう耳にタコが出来るほど聞いたっての・・・
身に染みたよ。反省してる」
「ハァ・・・なぁライルよ。オマエが俺のところで修行を始めて何年になる?」
「10年前・・・オヤジが死んで、そっからだから10年だろ」
「基礎体力、剣術、そしてオルマやマナの鍛錬・・・
欠かさずやってきたわけだが、やはりここまでして力を使えない以上・・・」
「諦めろって言うのかよ!!」
「ライル・・・」
「俺は諦めないぞ・・・絶対にオルマを使えるようになってやる」
「無理だね」
聞きなれない声に視線を向けると、そこには女が立っていた。
「リーナ!よく来てくれた!無理を言ってすまなかったな」
「その女、師匠の知り合いなのかよ。
でもちょっと待てよ、俺がオルマを使えないって何でお前が決めつけるんだよ!」
「ふん、オルマもマナも使えない小僧が態度だけは一人前だな。
アイザックよ、躾が行き渡ってないんじゃないか?」
「はは・・・すまねぇな」
「師匠を呼び捨てとは、オマエこそ態度でか過ぎだろ!」
「私はお前の父・カインやアイザックと幼馴染だ。
別に呼び捨てでも問題ないだろうが」
「へ!?・・・幼馴染って・・・とても40過ぎには見えないんですけど・・・」
「ふん、今更ほめた所で遅いがな」
「いや、別にほめてはいないけど・・・って、なんなんこの人」
「お前のことを相談したリーナだ。凄腕の魔法使いをやってる。
お前のために遠路はるばるやってきてくれたんだ。
ちゃんと感謝しとけ」
「魔法使い・・・まぁ見たまんまだけど・・・
てか、俺マナの才能はまったくないんだけど・・・」
「そんなもの一目瞭然だ。お前は残念ながらマナもオルマの才能もからっきしだよ」
「!!・・・そんなん、何で言い切れるんだよ!」
「私の目には判るんだ。お前には理解できないだろうが、間違いは無い」
「そんな・・・そんな事言われて、簡単にあきらめられるかよ」
「それも判ってる。だから私が来た」
「へ?」
「荒療治だが、私がお前を覚醒させてやる。
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「やるよ・・・やるに決まってる!!
頼みます!!おばさん!!」
「おば・・・いい度胸だ。
これはシゴき甲斐がありそうだよ」
(大丈夫なのだろうかこの二人・・・)
ちょっと先が思いやられるアイザックだった。
次回に続く・・・!!
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