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戦士達は、術式っというアルゴリズムを用いていない?それをなしで発動しているってことにならない?ってことはさ、彼らは本能と感覚だけで、この事象を実現しているってことにならない?
そんなの、でき…るんだろうなぁ、No2が何度も見せてくれてるじゃん。

それか、他に可能性があるっとなると、補助魔道具があればだれでも可能って事?
あの魔道具はそこまで見越してそういった術式が刻み込まれている?

─ 魔力を飛ばすために必要な魔力、魔力を一定の密度へと保つように圧縮する機能は搭載している、しかし、刃のような性質を付与するような術式は組み込んでいない。

成程、ある程度は補助してたってことだね。
っとなると、彼ら自身で魔力に性質を付与する、その領域に辿り着き何度でも再現実現が出来る、つまり、実戦で問題なく扱いきれる、それを示してくれたってことか…
むぅ…なるほどねぇ…

私なら、これを…同じことをするとなると…
私の中にある選択肢から瞬時に最も適した術式を選び頭の中で作り上げ、術式を組み込んでいく。

うん、私の中にある術式でこれに近しいことができるのはあるね。
念動力という術式に念動力で生み出した力場を刃のように一定の質量を付与して刃の代用となるようにってのは出来る。
口で言うには易しだけどさ!あの術式はね、複雑で色んな術を組み合わせて何とかして生み出したんだよ?めちゃくちゃ大変なんだよ?
それに近い性質を補助も無しに、彼らが?あー・・・うん・・・はぁ、悔しいなぁ。

彼らの偉業を認めれば認めるほど悔しいって言う感情がせり上がってくる。
私の長年の研究をあっさりと感覚だけでやってのけてしまったのだから。

…信じられないけれど、信じるしかない、だって、目の前で見てしまったらそれはもう認めるしかない。

彼らはとても優秀だと…
そう、私の判断が間違っていたのだと…
認めるしかない。

あの時代、私以外にも無限の魔力に接続する、っという判断を採用しなかった、それが…勝ち負けを決めてしまったのだと。
あの戦いは、その判断を間違えた私がダメだった、あの敗因は私にある、落ち度は私…

せり上がってくる己の過ちに奥歯をすり減らすように噛んでしまう。

何も言わずに表情を崩すことなく、苦虫を噛み続けているとティーチャーくんが視界に入ってくる。
「僭越ながらご説明をさせていただきます」
あ、みんな沈黙していたから、まとめ役を率先してくれるのはありがたい。
「此方の筒状の魔道具を持ち手にセットし魔道具に向けて魔力を込めます。感覚で申し訳ないのですが、魔道具を通して魔力が鉄剣、刃の切っ先に向かって魔力が流れて集まっていくのを感じることが出来ました」
会議室でのように司会進行を胸を張ってしてくれる。
ただ、会議室の時とは違って此方の顔色を伺いながら進行を進めるのではなく、堂々と胸を張って自信満々に説明をしてくれる。

今までの彼とはと違う、こんなにも自信にあふれている姿を見たことが無い。
今代の彼は心が強く、誰かの意思を背負う、そんな想いが伝わってきてしまう。

感情が胸を熱くしているけれども、冷静な部分が彼の言葉に対して
彼の説明を聞いて思うことは一つ、うん、そういう魔道具だからね。っという冷静なツッコミを入れようとしてくる。
だって、その魔道具を作ったのは私なんだから、そこの説明いらないんじゃない?って冷静な部分が突っ込もうとするが、感情がそれを制止させる。

「この魔道具を使いこなせれたのも全て我々を強化してくれた奇跡の術のおかげです。背中に取り付けられた魔道具、此方から魔石に込められた魔力が押し込まれていくように体内へと流し込まれていくのが感覚でわかります」
押し込まれ?…私の時は自然と流れていくっていうか、時折、足らなくて魔石から吸い出すって感じだったんだけど、私の時は構造が違うのかも。
だとしたら、必要な時に魔力を吸い出すのではなく常時消費型ってことか…魔力放出器官をこじ開けているから常時魔力が抜け出ていく彼らの体を生命を守るために魔力が強引に流し込まれているってところかな?
封印術式で魔力が漏れ出ないのを防いでるわけではないもんね。
「流し込まれた魔力が僕の体の中で暴れることなく馴染んでくれます。元から僕の体の中に流れている魔力と同じように何も違和感なく、だからこそ、僕の意識を流し込まれた魔力へと思う様に思ったように心を乗せることが出来ています」
戦士達が普段から魔力を使った身体強化訓練をしてきたからこそ、体内に流れている魔力を把握し掌握することが出来ている、日々の鍛錬、その成果ってことだね。
「奇跡の術を施してもらいました、僕自身も驚いています、魔力というのがこんなにも素晴らしいのだと」
彼の瞳からは何処か遠い場所を見ている様な雰囲気が伝わってくる。
…この力が幼き頃、弱かった自分にあったらっとか、考えてたりするのかな?
彼に野心何て無いだろうけれど、守りたい者があったのかもね。
「魔力が齎す影響によって過去、僕の歩んできた道では考えられない驚くべき量の魔力が全身から溢れ出ていきます。意識を集中させることによって溢れ出ようとする、いえ、溢れ出ていくその魔力を掌握し手のひらという一点へと導き集約させる」
溢れ出ていく魔力に流れ、指向性を持たせてってところか、魔力は術式以外にも反応する、人の意思にも…魔力は心、心は魔力…そうだったね。
「このように魔力の流れを整え溢れ出る魔力を一点へと込めていきます、込める先は手の先にある魔道具へ…いえ、その先へと魔力を込め、全身から溢れ出る魔力の流れを一切途切れることなく刃へと集まめていきます」
説明が何回か重複してる気がするけど、口を挟まない。

普段の会議や会話だと、自分の中で話す内容を整理して、必要最低限、端的に話すのが彼の特徴っていうか、失言を減らす為の教育を受けてきたんだもんね。
それなのに、今回ばかりは整理しきれていない、あれかな?感情の影響とかもあるのかもね。
色々と複雑な感情が冷静にさせてくれない、言葉を整理整頓できてない。
彼のこんな姿を見る日がくるなんてね、お姉さんとして、受け止めてあげないとね。

王族は須らく、私の愛する旦那の血筋だもんね、なんつってね、にしし。

彼の言葉を遮ることなく見守り続ける、噛み締めるように小さくちいさく彼の説明に合わせて何度も何度も頷きながら彼を見守る。

「全身からの魔力が刃に集まり、いえ、自らの意思で込め続けた魔力…言葉にするのが難しいほどに、不思議ですよね。体から溢れ出た魔力、体内を流れている魔力ではなく体の外へと溢れ出た魔力だというのに、未だに体内の魔力と繋がっていて、感覚が外へと延びていく、そんな不思議な感覚、術者としての境地っというやつでしょうか?」
最後の一文が少し引っかかってしまう、体から外へと魔道具を通して込められた魔力に感覚が繋がったままっていう状態、その感覚が私には理解できない。

彼の言い方だと、魔力を新しい体の感覚器、まるで四肢のような感覚がある、つまるところ魔力と神経を繋げているってことになる。
そんなの…出来るわけがないっ!なんてね、言えないかな。
だって、彼らはやってのけているのだから。

私も魔力を手のように扱ってたりするけれど、あれは、細かく術式で制御してるだけであってさ、何も考えずに感覚だけで魔力に何かしらの性質を付与何て出来やしない。
術者は、全て演算して、術式で魔力にアプローチをかけて事象を発現させる、それしかできない。

感覚だけで行う事なんて出来やしない、私は単純に構築が速いだけ、それも何度も何度も術式を使い続けてきたからこそ構築が速いだけ…
それを、体の感覚、ただ、それだけで魔力に性質を付与してみせた。

まごう事なき、認めるしかないよね。
真なる才を持っていたのは戦士達だったんだね。

元から認めていたけれど、もっともっと、彼らの…彼らに全てを打ち明けていれば、変わっていたのかもなぁ。

自分の中で育っていく、私の愚かな一点を見つめているとまとめ役を買って出てくれたティーチャーくん以外の人の声が聞こえ、視線を向ける。
てっきり、愛弟子を見守り続けるのかと思ったんだけどね?
師匠も語りたくなっちゃったの?ベテランさん。

「そうである、さすがはティーチャーであるな!」
嬉しそうに鼻の頭を赤くしちゃって、感極まってんじゃん。
「吾輩も最初は感覚に戸惑ったのである!だが、吾輩とて研鑽を積んできたのである!何度か続けていくことで剣に魔力を込め続けることは出来たのである!だが!その先が難しかったのである!どうやって魔力を飛ばせばよいのかっである!」
けっこう、あっさりと飛ばしたように見えたんだけど?
「吾輩が敬愛する師である戦士長が一撃、その高みへと到達するためにも最も威力のある飛ばし方を模索し続けたのである。振り下ろすだけではなく、術者のように何かしら念じれば飛ぶ!のではないかと思ったのであるが、その様な感じでも無かったのである。姫様のように変幻自在とはいかぬのであるな」
過大評価だよ、私は術式を通して魔力を扱ってるだけだもん、誰だって演算が出来れば出来るよ。
「念じることによって勝手に勢いよく飛ばないのであれば、辿り着く答えは一つである!我らが戦士、誇れるは己が鍛え上げた肉体!である!」
上腕二頭筋に力を込めて筋肉をアピールしなくてもいいよ。
それに反応してるのも閃光さんだけだしね、指先だけを叩く小さな拍手を送ってる。
「つまるところ、答えは筋肉である!鍛錬のその先であるな!感覚で言えば、棒の上に乗せた球を全力で投げる!その要領で振り下ろしたのである!」
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