おまえの死体(ちゃば)でお紅茶を淹れてやりますわぁぁっっ!!

腎臓の猫

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 モニターの中の僕らは、
 マップ〝ワールズエッジ〟南東の〝ザ・ドーム〟へと降下した。

「よし……」
 さいわい、近くに敵の姿はない。

 ほうと息を吐いて、気を静める。
 いまのうちに、予習してきた知識を思いだしておこう。

 バトルロイヤルのゲームは、まず物資を拾って集めるところから始まる。
 武器を拾って、アーマーを拾って、回復アイテムを拾って……。
 その場に落ちている物資で準備を整える。

 それと、同時に考えなければならないのが――
「二っ人ともぅー、そろそろ移動おっけょー?☆」
「大丈夫ですわ」
「いけます……どうにか」
 そう、移動だ。

〝バトロワで勝つことは、移動に勝つことである〟
 これは、どこかで聞いたゲーマーの名言である。
 その人は言った。バトロワはポジション取りのゲームだと。
 いいポジションがいい結果をもたらすのだと。

 バトロワには、安全地帯の概念が存在する。
 リングが一定時間ごとに狭まり、その外側ではダメ―ジを受けてしまう。
 だから、リングの内側で有利なポジションを確保する必要がある。

 運悪く、今回の安地はマップ北西側に大きく寄っている。
 現在地とは真反対だ。
 最悪の場合、マップの端から端まで移動することになるかもしれない。

 敵部隊の位置、障害物の位置、地形。
 考慮しなければならない要素はいろいろある。
 慎重に、かつ急がなければ。

「いいえ、ここは絶対に攻めるべきですわ!
 すぐに正面の敵どもを蹴ちらして安地の中心へ入ってゆくべきですの!」
「やっいやゃややっっ、冗談っしょJKー?
 そんなんリスク満天だってーぃ☆
 常考JK、このじょうきょぉJKは絶っ対ゅ端ムーブからの後入り一択っしょー☆」
 ……急がなければ。

「お二人とも、現在は争っている場合ではないかと」
「セバスチャン。コイツにはわたくしの〝正しさ〟を理解らせる必要がありますの」

「ぅうはーっ☆ んなっゆーなら証ょ明してみせてょー?
 まームリだっろけどー?☆ きゃぱぱぱぱっ☆☆」
「上等ですわ。やってやりますの。セバスチャン、音楽を」
 急がなきゃなのにぃ……。

「Yo, Yo, Yo, Who the hell are you? I'll r*pe your father on you!!」
「よよよ、地獄は、誰ですあなた? I'llは、あなたの上であなたの父を****――」

♪BGM
 A Prelate's Attrition
  ――Orchidectomy

「おおぉぉっとぉ!! ゴアグラ嬢のSlaughterお通りですわ~~~~っっっ!!!!」
「No audio! I can't move!! Rez me!!! Lifeline!!!! Rez!!!!!」
「可聴周波がない! 私は、揺れることができません!! レズはわたしです! 生命線! レズ!」
「いけませんお嬢さま!
 Orchidectomyはブルータルデスメタルに相当いたします!!
 お待ちを!! お嬢さまはブルデスですぞ!!」

 あ、でも結果的には安地の中に進んでいってるしこれでいいのか。

「ワンパ壊滅ですの!!」
 さらにお嬢さまは、赤子の手をひねるがごとく漁夫にやってきた部隊を二つ三つ壊滅させ、あっというまに〝仕分け工場〟を制圧してみせた。

「おぅぉー、すっごーぇ☆」
 感心する僕らをよそに、お嬢さまはそのまま北西へと走りだす。
「さあおまえら、わたくしに続きなさいっっ!!」

 どうやら、僕はお嬢さまの実力を正しく認識できていなかったらしい。
 ブラストビートの荒波にノッたお嬢さまは、誰にも止められやしない。
 僕らはそれを少しサポートするだけでいい。
 ヤツを恐れる必要など、初めからなかったのだ。

 虎の威を借るようだけど、それでも自信が沸き、僕はチラリと京を見た。

 が、
「ふふふ」
 アイツは笑っていた。

 三トンハイヤーに乗って屋敷に突っこんできたときと、
 きょう僕らに事実的な宣戦布告をしてきたときと変わらず、
 モニターに向かったまま黒く笑っていた。

 なにをたくらんでいる?
 悪魔の声トライトーンの響きのような不気味さを感じつつも、
 僕はお嬢さまに続いて北西へと走った。
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