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魔物が強くなりすぎた世界 第4話
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「先生・・・どうやればオルマ出せるんだよ!」
「そんなもの気合だろ!力んでみろ力んで!!」
先生も師匠も、教え方雑すぎだろ!
「くっそ・・・いっつも試してたけど出なかったんだよ!
ええい自棄だ!はああああああああああああ!!」
ぷ・・・ぷぷぷ・・・!!
こんな力むだけで出るのかよ!
ブッ!!
「・・・失礼・・・違うものが出ました」
「うーむ・・・どう伝えればいいのか・・・
逆に力まず、集中して静かな気持ちで、体から放出するイメージでやってみろ。
上手くいくかは知らんが、力んで駄目なら逆をやってみる他ない」
集中・・・静かな気持ち・・・
放出・・・
今まで出そう出そうと力んでたけど、自然に体内から流れ出るイメージか・・・
考えた事なかったかもな。
「ッスゥ・・・はぁ・・・」
「!お・・・!」
「!なんか心なしか暖かくなったような」
「目を開けてみろライル」
「!・・・おお!!」
全身から僅かではあるが光が溢れ出ている。
「やった・・・!!出たよ先生!」
「喜ぶのはまだ早い!これはまだスタートライン。
とりあえずその力を実感させてやろうか。
ライル、今からお前をぶっ飛ばしに行く。”集中”しろ」
「!・・・押忍・・・!!」
ダッ!!
「!?」
いつもの先生の動き・・・だよな?
だけど、心なしか・・・いや間違いない。
スゲェ遅く感じる!
正面に接近、上に跳んだ・・・後ろに回って攻撃をしかける気か!
「はぁッ!!」
ドガッ!!
ライルを飛び越え、着地したタイミングを狙って、後ろ蹴りを放ったライル!
リーナはこれを両腕をクロスして咄嗟にガードはしたものの、凄い勢いで弾き飛ばされていった!!
「当たった・・・てか、今までにない手応え・・・!!
今まで攻撃が当たっても、まるで手応えがなかったのに・・・
これが・・・これがオルマなのか・・・」
「やれやれ・・・当たり所が悪かったら、マジで危なかったかもね」
「先生、大丈夫ですか!?」
「大丈夫なわけあるか、スゲェ痛かったよ。
ま、とりあえずは上手くいったな」
「先生ありがとう・・・これで俺戦えるよ!」
ばしんっ!!
ライルの頭を小突くリーナ。
「ってーーー!何しやがる!」
「全然駄目だな。気を張ってないとすぐにオルマが消える。
常に気を張ってろとは言わないが、反射的にオルマを好きな部位に
好きなだけ出せるようになるのが理想だな。
とにかく、一度私の計画をちゃんと伝えるタイミングが来たと思うし、
話をしておこうと思う。
今日の修行は切り上げて落ち着いて話をしようか」
俺は着替えて、先生の借家にお邪魔した。
「お邪魔します」
「私の家じゃないんだ、適当にくつろぎな」
「先生、話って」
「急くでない。酒とつまみをやりながらじっくりな」
「はぁ・・・」
物の数分で先生は酔いだした。
「先生・・・酔ってますよね」
「ばっきゃろい!酔ってるわけ・・・ヒック・・・ないでしょうが」
こんなんでちゃんと話せるのかよ・・・。
「ライル・・・お前は何でそんな戦いたいんだい・・・
親父・・・カインの敵討ちがしたいのかい?」
「・・・それも確かにあるけど、俺は今のこの世界に息苦しさを感じてる。
魔物の存在に怯え、結界の中で一生を終える・・・
そんなの俺はイヤだ。街の大半の人間はもう諦めちまってるように生きてるし・・・
生きてるのに・・・生きてないっていうかさ・・・
世界を救うなんて大それた考えはないけどさ、このまま閉じこもったまま
生涯を終えるなんてのは、俺はやっぱ我慢ならねぇ」
「死ぬかもしれないぞ」
「死ぬ・・・のはイヤだけど、このまま何もしないよりはマシかな」
「そうか・・・」
この時の先生の顔は、とても寂しそうに見えた。
「ふぅ・・・なんか酔いがさめちゃったな」
「じゃあ、そろそろ本題に」
ぐがーー・・・
っておいおい・・・酔いが覚めたっていうか、酔いつぶれてるじゃねぇか!
先生爆睡・・・この日はもう話は無理だな。
「先生風邪ひきますよ・・・ベッドにいきましょう」
「ライル・・・死ぬなよ・・・むにゃむにゃ」
「優しいところもたまーにあるんだよな。
ほら先生、起きて!」
・・・・・
・・・
翌朝・・・
「すまんかった」
「いいですって」
昨日は酔いつぶれた先生を無理やりベッドに運んで、結局肝心な話はできなかった。
自分のやらかしを素直に認め、珍しく謝罪する先生は、なんだかほほえましかった。
「それより、昨日できなかった話、聞かせてください」
「まず、根本的な話をするが、私のスポイルと解放の術式を使ってオルマを使う方法では、外で戦い続けることは出来ない」
「え・・・ちょっと待って・・・え!?」
「言いたい事はわかる。じゃあ何のためにこんな修行していたかってな。
一つずつ話していこう。そもそも何故この方法で戦い続けるのが厳しいのか。
私がこの三ヶ月お前に打ち込み続けたオルマだが、その量は微々たるものなんだ。
オルマを使えないお前に対し、オルマを全開で殴れば、お前は普通に死んでしまう。
だから極力抑えて打ち込み続けた。
3ヶ月をかけて打ち込んでも、お前の体内に残された私のオルマ残量は、
せいぜいあと1、2回の放出で使い切ってしまう」
「そんな・・・3ヶ月やってたったそれだけしか戦えないって」
「現実的じゃないわな。
そもそもこの方法は別にお前のための”オルマ代替案”ではないからな。
あくまでもこれはお前を覚醒させるためのものなんだ」
「それってどういう・・・」
「オルマを使う感覚を見につけさせ、お前自身のオルマを引き出すためさ。
他人のオルマとはいえ、それを引き出す経験は大きい。
あの時の感覚で、繰り返しトレーニングを積めば、あるいはオルマを使えるようになる可能性がある。
もっとも、必ずというわけではないがな・・・」
「なるほど・・・完全に道が閉ざされたわけじゃないってことか」
少しでも可能性があるならやるしかない・・・!!
「もう一つプランがある。
優秀な神官を仲間にする!」
「え?神官・・・?
まさか・・・先生がオルマ全開で俺をボコって、
その度、神官に回復させるっていうアホチャージをしろってのかよ!?」
「ちがうわ!
神官には自身のオルマを他人に分け与える特性を持ってる。
所謂回復魔法も対称のオルマの活性化、もしくは自身のオルマを分け与え、
傷の治癒をしたりしてるわけだ。
神官であればスポイルに頼る事なく、お前にオルマを供給できる。
そして私の術式で放出すれば、私のボコスカプランよりも安全で確実な
供給が可能になるわけだ」
「すげぇじゃん!それいいよ先生!それでいこう!」
「言ったろ?優秀な神官じゃなきゃ無理だって。
オルマを一定量、分け与えられるだけの使い手じゃなきゃ難しい。
そんな優秀な神官の知り合いなんか都合よくいるのかい?」
「う・・・街の神官のおっちゃんは・・・どう見ても普通だよなぁ・・・」
「そういうわけだから、これからもしばらくは殴り合いの修行を続け、
さらにオルマの放出の反復練習!
それからオルマの扱い方も少しずつ学んでいく。
その先で、お前のオルマが出せるようになれば万々歳ってわけだ」
「道のりは険しいけど・・・やるしかないわな!
先生、これからも頼みます!」
「お前のその前向きさ、嫌いじゃないよ!」
こうして先生との殴り合いの修行は続き・・・
気付けば先生に弟子入りしてから1年が経とうとしていた。
結局、それだけの年月をかけても、俺は自分自身のオルマを使えるようにはならなかった。
・・・・・
・・・
「リーナ、どうよライルの奴は」
「頑張ってはいるよ。愚直にな・・・だが、結果は変わらずさ」
「そうか・・・何でなんだろうな」
「さてね・・・あのカインとレフィーナの息子なら、
それこそオルマもマナも人並み以上に使えると思ったんだがな」
「まさにサラブレッド・・・
だが、こと戦闘センスに関しては本当に親譲りだと思う。
アイツに伝説の武具のひとつや二つ残ってればな・・・
それこそ、この暗黒時代を終わらせることだって出来るかもしれない」
「・・・かもしれないな。まぁ・・・そんなものがアレばの話だがな。
せめて優秀な神官がいればな・・・」
「こんな世の中だからな、神官自体重宝されるし、たとえ優秀な人材を見つけたとして
危険な旅に同行してくれるか怪しいもんだ」
・・・・・
・・・
修行に明け暮れる日々を過ごすライル・・・
運命の日は突如訪れる事になる。
「やっとついた・・・都市アリオス・ラーベ・・・
私と志を同じくする勇者の息子がいる街・・・!」
次回に続く・・・!!
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