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Cadenza 花車 ㉑
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医療班の皆が限界まで魔力を放出していくことにより部屋の中、その全てが魔力に満たされていくのを肌で感じる。
魔力を見ることが出来ない、そんな私でも感じるほどに手に取るように、見えてしまうかのように魔力の濃度が濃い。
この部屋に魔力が…人々の祈りが満たされていくのを肌で感じてしまう。
見えなくても感じる。この純粋な祈りを肌で感じる。
医療班の皆の体から解き放たれる様に祈りが具現化したかのように溢れ出た魔力がお母さんの体へと自ら吸い込まれていくかのように流れ込んでいくのが見える。
空気中に漂う魔力を吸収していってる、それも殆どロスすることなく。
流石って言いたくなる、これ程までに空気中に漂う魔力を操作する事なんて私でも容易くできたりしない。
そう、容易くないけれど、私もね出来るから。それにここまで曇りなき純度の高い祈りであれば、尚更、だよね。
ちょちょいとお母さんの方へと流れて行かない魔力を私の方へと向けさせてっと
お母さんにバレないように私も彼女達から魔力を少しずつ拝借していく。
人々の祈りで満たされた魔力だからこそ、私達の体にすんなりと馴染んでくれる。
医療班の皆だからこそ、生み出せる奇跡
救いたいと心の底から願っているからこその奇跡
漂う魔力を肌で感じなくなるほどに薄く感じると
次々とペタペタと地面に音が生み出される。
多くの医療班が床にお尻をつけ
「私達は…これが限界です、また魔力を限界までねります~」
最後の声と共に上半身も支えれることが出来ないのか上半身が床に吸い込まれていく。
「では、次の方達お願いします」
その姿を見て何一つ表情を変えることなく冷静に次の一手に向けて可憐な声が廊下へと続くドアへと向けられる。
その声を聴いた待機している医療班達によってドアが開かれ次々と男性の職員が入ってきて立てなくなった女性達を担ぎ外へと運んでいき、倒れ込んだ医療班全てを運び終わると次の医療班が次々と入ってくる。
一連の流れを見て、察する。
急ピッチで彼らの改造術を終えれた方法、手順の全てが。
医療班全員の魔力をこうやってお母さんと団長に補充していったのだろう
女将の施術が終わると、医療班の多くがこの部屋に集まって先ほどと同じ手順で魔力をお母さんと団長に注ぐ
1のグループが魔力を渡し終えたら魔力回復促進剤を飲んで休憩し
お母さんと団長に魔力が満ちたら、直ぐに、ベテランさんの施術を行い
2のグループが魔力を渡す…このループを繰り返し、医療班全員で無茶を通した。
この連携に関しては完全に想定外。
そんな無茶を出来るとは思っていなかった。
次々と入ってくる医療班が先ほどの医療班達と同じように全身から魔力を部屋中に放出していく。人々を助けたいと願う祈りが込められた魔力がお母さんの体へと吸い込まれていく…
まるで、この一室があの…儀式の部屋のようになっている。
部屋の中央に白髪の聖女がいて、多くの人達が祈りを捧げている、それも中央にいる一人の聖女に祈りを捧げるように…この部屋での出来事がある特定の人が見たら神聖な光景に見えるだろうね。
神聖な光景、この様な儀式が行われていたなんて完全に想定外。
どうして、想定外だって?
こんな荒業出来るのはお母さんだけだし、そもそも、これを…叔母様が良しとするとは思えれなかったんだもん。
─ 研究データで知りえているでしょう?彼女が持つ才能を、過去が教えてくれたでしょう?彼女が持つ稀有な能力を
これが奇跡でも何でもないのだと、今代の私の記憶が教えてくれる。
そりゃ、過去の惨劇から彼女が特異で稀有な能力を持ち合わせているのを知ってるけどさ、始祖様の因子研究に関してはね、私の時はそこまで詳細を出せてないってーの…私が辿り着いたのは各々がどんな才能を始祖様から受け継いでいるのか、僅かだけれど指標となる、その程度のデータしか揃えれてないから、今代の私程、皆の才能については知らないよ。
反論しても何も返事が返ってこない。
感情があるようで感情が無い、不思議で不可思議な、記憶。
それが今代の私の残滓…命を、全てをかけて世界を守ろうとした最後の聖女。
教会として認められた最後の聖女が多くの祈りを受け止め続けている、その光景を目に、ううん、心に焦げるほどまで焼き付かせる。
されど、今後に備えて私もぬかりなく拝借を忘れない。
何度も何度も人が入れ替わっていく、その都度、こっそりとあぶれた魔力を吸い込んでいく。
お母さんほど魔力を回収する能力を会得してはいないけれども、わずかとはいえ幾度も魔力を頂ければ体の中に魔力が廻っているのを感じることが出来る。
ただ、問題があるとすれば感覚だよりって部分かな?今、この体に魔力がどの程度、満たされたのか数値で表せれるほど詳細がわからない、だけれど、感覚では理解できる、そこそこ満たされているのだと。これだけの魔力であれば、少しの間くらい無理は出来そうだし、愛する旦那が魔力が溢れ出ないように折りたたむ様に魔力を圧縮してくれているのも感じることが出来る。
魔力を精製することは出来なくても、魔力を保存することが出来る…っふ、まるで生きた魔石ってところかな?
そう、私は人々の願いで動く人形だもんね。
部屋の中に幾度となく人が入れ替わっても起きようとしない団長に視線を向ける。
あの団長が起きないってことは、メインはお母さんが担当しなかったのかもしれない、交互にメインを担当するように団長が押し切ったのかも。
だとしたら、これ以上団長に疲労を重ねさせるわけにはいかない。
予定外とはいえ魔力を得たのだから、最悪、団長が疲れて動けなくても私一人で何とかなりそう、ううん、何とか出来る、私に埋め込むだけであれば左程難しくないし。
儀式を見守り続けてると全身から大粒の汗を流しているもう一人の最後の聖女が
「ありがとう、皆の想い受け取ったわよ」
口を開き儀式の終わりを告げた。ので、私は私で部屋に残っている魔力を最後の最後まで搔き集める。
意識を集中させながらも皆の様子を見守っていると
「街を救う為に…我々に希望を…お願い、しま、す」
大粒の汗を流し今にも意識が途絶えそうな医療班が最後の一言と共に床に吸い込まれるように横になる。
彼女たちの願いを受け止め切った聖女は小さく頷いた後、立ち上がり脱いだ上着に袖を通し背筋を伸ばし視線を落とす、その先には、ある人物ベンチが未だに気持ちよさそうに寝ている。
あんなにも多くの人達が入れ替わったとしても寝続けている団長を見て優しそうな眼をしたあと、メイドちゃんの合図と共に部屋の中に入ってきて床に倒れるように寝てしまった看護師達を男性職員たちに
「最後の術式を始めるわよ」
「はい!」
気合が込められた言葉に、自分たちの願いを重ねるように多くの人達が声を重ねた。
この一言によって一気に部屋の中に漂う空気が、雰囲気が…締まる。
流石は元医療班の団長って、感じさせてくれるほどのカリスマ性。
お母さんはさ、私が指導者として人を…人類を導くって言うけれど、私からすればお母さんの方が絶対に向いてると思う。
だから…この後の事はきっとお母さんが何とかしてくれる。
私は未来に愁いを抱くことなく…全てをこの戦いに捧げれる。
彼らの動きを見守っていると、手際よく先ほどの声ですら起きようとしない今もなお眠り続けている団長を担架に乗せて運ばれていく、その後ろを私も付いていくメイドちゃんが押してくれるし、階段も漢連中に神輿のように担がれて運ばれる。
全て何も指示を出すことなく各々が仕事を完ぺきにこなし、浸透水式を行う部屋に私達が運ばれ、寝ている団長の服も手際よく脱がされゆっくりと水槽の中へと置かれ、彼女の体、その半分っというか胴体の部分だけが液体に浸される、両手両足は浸っていない、ちゃんと胴体だけが浸るようにセットされている。
少しでも材料を節約するために創意工夫をしたのだろう、あの巨体である女将を一番最初にしたのは彼女の体から行わないと液体が足りない恐れもあったからってのもあるんだよね、もう一つの理由としてデカすぎるからっていう理由はね、彼女にはいえないね。
手足が液体に浸からないように腕や体が固定されていく、丁寧に扱われているとはいえ、ここまで体を触られ固定されているのに起きない。
ここまでして寝起きが良い団長が目が覚めることが無いのをみて察する。
自身が体を休めるために寝たのではなく、薬で眠らされているのだと
先を見据えて、薬を仕込むあたり
「手際がよすぎない?」
「っふ、効率こそ正義、でしょ?」
効率重視で動く彼らの動きに感嘆の声が零れてしまい、小さな呟きに自信満々に返事を返してくれた。
そのまま流れるように浸透水式を行うための陣の中へと入っていくので、私もサポートするための二つ目の陣の中に入り、メインを担当するNo2へと精神を繋げるために陣を起動させる
意識を陣へ向けてすぐに伝わってくるこの陣特有の特殊な感覚、その感覚によって意識が繋がったと確信できる、何も問題なし。
意識をNo2に重ねると、既に動き出している、私の補助何て不必要だと感じさせられる程に彼女の手際が速い、だって、もう魔道具を団長の体の中に侵入させていたのだから。
驚くほどの手際の良さ、ここまで易々とこなしているのであれば、私が何かしらサポートをするってのはさ、必要無さそう。
本来、私がいる陣の役割としてはメインを担当している人が患者と自身の精神が溶け込んでしまう、同調現象を起こさせないために必要な命綱の役目、それが基本だからね。
だから、基本的にこの陣に居る人がメインの代わりに何かをするってことは無いんだけど、実はね、ここからでもメインの代わりをやろうと思えば出来ちゃうんだよね、私も浸透水の中にダイブして施術を行う事も出来る。
私程の術者であればね!他の人がそれをやろうとしたらはったおすけどね!
ってなわけで、No2の集中力が芳しく無さそうだったら、術式を手伝おうって思っていたし、いざとなったら強引に割り込もうかなって思ってたりもしてたんだけど、その必要は一切必要ないって、言わんばかりにテキパキと迷うことなく進められていく。
ここまで集中力が高まってる状態で水を差すわけにもいかない。
私の出番なんて無い、ここは貴女を支えてきた私にまかせないと、そう背中で語り掛けてくれている気がする。
医療班を長きにわたり支えてきた彼女の手腕を眺め続けよう
そして、心に、魂に刻み込もう、彼女の背中を
魔力を見ることが出来ない、そんな私でも感じるほどに手に取るように、見えてしまうかのように魔力の濃度が濃い。
この部屋に魔力が…人々の祈りが満たされていくのを肌で感じてしまう。
見えなくても感じる。この純粋な祈りを肌で感じる。
医療班の皆の体から解き放たれる様に祈りが具現化したかのように溢れ出た魔力がお母さんの体へと自ら吸い込まれていくかのように流れ込んでいくのが見える。
空気中に漂う魔力を吸収していってる、それも殆どロスすることなく。
流石って言いたくなる、これ程までに空気中に漂う魔力を操作する事なんて私でも容易くできたりしない。
そう、容易くないけれど、私もね出来るから。それにここまで曇りなき純度の高い祈りであれば、尚更、だよね。
ちょちょいとお母さんの方へと流れて行かない魔力を私の方へと向けさせてっと
お母さんにバレないように私も彼女達から魔力を少しずつ拝借していく。
人々の祈りで満たされた魔力だからこそ、私達の体にすんなりと馴染んでくれる。
医療班の皆だからこそ、生み出せる奇跡
救いたいと心の底から願っているからこその奇跡
漂う魔力を肌で感じなくなるほどに薄く感じると
次々とペタペタと地面に音が生み出される。
多くの医療班が床にお尻をつけ
「私達は…これが限界です、また魔力を限界までねります~」
最後の声と共に上半身も支えれることが出来ないのか上半身が床に吸い込まれていく。
「では、次の方達お願いします」
その姿を見て何一つ表情を変えることなく冷静に次の一手に向けて可憐な声が廊下へと続くドアへと向けられる。
その声を聴いた待機している医療班達によってドアが開かれ次々と男性の職員が入ってきて立てなくなった女性達を担ぎ外へと運んでいき、倒れ込んだ医療班全てを運び終わると次の医療班が次々と入ってくる。
一連の流れを見て、察する。
急ピッチで彼らの改造術を終えれた方法、手順の全てが。
医療班全員の魔力をこうやってお母さんと団長に補充していったのだろう
女将の施術が終わると、医療班の多くがこの部屋に集まって先ほどと同じ手順で魔力をお母さんと団長に注ぐ
1のグループが魔力を渡し終えたら魔力回復促進剤を飲んで休憩し
お母さんと団長に魔力が満ちたら、直ぐに、ベテランさんの施術を行い
2のグループが魔力を渡す…このループを繰り返し、医療班全員で無茶を通した。
この連携に関しては完全に想定外。
そんな無茶を出来るとは思っていなかった。
次々と入ってくる医療班が先ほどの医療班達と同じように全身から魔力を部屋中に放出していく。人々を助けたいと願う祈りが込められた魔力がお母さんの体へと吸い込まれていく…
まるで、この一室があの…儀式の部屋のようになっている。
部屋の中央に白髪の聖女がいて、多くの人達が祈りを捧げている、それも中央にいる一人の聖女に祈りを捧げるように…この部屋での出来事がある特定の人が見たら神聖な光景に見えるだろうね。
神聖な光景、この様な儀式が行われていたなんて完全に想定外。
どうして、想定外だって?
こんな荒業出来るのはお母さんだけだし、そもそも、これを…叔母様が良しとするとは思えれなかったんだもん。
─ 研究データで知りえているでしょう?彼女が持つ才能を、過去が教えてくれたでしょう?彼女が持つ稀有な能力を
これが奇跡でも何でもないのだと、今代の私の記憶が教えてくれる。
そりゃ、過去の惨劇から彼女が特異で稀有な能力を持ち合わせているのを知ってるけどさ、始祖様の因子研究に関してはね、私の時はそこまで詳細を出せてないってーの…私が辿り着いたのは各々がどんな才能を始祖様から受け継いでいるのか、僅かだけれど指標となる、その程度のデータしか揃えれてないから、今代の私程、皆の才能については知らないよ。
反論しても何も返事が返ってこない。
感情があるようで感情が無い、不思議で不可思議な、記憶。
それが今代の私の残滓…命を、全てをかけて世界を守ろうとした最後の聖女。
教会として認められた最後の聖女が多くの祈りを受け止め続けている、その光景を目に、ううん、心に焦げるほどまで焼き付かせる。
されど、今後に備えて私もぬかりなく拝借を忘れない。
何度も何度も人が入れ替わっていく、その都度、こっそりとあぶれた魔力を吸い込んでいく。
お母さんほど魔力を回収する能力を会得してはいないけれども、わずかとはいえ幾度も魔力を頂ければ体の中に魔力が廻っているのを感じることが出来る。
ただ、問題があるとすれば感覚だよりって部分かな?今、この体に魔力がどの程度、満たされたのか数値で表せれるほど詳細がわからない、だけれど、感覚では理解できる、そこそこ満たされているのだと。これだけの魔力であれば、少しの間くらい無理は出来そうだし、愛する旦那が魔力が溢れ出ないように折りたたむ様に魔力を圧縮してくれているのも感じることが出来る。
魔力を精製することは出来なくても、魔力を保存することが出来る…っふ、まるで生きた魔石ってところかな?
そう、私は人々の願いで動く人形だもんね。
部屋の中に幾度となく人が入れ替わっても起きようとしない団長に視線を向ける。
あの団長が起きないってことは、メインはお母さんが担当しなかったのかもしれない、交互にメインを担当するように団長が押し切ったのかも。
だとしたら、これ以上団長に疲労を重ねさせるわけにはいかない。
予定外とはいえ魔力を得たのだから、最悪、団長が疲れて動けなくても私一人で何とかなりそう、ううん、何とか出来る、私に埋め込むだけであれば左程難しくないし。
儀式を見守り続けてると全身から大粒の汗を流しているもう一人の最後の聖女が
「ありがとう、皆の想い受け取ったわよ」
口を開き儀式の終わりを告げた。ので、私は私で部屋に残っている魔力を最後の最後まで搔き集める。
意識を集中させながらも皆の様子を見守っていると
「街を救う為に…我々に希望を…お願い、しま、す」
大粒の汗を流し今にも意識が途絶えそうな医療班が最後の一言と共に床に吸い込まれるように横になる。
彼女たちの願いを受け止め切った聖女は小さく頷いた後、立ち上がり脱いだ上着に袖を通し背筋を伸ばし視線を落とす、その先には、ある人物ベンチが未だに気持ちよさそうに寝ている。
あんなにも多くの人達が入れ替わったとしても寝続けている団長を見て優しそうな眼をしたあと、メイドちゃんの合図と共に部屋の中に入ってきて床に倒れるように寝てしまった看護師達を男性職員たちに
「最後の術式を始めるわよ」
「はい!」
気合が込められた言葉に、自分たちの願いを重ねるように多くの人達が声を重ねた。
この一言によって一気に部屋の中に漂う空気が、雰囲気が…締まる。
流石は元医療班の団長って、感じさせてくれるほどのカリスマ性。
お母さんはさ、私が指導者として人を…人類を導くって言うけれど、私からすればお母さんの方が絶対に向いてると思う。
だから…この後の事はきっとお母さんが何とかしてくれる。
私は未来に愁いを抱くことなく…全てをこの戦いに捧げれる。
彼らの動きを見守っていると、手際よく先ほどの声ですら起きようとしない今もなお眠り続けている団長を担架に乗せて運ばれていく、その後ろを私も付いていくメイドちゃんが押してくれるし、階段も漢連中に神輿のように担がれて運ばれる。
全て何も指示を出すことなく各々が仕事を完ぺきにこなし、浸透水式を行う部屋に私達が運ばれ、寝ている団長の服も手際よく脱がされゆっくりと水槽の中へと置かれ、彼女の体、その半分っというか胴体の部分だけが液体に浸される、両手両足は浸っていない、ちゃんと胴体だけが浸るようにセットされている。
少しでも材料を節約するために創意工夫をしたのだろう、あの巨体である女将を一番最初にしたのは彼女の体から行わないと液体が足りない恐れもあったからってのもあるんだよね、もう一つの理由としてデカすぎるからっていう理由はね、彼女にはいえないね。
手足が液体に浸からないように腕や体が固定されていく、丁寧に扱われているとはいえ、ここまで体を触られ固定されているのに起きない。
ここまでして寝起きが良い団長が目が覚めることが無いのをみて察する。
自身が体を休めるために寝たのではなく、薬で眠らされているのだと
先を見据えて、薬を仕込むあたり
「手際がよすぎない?」
「っふ、効率こそ正義、でしょ?」
効率重視で動く彼らの動きに感嘆の声が零れてしまい、小さな呟きに自信満々に返事を返してくれた。
そのまま流れるように浸透水式を行うための陣の中へと入っていくので、私もサポートするための二つ目の陣の中に入り、メインを担当するNo2へと精神を繋げるために陣を起動させる
意識を陣へ向けてすぐに伝わってくるこの陣特有の特殊な感覚、その感覚によって意識が繋がったと確信できる、何も問題なし。
意識をNo2に重ねると、既に動き出している、私の補助何て不必要だと感じさせられる程に彼女の手際が速い、だって、もう魔道具を団長の体の中に侵入させていたのだから。
驚くほどの手際の良さ、ここまで易々とこなしているのであれば、私が何かしらサポートをするってのはさ、必要無さそう。
本来、私がいる陣の役割としてはメインを担当している人が患者と自身の精神が溶け込んでしまう、同調現象を起こさせないために必要な命綱の役目、それが基本だからね。
だから、基本的にこの陣に居る人がメインの代わりに何かをするってことは無いんだけど、実はね、ここからでもメインの代わりをやろうと思えば出来ちゃうんだよね、私も浸透水の中にダイブして施術を行う事も出来る。
私程の術者であればね!他の人がそれをやろうとしたらはったおすけどね!
ってなわけで、No2の集中力が芳しく無さそうだったら、術式を手伝おうって思っていたし、いざとなったら強引に割り込もうかなって思ってたりもしてたんだけど、その必要は一切必要ないって、言わんばかりにテキパキと迷うことなく進められていく。
ここまで集中力が高まってる状態で水を差すわけにもいかない。
私の出番なんて無い、ここは貴女を支えてきた私にまかせないと、そう背中で語り掛けてくれている気がする。
医療班を長きにわたり支えてきた彼女の手腕を眺め続けよう
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