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魔物が強くなりすぎた世界 第3話
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「オバ・・・じゃなかった、リーナ先生!具体的には何をすればいいんですか?」
「まずは着替えろ。これからしばらくは剣は忘れ、武道家として鍛錬を積んでもらう。
私も着替えてくる」
武道家って・・・この人、魔法使いなんだろ!?
一体何考えてるんだ・・・?
「準備は出来たか?」
「言われるままに着替えましたけど・・・って、先生・・・
修行にそのセクシーさは必要なんですか!?」
無駄に空いた胸元、脚が丸出しのスリット・・・
年甲斐もなく、なんて格好してやがる!
「ガキかっ!お前18歳なんだろう?
恥ずかしがる年じゃなかろうに」
「う、うるせぇよ!で、何をするんだよ?」
「シンプルに殴り合いだよ」
は?殴り合いって・・・
「先生は一応女だしさ、殴るとか抵抗あるんだけど」
「はぁ・・・余計な気を回さなくてもいいよ。
お前程度の攻撃じゃ痛くも痒くもないんでね」
ほぉ・・・言ってくれるじゃんか。
「怪我してもしんねぇぞ」
「御託はいいから、とりあえずかかってきな。
どれほどのものか、試してやる」
「そうかい!じゃ、お言葉に甘えて!!」
ダッ!!
「!(速い・・・)」
正面から突っ込まれて、一瞬にしてリーナの間合いに踏み込んだライル!
「たりゃあッ!!(正面から突っ込んで、さらに一段階ギアを上げて右へ!!
速すぎて見失ったところを肩狙いのパンチ決まり!!)」
サイドからリーナの肩に拳を放とうとするライルだったが、その前にリーナと視線が合った!
「!(サイドに跳んだの見切られてる!?でも拳はこのタイミングじゃかわせないだろ!!)」
バキッ!!
「!?」
ライルの渾身の右ストレートはリーナの肩に命中した。
だが、違和感があった。
「殴った感じがしない・・・?」
「ライル、思ったよりも動きは悪くない。
だが宣言通り、お前の攻撃は全く効かなかったな」
「結構マジで殴っちゃったんだけど・・・どうなってんだ?
防御魔法か何か使ったのか?」
「半分正解。防御は行ったが魔法ではない。
お前の苦手とするオルマを使った」
ボッ!!
その瞬間、リーナの全身から淡い光が立ち上った。
「これが先生のオルマ・・・」
「外にいる魔物たちの強度は日増しに高まっている。
並の武具しか残ってない今の世界では、オルマ、もしくはマナによる強化抜きでの戦闘は自殺行為。
まぁ奴らにも魔法はよく効くから魔法が得意な奴なら強化は特に必要ないが、
だが、防御面による強化はやはり必須だろうね。
強化なしじゃ人間なんて、それこそ一発であの世逝きだ」
それはもう、こないだのゴブリン戦で実感したよ。
だからこそ、俺はどうにかしてオルマをモノにしなきゃなんねぇんだ!
「さて、これから修行に入るわけだが、その前にお前に魔法をかける。
こっちへ来い」
言われるままにリーナの前に立つライル。
「・・・」
何やら詠唱をしている。
「スポイル・・・!」
「!」
淡い光がライルを包み込んだ。
「・・・今のは?」
「私が子供の時に創った出来損ないの魔法だよ。
効果については後々教えてやる。
まずは何も気にせず殴り合いだ。
さっきの攻撃で判ったと思うが、オルマで強化した私の肉体は、
お前の全力の攻撃でもダメージは負わない。
だから全力で殴ってこい。
殴る場所も女だからと遠慮するな。
顔だろうが腹だろうが、胸だろうが構うな。
部位を特定していては修行にならんからな。
あと、ついでに言っておくけど、今度は私も殴り返す」
「へ!?」
「言ったろ?殴り合いだって。
ちなみに、もうわかってるだろうが、ただ殴るんじゃない。
オルマを込めた拳や蹴りで殴りつける。
だから・・・女の力と甘く見ないことだ」
「色々言いたい事はあるけど、とりあえず先生の言う事を聞いてりゃいいんでしょ」
「そういう事だ。いいな?全力でやるんだぞ?」
さっきも別に手加減したつもりはないけど、マジでやんなきゃ駄目・・・
「!?先生が消えた!?」
「遅い」
背後!?いつの間に!!
背後を確認せずとりあえず後ろに蹴りを繰り出すライル!
感触なし・・・かわされた!
ドゴッ!!
・・・・
・・・
「・・・うーん」
「やっと目が覚めたか」
「いつつ・・・俺、気を失ってたんですか・・・」
「まぁ10分くらいな。悪かったな手加減はしたんだが」
よく覚えてないけど、すげぇ鈍器で思いっきり頭を殴られた感覚だった。
あの細腕で殴られた衝撃とはとても思えない・・・
すげぇ・・・!
「いちいち気絶してたのでは修行にならないからな。
もうちょい加減してやるから、さっさと来い」
こうして先生との格闘修行がはじまった。
先生は殴り合いと言ったが、結局一発も先生に当てる事無く、その日は終わった。
「はぁ・・・はぁ・・・強すぎでしょ・・・てか速すぎて当たる気がしない」
「格闘センスはお前のほうがはるかにある。
所詮、私は身体能力を強化しているにすぎない。
集中状態にあれば、お前の攻撃は本当にゆっくりに見えるし、
強化した肉体は思い通りに回避についてこれる。
当たる道理がないわけだよ」
「あの・・・この修行で俺はオルマが使えるようになるンすか?」
攻撃食らってるばっかで、全然使える気がしないんだが。
「あー・・・多分無理だろうね」
「・・・は?」
「言い方が悪かったな、この修行だけで使えるようになるわけではないってこと。
いくつかの段階を踏む中の最初の一歩とでも思ってろ。
まぁそれでも使えるようになるかは私にもわからないけどね」
「んだよそれ・・・はぁ・・・でも、多分今まで見たいにがむしゃらにやるより、
前に進んでる気はする・・・俺、先生を信じるわ」
「お、お前・・・たまに母性をくすぐる様な事を言うんじゃない!」
「はぁ・・・!?勘弁してくれよ」
案外可愛いところもあるんだよな・・・
見てくれは本当に俺と変わんないから・・・なんだかへんな感じだぜ・・・
「とりあえず、しばらくはこの修行を続けるからな。
ゆっくり体を休めるように」
「ウス!あざした!」
先生との格闘修行が始まって3ヶ月ほどが経過した。
最近、ようやく先生に攻撃が当たるようになってきたが、
やはりダメージはてんで与えられていないようだ。
「ライルよ。この三ヶ月の修行で体力の向上と共に体術もかなりレベルが上がった」
「うーん・・・確かにね。
多分剣術にも活かせる気がする」
「ようやく術式が完成したから実験と行こうか」
「術式・・・?実験・・・?」
「修行初日にお前にかけた魔法を覚えているか?」
「あー・・・そういえばあったっけそんなことも」
「アレは食らったオルマやマナを体に蓄積し、相手に打ち返す魔法だ。
この三ヶ月、お前をオルマで殴り続けてきたのは、オルマの蓄積をするため。
もちろん体術レベルや、基礎体力の向上の意味もあるが、一番の理由はソレ」
「え・・・じゃあ俺の体には今、三か月分の師匠のオルマが眠ってるってことなのか?」
これで俺もオルマが使えるってことなのか!?
「本来私の魔法、スポイルは自分自身にかけるものだ。
魔法使いであれば好きな時に溜め込んだオルマやマナを開放できる。
だが、魔法使いでないお前では、そもそも溜め込んだオルマを使えない」
「はぁ!?えぇ・・・意味ないじゃねぇか!」
「落ち着け。そのためにこの三ヶ月、地道に術式を開発してたんだよ。
溜め込んだオルマを放出、さらに一度に全てを出し切らないための微調整とか、
諸々、超大変だったんだからな。
この私だから出来た事なんだから、もっと感謝してもらいたいもんだ」
「うんうん!判ったから早く、その術式とやらを使ってくれよ先生!」
「慌てるな!少し落ち着いてこっちへ来い」
これで俺もオルマが使える・・・!!
「・・・ハァッ!!」
先生が俺の体に触れながら、指で文字のようなものを刻んでいく。
すると、俺の全身に魔道文字が浮かび上がった。
「とりあえず、これで使えるはず・・・試してみろライルよ!」
「ハイ!!・・・って、どうやって・・・?」
次回に続く・・・!!
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