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とんでもない光景だった。
「オゥッラアァ! ぜッてェぶちのめしてやッらァ!!」
まったくもって大会とは思えなかった。
「クスッ、ダウンさせてやる……ダウナーだから……
ダウナーだからダウンさせてやる……ダウンさせてやるからダ――」
なんと、四分の三以上のチームがひとつのロケーションへと降下したのだ。
事前にさし示したなんてことはない。
ましてや、チーミングに走ったわけでもない。
「殺ッス~~! お覚悟するッス京先輩ーーぃっ!」
「あれまぁ……」
その場所は、このマップ中央の都市〝フラグメントイースト〟
京が決まって降りている、ランドマークにしている地点だ。
当然ながら、これは最終試合ではない。
午後の一試合目だ。
つまりほぼ全チームが、勝負を捨ててまで京を潰そうとしていることになる。
「うおぃぇ☆ やたっねぅ、セバぴっぴ☆」
本当に、まさかこんなになるとは思っていなかった。
僕がつくり出した光景ではあるんだけど。
とりあえず、この状況なら……
「僕らも近場に降りて漁夫に行きましょう」
僕らは降下地点を変えて、
フラグメントイーストの東に位置する名前のない集落へと降りたった。
いま、京のチームはダントツで一位。
しかもポイントの合計は五八。
つまり、京のチームは優勝まであと一勝だ。
なんとしても阻止しなくては。
集落は小さく、物資の量は充分とはいえなかった。
ただそれゆえに、漁りおわるまでの速度は史上最速だった。
きのうの練習によって、このゲームに慣れてきていたのもある。
まったくもって、二人に遅れはとっていなかった。
漁夫に向かった先に広がっていた光景には、思わず足が止まった。
「くッ……オレッちはァもうダメだァ、nigero……あッ! BANされちまッたァ!」
「ダウンしちゃった……ダウナーだから……ダウナーだからダ――」
「うおおおお待つッス京先輩ぃ~~~っっ!!」
「ぅえぇぇぇん!! ぅえぇぇぇん!!」
「あれれナンちゃん!?
……いや! 幼児退行したくらいじゃこの後輩ちゃんの目はごまかせないッスよ京先輩いや――幼《よう》先輩!!」
デスボックスやらダウンした人間やら、凄惨を極めていた。
さながらブレインデッドだ。
生き残っている人間も、
銃を拾えずわけもわからずメチャクチャに殴りあっているのがほとんどで。
そんなカオスの中央でただ二人、
狂気的に舞いつづけているのが――。
「ふふ、ふふふ、ふふっ! 楽しおすなぁゼロイチ番!!
まどろっこしいことせんで、最初からこうすればぁよかったんどすなあぁ!!」
「…………」
もはや、僕らが手を下す必要はなかった。
「さぁさぁ!! この程度どすかぁ!! ここどすぇ!! うち、ここにいますぇ!!」
ヤツは叫びながら、自身がキルしたデスボックスの上に馬乗りになった。
銃声が五回響いた。
「ア、アレは……! あの五発の死体撃ちはまさか……っ!
殺意の最大瞬間風速がマックスになった京の人が見せる、
〝コ・ロ・シ・テ・ヤ・ル〟のサイン(字余り)ッッ!!」
「そんなーーぁ!? もう死んでるってのにーーぃ!?
モ○ハンのギルド内じゃあ忌み数として扱われてる五を、
死体撃ちに使ってるってのかよーーぉぉ!?!?」
「あ、生きていたんですわねあの解説役ふたり」
銃声に呼応するかのごとく、
京がいる駅に四方八方から人間がどんどん押しかけてきた。
五パーティーはいただろう。
ヤツは狂いながらも、確実に目の前の獲物を屠っていった。
高所、扉、階段……それだけでなく、ゼロイチのポジショニングまでをも。
使えるものはすべて使う。
すべてに合わせて完ぺきな位置を取り、
みごと、二対一の有利な状況をつくり出しつづけていた。
ヤツの強さは、あの周囲に合わせる能力からきているのか。
「ア、ハハ……あれぞまさしく――」
「京戦士……ッス……」
「うまく無~☆」
が、けっきょくのところ、京のチームは三〇秒ともたなかった。
いやむしろ、二人きりのチームでよくそこまでもったと言うべきか。
カオスが去った戦場には、満身創痍の部隊が二つ残っているだけだった。
それから、その時点で残りの部隊数は僕らを含めて三。
僕らがその試合のチャンピオンを手にしたのは必然だった。
「これでぅ三位じゃぇーん☆ やたねぅっ☆☆」
「ふッ、あの京都女はァ狂ッちまッたし、この勢いなら嬢ちャんたちの勝利は確実……風呂ォ入ッてくるぜェ」
僕の作戦が功を奏し、また、ほぼ全チームが勝負を捨てたことで、
僕らはあっけなく三位に食いこんだ。
次の一勝どころか、三連勝からの優勝もありえるだろうと、
周囲はそう思っていただろう。
だけど――
「なにかこう、この前と同じ気味の悪さを感じますね……」
「同感ですわ。ヤツがこれで終わるとは思えませんの」
僕とお嬢さまは、まだなにかがあるだろうと予感していた。
とんでもない光景だった。
「オゥッラアァ! ぜッてェぶちのめしてやッらァ!!」
まったくもって大会とは思えなかった。
「クスッ、ダウンさせてやる……ダウナーだから……
ダウナーだからダウンさせてやる……ダウンさせてやるからダ――」
なんと、四分の三以上のチームがひとつのロケーションへと降下したのだ。
事前にさし示したなんてことはない。
ましてや、チーミングに走ったわけでもない。
「殺ッス~~! お覚悟するッス京先輩ーーぃっ!」
「あれまぁ……」
その場所は、このマップ中央の都市〝フラグメントイースト〟
京が決まって降りている、ランドマークにしている地点だ。
当然ながら、これは最終試合ではない。
午後の一試合目だ。
つまりほぼ全チームが、勝負を捨ててまで京を潰そうとしていることになる。
「うおぃぇ☆ やたっねぅ、セバぴっぴ☆」
本当に、まさかこんなになるとは思っていなかった。
僕がつくり出した光景ではあるんだけど。
とりあえず、この状況なら……
「僕らも近場に降りて漁夫に行きましょう」
僕らは降下地点を変えて、
フラグメントイーストの東に位置する名前のない集落へと降りたった。
いま、京のチームはダントツで一位。
しかもポイントの合計は五八。
つまり、京のチームは優勝まであと一勝だ。
なんとしても阻止しなくては。
集落は小さく、物資の量は充分とはいえなかった。
ただそれゆえに、漁りおわるまでの速度は史上最速だった。
きのうの練習によって、このゲームに慣れてきていたのもある。
まったくもって、二人に遅れはとっていなかった。
漁夫に向かった先に広がっていた光景には、思わず足が止まった。
「くッ……オレッちはァもうダメだァ、nigero……あッ! BANされちまッたァ!」
「ダウンしちゃった……ダウナーだから……ダウナーだからダ――」
「うおおおお待つッス京先輩ぃ~~~っっ!!」
「ぅえぇぇぇん!! ぅえぇぇぇん!!」
「あれれナンちゃん!?
……いや! 幼児退行したくらいじゃこの後輩ちゃんの目はごまかせないッスよ京先輩いや――幼《よう》先輩!!」
デスボックスやらダウンした人間やら、凄惨を極めていた。
さながらブレインデッドだ。
生き残っている人間も、
銃を拾えずわけもわからずメチャクチャに殴りあっているのがほとんどで。
そんなカオスの中央でただ二人、
狂気的に舞いつづけているのが――。
「ふふ、ふふふ、ふふっ! 楽しおすなぁゼロイチ番!!
まどろっこしいことせんで、最初からこうすればぁよかったんどすなあぁ!!」
「…………」
もはや、僕らが手を下す必要はなかった。
「さぁさぁ!! この程度どすかぁ!! ここどすぇ!! うち、ここにいますぇ!!」
ヤツは叫びながら、自身がキルしたデスボックスの上に馬乗りになった。
銃声が五回響いた。
「ア、アレは……! あの五発の死体撃ちはまさか……っ!
殺意の最大瞬間風速がマックスになった京の人が見せる、
〝コ・ロ・シ・テ・ヤ・ル〟のサイン(字余り)ッッ!!」
「そんなーーぁ!? もう死んでるってのにーーぃ!?
モ○ハンのギルド内じゃあ忌み数として扱われてる五を、
死体撃ちに使ってるってのかよーーぉぉ!?!?」
「あ、生きていたんですわねあの解説役ふたり」
銃声に呼応するかのごとく、
京がいる駅に四方八方から人間がどんどん押しかけてきた。
五パーティーはいただろう。
ヤツは狂いながらも、確実に目の前の獲物を屠っていった。
高所、扉、階段……それだけでなく、ゼロイチのポジショニングまでをも。
使えるものはすべて使う。
すべてに合わせて完ぺきな位置を取り、
みごと、二対一の有利な状況をつくり出しつづけていた。
ヤツの強さは、あの周囲に合わせる能力からきているのか。
「ア、ハハ……あれぞまさしく――」
「京戦士……ッス……」
「うまく無~☆」
が、けっきょくのところ、京のチームは三〇秒ともたなかった。
いやむしろ、二人きりのチームでよくそこまでもったと言うべきか。
カオスが去った戦場には、満身創痍の部隊が二つ残っているだけだった。
それから、その時点で残りの部隊数は僕らを含めて三。
僕らがその試合のチャンピオンを手にしたのは必然だった。
「これでぅ三位じゃぇーん☆ やたねぅっ☆☆」
「ふッ、あの京都女はァ狂ッちまッたし、この勢いなら嬢ちャんたちの勝利は確実……風呂ォ入ッてくるぜェ」
僕の作戦が功を奏し、また、ほぼ全チームが勝負を捨てたことで、
僕らはあっけなく三位に食いこんだ。
次の一勝どころか、三連勝からの優勝もありえるだろうと、
周囲はそう思っていただろう。
だけど――
「なにかこう、この前と同じ気味の悪さを感じますね……」
「同感ですわ。ヤツがこれで終わるとは思えませんの」
僕とお嬢さまは、まだなにかがあるだろうと予感していた。
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