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3. 「ロクデナシ」
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「ロクデナシ」
誰に向けられた言葉だったのだろう。
それが自分の口から出たのか、
それとも誰かに投げつけられたのか、もう思い出せない。
親が産んでくれた身体を、粗末に扱うこと。
心と身体に残る傷を、自分の手で増やしていくこと。
それらすべてをひっくるめて、
私は自分のことをそう呼んでいるのかもしれない。
でも、当時の私は、本当の「ロクデナシ」は、私のほうじゃないと思い込んでいた。いや、そう自分に言い聞かせていた。
弱っている人間の不安につけ込んで、
「選んだのは君だ」と責任だけを押しつける大人たち。
お金を払えば何をしてもいいと信じて疑わない、その鈍い傲慢さ。
彼らは、私の身体ではなく、私の「逃げ場のなさ」を買っていた。未来への不安も、孤独も、ぜんぶまとめて値段をつけて。
それを都合よく消費して、何事もなかったように日常へ戻っていく。
傷つくのはいつもこちらなのに、汚れるのも、壊れていくのも、こちらなのに。
それでも彼らは言うのだ。
「誰も強制していない」と。
ネットニュースで、
「未成年が売春」「パパ活」
そんな言葉を見るたび、決まって湧いてくる声がある。
「頭がおかしい」
「親の育て方が悪い」
「自業自得だ」
でも、彼らはいったい何を知っているのだろう。
その子がどんな家で育ったのか。
どれくらいの孤独を抱えていたのか。
どれだけ助けを求めて、無視されてきたのか。
何も知らないままたった数行のニュースだけで、誰かの人生を断罪できるほど、
人は本当に正しいのだろうか。
生きるために選ばされた選択と、
楽をするために選んだ選択は、
同じ言葉で語られていいはずがない。
それでも、画面の向こうの人たちは、安全な場所から石を投げる。
自分は“まともな側”にいると信じて、傷ついている側を「異常」と呼ぶ。
でも私は知っている。
壊れたのは、あの子たちじゃない。
壊したのは、助けなかった社会のほうだ。
結局、世の中で「まとも」と呼ばれる人のほうが、
ずっと少ないのではないだろうか。
正しいふりをしながら、
誰かを踏みつけて生きている人のほうが多い。
そして私もまた、
自分を正当化しながら、
間違っていると分かっている道を進んでいく。
それでも、止まれない。
「ロクデナシ」
誰に向けられた言葉だったのだろう。
それが自分の口から出たのか、
それとも誰かに投げつけられたのか、もう思い出せない。
親が産んでくれた身体を、粗末に扱うこと。
心と身体に残る傷を、自分の手で増やしていくこと。
それらすべてをひっくるめて、
私は自分のことをそう呼んでいるのかもしれない。
でも、当時の私は、本当の「ロクデナシ」は、私のほうじゃないと思い込んでいた。いや、そう自分に言い聞かせていた。
弱っている人間の不安につけ込んで、
「選んだのは君だ」と責任だけを押しつける大人たち。
お金を払えば何をしてもいいと信じて疑わない、その鈍い傲慢さ。
彼らは、私の身体ではなく、私の「逃げ場のなさ」を買っていた。未来への不安も、孤独も、ぜんぶまとめて値段をつけて。
それを都合よく消費して、何事もなかったように日常へ戻っていく。
傷つくのはいつもこちらなのに、汚れるのも、壊れていくのも、こちらなのに。
それでも彼らは言うのだ。
「誰も強制していない」と。
ネットニュースで、
「未成年が売春」「パパ活」
そんな言葉を見るたび、決まって湧いてくる声がある。
「頭がおかしい」
「親の育て方が悪い」
「自業自得だ」
でも、彼らはいったい何を知っているのだろう。
その子がどんな家で育ったのか。
どれくらいの孤独を抱えていたのか。
どれだけ助けを求めて、無視されてきたのか。
何も知らないままたった数行のニュースだけで、誰かの人生を断罪できるほど、
人は本当に正しいのだろうか。
生きるために選ばされた選択と、
楽をするために選んだ選択は、
同じ言葉で語られていいはずがない。
それでも、画面の向こうの人たちは、安全な場所から石を投げる。
自分は“まともな側”にいると信じて、傷ついている側を「異常」と呼ぶ。
でも私は知っている。
壊れたのは、あの子たちじゃない。
壊したのは、助けなかった社会のほうだ。
結局、世の中で「まとも」と呼ばれる人のほうが、
ずっと少ないのではないだろうか。
正しいふりをしながら、
誰かを踏みつけて生きている人のほうが多い。
そして私もまた、
自分を正当化しながら、
間違っていると分かっている道を進んでいく。
それでも、止まれない。
「ロクデナシ」
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