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とある人物が歩んできた道 ~苦手という壁は乗り越えてこそ輝く~

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正直に申し上げます、誰しもが苦手だと感じる分野があると思います、私にとっても、あります!
学生時代に授業の一環で習うのですが、その当時から苦手意識が付きまとうものがあります!

清楚じゃないかって?おい、それは、さすがに、傷つくからやめてね?

術式である。

術式の歴史について軽くおさらいしましょう。
もともと、術式は、本当に簡単なものであれば、子供でも扱えます。

簡単な物とは何か?

手を振って、そよ風を生み出したり、気持ち程度だけど、早く走ったり、気持ち程度の体力の底上げ、気持ち程度の傷の回復を早めたりって言われています。
本当に気持ち程度なので、本当に使ってるの?って言われていますけれど、とある王都での、実験でちゃんと計測して数値化して、出した結果ですよ。
体内の魔力量を計測する特殊な魔道具で子供達を実験をする直前に計って、子供達に、こういうの出来る?って伝えてやってもらった後に、再度、測定したら体内の魔力量の数値が減少していたっていう記録がある。

このように簡単な術式は民間にも開示されているので、自然と魔力を使って日々の仕事をしていたりします。

完全に体内の魔力がゼロになると、人はどうなるのか?

純粋に機能不全を起こして死ぬっと言われていますが、とある書物に書かれていた内容によると、世界中に魔力の元となる物質が溢れているので、それを微量ではあるが自然と摂取しているので、魔力枯渇で死ぬことはほぼない、らしい。

えーっと、あと、私が知ってるのは、術式に詳しい人は王宮勤めと、王都にある宗教の本山が詳しいかな?
後は、始祖様の歴史学が関与しているくらいかな?知識が浅いのがよくわかる…

長い間、学生の頃から術式が苦手という部分があって、ダメなのだとわかっているけれど苦手だからすっと避けてきました!
っというよりも、術式を、教えてくれる程、熟知している講師がいなかったの!本を読んでも、えっと、ん?何を書いているのこれ?っていう状況、たぶん、読んでいる本の順番がよくない!初心者でもわかるやつを教えてほしい!

学院で授業あったよね?うん、あります…

だってー、いろんな本を読んだ結果、独学になっちゃってさー、これ以上を学ぼうにも、資料も高価で手が出しずらいし、試しに研究塔にある本があったから手に取って読んでみたら、専門的過ぎて理解できないの。
ちょこちょこ、研究塔とかに資料として置いてあったりするし、先輩が暇つぶしにか何かしら興味があって買ったのかな?なんで持ってるのか知らないけど術式の本を持ってきて読んでたり、読んだ本を職場の本棚に無造作に置くから、それを読んでみたりとかしていたおかげで、多少は理解したつもりでいる。

いるけれど!術式を知る人からすれば、私のレベルは初歩の初歩だと思う。

なーんとなくわかる、用意された術式であれば陣を書いて発動できる!でも、新しくは生み出せないってレベル。

…本にある陣を描いて発動するだけだったら誰でもできる?っふ、術式はそんな簡単じゃないの!込める魔力量とか、何処から発動していくのか手順を間違えると発動しないの!
だから、自分でこんな感じかな?って書いてやったことがあるんだけど、成功したことがないのよ!!何処が間違っているのかご指摘を受けたいけれど、この街にそれが出来そうな人物に心当たりがありません!!
研究塔の人達も術式は利用しているけれど、新しく生み出すってのはちょっとって感じ。

個人的な研究を先に進めるためには、此処から先、絶対に術式が必要だと理解している。
術式があれば、短縮できるんじゃないかっとか、夢物語になるけど、物質を空中に浮かしたりとか、高速でまわしたりとか、形状を変化させたりとか、色々と便利になるのだろうなぁって思ったりはする。

どうにかこうにかできないものかなぁって、そんなことを悩みながら、食堂で、おばちゃん、もとい、お姉さんお手製であり、毎日、ほとんど変わることなく、伝統ともいえるのではないか、というくらい同じメニューが続く。
この街、定番の朝ごはんを食べていると、珍しい二人組が食堂にやってくるので、つい視線を向けてしまった、珍しい二人組とは?先輩と、奥様です。

珍しい、普段はね、奥様が用意していると思われるパンに色々と挟んだサンドウィッチをベンチに座りながら仲睦まじく食べていることが多い。

子供が大きくなって、お互い良いご年齢になったにも関わらず、二人だけの甘い空間を生み出せる関係は、死の街で働く、みんなの心を穏やかにしてくれるのでここに二人そろって朝食を食べに来るのは珍しい。
私?決まってるでしょ常連よ、常連、ぇ?料理?・・・・パンに具をはさむくらいならできるけど?具?おばちゃん、もとい、お姉さんに頼めば用意してくれるけど?・・・それ以上は言うな?ね?

珍しいなーってついつい視線を送ってしまったがために、先輩もこちらに気がついたみたいだけど、敢えて、少し離れた場所に座ろうとしている、椅子に座ろうとしているけれど、なんだろう?座らないね、奥様が、何か話している。
ふむ、これはあれか?先輩からすると奥様と私を合わせたくない意図があるのかい?残念ながら、たまーにだけど、研究塔で話したりするよ?奥様は研究熱心っていうか、すごい博識ですっごく助かっています。
…そういえば、研究以外の会話したことないかも。いくら私でも、相手から話しかけてこない限り根掘り葉掘り相手のことを聞くなんてマナー知らずじゃないからね。

先輩の腕が動いて、私がいる方向に指差しているけど…うーむ、人に向かって指を指すのはいけないんだよ?って言いたいけれど、言えないそんな間がらに悲しみを感じてるけれども…
なに?奥様に話しながらこっちを気にしてるみたいだけど?別に、いまさらねぇ?紹介とか挨拶とかいらないけど?っていうか、普通に接しているので今更って感じがするし。

もしかしたら、マイワイフですっとか、そういうの?ぇ、確かに、それは、されていないけど、いらないよね?
同じ職場の人に家族を紹介する貴族ムーブ的な感じかな?奥様こっちに来てから何年たってんだって話だわ。

研究塔には私専用の場所があるくらい同じ研究塔の仲間ですけど?
…ん?まて、全然違う方向の話の可能性もあるのか?先輩から注意したほうがいい何かを研究塔でやらかした可能性?

…心当たりめっちゃあるなぁ、勝手に魔道具借りたりするし、勝手に余ってそうな材料を拝借して実験したりしてるし、勝手に道具を借りて部屋に放置してたいるするし…普通に考えたらギルティだね…

あ、先輩が、観念したのか意を決したのか、こちらに向かってくる、怒られる心構えで、もし、怒られる内容じゃなかった時のために、冷静を装う。
近くまで来た先輩が「ちょっといいか?」相変わらず渋い声ですね、何用でしょうか?

声の感じからして、怒られる感じ、純粋に用事がある感じ半々だと察する。だてに付き合い長くないぜ?声色と雰囲気で何となく察することが出来るのさ!自慢じゃねぇがこの数年、意外と怒られているんだぜ!

先輩は困ったような顔をしながら、何か悩んでいるような、目線が泳いでいるので、伝えにくい内容を言うときの仕草だ
「あーそのなんだ、お前からいいなさい。」
少し離れた場所にいる奥様を手招きして呼ぶのはいいんだけど、いってよーっとか、自分でいいなさいっとか目の前でキャッキャウフフしないでもらえますー?
独り身からすると、その羨ましいお二人の関係を目の前でご披露されますのはちょっと、心、心が抉られるんですけどー

先輩に押し出されて目の前にくる奥様…相変わらずのご年齢にそぐわないあどけなさ、年齢偽ってない?上に盛ってない?若々しいんだよねぇ…
「あ、あのね、その」目の前で左手の人差し指と、右手の人差し指を向かい合わせてクルクルとまわして、視線をあちらこちらにウロウロと泳がせている。
ええ年しとんねんから、モジモジすな。

「お肌の調子がね」目をきゅっとつむりながら出てきた言葉に少し安心した、よかったー!研究塔を出禁にされたら、本気で詰むから、よかったー!
あーよかったぁ、得意分野の相談だったー!美容のご相談ですねー!お任せくださいー!!

奥様が、最初の言葉を言えたのと、私が快く返事をしたことに、安堵したみたいで、スラスラと研究の時のように活舌もよく言葉が流れてくる。
奥様がいつもの調子で話し始めたのを確認した先輩は、すっと離れて2人分の朝食を取りにいく辺り、先輩、さては、貴方から告白して、今もベタ惚れでしょ?世話を焼かない先輩がこんなにも甲斐甲斐しく世話するなんてありえないもの。

その後は、奥様の悩みである、肌のケアに必要な、オススメの化粧水を教えてあげた。
あとはシミも気にされているご様子ですが、それらに関係する薬は少々、値が張る。
理由は簡単、とある王都のとあるご婦人達が占領しているから、手に入りにくい。だって、そのお薬の原材料から作られる物質はシミに対しての有効成分しか判明していないので、他の用途がない、生き死に関係なさ過ぎて、こちらでは生産していないのよね…

女子トークも、終わって一段落したので、先輩がもういいか?っと聞いてくる、チラチラと様子を見ていたくらい気にするってことは、確信だよね、好きでしょ?先輩から好きになったんでしょ?ふふふ、交渉材料を一つ手に入れたぜ。
奥様も満足したのか、嬉しそうに「うん」って頷いている、お淑やかな人だね、もの静かって感じ。こういうのが深層のご令嬢って表現されるのだろうなぁ、私とは真逆だよね…

あ、そうだよ、これってタイミング的に最適じゃない?聞くべきだよね?術式の事で気になってたことがあるのよ、借りが発生した瞬間なら、先輩も教えてくれるでしょ!先輩に聞いてみよう!

挙手して、先輩に質問いいですか!っと声を出すと少し嫌そうな顔をされてしまった、ここでするのか?っていうのと、場所を選べよ?っていう顔だ、安心したまえ、医療のディープな話じゃないので!
「術式を調べていて気になったんですけど、この街では、研究ってしていないんですか?」
どうして、私の質問をきくと眉間にシワをよせて、嫌そうな顔をするんだろう。

「研究塔でも、研究しているし、定期的に新技術とか応用が生まれたら論文として、本もだしてるぞ」

あ、これは、もっとしっかりと調べてから質問しろよって、思ってる!確実に、やらかしたやつだ。

奥様のご機嫌が良いので、先輩もご機嫌なので、いつもなら、てめぇで調べろ!って怒られるけど、教えてくれる。すみません、自分のことでいっぱいいっぱいで死の街にあまり興味が無くてすみません。

術式研究所 : 通称 術所 が、この街には存在している。
術式の歴史は、実はかなり古くからあって大元は、魔術っと呼称されている技術形態で、魔法を技術によって再現を目標とする研究学問。
有名な研究機関がある、場所は王都と、王都にある宗教、この二つだ。

今では、子供でも概念は知っているが、正しく扱えているかはその子の才能次第だな。

日常生活でも、利用されていたりする、簡単な奴で言うと、ちょっとした発火作用のある筒だな、これを使えば、小さな子供でもランタンに火を灯せる魔道具だ、魔道具に利用されている技術の殆どが術式だからな。
昔は、秘匿していた、いや、秘匿されていたが正解、そんな、ちょっとした技術なんだけど、あいつらは技術を独占していた過去があってな、いや、今も一部、秘匿してるやつがありそうだけどな。
その、曰くがありそうな宗教からは、極一部だけの技術が、今では、開示されており、昔は、そのちょっとした技術も秘匿していたので、宗教に所属している極一部の者だけが扱えていた。

ゆえに、過去では、理論も何も判明していないので、極稀に出てくる天才以外は、才能なきものには絶対に発動できなかった

開示されるきっかけになったのが、始祖様が降臨したのちにとある事情によって、多くの人が自然と使えるようになった為、力に溺れないように、あの、闇の50年を再来させないために、宗教と王様が一丸となって、正しく力の使い方を定めるために情操教育と共に、秘匿していた技術が開示された。

要は使いようっていう、技術だからこそ、今となっては、研究をする者も、数多くいる。
特に、研究で結果を残した著名な方は、宗教からスカウトもくるし、王宮からもスカウトが来るので、どっちかに勤めていることが多い
そして、当然、この街でも一部の研究者が研究塔と兼任で研究をしているが、最近はとある事情で活動が静かだったわけだ。

以上だ

うん、先輩の説明は授業で聞いた内容が多かった!
…学院で聞いた内容と違うのは、事情の部分。

事情ってなんだろ?禁忌事項に触れてしまって粛清されたとか?一応さ、この街は各町から援助してもらって成り立っていて、王都管轄だから、成果物とか研究内容を王都に報告していたりするので、とんでもねぇ内容だったら粛清対象だったりする。
なお、過去にやらかした例もあるので、気を付けています。はい、裏の研究は確実に粛清対象で見つかり次第、殺されます、危険思考異分子として!!弁明の余地なし!死刑!…ばれないようにしないとね。

話を聞いていた奥様がひょこっと顔を出して
「とある事情は私だよ、子供産んだから一定の年齢まで育てるまでは分家から出してもらえなくて!本当ならここで一緒に育てたかったの!」
捲し立てるように説明してくれる、研究の時とか、発言するときは早口になるので、拝聴するのも大変。

奥様がぶっちゃける、内容が外に発信してはいけない内容だったけどそんな内容を聞いてもいいのかな?えっとねだいたい、こんな感じかな?
奥様の一族が、王宮づとめの術式を生業とした歴代の一族で、その分家の分家?なんかよくわかんないけど、そんな感じ?孫家じゃないのそれって?
本家とか分家の蟠りとか一切なく一族全員が大の仲良しで、本家だろうが分家だろうが関係なしで接していて畏まっていないレベルで暮らしている。
一族で大事なのが実力、実力主義、本家とか分家とか、関係なく才能があるやつが一番偉い!
別に才能があっても、本人が王宮づとめが嫌なら断ってよし!別に家の代表になりたくないのならならなくてもよし!っという緩い家系

ちなみに、奥さんの才能は一族から見て下の下なので一族からすると好きに生きなさいって扱い。
産まれた娘さんも一定の年齢までは傍にいてあげて一定の年齢になったら学院の寮暮らしになるので、お役御免っということで、こっちに戻ってきた。

奥様のもっとうっていうか、生きる方針
「術式も好きだけど世の中の不思議のほうがすき!」

この死の街で研究塔と術式研究所を兼任する研究員で、術式研究所は奥様と他数名で運用されている。
奥様が出した著書が意外とあちらこちらで売れていて、初心者にわかりやすいという理由で、各所の学校でも、使用されていたりする。
術式研究所は、奥様を中心とした場所なので、奥様がいない間は特に、大きな活動はしていなかった、所属していた数名は、個人的に研究を続けてきており、定期的に発表もしていたけれど、特に話題になることはなかった

術式で悩んでいることを打ち明けると、色々と、教えてくれたお礼に教えてあげる!っとなり、私と奥様の二人で術式研究所は再スタートすることになった。
奥様が空いている時間にひたすら質問をし、術式について理解を深く示していき、元々、自身で学んでいた独学が功を奏し、次々と知識と技術を吸収していく。

奥様の実家にある書物を勉強の一環で若いころに全部、書き写した本があり、こっちに持ってきているので、それをお借りすることにっていうか!これ先輩が読んでた本じゃん!買って読んでいたのじゃなくて
奥様を想って本読んでたってことじゃないの!?

っていうか、歴史書もあるじゃないの!?うわぁ、今では秘匿されてる闇の50年の詳細に近い内容が記されているんだけど、これは、公表したら粛清対象じゃないの?見て見ぬふりをしておこう。

それから、半年間もの間、全力で術式に取り組み、その間、医療班の仕事も少なくしてくれたり周りも応援してくれるので、退路が完全に断たれてしまい、これはもう、一流の術式マスターになるしかねぇ!
自分のためにも必須なのは確か!共同で理解してくれて、裏の研究を手伝ってくれる人なんて希望はいらない!私が希望になる!!ってことで、術式を猛勉強した。

一生懸命に学び、命がけのように必死になっている姿を見た人々が増えていき、徐々に街の中でも有名になっていく、その真剣に打ち込んでいる姿を見た死の街にいるみんなも、彼女には、色々とお世話になっているので、なにかできないかと彼女の知らない場所で話題になっていた。

その話題が、いろんなところで歩いていき、騎士様の耳に、彼女が勉強を頑張ってるよっと、言葉が届いた。
その結果、彼もまた彼女には恩を感じており、いつか恩を返せる時が来れば返したいと思っている。

内容的にも、応援できる内容なので、文を実家に向けて送った、内容は、「実家にある秘蔵の書物を模写してもらって送ってほしい」本来であれば一族しか読めない歴史書や、術式について書かれた貴重な本をプレゼントしてあげれないかと考える、原本のプレゼントは、さすがに難しいと判断されるだろうけれど、そこまで秘匿するような物でもないだろうし、模写であれば大丈夫だろうという考えてプレゼントできないかと動き出す。

食堂で本を読みながらご飯をもぐもぐしていると、鎧を着たままで騎士様が食堂に入ってくる、本を読んでいたとしても騎士様の姿を見失うわけがない。
鎧とか脱いでからじゃないと絶対にこういった場所にこないのに珍しい、緊急の用事とかをおばちゃんに頼まれたのかな?あ、もとい、お姉さんに頼まれたのかな?

本を読んでいるふりをしながらじっと、見つめていると徐々にこちらに近づいてくるんだけど…私?ぇ?自意識過剰かな?私に向かって歩いてきているよね?
「勉強お疲れ様です、この後、よろしければお時間ありますか?」少し急いできたのか珍しく少々、汗を薄っすらと浮かべている、すごくセクシィ見惚れちゃう…鎧も着てることですし、外から帰ってきて直で私に会いに来てくれたってこと!?これはもう!その日でいいよね?私!とうとう…!!

急いでご飯を食べていけます!っとぐっと親指を立てると騎士様があせらせて申し訳ないですっと畏まってくれている、貴方の為なら毒でも一気飲みしましょう!
※ご飯はしっかりと噛んで食べましょう、若いうちはいいけど、年取ると消化能力も低下するから、消化不良起こして最悪、入院だぞ☆彡※

気分もるんるんで天にも昇ってしまいそうな気分でついていくと、外に向かって歩いていく、騎士様の部屋がある場所から離れていく。
何処に向かっているのだろうか?…そうか、さすがにね?噂になっちゃうものね!女性を部屋に連れ込んだって!!そうならないように、外だね!うんうん。

そして、馬車がとまっている場所で立ち止まる、定期便用の馬車じゃない、荷運びとかそういうたぐいの場所

…うん、知ってた、何か珍しい物でも手に入ったのかな?研究塔で解析する類の魔道具かな?研究塔に関係する人が全員、いなくて、たまたま、見つけた私を連れてきたって感じ?っふ、知ってましたとも…

馬車から降ろされていく木箱…瓶に入った葡萄酒がだいたい、10本くらいはいるかな?って、サイズ。
サイズ的にも、そんなに大きなものでもないし、小さい魔道具?何かな?

騎士様がひょいっと箱をもったと思ったらダイレクトに私に渡してくる、ぉ、重い!?意外と重いなぁ!?
「取り寄せました!ぜひ、貴女の役に立ててください!では、自分は仕事がありますので!」
きらっと、輝く白い歯でニカっと笑った後は走り去っていった…

ぇぇ?本気のプレゼントってこと!?

重すぎて足と腰が辛いけれど!ここ最近、鍛えているのもあるのでトレーニングの一環として全力で自室に運ぶ!

階段が死ぬかと本気で焦ったけれど!愛こそパワァ!!愛の力で!運び!きる!!

自室に運んだ勢いで木の箱をバールのようなもので強引に空ける!!ぇ?なんでそんなもの持ってんだって?研究するときにね、色々と工具があると楽なの、だから、研究塔にあるのを借りて…返してないだけです、はい、いけないことだと承知しています…今度返します。

中身は大量の紙の山だった、特に表紙とかもなく、紙の横側が、紐で結ばれているだけの紙の束?

なんだろうと?と思って中身を確認していくと、兵法書とか、歴史書?かな?あとは、術式だ!!ぇ?騎士様の家に伝わる身体強化の術式理論!?これって秘匿するべき秘術じゃないの!?いいのかな?
こんなどえらいものをプレゼントしてくれるなんてもう、家族として見てくれているってことですよね!?今夜、お部屋に行ってもいいですよね!?
ばっと、近日、騎士様から直接、聞いて確認した、騎士様のスケジュールをチェックすると、ぁ、今から外なんですね、鎧を着ていたから帰ってきたのかと思ったら逆だ、今から出るときに荷物が届いたから、知らせに来てくれたって感じだろうなぁ…

騎士様が私のことを想って用意してくれた宝物、こんな素晴らしいものを、こんな、状態じゃダメ!きっちり革のカバーをつけて保存しなきゃ!
今度、商人がきたら、本を製本したいけど伝手がないか聞いてみよう!

木箱に入った紙をすべて取り出した後は、すっと木箱にはいって先ほど強引に外した蓋を閉じて、思いっきり鼻から息を吸う

嗚呼、これが騎士様の実家のに・お・い


木の香りしかしなかったけど、きっと、美しい木々で作られたおうちなのでしょう…


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