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Dead End 6Ⅵ6の世界(4)

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─ 本当に幸せなの? ─



違和感が、私に声を掛けてくる

本当にジラさんは幸せだったのか?
あのジラさんが子供が出来たのに、何も言わずに急いで去る?
王都に戻るための業者を待たせているから?その程度の理由で?

…取りに来た魔道具の中身を知っている私に会いたくなかったからでは?

私であれば、この先に何かあるのだと勘づくからでは?それが言えない状況だとしたら?
教会の人と一緒に行動していた、話を聞く限り、上の人でしょ?私が知る限り現在における、教会のトップは司祭…ぇ、ってことは、お母様と少なからず関りがあった人だよね?お母様の日記にも名前が書かれていたような…
お母様と瓜二つのジラさんが、それの傍にいた?

お母様の日記には、姉が居たらしく、その姉の近くを、いいえ、後ろを付いて回る子供が居た、名も無き孤児で死にそうになっているのを助けたとか?書かれていたような記憶がある。
日記の内容からしても、命を救ってくれた人物、絶対に固執しているはず…固執している可能性が高い人物がお母様と瓜二つの人物と傍にいて、たら、それは…男としてアプローチしてくるのが普通かな?初恋的な?

でも、ジラさんのような人だったら愛した人であればちゃんと私達に絶対に、うん、確実に紹介するよね?ならなんで?紹介してくれない?旦那じゃないから?後ろを付いてくるのが当たり前だから?格下相手ってこと?現時点での教会でのトップが下っ端?ジラさんは貴族社会を知っているから、そんな目上の人を旦那と言え顎で使うような召使のように扱うわけがない…

全ての答えが違和感を脱することが出来ない中、どうしても抜けない答えがある…今日現れたのは本当にジラさん?他人の空似とかじゃないの?たにんの、みためは、中身は?

始祖様の秘術…そこに、封印術式をジラさんと共に完成させる際に、読んだ悪魔信仰の奇術、内容が全てにおいて禍々しかった…
その二つから導き出されてしまった考えたくもない答え…行きついてしまった答えが脳裏をよぎった瞬間に全身から、汗が湧き水のように溢れでてくる

その考えを否定したくて、再度、ジラさんの部屋の中を探し回るが、これといって他に情報が無い、否定する、肯定する…何でもいいので次に進める為の材料が欲しい!
何でも良いので情報が欲しい!!私の答えが間違っているのか正しいのか、それによって次の一手が大きく異なってくる!!

机の引き出しを全て出すけれど…出てくるのは埃だけ、埃が舞うだけ、つまり、この半年近く開けていないという情報が伝わってくる。

必死に痕跡を探していると
「なぁ、姫様、何かあったのか?その焦り方、もしかして、只事じゃないのか?」
医療の父が今にも泣きだしそうな程の不安と焦りを感じている私に声を掛けてくれるので、涙を堪えながら頷くと、よっぽどの状況だと察してくれたみたいで
「…黙っていたんだけどよ、意味不明な手紙がな、手元にあるんだ」
一筋の光明と共に、どうしてその話をもっと早くにしてくれなかったのかという怒りも沸いてくるけれど、医療の父は気遣いの塊のような部分もあるから、きっと…
その答えに辿り着いた瞬間に自分が辿り着いてしまった答えが一気に真実味が増してくる…
わかってきたじゃん、それが正解だよっと語り掛けてくる、背筋が凍り付きそうなほど、ぞっとする答えが正しかったのか、間違っているのか直ぐにでも確かめたいので医療の父と共に手紙を取りに病棟へと向かって駆けだす。

息を切らしながらも、なんとか、病棟に辿り着き、へとへとになりながらも、椅子に座ると父からは手紙、奥様からは水が同時に飛んできた。
両方を受け取り、直ぐに中身を配慮せずに開けて読むのだが…全てを読み終わった瞬間に


こころがへしおれそうだった くだけちりそうだった


そりゃ、うん。そうだね、そうだよね、医療の父からすれば、この手紙を見ておかしいって感じるのは当然だもの、なんで報告してくれなかったのか問い詰めたいけれど、仕方がないよね、たぶん、私がいっぱいいっぱいだったからだよね?うん、それはね、もういいんだけど、おかしいって感じる根拠はね、だって

星って単語を知っているのは私達か教会、または、王族かそれに連なる上流貴族…
王都に住んでいれば、言葉として何処かで耳にすることはあるだろう、だけどね、医療の父がそんな文学的な表現とは縁遠い人だもの、知ってるわけないよね、それにね、文字として書けるかどうかは別。
ジラさんも知っていてもおかしくはない、おかしくないけれど…星という単語の使用方法を完全に熟知している、しっかりと星という物が何を比喩しているのか知っている人じゃないと書けない文法。

確信に至ったよ…

ジラさんじゃない!!ジラさんは多少学があるけれど、ここ迄、奥深い一部の人しか知らない文法を扱えれるわけがない!!
医療の父が…会ったのはジラさんじゃない!!何処のどいつだ!!私達の魂を穢したのは!死者を冒涜としたのは!!
お母さんを殺したのは誰だ!!!ゆるさねぇ!ゆるせるわけがねぇ!ぶちころす!何があろうと殺す!!!

確信に到達した瞬間、全身が怒りという感情で震えあがる、人生で一度もここ迄、怒りという感情が沸き上がったことはない。
明日を考えなくていいのであれば、全ての魔力を力に換えて解き放ちたくなる。

王族が幾度となく滅ぼしてきた悪魔信仰という信仰の火は、まだ消えていなかった…
王都の何処かに密かに燻ぶっていた、潜伏していた…行きついた答えは下法が齎す奇跡、その闇の技術によってジラさんの魂が上書きされていると考えるべき。
魂の上書き、いったい、どの魂を召喚したのか?…考えたくないけれど、ずっと囚われていたのだろう、死んだその時から…狙われていたのだろう、特殊な魂だから、この大地から見ても、非常に稀有な存在、始祖様と未だに繋がりがある魂…

私達の一族で、最近、王都で死んだ人、つまりは、お母様のお姉さま…叔母様だ。

その全ての魔術的な実態を、私は把握していない、把握しているのは、どう考えてもこの星の技術体系ではないということだけ

…悪魔信仰の魔導書を読んだときに、思い浮かんだ一説として考えたのが始祖様が追っている敵の技術体系ではないかって感じた。
つまるところ、もしやもしや?大陸の端で此方を常に監視し滅ぼす機会を伺っている獣共が持ちえる技術ではないかっという、仮説を立てたことがある。

その仮説が一気に、現実味が湧いてくるじゃない!!おまえらか?おまえらのような下賤なるものどもが私の大事なものに手を出したのか?幾度となく私を踏みにじったお前らが、おまえらが!!私の大切なモノすべてを!また、また!!蹂躙して貪り食うとでもいうのか!?

全身から怒りという感情が溢れ出ているのを抑えきれていない、封印術式で抑えているはずの魔力も溢れ出そうに成程、私の心は冷静に穏やかになることが出来ず
「全軍、集めて…」
これから先に、起こりえる最大の恐怖を滅ぼしにいく決意を固める。
「ど、どうしたんだ?姫ちゃん、そ、そんな怖い顔をして」
宥めようとしてくれるのは嬉しいですけれど、先輩、今はそれどころじゃないの、私の心が貴方に殺気という刃を解き放つ前に行動してくれるかしら?
「今は!説明してる時間もおしいの!この街にいる全員に通達して!出撃の準備!殲滅戦の準備を」
つい、声を荒げて感情をむき出しにしてしまいそうになっていると突如ドアが豪快な音と共に開かれ、中に入ってきた第一声によって私の前に居る二人が状況を飲み込み始める
「た!たいへんです!!!お、おうとが!!」
知らせてくれた人と共に外に出ると

「…私はいつだって一手遅い」

王都全体が光り輝いている、天空には大きな目が浮かび上がっている徐々に徐々にゆっくりと開こうとしている
完全に先手を取られている完全に後手に回っている、この状況から盤面をひっくり返すことが出来るのか?…わからない、でも、でも!
まだ、まだきっと間に合う!間に合わせ見せる!一手どころか二手でも三手でも遅くても!…

気合を入れようとする…だけど、こういう時に賢くてさ、冷静な部分がさ、もう手遅れって計算し終わるのが凄く腹が立つ!!
心では、気持ちでは、まだ負けていない!覆せれると思っていたい!…でも、冷静な部分がため息と共にこの状況下でどうにか出来るわけがないって覆す方法なんて何一つないっと語り掛けてくる。わかってる!でも!諦めきれない!心だって理解はしているよ!!でもね、でもね!
無駄にしない!例え…今の私が死んでも次の私に情報を送り、未来を託すことが出来る!今回は負けても次回は、次回こそは!確実に完封してみせる!その為にも、そのためにも私は変貌していく死の街にいかないといけない!

その結果…多くを、非常に多くを、犠牲にしたとしても、多くを、絶望の中に招きこんでも、人々の魂を罠に放り込んでも、いかないといけない…

それに、それに…心残りを、この人生が終わりを告げているからこそ動かないといけない感情が私を勧めようと藻掻こうとする。
最後の最後まで、私は、あの人に何一つ恩を、恩を!返せていない!
最後の、最後くらい!あの人を救ってあげたい!全てが終わるから無意味だとしても!わたしは、わたしは、あのひとのそばにいたい。

街に居た人達全員が王都に異変が起きているのを目の当たりにしたのか、何をすればいいのか直ぐに指示を仰ぎに来る。
…ごめんね、皆はたぶん…ううん、確実に死ぬだろうけれど、無駄には、絶対に無駄には、しないからね。
顔を上げ、集まった人達に最善で最速で準備させる、何を置いても闘う準備をさせる…




行こう、最後の決戦に、闘いに行こう…結末は滅亡しか無くても。




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