彼女は最後にこう言った

桜巫女

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事故

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幸二Ver.


目の前に大好きな彼女がいる。


「幸二ー!」
いつも俺の名前を呼んで、
駆け寄って笑う彼女。

「馬鹿こーじ。」
怒った時に頬を
ぷくっと膨らませる彼女。

「もう話聞いてやんないよーだ」
いじけて話を聞かない彼女。

大好きな彼女が目の前にいる。

目の前にいるはずなのに、
笑ってくれない、怒らない、
いじけもしない、話すことができない。

「なんでなんだよぉ…!」

そんな事は自分でもわかっている。
だけど、言わずにはいられない。


「一緒にいるって言ったじゃねーか…」


目の前にいるのは…




………彼女の遺体だ。



─────二日前──────



「それじゃ、行ってきます!」

急用が入った。と言って、
急いで俺の家を出ていった彼女。

それが最後の言葉になった。

あの時、例え大事な用事だったとしても
止めればよかったと、
今更になって何度も後悔している。

5分後、彼女は帰らぬ人となる。

―――――――――――――――

「俺…お前に何もしてやれなかった。」

悲しみ、怒り…いろんな感情が次々に
込み上げくる。
この2日間、夜はずっと泣いて過ごしていた。

「できるなら…またお前と
会って話がしたい。」

俺は周りの人達にバレないようにして、
彼女の遺体の額にそっとキスをした。
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