10 / 89
私とママ。
さらば食の街。私は上空で、ママにとろとろに溶かされる。
しおりを挟む「なぁ、ジャックに呼ばれたんだが、ヤツを知らないか??」
目の前にはもふもふの大きいワンちゃん。目はくりくりで、タレ耳。犬種は、ゴールデンレトリバー??でも、毛の色は、不思議な緑色だ。ママよりも大きいワンちゃんは、ジャックさんが呼んだルファスさんかな??
「ジャックさんは、ママと裏に行ったんですけど。もう少しで帰って来ると思いますよ。」
「ママ??あぁ、ジフリールか。アンタは初見だな。俺はクー・シーの“ルファス“だ。アンタの名前は?」
「ユーリです。宜しくお願いします。」
「ふーん、、、なるほどな」
ルファスさんは、私をぐるりと見回した。そんなにいっぱい見られると、恥ずかしい。化粧もしてないすっぴんだし、綺麗なものではない。
「お、ルファスはん来てくれたんやな~。ママが大量に仕入れたから、手伝って欲しいんやけど」
ルファスさんの声を聞き付けたかのように、奥の部屋からジャックさんとママは帰ってきた。ジャックさんと一瞬目があったけど、何だかよくわからない感情をしていた。ママはというと、一切目が合わない。何があったのかはわからないけど、何だか悲しい。
「、、、、幾らだ。」
「え~、お金取るん~」
ジャックさんとルファスさんが話し合っている間に、ママと荷台に仕入れ箱を積み込む。ママは無言だし、私は重たいものが入っていない仕入れ箱しか持てない。それでも不思議とママと息が合い、荷台に上手く詰め込む事が出来た。
------------------------------------
「さ、ユーリちゃん、ノースのところに帰りましょ??ジャックとルファスは後から来るはずよ。」
ママの後に続いて、お店から出た。その頃には、いつものママに戻っていた。
ママは重たい荷台を少し苦しそうに引いている。
腕の血管と盛り上がった筋肉が凄いとか、ちょっと苦しそうな顔もかっこいいとか、額から流れる汗を拭う仕草がえっちだとか、とにかく色気を撒き散らしている。何もしなくてもすれ違う女性は、必ず振り返ってしまうぐらいの色男が、さらに色気を増していたら、みんなメロメロになってしまいそう。
私も、男らしいママにドキドキしてしまう。
「はぁっ、、、、流石に買いすぎた。きっつ。」
言葉使いも、男性らしさが増している。どうしよう、凄くドキドキする。男性と意識しちゃって、側には居れない。
意識を他に向けることにした。荷台が溢れ返りそうなほど買ってたら、キツイよね。私もママの力になりたいんだけど、、、どうしようかな。
そうだ、荷台を後ろから押してあげればいいかも!!
「ん??ちょっと軽くなった??って、ユーリちゃん!!そんな事しなくても大丈夫なのよ!?」
振り返ったママとバッチリ目が合う。
汗でしっとりした、小麦色の髪をオールバックのように撫で付けて、顔は少し赤くなっているママ。私が手伝うことで、少し困ってそうな顔もかっこいい。
「ママの力になりたいの」
私がそう言うと、ママは少し目を見開いて、そして笑った。胸の奥がきゅんってときめいている。はぁ、とんでもないイケメンだなぁ。どんな女の人でも落とせちゃうよ。ママ、自覚してる??
「ユーリちゃん、ありがとね。ママも頑張るわよ~」
さっきより、ママが荷台を引く強さが強くなって、ノースさんが待っている所には、あっという間に着いてしまった。
----------------------------------------
「主人、流石に買いすぎだ」
ノースさんもそう言ってる。流石に、この量は買いすぎなのだ。それにこれからグリフォンが3羽も来る。
何だかんだ、ノースさんの背中に仕込み箱をしっかりと括り付け、後はルファスさん達が来るだけだ。
「あ~、やっと着いたで~」
「仕事はこれで終わりか。」
少し待っていると、ジャックさん達とルファスさんが、グリフォンを届けてくれた。ノースさんは呆れ気味だ。
グリフォンも背中に括り付け、ママと私とはノースさんに跨がる。
「今度はもっと計画的に買いや~」
ノースさんが地面を蹴り上げ、私達は食の街を後にした。
-------------------------
「ノースさん、重たくないの??」
素朴な疑問。これだけの荷物だと、ノースさんほどのドラゴンでも負荷になりそうだけど、さっきの飛びっぷりはそれを感じさせなかった気もする。
「ユーリ、大丈夫だ。俺も柔なドラゴンじゃないからな。これを引いて帰ってきた主人の方が、よっぽど大変だっただろう。」
自分よりも、主人であるママを心配するノースさんはやっぱり優しい。確かに、あの荷物の量の荷台はすごく重たかったし、私が頑張って押した所でママの力になれていたのかどうかも、微妙だと思う。
「こんなに筋肉を使ったのは、久しぶりだな。やっぱり鍛えないと衰えるもんだ。」
衰えるなんて、ママの腕はそんな風に思えない。上腕二頭筋の盛り上がりも凄かったし、ママって太いマッチョって感じじゃないけど、でも鍛えてる身体。そんな事考えると、またママの身体を意識してしまう。
私を後ろから抱き締めているママは、結構汗をかいていた筈なのに、汗の匂いは全くせず、甘いフルーツの匂いがする。甘くて美味しそうで、身体の奥がきゅんってする。私の欲が溢れ出して来ないように、唾を飲み込む。イケメンって良い匂いらしい、って話は事実だった。
「ユーリちゃん、見て。綺麗な夕陽だよ。」
ママの匂いに夢中になっていて、折角の夕陽を見るのを忘れていた。ただの変態であることがママにバレたら大変だ。
大きな空に浮かぶ赤い球体。それは、前世で見ていたものより、大きい気がする。ここは異世界だから、距離が近いのかな、、?でも、思っている以上に暑さを感じないし、あれは太陽じゃないのかな??
眩しい、暖かい光が私達を照らしている。その外観を崩してしまうものは、この世界にはない。
「ねぇ、ユーリちゃん。俺の独り言聞いてくれる?」
「ひゃぁっ、、、マ、ママ??」
私の耳に、ママの甘い声がそっと吹き込まれた。息が耳の中まで伝わって来て、腰がゾワゾワしてくる。しかも、今のママはオカマ口調じゃ無い、男性だ。
もう夕陽なんて気にしてる場合じゃない。ママの事しか考えられない。ノースさんの上だから逃げ場なんて無いし、抱き締められているから、余計にママにのぼせてしまう。
「はっ、ユーリちゃん可愛いね。」
「んぅ、、ぁっ、、、、」
ママの指が、私の耳を掠める。その感覚に、不覚にも感じてしまう。声を我慢したけど、少しだけ溢れてしまった。ママに聞こえてないと良いんだけどっも、、、、私がえっちな女だってことがバレちゃう。感じちゃダメだってわかってるのに、ここは空の上なのに、ママのせいで頭がパンクしそうだ。
「ジャックがユーリちゃんのこと、預けないかって言った時、俺は嫌だと思った。出逢った時に俺が、ユーリちゃんの事守るって決めてたから。」
私を抱き締めるママの腕に力が入る。胸の下を回るママの太い腕、この状況ってなかなかラブラブなカップルみたいに見えちゃいそうで、恥ずかしい。顔はもう夕陽に負けないぐらい真っ赤だろう。
、、、、ジャックさんのところでの出来事はびっくりした。出逢って1日も経ってないのに、私もママと離れたくないと思った。ママも私と離れたく無いって思ってたことは凄く嬉しい。それにキュンってして、胸の奥が締めつけられる。
「この気持ちは、、、まだ、はっきりとはわからないけど、これからも俺と一緒に居て欲しいし、俺にユーリちゃんの事守らせて欲しい。」
「ママ、、」
ママの顔が見たくなって、後ろに振り返ろうとしたとき、強い風が私達を纏った。
「主人、ユーリ、もうすぐ家に着く。」
ノースさんのその声で、私はママの腕を、ママは私の身体を、お互いが離れないようにしっかりと抱き締めあった。
密着した身体から、ママの鼓動がとても早いのを感じた気がした。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる