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ようこそ、サイバーへ
しおりを挟むーーーーーー……
「タイムリンク!!」
運動場でその声は響いた。
そう叫んだ男は、サッカーボールをドリブルしているやつだ。
するとそいつの右耳についている小さなピアスが光った。
と同時にサッカーボールは一瞬で姿を消し、気が付いた時にはゴールネットにゴールを決めていた。
一瞬で消えたボール。まるでテレポートしたみたいだ。
それを近くから見ていた姫奈達がいた。
「ずっるいーあのアビリティー」
後ろから声がして姫奈は思わず振り向いた。
そこには手にビール缶を持ったマリがたっていた。
「マリ…」
マリはにっこりと笑って姫奈の隣に腰を下ろした。
「あのアビリティー、タイムリンクって言うんだよ。結構ずるい技だよね」
マリはそう言ってビール缶を飲み干した。
「ちょっと…学校でビール飲まないでよ…」
「平気平気、これビールに見せかけて、ただの炭酸水よ」
マリはニヤッと笑った。
なんて、腹黒い人なんだろう。
「あいつ、ユウヒってやつでさ、結構しぶといんだよね。」
「うん…二つ前の席だよ」
今は体育の授業で、マリも姫奈も体操服を着ている。
体操服はとても綺麗なデザインだ。
緑色で、女子はショートパンツ付きの短いスカートだ。
結構動きやすい。
「あいつ、チーム・ネイジュだけどさ、タイムリンクっていう厄介なアビリティーあるからね。
今年の体育祭は、ユウヒがいる限り、ネイジュは勝ち続けるだろうな」
マリはそう語りながらユウヒを見つめる。
ユウヒは、ボールを独り占めしている。
相手チームは気がついたらボールがゴールしてることに腹を立てている。
それに対してユウヒと彼のチームは「よっしゃあ」と喜んでる。
「タイムリンクっていうのはね、時間を止めるアビリティー…だから、結構役に立つんだよね」
そういう麻里は、どこか可愛かった。
「姫奈は、サッカーとかしないの?姫奈のアビリティー、見てみたいな?」
マリはそう言ってニッコリ微笑む。
「…私、まだアビリティー…一つもインストロールしてないの。だから今は無理。」
あの後、セルフバティーは完全に使えるようになった。
アビリティーは、実は3つくらいインストロールした。
だから、前みたいに完全に使えるようになったのだ。
「そっかー残念…」
マリは悲しそうに言った。
するとマリはすっと立ち上がってサッカーの運動場に行ってしまった。
姫奈はサッカーをするみんなを遠くで見つめていた。
ーーーーーーー………。
「じゃあ、今から始めるわね」
放課後、姫奈はサイバーの部屋にいた。
この学園では、チームそれぞれに、部室のようなものが与えられる。
サイバーの部室は、最強のチームであるだけ豪華だった。
「はい」
姫奈はメイサに元気な返事を返した。
これから、姫奈の力を試すところだ。
この試験を合格すれば、姫奈の力は認められ、サイバーに仲間入りになる。
「じゃあ、アミリア!」
メイサがそう叫ぶと、奥から少女が出てきた。
彼女はどこか不思議な雰囲気だ。髪の毛は短く肌白い。
「今回、姫奈さんの相手をする、アミリアです。召喚アビリティーの持ち主です」
アミリアはそう言うとお辞儀をした。
召喚アビリティー
それは、今までに倒したモンスターやロボットを召喚し、呼び出すことができる技だ。
大体のアビリティー試験は、このアビリティーで呼び出されたモンスターと戦う。
「ガードフィールド、展開」
メイサがそう叫ぶと、アミリアと姫奈を中心として直径5メートルくらいの縁が出てきて光り始めた。
「戦場は、ここ。直径5メートル。先に戦闘不能になった方が負け。それでは、試験開始」
メイサの声に、試験が始まった。
アミリアは、すっと左手を挙げた。
その手首にはブレスレット。きっとそれが彼女のセルフバティーだ。
「召喚!! グレテバール!!!!」
アミリアの声がスピーカーのように周りに響いた。
すると次の瞬間、アミリアと姫奈の間に大きな龍が出てきた。
太い脚に太い尻尾。「グアアッ」と大きく轟く。
姫奈はギュッと左手で自分のセルフバティーを握った。
万が一、手を離してしまってもいいように、手首にロープが巻かれていてそれがセルフバティーと繋がっている。
召喚アビリティーを持つ相手と戦う時はコツがいる。
それは、召喚した怪物の特性を知る事。
レーナのようにコンタクトアイのセルフバティーなら、すぐに相手の特性を知る事ができる。
でも、姫奈のような人は、自分の知識を使うしか手はない。
怪物は口から思いっきり火を吹き出した。
姫奈は咄嗟に左手に持っているセルフバティーを目の前にかざした。
すると、ブワッと火は消された。
姫奈には戦い方があった。
セルフバティーを操作すると、姫奈の身体は上昇した。
サイバーの部室には、対戦会場があり、そこにいる。
その対戦会場の天井の高さは約、6メートル。
姫奈はできるだけ高く飛んだ。
これは、姫奈の周りにある重力を操る魔法だ。
「飛んだっ!??」
その姿にアミリアは驚きの声を上げた。
「グレテバール!!やりなさい」
アミリアが声を上げると怪物は応えるように「グアア」と大きな声を出した。
怪物は、何度も口から火を出すが、その度に姫奈はそれを軽く避けてしまう。
行き場をなくした火は、メイサの開いたフィールドにあたり消えていく。
「そっか…あいつは、あの場所から一回も動いてない。重さが傷になったのか…じゃあ…」
姫奈はスッと左手に持っているセルフバティーを挙げた。
すると、怪物が光りだした。緑で綺麗な光だ
「グリアス!!!!!」
姫奈がそう叫ぶと、光がより強くなり、次の瞬間、怪物は消えていた。
「そこまで」
メイサの声とともに、周りのフィールドが消えていった。
姫奈もゆっくりと床に降りていく。
「さすがでした。一瞬にして私のグレテバールが倒されました」
アミリアはそう言ってにっこり微笑んだ。
「たったの5分57秒よ?そんな短時間で、しかも一発で、あのグレテバールをやってしまうとは…」
姫奈は「ありがとうございます」とお辞儀をした。
「ところで…さっきの技は?」
アミリアが姫奈にそう聞いた。
「グロー・グリアス。グレテバールが、その場から動かないのは、重いからだと思ったんです。よっぽどの事がない限りきっと、動かない。
かといって、物理的に攻撃をしてもきっと、すごい防御力で跳ね返してしまう。
だから、中から攻撃をしようと思ったんです。
グリアスは、相手の身体の中から壊していくアビリティーです。
最初はきかないと思ったんだけど
硬い鱗から、きっと、中からの攻撃は弱いと計算したんです」
そう説明した姫奈に「完敗です」とアミリアは微笑んだ。
メイサは姫奈の前に右手を差し出した。
姫奈はそれをとって握手をした。
「ようこそ。サイバーへ」
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