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人類生存圏を創造する 始祖様の秘術をここに 6

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ベルが三回鳴ると直ぐに声が聞こえてくる、慌てた声、定時連絡では無さそう、そもそも、夜にベルが鳴る時点で
「前回よりもより多くの軍勢が攻めてきました!塔からでも目視で確認できるほどの量が押し寄せてきています!!」
目視で!?「かなり接近を許してしまったってこと?」つい大きな声を出してしまい周りの人達が集まってくる

「いえ!目視でわかる程の密度です!黒い影のようなものが徐々に大きくなって此方に向かってきています!!夜間でも見えるほどの量です!!」
メイドちゃんからの情報だけではどれ程の規模なのかは把握しきれないが、夜間で遠くからでもわかる程の大群…正面衝突は避けるべきなのだけれど、何処かで防がないと街が蹂躙されてしまう。
「…ぷらん、、、D」
膝枕で寝ている姫様から声が聞こえるので上半身を起こすと、虚ろな目をしている、呟くように再度
「ぷらん、Dはつ、れい」耳を澄まして聞き取る、プランDっと、こんな状況になっても会話をしっかりと聞いていたみたい、即座に通信機に向かって大きな声で伝える
「プランD発令!姫様からの指示です!…これでわかる!?」きっと、姫様が何かしら事前に用意した作戦が数多くの種類を用意してあるのだろう
「はい!わかります!!用意された緊急マニュアルに書かれていたプランA~Eまで記載されていますので大丈夫です!発令します!!」
通信機からゥゥゥゥゥっと大きな大きな唸り声の様な音が響き渡り、鐘を突く様なカンカンと大きな音も聞こえてくる、その音に姫様がしかめっ面で辛そうにしていたので、両手で耳を塞いであげる
「ぁ!すみません!通信の魔道具のスイッチを切り忘れてました!!プランD発令です!!大急ぎでお願いしますー!!」
その言葉を最後に通信魔道具から音が消える、プランDの内容が気になるけれど、姫様が事前に用意していた作戦だから、きっと大丈夫だろう
「プランDを発令したって本当かい!?」此方の近くまで来ていた女将が驚きながら此方に迫ってきている

あれ?知ってるの?

「女将、プランDが何か知っている感じ?」説明が出来るのであれば概要くらいは知りたい
「プランDってのは、昔からある、緊急時に備えて先人が用意してきた罠を発動する作戦さぁ!」
…ぇっと、思い出すのよ私!きっと何処かで説明をうけた、うけてるはず!!
「団長が知らないのはしょうがないさぁねぇ、古い戦士しか伝えられていないし…発動したら最後、発動者は罠に巻き込まれて死ぬ、捨て身の防御策さ」
聞いたことが無い、そんな罠が用意されていたの?
「戦士長よりも、もっともっと、古い世代の人が大量に用意した爆薬や油などの発火性のある罠を地中に埋めていて、発火すれば周囲を吹き飛ばして、大穴を開けてその大穴に獣を落としてから上から攻撃をする作戦さぁねぇ、それを発令するってことは、かなり街の近くまで接近を許したってことさぁねぇ…」
…たぶん、だけどこれ姫様が用意したプランとは違う内容じゃない?
「おかみ、ちが、ぅ、それ、ファイナルプラン、デストロイ…」
あ、姫様は知っているみたい、その声を聞いた女将は
「…あたいの記憶違いさぁねぇ・・・」恥ずかしそうにしているので、古の緊急プランが他にもあるのか聞いてみると
プランEがあって、街の中にまで獣の侵入を許した際に、広場に誘き寄せて住民全員が体全身に爆薬を身に着けて特攻する作戦

・・・それ、作戦なの?

女将の説明に姫様が「そ、れ・・ファイナルプラン、エンド・・・」っと小声でツッコミを入れている辺り、過去には本当に存在した作戦なのだと知る…
今の姫様の状況で説明を聞くのは難しそうなので、再度、膝枕の姿勢を取らせ、ゆっくりと私の太ももの上で寝てもらう。

何もできずにただ、吉報を待つだけっていうのは、歯がゆく辛い…
周りにいる女将も戦乙女ちゃん達もソワソワとして落ち着かないでいる。

全員が固唾を飲んでじっとしていると、車のドアが開き術士二人がふらふらと外に出てくる、トイレかな?っと眺めていると、近くまでやってきて
「き、緊急事態なのに、足を引っ張ってしまい、懺悔の極み…ここで歯を食いしばり成果をあげれないなんて、王都騎士団の名折れ!」
足を震わせながら重たい魔道具を背負って現場に向かって歩いていく、その姿を見た女将が魔道具を片手で持ち、術士のサポートに徹してくれる。
戦乙女ちゃん達も作業再開するのだと判断し、持ち場に就く

私は私で呼吸を整え大きく何度も何度も深呼吸を繰り返し体内に廻る魔力を全力で姫様に注ぎ続けていく
私の寿命なんて削ってしまっても構わない、少しでも早く壁を創り終えて、南からの侵略を防いで北に、私達の街に駆けつけるためにも、私が出来ることを続ける。

耳を澄ませば遠くの方で音が聞こえるので視線を移すと、灯りが灯っている、松明などが数多く用意されていて、その明かりから見える人達は夜中なんて関係なしに、土壁にレンガや石などをくっつけていき、階段を建設していく。

視線を女将の方に移すと、術士が二人係で必死に壁を創造している、作業スピードは万全の状態に比べて遅いけれども確実に進んでいく

魔力を渡すという行為は訓練してしっかりと練習を続けていけば誰にでもできる術式だけれど、今この場にいる人で出来るのは私だけ、これが私が出来る最良のすべきこと、私にしかできないこと…わかっているのに、歯がゆい、他に何もできない自分の弱さ未熟さが心苦しい…

気が付くと唇から血が出てしまっていた、悔しくてつい、唇を噛んでしまっていたみたいだった。
何をやっているのだろうか、今は回復術式に魔力を廻す事すら余力が無いのに
唇の血を袖で拭ったあと、両頬をパンパンっと自分の手のひらで叩き、気合を入れなおして、自分のすべきことに集中していく。

その後は何も連絡がなく、静かにゆっくりと月は沈み朝日が昇ってくる。
術士の二人は朝日が覗かせた辺りで倒れてしまい、用意したテントに運び寝てもらった、寝ずの作業でだいぶ、壁を創造することが出来たのだと思うけれども、現時点での姫様の状態で壁の創造をお願いしてもいいものなのだろうか?

悩んでいると、魔石が入った魔道具を戦乙女ちゃん達が背負い始め
「全部は無理でも出来る範囲でやってみます!」苦手である術式を必死に展開していく
創造するスピードは非常に遅く、10分経てど、1時間経てど、1メートルも壁が生まれない…生まれないけれども、少しずつではあるけれども壁は出来ていく
無駄な時間かもしれない、出来る人に任せるのが正解かもしれない、けれども、何もしないでじっとしてなんていられない!!

私だって、手伝いたい、したい、少しでも早くみんなの元に駆けつけるためにも、終わらしたい!!

その想いは一緒だから、止めない。とめれない…

作業光景を眺めていると徹夜でずっと魔力を流し続けていた私も限界に到達してしまったみたいで意識が突然暗闇に落ちる…



はっと、気が付くと、見知った天井が見える、車の天井だ、上半身を起こして外を見ると、太陽が沈もうとしていた、長い間意識を失っていたのだろう
車のドアを開けて、外に出ると意識が落ちる手前に居た場所よりも、かなり進んだ場所だった
声がするので、声のする方向に行くと、テーブルが設置されている場所があったので、近くに行く

「・・・」姫様が何か紙を見ながら悩んでいる、よかった、どうやらある程度回復したみたいでいつも通り動けているみたい
「体調は大丈夫?」姫様の横にある椅子に座りながら声を掛けると
「うん、こっちは…大丈夫、そっちはどう?」手に持っている紙から此方に視線を移すと、一瞬驚いた表情をされてしまう、驚くほどやつれた感じがしてるのかな?それとも、体臭かな?
「大丈夫だよ」体調はぐっすりと長い時間、眠らせてもらえたので頗る良好だと感じる、実際、脳も体も疲労はしていない、疲労に疲弊しているのは一部の臓器だけ
「…無理しないでね?なんて、もう野暮だよね、お互い無理は承知で動いてるものね」
言葉の意味を追求してはいけない、追及してしまうと、医療に従事している人が言ってはいけない言葉をいってしまうから追及してはいけない。

非道、人権、未来、全てを捨てようとしているのをお互い止めるわけにはいかない

起きていて、意識も鮮明なうちに、寝ている間に起きた出来事を確認すると
プランDは成功したみたいで大半の獣の軍勢を殲滅することに成功し、撃ち漏らした敵を各個撃破している段階、戦線は安定はしているが被害は出ている
南の砦に人型が出てきて、現在交戦中
その為、術士の応援を出したいが、出せれない状況、南の砦がひと段落し、術士に余裕が出てきたら応援を寄こしてくれる手筈になっている。
王族直轄部隊に打診し、応援に出れないのかと申請をしてはいるが、期待はできない、宰相が管理する部隊は、ほぼ、全員連れてきている
圧倒的に足りない術士をどうにかして、増やしたいが、現状難しく、ありとあらゆる伝手を使っているが工面できない状況

宰相と言えど王様直轄の部隊を動かす権限はなく、あのどうしようもない王様を守るための直轄部隊は動かない方針

各貴族や王族に呼びかけているが、そもそも術士を確保している貴族や王族が非常に少なく、居たとしても王都に残っている術士は、宰相が保有する術士たちに比べるとかなり劣るので、現場に来たとしても活躍に関しては、正直なところ期待はできない
西の方は、東に比べて南の砦との距離が近い+魔石から魔力を取り出す魔道具を多く持たせているので上手いことサイクルできており、順調ではあるが、作業スピードは此方の方が段違いに速いので、このペースをキープすることが出来れば、私達のチームの方が速くに南の砦まで壁を創ることが出来そう。

つまり、壁を創るのにメンバーの補充は絶望的で、今のメンバーで続けないといけない

そうなると、間に合わない気がする、北か、南、何方かが、敵の衝撃に耐え切れず墜ちてしまう可能性が高い気がする。

せめて、私達の街が襲われていなかったら、術式研究所のメンバーを応援に来てもらうことも出来たのだけれど、術式研究所のメンバーが向こうでは必須の働きをしているので、応援を要求したとしても絶望的

心にドロリとした焦りが何度も生まれてはこびり付いてくる、払っても払っても、洗浄しきれない程の焦りという泥がこびり付いてくる。

どうしようもない焦りに天を見上げると一筋の光が北から南へと糸で繋ぐように線が走る

希望の光

この大陸全土に住まう祈りが私達の街まで届き、その祈りから得た魔力を凝縮し南の砦へと照射する。

あの光を使えば、大穴の獣ぐらい焼き払えるような気がする、提案してみると、あれは純粋な魔力の塊を強引に固めて飛ばしているだけなので、あれを大穴に向けて放てば逆に吸収されて獣が活性化するだけ…
それじゃ、私達の街に貯蔵されている魔力が敵に奪われるとどうなるの?
質問をしてみるとにこやかに「街の中まで攻め込まれてる時点で人類の敗北が決まるから考える必要なんて無いよ」っと無駄な会話じゃない?っと釘を刺されたような気分になる。

もしかしたら、大穴の獣が街にある魔力を感知して欲しくなって攻めてきた可能性は?っと質問すると「たぶん、それはない、だって大穴の方が…」何か言い淀んでいる、たぶん、観測は出来ているが確証は得られないって状況なのかな?

現状を打破する方法を考えるけれども、私が知りえる情報や手段ではどうしようもないのだと、わかってはいるけれども、焦りという泥が何かしないと、何か考えないと、そんな言葉を永遠と語り続けてくる、姫様もきっとそんな心情なのだろう、ずっと地図を見ながらじっと何かを考えている

現在地を確認すると、全工程の十分の一も進んでいない…

このペースだと一か月で終わりそうもない、一か月くらいでどうにかなると思っていたけれど、それは不眠不休で創り続けたらの状況だ、一時間ごとに交代したところで一時間では体力も魔力も精神力も回復しそうにない…

術士も魔道具も圧倒的に足らない

今できることをしよう、魔力回復促進剤が入っている瓶、二つを開けて一気に飲み干す
口直しの飲み物も直ぐに飲む、体が熱い、胃が熱く感じるし、肺の下も熱くなるのは、依然感じたとおりだけど…肺も熱い?吐く息が熱を帯びてるような気がするし、心臓が強く脈打ってる気がする…血圧計を取り出して計りたくなるが数値を見るのが怖い、見てしまったら医者としてこれ以上は無理をさせるわけにはいかないとストップをかけざるを得ないと判断してしまうから、計れない…

内に流れる小川のせせらぎの如く弱く小さな流れの向きを変え手のひらに集めていき、姫様の背中に手を触れ魔力を流していく
魔力が欲しいと言われるまでもなく、魔力を注いでいく。

空いた片方の手で何かしたいが、何をすればいいのやら、そういえば、姫様が所持している始祖様の秘術が書かれている本があるのか聞いてみると
大元は無いけれど、手帳サイズの写本ならあるよっと貸してくれたので読んでいく。

今持っている私の知識では編み出せないのであれば、始祖様の秘術に有効な術や、打破するためのヒントがあるのか調べていく。


長い時間、本に集中していると、美味しそうな匂いがするので視線を本から外すと、女将が食事の準備をしていた、焚火の近くで術士二人もぐったりと地面の上に寝転がっている。
食事休憩の時間にするみたいで、全員が集まってくるので、私も本を置き食事にする、食事をする前に、術士二人に魔力回復促進剤を渡すと、前回と違って自分の意志で飲み始める、自力で飲む気力がわかないのであれば、手を貸そうとかと思っていたが、必要なさそう。

なさそうなのに、飲み干した後、こちらをちらちらと見てくる、何だろう?ぁぁ、そうそう、はいっと口直しのい飲み物を渡すと求めていたものは違うのはやや戸惑いつつも受け取り飲み始め、飲み終わると感謝の言葉を言い、横になる。
少しでも休憩を取って体力も気力も魔力も回復しないと持たないよね。

食事の準備が出来たので、全員でご飯を食べていると珍しく姫様が会話を振ってくる
「読んでみて、気になる術あった?」
手帳に書かれている術で気になることがあるのはかなり多いけれど、不思議と頭から離れない秘術がある

槍の創造

その内容を見て驚いたのが、始祖様が使用していた槍は始祖様が自らの魔力を触媒として生み出した武器で、何処かで創られた神造武具の類ではないという事
どんなものも貫き、どんなものも砕き、どんな場所にも飛んでいく、神槍だとずっと、幼き頃かそうだと思っていたけれど、まさか、即席の武器だとは思わなかった

その事を姫様に話すと

「あ~、それね、流石は団長だねー良い秘術に目をとめるじゃない、私もね、それを自由自在に生み出せれたら最強じゃん!って、思って長いこと研究したんだよね」
陸を駆け王都を滅ぼす一歩手前まで来ていた大型の獣を一撃で貫き
空中にいる、大陸全土を見回し何処からでも攻めてくる大型の獣に向かって投げて倒し
宇宙という私達では絶対に到達できな空間に向かって放たれたのも、この槍

始祖様の一撃にも耐えれるほどの強度を誇っているのであれば、確かに、それ一本あるだけで永遠と使えそうな気がする。

「それさえあれば、どんな敵だろうと貫けると思うから、この前出てきた守りの硬い人型なんて一瞬で倒せたのにね」
その言葉には同意しか出てこない、うんうんと頷いていると他にも気になるのは無かった?って言われたので色々と質問をしていく

空を駆ける方法
空間を跳躍する方法
太陽の光を一点に集めて昼なのにその一帯を夜すら生ぬるく感じるほどの暗闇にして一点に集めた太陽の光で全てを焼き払った方法
海をも凍らせる方法

他にもいろいろなことを教えてもらった
空間を跳躍する秘術と、敵が持っていた魔道具を組み合わせて転移陣を生み出したのだと知ったときは驚きだった

私達が何気なく使っていた魔道具に始祖様の秘術が関わっているなんて思いもしなかった転移陣を数多く量産したいのだけれど、素材が足らないので量産できなかったのが悔やまれると言っていたのも完全に同意、あれすっごく便利だもの。

そういえば、プランDってどんな内容なのか聞いてみると長くなるので、全部が落ち着いたら説明するよーっと返事が返ってきたのを考えると、結構、大変な作戦っぽいね。

食事も終えたので、姫様は作業を開始するのかと思いきや、どうやら魔力がチャージされた魔石がもう手元になく、運搬待ちで、その間は休憩時間っとのこと
好きにしていいって言うのであれば!!

お風呂に入りたいです!!

その事を姫様に伝えると、私も入りたい!!っと意気投合し、簡易風呂や洗剤などもしっかりと用意されているのでみんなで仕度してお風呂に入ることに

長いこと着てた服も簡易洗濯する人力で動かす道具も用意されていて驚いた、宰相は気が利くねっと準備をしながら声に出すと
「残念でしたー、それら、ぜーんぶ私の私物ですー」どうやら、この便利な道具の全てが姫様の私物だった。

道具のセッティングを終えて、鉄の箱?みたいな中に薪を入れて火をつける、鉄の箱、その上にある部分に水を入れると、薪の火の熱を使って水をお湯にするみたい
子供ころからお風呂っていえば、桶のお湯を入れてタオルを浸して拭く程度なので、こういった簡易的なお風呂があるなんて驚きだった。
大衆浴場ではどの様にお湯を沸かしているのか知らないけれど、こういった道具を使っているのかな?

一人一人、ゆっくりとお風呂に入っていく、姫様に関しては洗い方があまいので、中に入って隅々まできっちりと洗う

女性陣の中では、最後にお風呂をいただいた、桶のような小さな湯船にお尻と足を付けて足元のお湯を手ですくい、かけ湯形式で全身にかけて全身を温める
満点の星空を眺めながら、野原のど真ん中でお風呂に入る日がくるなんて思わなかった。

解放感に長い間お風呂に入れなかったことも重なり最高に気持ちが良い

気が付くとついつい、鼻歌を歌ってしまっていた

お風呂から出てテーブルで水を飲むと、今が緊急事態だということを忘れてしまいそうになる
服は洗濯して干してあるので、今は全員、予備の隊服を着ているが…下着や肌着は持ってきてないので隊服の下は…

チラチラと術士の二人が私達を見てくるので女将が睨み返す

術士の二人にお風呂どうぞと声を掛けると前かがみになった状態で頭を下げながら簡易お風呂場に向かって行く
そんなに畏まらなくてもいいのにって思ってると戦乙女ちゃん達が「男ってさいてー」っと蔑むような発言が出てきたけれど…どういうことだろう?

術士のお二人もお風呂を長く堪能したみたいで湯気を出しながらゆっくりと椅子に座りながら水を飲んでいる

その間に、簡易お風呂を洗って片付けていく、嗅ぎなれない独特の匂いが一瞬何処かで香ったけれど、何処かわからなかった、洗剤の匂いかな?
洗剤で思い出したけれど、洗剤って何もない場所に流しちゃってもいいのかな?草木に悪影響ない?

姫様に確認すると持ってきた洗剤は地面に溶け込むタイプだから、流しちゃっても、悪影響はあまりないよっと返事が返ってきたので、軽く土を掘ってその中に全部流し込んだ。

片付けが終わると、戦乙女ちゃん達が風を生み出す術譜に魔力を注いで、「あーやだやだ、ほんっと男ってやつはー」って頬を赤くしながら干してある下着や肌着に向けて風を送っている
そんなに急ぐ必要あるかな?…確かに擦れていたいけど、耐えれないこともなくない?

特にすることもないので、戦乙女ちゃん達と話をしながら下着や肌着が渇くのを待ち、乾くと同時にささっと下着や肌着を装着する

その後は、特になにもすることのない人達は寝たり休憩したりと各々休憩をとっていた、私はいつも通りに魔力を姫様に注ぎながら、姫様の枕になる。

姫様のさらさらの髪の毛を撫でながら魔力を注ぎ続ける
私が普通に16の時に結婚して子供が居れば、こんな風に過ごしていたのかな?なんてありえない幸せな妄想に包まれていると西の方角から光が見えたので、補給物資を運んでいる車が近づいてきたのだろう、到着したら姫様を起こして作業を再開しないとね


そんなことを考えていたら


ベルが5回鳴った



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