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とある人物が歩んできた道 ~何時だって気づきは近くにある~

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丸薬を食べ終えて、静かな夜を二人でゆったりと過ごしている、どうやって切り出せばいいのかと悩んでいたら

「先生なんだろ?」
ポツリと向こうから話を切り出してくるとは思っていなかった、なんだろう?

「その、ほら、あの、なんだ?」
この言い淀むような感じは、はっはぁん、貴女も悩んでいらっしゃるのね

畜産の人のことでしょ?っと言うとガバっと顔を上げて顔を真っ赤にしている、っふ、誰が言ったか知らんが恋の伝道師、それくらい雰囲気と言葉の感じから瞬時に理解するさぁ!
相手のことは気になるの?って言うと、「最初は変な人だと思っていた、あんな貴重な部位をタダで食べさせてくれるなんてどんな裏があるのかって警戒をしなきゃいけないねぇって、思っていたけれど」

「何度も何度も、会って話をして、一緒に食事をすると、どうやら純粋にあたいと一緒に居るのが楽しいのだとわかってから、どう接すればいいのかもっとわからなくなってしまってねぇ。」

貴女も意外とピュアなのね。

意外と女性らしい部分もあるから、見た目はともかくとして、恋の一つや二つを経験しているものだと思ってたけど、違うのね。
「村でも、色んな男と接してきたので男性との接し方がわからなくなるのは今回が初めてで、あたいみたいなのにあんな感情を向けられたことがないから、悩んでいる。」
顔を真っ赤にして話してくるくらいだから、その感情がどういったものなのかはわかっていますわよね?それを確認すると

「こういったのは、あたいには、いっしょう、ないっておもって…」
さっきまで、おっさんみたいに座っていたのに、急にきゅっと三角座りになって自分の膝にでこをつけているけれど、この月明り、焚火の明かりだけしかないのに、耳まで真っ赤になっているのがわかるほど。
恋を知れば、アイをしる、そのアイは、愛なのか、哀なのか、相なのかっていう言葉を聞いたことがありますが本当にそうですね。

自分も恋や愛なんて関係がないと思っていた世界だったけれど、意外と身近な存在でここまで悩まされるとは思ってもいなかった。

人生なんて、大きな川と一緒、何処で分岐して何処に流れていくかなんて、本流からはわからないし、その逆もある、小さな川だったけど、流れて流れて、流されて、気が付いたら色んな小さな川が集まって大きな大河になる。

そして、全ての終着点であり、始まりの海に還る

人の人生ってそんなものよね、って書いてた本があったなぁ…ロマンチックがとまらなくてすごく好きだったけど、あの本を書いた先生はお元気かしらぁ…
さて、トリップしてないで、本格的に判断しないと、ここを間違えると、彼と彼女のラブストーリーが終わる予感がする!?
私としてはライバル候補はすべからず全員幸せになって舞台から降りてほしいのよ!外道な手段じゃなくて、ちゃんと人の道として生きたいの、だって、そうでもしないと、騎士様の隣に立つ資格なんてないわ。

外道はともかく、エロは控えろ?猥談はやめろ?…もうね、後に引けないのよ、今更キャラ変更なんて不可能なのよ!なら、本能のままに変に心を清楚という無理やりな服を着飾るのはよくない、ありのままで受け入れてほしい!

・・・ん?ちょっとまって、そうなると私って猥談大好きなエロい女ってこと?

・・・・いやいや、違うから、いやいやいやいや、そ、そんな、違うから、そ、そんなこと、そんなことないから、

そんなことないから!!!清楚です!!!
誰もがうらやむ清楚ですぅ!!!ヴィッチじゃないですぅ!!!
だって私まだ経験ないもん!!!…あれはもうないけど…経験はないもん…

っは!?トリップしてないで、相手のことを考えなさい恋の伝道師!
ちらっと見ると、まだ先ほどの姿勢だった
優しく声をかけよう、きっと相手から寄せられる行為を、向けられる感情を知っている、けれど、信じられない、ありえない、信じても裏切られるんじゃないか、勘違いなんじゃないかって不安を感じてるだけ
「大丈夫よ、だって、私がアドバイスをして仕向けたのだから、前々から相談に乗ってあげてたもの」
さらっと、答えを教えてあげる、本当は、ちゃんと畜産の人から想いを告げてもらうのが一番なのだけど、こういう女性はね、土壇場になると逃げる可能性があるから、あらかじめ伝えておいて覚悟を、相手の感情を全身に受け止めれる覚悟を持ってもらわないと永遠に進まなくなってしまう、一世一代の告白を躱されてしまっては男性としては萎えてしまって、その恋を諦めてしまうからね。

私の声が聞こえたみたいで顔を上げてこっちを見ている、なに、驚いた顔してんのよ。
「からかってるわけじゃ、なさそうだね」
私が真剣に真っすぐ見てたのがわかったみたいで、すっと顔をそらした。

本当はね、畜産の人のことを考えたらよくないのだけど、こういうのはね。
念を押すのが一番なの、この機会があったからこそ、結ばれる可能性が高いのであれば、男性の声を代わりに伝えてあげましょう

畜産の人から聞いていた、惚れた理由とか、気になる理由とかを教えてあげると、落ち着いた顔色もまた赤く染め、先ほどと同じように膝の上におでこをつけて、耳まで真っ赤にしながら俯いている。
これ以上は本人の気持ち次第だから、そっとしておこう。

焚火の近くで横になり、姿勢は背臥位で寝る。
飛び込んでくるのは、星々の輝きと綺麗に輝くお月さま

始祖様は月から来たって文献には書いてあるけど、眉唾物よね、手を伸ばしても絶対に届かないのに、どうやって来たのかしら?
始祖様の伝記は、ありえないことだらけだから、こんなのは実在していない!月から来たって時点で何かの比喩で、月のように絶対に届かない存在を表現しただけじゃないのかって異論を唱える人もいるけれど

始祖様が残したものが多すぎて、否定できない。

裏の研究の一つ

始祖様をこの現世に再度降臨させる

そして、終止符を打つ、平和になれば騎士様も死ぬことがない、後はもうゆっくりとゆっくりと浸潤していけばいいのよ、騎士様の心に私がいないとダメなんだと思わせれば勝ちよかーち!

っふ、夢物語過ぎるよね、
わかってる、叶えるには何もかもが足りない、情報も、技術も、全てが足りていない
え?どうやって始祖様を降臨させるのかって、それは秘密

考えられる方法はいくつかあるけれど、どれも実現不可能なものばっかりだけど、研究ノートだけは取り続けている、いつかきっと、私が達成できなかったとしても、誰かが後を引き継いでくれるかもしれないからね。

足りないピースを他で補えたらどれだけ、楽なのだろうかと思う、この研究は、ある一団に見つかると確実に粛清対象になる為公開できない、見つかれば確実に殺される研究を共同でしてくれる神をも恐れぬ天才が欲しい…
っふ、いるわけないよね、始祖様はすべてが終わったら月に還ったって言い伝えだけど、まだ、月にいるのでしたら、お願いです。私たちを再度、お救いください。導いてください…

そんなことを考えていたらいつの間にか眠っていた

朝日によって目が覚める、巨躯の女性は夜の姿勢から何も変わっていない?寝てるのかな?
焚火も自然と消えている、体を起こして、焚火後に砂や土をかけて、再燃しないようにしっかりと消す

巨躯の女性の体を揺らしてみるが、起きないので肩を叩くとゆっくりと顔を上げるが目の下にクマが出来てしまっている。あらまぁ、眠れなかったのね
「帰ったら、睡眠薬を処方しましょうか?」
親切に言うと、首を振る「体を限界まで動かしゃ寝れるさ」そう言いながら起き上がる、焚火の後処理を確認した後、大きな斧を担いで歩いていく。
帰り道も適度に敵に出会い見つけ次第、蹂躙していくけれど、獣って図鑑では見ていたけれど、種類が豊富なのね、

そのくせ、統一感がない、この環境で生きるために生まれたとは到底思えない出で立ちばかり、目の前に転がる死体を見てみる、
猪はわかる、どうして、猪なのに背中に棘があるの?何を警戒しているの?上空から攻撃されるのを防ぐの?この棘で?しかも全然鋭くないし…なにこれ?
背中から突進してくるのならわかるけど、普通の猪と同様、口に生えた牙で突っ込んでくるだけ…絶対に自信を持って言える、何かの実験で失敗したやつを適当に放流してる。

たった一つだけの命令を、逆らえないように本能に刻み込んでいるのだろう

【人を殺せ】

それ以外の目的をもっていない、行動原理、風貌、出で立ち、研究するだけ無駄じゃないのかなって思うけれど、研究塔からすると、こいつらが地味に宝の山だったりする。
こいつらを解体研究することで得られた技術もあれば、毒を解析して薬へと転じたものもあるの、魔石もこいつらの体内にある物からヒントを得て作ったはず。

何年も戦っているのに、微妙に個体差があるというか変な特徴が追加されたやつもいれば、そのまま何も変化のないやつもいる。
なので、研究塔のみんなは進化だの歴史だのは考えるのは無駄だと悟り、捕まえれる個体は〆てもらって研究するってだけ。

昨日と今日で倒した獲物で見新しいものはなかったので、持って帰ったりはしない。

このまま、何事もなく、無事、街に帰ってくる、帰ってくる間は特に何も会話がなかったけれど、こういう人は、変に助言するとこじれるので自分の中で答えが出るまではそっとしておくのが一番
意識をしているってだけでも違う、後は、畜産の旦那の頑張りどころってわけ

帰ってきてお風呂に入って美味しいご飯を食べて!戦士の人達がご飯を美味しそうに食べる理由が本気で理解できたよ!めっちゃおいしい!!この食堂のご飯がこんなに美味しく感じれるなんて…当面はあれの改良を考えるのが一番ね。
そういえば、魔力回復薬の改良もお願いされていたけれど、どんな味だったかしら?今度研究塔に行ったときに飲もう、魔力が枯渇するまで何かに使うことなんてないし、必要性を感じないよね?って思っていたから後回しにしていたけれど、こういった細かい部分の改良って実はすっごい大事なんじゃないかっていう気づきが得られたのだけでも今回の遠出は良しとしましょう!

外は夕暮れ時で、騎士様は遠征中、帰って寝るにしては早いし、何かすることあるかなぁって思っていると遠くからこちらに向かって走ってくる馬車があったので、方角的に王都とこの街を繋ぐ定期便の馬車だろうと思って、特に気にしなかったのだけど、もしかしたら、あの二人が帰ってくるかもしれないし、もし、降りてきた時の雰囲気がアレだったらからかってやろうと向かう。

馬車から人が下りてくる、すっと、顔が腫れあがった坊やが下りてくる…ぁ、こいつやりやがったな、親父さんに殴られたのか、乙女ちゃんに殴られたのかどっちなんだい?
私を見てぎょっとする坊や、気まずそうにしている、もう一人馬車から降りてくる気まずそうな乙女ちゃん…これは、今触れていい無いようじゃないので

「おかえり、医療班のところにいっといで、今なら先輩がいるから診てもらえるよ」と坊やに促すとお辞儀をした後、悲しそうな背中で歩いていく。

乙女ちゃんのほうを見ると、落ち込んでいる…これは、そっと肩をポンポンと叩いて優しく抱きしめてあげると静かに泣き始めた…
坊や、強引はダメだよ、最初が強引なのはダメだよ、ちゃんとお互い、心を確かめ合ってちゃんと、段階ふまないと…

ぇ?私はもう段階踏んでるだろ!いつだって合体化だよ!!向こうがNOなだけだよ!自分で言ってて悲しいわ!!


後日、落ち着いた乙女ちゃんから経緯を聞いたら、別に乙女ちゃんに迫ったのではなく
色街に行くのを見てしまったので殴ってしまったそうだ…

そっちかぁ…そっちだったかぁ…さらに辛いのが、間違えて入っちゃったじゃなくて知り合いの人と一緒に楽しそうに向かおうとしていたのを尾行していたって…
乙女ちゃん、尾行はあかんけど、今回はに関しては!暴力は、絶対にダメだけど!止めて正解!

だって、初めてってすっごい大事だもの、女の子からしたら好きな人の初めては全部欲しいよね!!
暴力はダメだけど!止めて正解!!

その思いが伝わっていたらいいよね、伝わるわけないか…
因みに、どんなお兄さんと一緒に向かおうとしてたんだい?ぇ?白髪の爺さん?・・・・すぅ・・・・いやな、予感あたっとるやん・・・

そいつ確実に、坊やが言ってたお世話になった人ですやん、それは断れんて!良いところって本気でそっちやないかぁぁあぁいいい!!!

ほんっと男ってエロしか考えてないのな!!!…なんで騎士様はそうじゃないのぉ?これ以上どうやってアピールすればいいのぉ?もう、襲うしかないの?

私と乙女ちゃんの恋の行方はどっちだろうね?ふふふ…

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