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私とママ。
彼女が消える夢。☆-ママ視点-
しおりを挟む白い空間、そこにユーリちゃんは立っていた。
ただ呆然と立ち竦むその姿は、頼りなくて、1人でいると消えてしまいそうな程儚くて、私が守ってあげなきゃって思う。
「ユーリちゃん?そこで何してるの??」
話しかけても、微動だにしない、、、。
どうしたのかしら??ここは、アナタが来る様な所じゃないでしょ??
この場所は、“死人の成れの果て”。
普通、死んだ人間は、天国に行き民となるか、地獄に行き亡者となる。
何らかの原因で、どちらにも行けなかった人間は此処へ辿り着く。“成れの果ての者”、私達の間ではそう呼ばれている。辿り着いた人間は数少なく、何も無い白い空間は、死んだ人間にとって、天国であり、地獄でもあるらしい。
ここは、天使と悪魔の両方の監視下にあるので、どちらかが迎えに来るはずだが、誰にも逢えなければそのまま朽ち果ててしまう。
天使が迎えに来た場合、天国へ行く事ができ、特殊な契約を結ばなければ消えてしまうと言うが、実際その契約が何なのかは、ここの監視者しか知る事ができない。
「ユーリちゃん?帰るわよ??」
アナタがここに居る必要はない。だって、ユーリちゃんは記憶を無くしちゃった民でしょ??
ユーリちゃんに近づき、小さな手を握ろうとしたが、触れる事が出来なかった。
「え、、、どうして、、??」
私の声が聞こえたのか、ユーリちゃんと私の目が合う。そこ瞳には悲しい感情が浮かび、今にも泣いてしまいそうだった。どうしてそんな顔をしているのだろうか。
そんな彼女を、抱き締めて安心させてあげたいけれど、触れる事すら出来ない。
彼女の周りがうっすらと光だし、そして彼女自身が消えかかっている事に気付いた。
「え、嘘だろっ!?そんなっ、嫌だ!!!
一緒に居て欲しいって、俺にユーリちゃんの事守らせてほしいって言っただろ!!」
俺が叫んでも、彼女の消滅を止める事はできない。
やがてユーリちゃんは消え、辺りは何も無かったかのような真っ白な空間がどこまでも広がっていた。
-----------------------------------
ハッと目が覚めると、そこはいつものリビングだった。
「夢、、、、。」
ほっと一息をつく。実に最悪な夢だったわ。さっき恋だと気づいたのに、次はユーリちゃんが消えてしまう夢を見るなんて。
それにしては実にリアルだった。ユーリちゃんが“成れの果ての者”だなんて、そんな事、、、。
記憶がないとは言ってたけど、1人じゃここには辿り着く事なんて出来ないし。誰かがここに連れて来たとか??、、、、考えても仕方がないし、ラグエルがこの店に来たら聞いてみようかしら。
「ママー!!!!」
お風呂に入ってるはずのユーリちゃんが、私の名前を呼んだ。夢で本当に良かった。居なくなっちゃったら、私、、、。嫌よ、
こんな事、考えるのはやめるわ。
どうしたのかしら、早く行かなくちゃ。
「ユー、、、リちゃん。ごめん。」
扉を開けると、ユーリちゃんは確かに居た。バスタオルを身体に巻いた姿で。
見てしまったが、これ以上は見ない様に蹲る。
胸下まで伸ばされた黒いしっとりと濡れた髪が、身体のラインに沿って流れていた。顔はお風呂上がりで火照っていて赤い。タオルを巻いていない部分から見える肌は、ツルツルで綺麗だった。
好きな女の身体。
少し見てしまっただけなのに、こんなにも感情が昂ってしまう。もっと触れたい、自分の手で火照らせたい。自分の中の男が、彼女を手に入れたいと疼いて仕方がない。
「ママ、ママなんだから身体見たぐらいで恥ずかしがらないでよ~。あのね、着替えがないから、ママの服貸して欲しいの。」
彼女の言葉で、私はママであって、男だと思われてないんだと、再度認識させられる。私が言い始めた事なのに、私の言葉に縛られて、虚しくて、胸が苦しくなる。
恋愛をした事がない自分が、まさか出会ったばっかりの子に恋をしてしまうなんて思わなかったのだから仕方ない。
ユーリちゃんの事が好きだから、ママだけど、男だと思われたい。
その気持ちが私の行動までも支配した。
「ひぇっ!?」
気付いたらユーリちゃんを壁に押しつけていた。自分自身の行動に驚いていて、動く事ができない。
もう少しで、その赤くて可愛らしい唇に触れる事が出来るのに、もどかしい。
キスってどんな感じなの?
ユーリちゃん、ママに教えてくれない、、?ふと、ユーリちゃんがもう他の誰かとキスした事があるのか気になってしまう。それ以上の事も、、、。
でも、記憶喪失な彼女なら、全部の初めてが私になるのかしら。あぁ、それってすごく嬉しいわ。そうなると、彼女の初めての全てが欲しい。他の誰かになんて、、、渡すつもりはない。
「ユーリちゃん、ママ以外にそんな姿見せちゃだめよ?」
ユーリちゃんの頬が少しずつ赤くなっていく。
「ぁ、、、うん。」
焦茶色の大きな瞳を覗き込む。私もハニエルみたいに、見てるだけで人間の心の声が聞こえる能力があれば、ユーリちゃんが何を考えてるのかわかるのかしら。
触れた身体が冷たくなっている事に気がついた。慌てて手を離す。
「服、取ってくるわね。風邪ひいちゃうから、もう一度シャワー浴びてきなさい?」
脱衣所を後にして、ユーリちゃんに着せる服を探す。どれでもいいけど、丈が長くないと、、気になっちゃうわね。下着も無いのよね、手を出しちゃわないか心配だわ。今晩洗濯すれば朝には乾くし、明日は服を買いに連れてってあげなきゃ。私の身も持たないわよ。
もう一度脱衣所に戻り、服を置いた。ドア越しにユーリちゃんの身体を見てしまう自分がいる。
「はぁ、やば。変態じゃん。」
こんな変態から逃げて欲しいけど、逃すつもりもない。
-----------------------------------
これから仕事なのが少し億劫だわ。こんなの初めてじゃない?今日は定休日じゃないから、急に休みにする訳にもいかないし、、、お客さんが少なかったら早めに閉めちゃお。
今はただ、ユーリちゃんの側に居たいの。彼女と過ごす時間が足りないわ。
「ママ、お風呂出たよ?服もありがとう。」
私の服を着たユーリちゃんは、びっくりするぐらい色気があってエロかった。
ノーブラな筈なのに、大きさの変わらない胸。太ももは半分しか見えてないけど、その肉付きの良さが唆られる。
これ以上見てると色々我慢出来なくなっちゃいそうだから、慌てて視線を逸らす。
「私もお風呂入って来るわね。そのあとは、仕事だから、奥の部屋のベッドで寝てても良いわよ?今日は客も少ないと思うから、早めに上がるわね。」
タオルを持って、逃げる様に風呂に行く。下着を脱ぐと半勃ちだった。慰める時間もないから、とりあえず仕事の事考えて、鎮めなきゃ、、、。ユーリちゃんの事は考えてちゃダメね。
シャワーだけ浴びて、仕事着を着て、適当に髪をセットしてカウンターに向かう。
ユーリちゃんは、BARから見えないキッチンに椅子を持ってきて、私を見ていた。
、、、、全然仕事に集中出来ないわ!!!!!
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