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とある人物達が歩んできた道 ~ 余談 ~ ③

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それからの日々は、息子さんを後輩と呼び、徹底的に医療の知識を叩きこんでいく日々
に、なると思っていたけれど!!いやー!年の近い友達って厄介ねー!姫ちゃんの遊び心を増長させるじゃないのよ!!焚きつけてくるじゃないの!!
色んなところで色んな悪戯にイベントに!やりたい放題するようになっちゃったじゃないの!!

その状況に振り回されるなんて予想外だったわねー!

気が付けば、またも!私が!二人の監視役みたいな感じとしていつの間にか!面倒ごとを押し付けられちゃったのよね!
あーもう、あの二人が色んな場所で色んな事をしでかすからーそれの尻拭いという仕事が増えて、ほんっとにもー!!

まさか、こういう風な影響が出てくるなんて予想外ね…だけれど、年相応として、楽しそうに過ごし始めた姫ちゃんの姿を見ると、叱るに叱れないのよね…

幹部連中も姫ちゃんがこの街に来た当初から見てきているから、微笑ましいみたいで、我儘に付き合ってあげているけれど、一部の人達からほどほどにしてくれって懇願されちゃってるのよねー…上は歓び、下は我儘に付き合わされてげんなりって感じで主な尻拭いがげんなりしている人達に対してのフォローって感じよ。

でもね、これがね、後処理とか大変だけれど、悪いことだとは私も思っていないのよ…

あの二人が周りを巻き込んで楽しそうに色んな事をしてくれるから、皆のストレスも若干紛れたりしていたりするし
死を体現した存在との命がけのやり取りばかりするような場所で長い事、生きているとね…心が削れていくのよ…

昔は、ここでしか生きられない人達ばっかりだったけれど、今はこの街に逃げてきた人達も居れば、他にも生きれる場所があって自由にこの街から離れても良い人達もいる。
この街でしか生きれないわけじゃない、だからこそ、息抜きって必要なのよね。
その為に毎日働く様な日程ではなくローテーションを組むようにして、しっかりと心と体を休めれる様に制度を変えていったのよね。

私には適応されていないのは、もう、諦めたわよ…

周りに与えた影響はそれだけじゃないのよ。
二人の自由な姿を見て、自分がしたかったことが何なのか未練を思い出し、色々な事情があって諦めた夢を再度、追いかけたくなった人が張りぼての街で夢を叶えたりもしたのよね…
自分がデザインした服を作って売りたい、絵が好きで絵を描くための工房を設けたい、自分が集めた武具コレクションを誰かに見せびらかしたい…
後は…ここだけの話で、姫ちゃんの目を盗んでっというか、上手い事、承認させて秘密裏に作られた大人のおもちゃとか、そういう類のお店もこっそりと誕生しているのよね…表向きはお洋服のお店だけれど、合言葉を言えば奥に通してくれるのよね…いやー、世界は広かったわね!あくなき探求心が行きつく先はあんな世界もあるのね!はぁ…凄かったわね…

そんなこともあってね、女将しかいなかった寂しい街が徐々に色んな人が自由に商いが出来るようになってきたのはとても良い事よね。
折角用意した建物なのだから、使わないともったいない。

街が少し活発になった影響もあって、行商人の方達の出入りも増えていくっていうことは、自然とこの街に対しての評価も変わっていくでしょうね。

街が活性化していく流れに今まで感じていた疑問が解消されていくのを感じている
最初はどうして、ここまで多種多様な建物を数多く建てる意味はあるのかって感じていたのよね。
職人を暇させないため、技術継承の為にでも、造ってるだけかと思っていたら、こういう流れが来るのを待っていたのかもしれないわね。

色んな事が起きて、色んな日々が駆け抜けるように、一日一日が短く感じながらも、日々を懸命に必死に生き
前に向かって走り続けていた。


そして、私達の公にできない研究も大きく飛躍的に物事が進んでいったのよ…


一つが、人体と魔石を繋ぎ魔力を得る為の理論の実現、つまるところ人体改造
二つが、始祖様のような強靭な肉体と魔力を宿した人体を産み出す事
三つが、人工的に始祖様のような超人を作ること
四つが、姫ちゃんと同じ力を持つ人を人工的に作れないか
五つが、世界中が手を取り、力を蓄え人類一丸となって敵を殲滅する為の誰でも扱えれる魔力を必要としない攻撃方法
六つが、女将のような肉体を人工的にトレーニングなどによって後天的に作り上げれるか


①の研究に対して現状での成果
人体に魔石から得た魔力を注入する方法は…現状では不可能だけれど、理論は完成した
どうして、不可能なのかは、魔石に入っている魔力が人体に馴染まないからってことね

敵の体内から摘出した魔石に込められた魔力を体内に取り込むことは絶対にできないが、人工的に作られた魔石に人が魔力を込めたならっという条件で在れば可能性はある

姫ちゃんが言うには魔力の性質として、魔力の中に意志が溶け込むことがあるらしい…
その為、感受性の高い人であれば、魔力に込められてしまった意思を感じるという、なので、魔石に込められた魔力を体内に取り込むとういう事は他者の意志を取り込むことになる。
なので、唐突に、見知らぬ人を体内に感じることによって拒絶反応が発生するらしい。

魔力譲渡法が如何に奇跡的な御業なのかってことね。
医療事業者じゃないと成功しにくいのは、もしかしたら、他者を思いやる心、他者を救いたいという信念があるからこそって感じなのかもしれないわね。



②の研究に対して現状での成果
これに、関しては人々が、どの様に始祖様の血を受け継ぎ色濃く残しているのか把握する必要性がある
検査結果は全て姫ちゃんが管理している…私も結果を見せてもらったけれど、見たところでどうすればいいのかわからなかった
驚いたのが、まさか、私も始祖様の影響を受けていたことだった、能力値として高かったのが体力面だった…
昔から体力というか、持久力に自信があったのはそういう理由だったのかもしれない。

姫ちゃんは目の数値が高かったみたい、言われてみれば反射神経とか、視力が良かったりしたのよね、納得ね。



③の研究に対して現状での成果
肉体というか、筋肉ね。
筋肉に直接、筋肉の力を極限まで作用させる術式を埋め込むことによって、任意で超人的な力が生み出せないかという疑問を元に。カエルを使って実験はしてみたのだけれど…

結果だけみれば成功しているのよねー

理論としては、騎士様から教えて頂いた身体能力を向上させる魔力の使い方を術式へと姫ちゃんが転用してくれたので、それをカエルの足に施し、カエルが地面を蹴って飛ぼうとした瞬間に術式を起動させてみたところ

カエルは高く高く、空高く飛ぶことが出来た…両足の骨が折れて皮膚を突き破ってしまったけれどね。

現状では筋肉以外にも発生する衝撃を守るための術式が必要ってことね…それもそうよね。
筋肉から発生する衝撃から守るための術式を研究している



④の研究に対して現状での成果
これに関しては数多くの犠牲の末、理論は完成した。理論はね…
申し訳ないけれど、数多くの豚が死んでしまった…
しかも、実験して死んでしまった豚の肉は固くて、味も落ちて、美味しく食べられる様な状態じゃなかったわね…

まず、第一段階として魔力が外に漏れないようにしている弁のような機能をしている組織を見つけることに成功した

その弁を壊し、体内に流れている魔力が全力で外に抜け出る様に改造したが、魔力を可視化する魔道具や魔力を測定する魔道具を使って測定しても、施す前に比べて気持ち程度、体外へと放出されるだけという結果になった

この実験には第二段階がある

第二段階は、魔力を精製する器官を把握し、特殊な術式を施す事。

見つけたのが肺と心臓だった…

肺からどうやって魔力を精製するのかというと、空気中に漂う魔力を取り込むことが出来るのだと判明した。
なら、心臓の役目として、血液を全身に流すだけかと思っていたが、血中魔力濃度を測定していった結果、新しい事実が判明した。

心臓が肺から取り込んだ魔力を全身に流している、と、見せかけて心臓そのものが、魔力を精製していることが判明した。
心臓にとある術式を組み込んで心臓から生み出される魔力量を強制的に加速させることに成功した

心臓と肺を改造した豚を野に放って動きを観測する実験を行った。

結果は悲惨なモノだったわね…
駆け出した瞬間に絶命した…薄っすらと生えている毛も全て真っ白になって…

この実験を経て逆説的な実験を施してみる

逆も然り気になることは試してみましょう!
っということで、心臓に魔力を精製させない様にすることが出来ないか豚に試してみる、悲惨な結果となってしまった…

それをすると心臓が停止してしまった。

困ったことに、術式を解除して心臓を直接マッサージしても再度動き出すことは一度も無かった…
これにより、これに関する術式は危険度が高すぎる為に永久封印指定することになった、何故なら…

どうにかして心臓にこの術式を埋め込めば、誰でも容易に殺せてしまうから、それも、証拠を残さずに…暗殺に向きすぎている。

第一段階の魔力を体外へと放出する器官も一度、壊してしまった弁を修復することは不可能だった…
他者から移植すればよいのかもしれないが、移植したら他者は弁そのものが無くなってしまうので、術式が使えなくなる恐れがある…
弁だけを培養出来ないか試しに培養してみたが、使い物にならなかった、何故なら、培養した弁を検査すると、組織が崩れていることが多かった…

培養の技術が向上しない限り、弁の移植などは現状では不可能となるわけね…
姫ちゃんの体を救う手立ては現状なしっと…悲しいわね。封印術式を継続して施しましょう。

これもまた、これ以上先に進めそうもない…



⑤の研究に対して現状での成果
此方は、人類の意識を統一することが出来たら姫ちゃんが用意することになっている。
何故なら、誰でも扱えれる殺傷能力の高い兵器というのは、人の心に影を落とすことがある。

折角用意した兵器によって、その力に溺れ、裏切り
敵を倒す為に考えられて作られた武器を人類に向けてしまっては本末転倒となる…

なお、参考資料は地球の兵器だそうで、紙媒体などに起こしていないので姫ちゃん以外知る術が無いので安心ね。
悪用する人物に渡ることはないってことよ。

⑥の研究に対して現状での成果
これに関しては、③と共に並行して行っている…けれど、期待は出来そうも無いわね~

自分の肉体を破壊するような術式なんて使い物にならないわよね~…

これを参考として、姫ちゃん的に肉体を守るための特殊な防具を開発する計画も実行している
テスターとして後輩を使ってるみたいで、傍から見ると二人で仲睦まじく遊んでるように見えるのよね~
私もその光景を見たけれど、ジャンプしたり、ボールを投げたり、ボールをぶつけてみたり、きゃっきゃっと楽しそうに追いかけっこをしてたり…
何処かどう見ても、外で遊んでる子供のようにしかみえなかったのよねー…あれが、まさか高度な研究をしているなんて誰も思わないでしょうね。

まぁ、これに関しては私が知る限りでは、ある程度、完成しているのよね?姫ちゃんが理想とする段階まで完成しているのかはわからないけれどね。
実用に耐えれるだけの性能は…貴女が身をもって証明したものね。あの時は、心臓が止まるかと思ったわよ…


「さぁってと、こんな感じかしらね?最後の方は、急ぎ足だったけれど、これくらいかしらね?」
あの時から成長し立派な医療人へと至った後輩…現医療班団長で在り、昏睡した姫ちゃんを唯一救えるであろう浸透水式の申し子である彼女に知りえるだけの過去の話を語った。

「・・・」
私の語った内容を反芻しているのか、自分の中に落とし込んでいるのか、私にはわからないけれど、真剣な表情のままピクリとも動こうとしない。

「貴女が知らないだろう事実って、こんな感じかしらね?私だけが知っている話ってのはこれくらいかしらね?」
動こうとしないので確認の為に声を掛ける、次は、次こそは、絶対に失敗が許されないから…
私自身も再度、思い返す。彼女が知らないであろう思い出を…

思い当たる内容を探してみるが、思い出せそうも無いわね…

「どう?団長として、何か気が付いた事ってあるかしら?他に何か知りたいことってあるかしら?確認するなら今しかないわよ?」

この質問を待っていたのか、彼女の口が動く

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