39 / 89
私と恋人。
不安な気持ちも、私が消してあげられるかな。
しおりを挟む「きゃっ!?」
パリーンと高い音が、BARの方から響いた。久しぶりに甲高い悲鳴をあげた気がする。そんな声が出た事にも、そんな音が聞こえてきた事にもびっくりした。
何かあったのだろうか、不安で声を掛けることにした。
「マ、ママ、、??だ、大丈夫なの??」
少しだけBARの方を覗いてみると、ママとばっちり目があった。酔っているのか顔が赤くて、いつもより色男だ。見える、見えるぞ!!魅惑のピンクオーラが!!もしかして、、私だけが見える特殊能力!?、、いや、妄想なんだけども。
しかし、なんだか、、ママは、、欲情してる時と同じ顔をしているような気がする。私を欲情させてしまう、罪深い瞳。心までも鷲掴みされそうで、苦しくなる。だけど、それが心地良くて、ママに独占欲されているようで安心する。
そんな事を思っていたら、ママがこちらに近づき、カウンターを軽々と飛び越え、私を隠すように抱き締めた。びっくりして声を上げそうになったけれど、ママの優しいけれど力強い腕が、黙っててって言ってるようで、息と共に言葉も押し込める。
強いウイスキーの香りの中に、隠せないママの優しい香りがする。いつもよりも沢山飲んだのだろう。ママの身体は熱くて、私までもその熱に溺れそうだ。同僚がいるのに、このまま二人でとろけてしまいたい。私の中のエロい気持ちが、少しだけ出てきた。
今日は抱いてくれるかな。一昨日いっぱいしちゃったからって、昨日はおあずけだったから、、、。
「ユーリは、俺のだから。」
「ぇ、、ぁっ、、」
不意打ちに、ムラムラが増す。奥がキュンとして、妄想から現実に引き戻される。ママからユーリと呼ばれたのは初めてだ。それに、今のママはジフリールさんで、、、。しかも、俺のだって言われちゃった。こんなイケメンに独占されて、正気でいられる訳ない。ドキドキが酷くなって、胸が苦しい。
「あのジフリールが、、。」
「カマエル、失礼しちゃうわ。」
「はっ、俺様達に、見せ付けてくれるじゃねぇか。」
「ユーリちゃんに手を出したら、下半身はないわよ、相棒。」
「いいねぇ、、美味しいつまみだよ。」
「ウリエルは飲み過ぎ。二日酔いになればいいのよ。」
はぁ、とママは深く溜息をついた。
「、、、もう十分飲んだでしょ、早く帰って欲しいんだけど。」
明らかに、声色が不機嫌なママ。私を抱き締めている腕の力は、弱まる事はなく、ママの暖かさが私に染み込んでいく。
「そうだな、目的は達成したし。そろそろ俺様は撤収するかなーっと。」
「んじゃ、俺らも帰るか。」
「そうだな。」
「なぁ、ジフリール。また一週間後に俺様は来るぞ。その時まで、女に飽きられない様に頑張れよっと」
人の気配が消え、静か空気が辺りを包む。BARには、私とママだけなのだろうか。ママの腕の力も徐々に緩んできて、眠気を誘う光が、私の目に映り込んできた。
私の身体から、腕や身体が離れ、ママはカウンターにある椅子に座った。ここは、ママだけが座れる特等席。ペンダントライトが、ママの目の前を照らして、哀愁漂う空気を生み出す。
「ユーリちゃん、みっともない姿、見せてごめん。」
「ん?何の事??」
「俺のだなんて、、余裕ないわよね。ユーリちゃんの事になると、どうしても、、」
シュンと落ち込みママは、小さい子供の様で可愛らしい。頭を撫でると、悲しそうな、辛そうな瞳と目が合う。その瞳に、私の胸は締め付けられた。
ねぇ、ママ。恋人から独り占めしたいって思われてる事に、嬉しいと感じない人なんて、居ないと思うんだけど。
私は、ママに独占したいって気持ちがあって嬉しいよ。それだけ、私の事思ってくれてるって事でしょ?
「ユーリちゃん、、、俺の事、飽きない?」
「ジフリールさん」
項垂れた頭を、私の腕と胸の中に閉じ込める。ワックスで固められた髪を、溶かしていく様に撫でる。もうお仕事終わったでしょ?私だけの、ママを見せて。
「っ、、」
安心して、私は何処にも行かないし、ママの側に居たいんだよ。それに、こんな素敵な恋人飽きる訳がない。私の事を守ってくれて、私の事を好きでいてくれて、私が初めて触れられる相手を好きになったんだから。
「飽きる訳ないでしょ?私は、記憶を思い出しても、ジフリールさんの側に居たいって言ったの、忘れちゃった?私も、こんなに好きになったの初めてだから、不安になる事もあるけど、、。でも、ママが思ってる以上に、私はジフリールさんの事が好きだよ。」
そう言うと、ママの腕が私の身体に回って強く引き寄せられた。さっきは、私の事を抱き締めていたのに、今は立場逆転だ。
「ジフリールさんの事、私で満たしたいな。」
私だって、みんなのママを独占したいよ。ママの周りに女が取り巻いてたら、凄い嫉妬すると思うし、辛いと思う。ママの気持ちは、ママ一人で抱え込まなくていいんだよ。
「ごめん。ユーリちゃん、ありがとう。」
腕の力が緩まり、ママは私の身体から頭を離した。私の顔を見上げたママは、まだ少し不安そうな色を残して、だけども嬉しそうに笑った。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる