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Dead End 6■■の黙示(1)
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祈りを捧げる日々、この日々に疑念しか抱くことが出来ない。
祈ることによって心の安寧は保たれることはあの日以来、一度も無く、祈れば祈る程、私の中は虚無へと導かれている気がする。
私の心はあの日からずっと止まっている、何に向かって祈りを捧げているのか、この数年、ずっと絶え間なく悩まされてきた。
私が唯一崇め奉っている神に近しき尊き存在は、もういない。
その歴史は古く、始祖という新しい風よりも、古くから、この大地に芽吹き、短い命を懸命に繋ぐように細々と伝わり、今もなお、脈々とこの大陸に住まう多くの人達に愛を説き人々の心を清浄なる純白へと繋げてきた失われし一族
聖女様
始祖という物は、その聖女様に更なる力を授けたと伝わられているが、更なる力を授ける前に彼女たちの運命を変えて欲しかった。
短命という悲しき運命を、変えて欲しかった、力などいらぬ、彼女たちに永劫の平穏を授けて欲しかった、悲しき運命から解放して欲しかった…
敬愛する聖女様を救えなかった始祖という存在、名前すら残されてもいない、いや、私が確認していないだけで教会の奥にはそういった書物が残されていたのだろう、確認する気が無いだけなのだがな。
確認する気が起きないのは単純に、私が彼の存在を忌み嫌っているからだろう、何故なら、彼が残したのものは戦争の火種のみ、愛を伝えられ、争うことは愚かなりと教わってきた私からすれば悪しき存在としか思えれない。
教会の祈りの間、そこには、特別なことが無い限り開かれることのないカーテンがある。
理由は単純だ、光が入らない様にし保管するためだ、カーテンの奥にある特別な日でしか閲覧できない肖像画、そのカーテンを見る度に燃やしてしまいたくなる。
大地に住まう獣を滅ぼすことも出来ず、聖女様の運命を救う事も出来ず、授けた力によってこの大陸に住まう野生動物は数を減らし、大地は大きく変形した…
結果的に見れば、この大地は多くの血によって穢れた…
何故、この様な平和とは無縁ともいえる悪しき存在を崇め奉るのか?全ては王族が決めたことだ、王族は彼の者を絶対なる力の象徴として崇めている。
王族の使命として、その絶対なる力である始祖の力を色濃く残すこと…
その理由も至極単純だ、いつか、自分たちが血を濃くすることで鮮烈なる力の象徴である、始祖のように力強くこの大陸に顕現することを願って、血を濃くしている…悍ましい
自然と、肌身離さず首から下げて直肌につけているネックレスの先にあるエンブレムを握りしめる…
いつからだろうか?心の中が憎しみで溢れかえり、黒く染まろうとしたときにこのエンブレムを握る癖がついたのは?
…いつからだったろうか?死者を蘇らせることを研究し始めたのは?
冷たいエンブレムを握りながら、このエンブレムを授かった日を目を閉じて思い出す。あの頃の想いを忘れないために。
アレは、そう、あれは、私の心の支え、何があろうとその人と共に歩むと決めた人が…
運命に逆らえることが出来ず、この世を去ってしまった…それから数日が過ぎ去ろうとした、そんな日だった。
今でも目を瞑れば授けてくれた信徒の姿を思い出せますよ。あの奇跡ともいえる出会いを…
そう、教会という多くの人が訪れる場所なのに、今まで一度も何処かですれ違ったことが無い、そんな見慣れぬ人が訪ねてきたのだったな。
私が悲しみと絶望に包まれている時に突如、何処からともなく現れて、授けてくれた…
ごく普通の、何処にでもいるような町民の様な恰好なのに、何故かわからないが見慣れぬような強烈な違和感を感じ、更には、どう頑張っても、男の顔だけは思い出すことが出来ない…
その人物が授けてくれた英知…
一時、この大地に蔓延していた忌むべき教え…
悪魔信仰、それに関する書物に道具、王族が王政の下、全てを無に帰したはずの術を、授けてくれた。
最初は私のような敬虔なる信徒に何を馬鹿なことをと、嘲笑っていましたね。
彼の事を下げずんでいましたよ。バカなことをいう狂言者とね。
彼の言葉を聞いた瞬間に、私の心は反転しましたがね。
【大切な人にもう一度、会いたくはないのか?運命を覆したくないのか?ここに、この世、全ての理に対して抗う術がある、死を魂の根底から尊むのであれば、破棄するがいい、好きに燃やせ。だがな、俺には痛いほどわかるぞ、お前の心に宿る悲しみがな、断言してやろう、お前の心は抗えることなく、運命に惹かれる様にこの書物を手に取るだろう、反魂の義を知りたいとな…もう一度、断言する、お前は手に取るだろう】
そんなバカげた方法があるわけが無いと確認するために、書物を手に取った瞬間…私の心は解を得たのだと、神は存在するのだと確信に至りましたよ。
この様な月のオブジェに、始祖という愚かなりし殺戮者に祈りを捧げるのはお門違いだとね…
聖女様は人々の心を救済する為に神に遣わされた、始祖は人類を更なる高み、次のステージへと導くために神に遣わされたと伝えられている
なら、神とはなんだ?どうして、そのような使命を運命をあの一族に授けたのだ?
人類の魂を…心を…救済するという遂行なる使命を与えたもうたのに、何故、神はかの一族を祝福しなかった?救いの手を差し出さなかった?
私には理解が出来なかった、だが、これを手に入れた瞬間に触れた瞬間に、私は知った。
死という概念から彼女たちを解き放つためだったのですね、肉体という器すら超越した存在に至る為なのだと…
そして、その状態から現世に返り咲くために協力者が必要だった、神はそれを伝え忘れただけだったのだと…
いや、違う、神は待っていたのだ、その教えを体現する者が聖女様のように現れるのを…
それが、世には悪魔信仰と淘汰されてしまった悲しき教え、悲しき術…
何度滅びても、燃やしつくされようとも、こうやって次の担い手が産まれた時に全てを授けるのだろう。
任せてください、今代は私が全てを取り仕切らせていただきます。
その業を担う代わりといってはなんですが、私の望みである悲願は成就させていただかせてもらいます。
愛する聖女様の福音を、あの温もりを、私は忘れない、何があろうと、絶対に忘れない忘れれない…待っていてくださいねイラツゲ様。愛する聖女様。
あれから幾星霜、長き時が流れた、幼かった私は何時の間にか背も伸び、背が高かった聖女様と肩を並べれるほどに
祈りを捧げる、白くて丸い物質に祈りを捧げる、だが祈りを捧げる姿勢だけだ。頭の中は今日の予定でいっぱい、世界の平和なんてあれから一度も考えたことはない。
祈りを捧げる姿勢から解放された後は、笑顔を作り、慈愛に満ちたような微笑みで集まった人々にそれらしい挨拶を重ねていく、日々の悲しみをもっともらしい言葉を述べて納得させる。
この為に、数多くの言葉を学び、仕草を学び、雰囲気作りを学んだ。
気が付けば、現状、生きている人の中で一番責任のある立場に成ってしまった。成る気は無かったが仕方がない、今にしても思えば、目的の為にこういった階級に落ち着くのは良い事だろうと思えれるので結果的に見れば良かったのだろう。
今の私は、教会に働きに来てくれている無報酬の人もいれば、報酬ありきで勤めてくれるシスター達からも慕われていて、順風満帆と言えばそうみえるだろう。
ここだけは、世界中に蔓延る嗚咽の如き悲しみとは、無縁なのだろう…
そんな風に映っているのであれば、大層頭の中は幸せなのだろうな、その方が俺にとっては都合がいい…
いけない、いけない、言葉遣いを正さねば、私にとって好ましい状況という事ですね。
近隣から慕われている影響もあって、私が秘密裏に教会に地下を作ったとしても誰も何も思ってはいなかった、気が付いた人もいるであろうにな…
私としては貴重な資料を保管する場所が足りなくなってきたので、保管する場所が欲しいという建前で小さな地下室を作ってある。
その地下室はとても小さく、本当に資料を保管している。
だけど、その先にはちょっとした大きな空間が広がっている、とある手順を踏むことで通れるようにしてあり、教会が保有している、この広大で無駄な広さの土地、それと程、同サイズの地下空間を造り上げた。
当然、この地下室を作るのは独りでは不可能だった、悪魔信仰、これの恐ろしい部分は、私以外にもそれを信仰する人達が陰ながらにいるということだった。
王都に住まうごく普通の何処にでもいるような、土木建築や、飲食業、医療に携わる先生と呼ばれるような人でも
影ながらに悪魔信仰をしている人達がいた…
不思議と私達はお互いがお互いを識別することが出来るので集まることに抵抗もなく、導かれる様にお互いを引き寄せあった、まさに神に祝福された者たちと言ったところだろう。
その人たちの陰ながらの支援によって、長き時を経て広大な地下空間を完成させることができた。
祈りの間にある白きオブジェ、あれの真下は広大な空間が広がっているなんて誰も考えはしないだろう。
魔術に疎い私では辿りつけなかったが、いつか、この祈りという無駄な行為に魔術として何かしらの意味を組み込めないか考えたことがある、何度も神から授かりし魔術書に目を通しているのだが、魔術に疎い私では実現が難しそうだ。
魔術書に書かれている必要な設備は全て揃えた、儀式を完成させるには必要な物がある、それは、贄が必要となる。
困難を極めるだろうと思っていた、贄を手に入れるのは非常に簡単だった。
医者として働くものが協力をしてくれるのが非常に大きかった、彼から死が近い人を教えてもらい、その人の下へ祈りを捧げに来ましたと訪問し、死に際を看取り、葬儀に関しては此方で無償で請け負うといい、死体を預かり、それを贄とした
バレることはない、死体は棺の中に入れており、中が見えないようにしている。
家族との別れが終わった後は、此方で神の火という神聖な儀式によって火葬し墓地へ骨を埋めるだけ。
中身を見られてしまうと疑問を感じる人はいたでしょうね。
贄に必要な物は血液と骨のみ、血を逆さ刷りにして抜いたとしても知識無き者であれば気が付きようがないのだが、何処に知恵者がいるのかわかったものじゃないですからね。
骨に関しては、火葬が終わった後に出てくる骨の一部を拝借したところで誰も気が付くことはない。
儀式に必要な骨の数が未だに心許無いが、神がきっと機会を与えてくれると私達は信じて、準備を続けていく、来る日に備えて。
祈ることによって心の安寧は保たれることはあの日以来、一度も無く、祈れば祈る程、私の中は虚無へと導かれている気がする。
私の心はあの日からずっと止まっている、何に向かって祈りを捧げているのか、この数年、ずっと絶え間なく悩まされてきた。
私が唯一崇め奉っている神に近しき尊き存在は、もういない。
その歴史は古く、始祖という新しい風よりも、古くから、この大地に芽吹き、短い命を懸命に繋ぐように細々と伝わり、今もなお、脈々とこの大陸に住まう多くの人達に愛を説き人々の心を清浄なる純白へと繋げてきた失われし一族
聖女様
始祖という物は、その聖女様に更なる力を授けたと伝わられているが、更なる力を授ける前に彼女たちの運命を変えて欲しかった。
短命という悲しき運命を、変えて欲しかった、力などいらぬ、彼女たちに永劫の平穏を授けて欲しかった、悲しき運命から解放して欲しかった…
敬愛する聖女様を救えなかった始祖という存在、名前すら残されてもいない、いや、私が確認していないだけで教会の奥にはそういった書物が残されていたのだろう、確認する気が無いだけなのだがな。
確認する気が起きないのは単純に、私が彼の存在を忌み嫌っているからだろう、何故なら、彼が残したのものは戦争の火種のみ、愛を伝えられ、争うことは愚かなりと教わってきた私からすれば悪しき存在としか思えれない。
教会の祈りの間、そこには、特別なことが無い限り開かれることのないカーテンがある。
理由は単純だ、光が入らない様にし保管するためだ、カーテンの奥にある特別な日でしか閲覧できない肖像画、そのカーテンを見る度に燃やしてしまいたくなる。
大地に住まう獣を滅ぼすことも出来ず、聖女様の運命を救う事も出来ず、授けた力によってこの大陸に住まう野生動物は数を減らし、大地は大きく変形した…
結果的に見れば、この大地は多くの血によって穢れた…
何故、この様な平和とは無縁ともいえる悪しき存在を崇め奉るのか?全ては王族が決めたことだ、王族は彼の者を絶対なる力の象徴として崇めている。
王族の使命として、その絶対なる力である始祖の力を色濃く残すこと…
その理由も至極単純だ、いつか、自分たちが血を濃くすることで鮮烈なる力の象徴である、始祖のように力強くこの大陸に顕現することを願って、血を濃くしている…悍ましい
自然と、肌身離さず首から下げて直肌につけているネックレスの先にあるエンブレムを握りしめる…
いつからだろうか?心の中が憎しみで溢れかえり、黒く染まろうとしたときにこのエンブレムを握る癖がついたのは?
…いつからだったろうか?死者を蘇らせることを研究し始めたのは?
冷たいエンブレムを握りながら、このエンブレムを授かった日を目を閉じて思い出す。あの頃の想いを忘れないために。
アレは、そう、あれは、私の心の支え、何があろうとその人と共に歩むと決めた人が…
運命に逆らえることが出来ず、この世を去ってしまった…それから数日が過ぎ去ろうとした、そんな日だった。
今でも目を瞑れば授けてくれた信徒の姿を思い出せますよ。あの奇跡ともいえる出会いを…
そう、教会という多くの人が訪れる場所なのに、今まで一度も何処かですれ違ったことが無い、そんな見慣れぬ人が訪ねてきたのだったな。
私が悲しみと絶望に包まれている時に突如、何処からともなく現れて、授けてくれた…
ごく普通の、何処にでもいるような町民の様な恰好なのに、何故かわからないが見慣れぬような強烈な違和感を感じ、更には、どう頑張っても、男の顔だけは思い出すことが出来ない…
その人物が授けてくれた英知…
一時、この大地に蔓延していた忌むべき教え…
悪魔信仰、それに関する書物に道具、王族が王政の下、全てを無に帰したはずの術を、授けてくれた。
最初は私のような敬虔なる信徒に何を馬鹿なことをと、嘲笑っていましたね。
彼の事を下げずんでいましたよ。バカなことをいう狂言者とね。
彼の言葉を聞いた瞬間に、私の心は反転しましたがね。
【大切な人にもう一度、会いたくはないのか?運命を覆したくないのか?ここに、この世、全ての理に対して抗う術がある、死を魂の根底から尊むのであれば、破棄するがいい、好きに燃やせ。だがな、俺には痛いほどわかるぞ、お前の心に宿る悲しみがな、断言してやろう、お前の心は抗えることなく、運命に惹かれる様にこの書物を手に取るだろう、反魂の義を知りたいとな…もう一度、断言する、お前は手に取るだろう】
そんなバカげた方法があるわけが無いと確認するために、書物を手に取った瞬間…私の心は解を得たのだと、神は存在するのだと確信に至りましたよ。
この様な月のオブジェに、始祖という愚かなりし殺戮者に祈りを捧げるのはお門違いだとね…
聖女様は人々の心を救済する為に神に遣わされた、始祖は人類を更なる高み、次のステージへと導くために神に遣わされたと伝えられている
なら、神とはなんだ?どうして、そのような使命を運命をあの一族に授けたのだ?
人類の魂を…心を…救済するという遂行なる使命を与えたもうたのに、何故、神はかの一族を祝福しなかった?救いの手を差し出さなかった?
私には理解が出来なかった、だが、これを手に入れた瞬間に触れた瞬間に、私は知った。
死という概念から彼女たちを解き放つためだったのですね、肉体という器すら超越した存在に至る為なのだと…
そして、その状態から現世に返り咲くために協力者が必要だった、神はそれを伝え忘れただけだったのだと…
いや、違う、神は待っていたのだ、その教えを体現する者が聖女様のように現れるのを…
それが、世には悪魔信仰と淘汰されてしまった悲しき教え、悲しき術…
何度滅びても、燃やしつくされようとも、こうやって次の担い手が産まれた時に全てを授けるのだろう。
任せてください、今代は私が全てを取り仕切らせていただきます。
その業を担う代わりといってはなんですが、私の望みである悲願は成就させていただかせてもらいます。
愛する聖女様の福音を、あの温もりを、私は忘れない、何があろうと、絶対に忘れない忘れれない…待っていてくださいねイラツゲ様。愛する聖女様。
あれから幾星霜、長き時が流れた、幼かった私は何時の間にか背も伸び、背が高かった聖女様と肩を並べれるほどに
祈りを捧げる、白くて丸い物質に祈りを捧げる、だが祈りを捧げる姿勢だけだ。頭の中は今日の予定でいっぱい、世界の平和なんてあれから一度も考えたことはない。
祈りを捧げる姿勢から解放された後は、笑顔を作り、慈愛に満ちたような微笑みで集まった人々にそれらしい挨拶を重ねていく、日々の悲しみをもっともらしい言葉を述べて納得させる。
この為に、数多くの言葉を学び、仕草を学び、雰囲気作りを学んだ。
気が付けば、現状、生きている人の中で一番責任のある立場に成ってしまった。成る気は無かったが仕方がない、今にしても思えば、目的の為にこういった階級に落ち着くのは良い事だろうと思えれるので結果的に見れば良かったのだろう。
今の私は、教会に働きに来てくれている無報酬の人もいれば、報酬ありきで勤めてくれるシスター達からも慕われていて、順風満帆と言えばそうみえるだろう。
ここだけは、世界中に蔓延る嗚咽の如き悲しみとは、無縁なのだろう…
そんな風に映っているのであれば、大層頭の中は幸せなのだろうな、その方が俺にとっては都合がいい…
いけない、いけない、言葉遣いを正さねば、私にとって好ましい状況という事ですね。
近隣から慕われている影響もあって、私が秘密裏に教会に地下を作ったとしても誰も何も思ってはいなかった、気が付いた人もいるであろうにな…
私としては貴重な資料を保管する場所が足りなくなってきたので、保管する場所が欲しいという建前で小さな地下室を作ってある。
その地下室はとても小さく、本当に資料を保管している。
だけど、その先にはちょっとした大きな空間が広がっている、とある手順を踏むことで通れるようにしてあり、教会が保有している、この広大で無駄な広さの土地、それと程、同サイズの地下空間を造り上げた。
当然、この地下室を作るのは独りでは不可能だった、悪魔信仰、これの恐ろしい部分は、私以外にもそれを信仰する人達が陰ながらにいるということだった。
王都に住まうごく普通の何処にでもいるような、土木建築や、飲食業、医療に携わる先生と呼ばれるような人でも
影ながらに悪魔信仰をしている人達がいた…
不思議と私達はお互いがお互いを識別することが出来るので集まることに抵抗もなく、導かれる様にお互いを引き寄せあった、まさに神に祝福された者たちと言ったところだろう。
その人たちの陰ながらの支援によって、長き時を経て広大な地下空間を完成させることができた。
祈りの間にある白きオブジェ、あれの真下は広大な空間が広がっているなんて誰も考えはしないだろう。
魔術に疎い私では辿りつけなかったが、いつか、この祈りという無駄な行為に魔術として何かしらの意味を組み込めないか考えたことがある、何度も神から授かりし魔術書に目を通しているのだが、魔術に疎い私では実現が難しそうだ。
魔術書に書かれている必要な設備は全て揃えた、儀式を完成させるには必要な物がある、それは、贄が必要となる。
困難を極めるだろうと思っていた、贄を手に入れるのは非常に簡単だった。
医者として働くものが協力をしてくれるのが非常に大きかった、彼から死が近い人を教えてもらい、その人の下へ祈りを捧げに来ましたと訪問し、死に際を看取り、葬儀に関しては此方で無償で請け負うといい、死体を預かり、それを贄とした
バレることはない、死体は棺の中に入れており、中が見えないようにしている。
家族との別れが終わった後は、此方で神の火という神聖な儀式によって火葬し墓地へ骨を埋めるだけ。
中身を見られてしまうと疑問を感じる人はいたでしょうね。
贄に必要な物は血液と骨のみ、血を逆さ刷りにして抜いたとしても知識無き者であれば気が付きようがないのだが、何処に知恵者がいるのかわかったものじゃないですからね。
骨に関しては、火葬が終わった後に出てくる骨の一部を拝借したところで誰も気が付くことはない。
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