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残念賞
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翌日。
今日は予定通り遠くまで足を延ばすことに。
朝早くに隣村まで出かけてみた。
昨日行った村とは反対方面。歩けばどれだけ時間がかかることか。
でも馬車は高いし贅沢言える身分じゃないですからね。
「もうパンキー! ダメだってば! 」
パンキーはお散歩だと思ってるのか大騒ぎ。
制止を無視して自由に駆ける本当に困った子。
ワワンと元気にどんどん先に行ってしまう。
追いつくのがやっと。本気ならとっくに姿を消してるでしょう。
でもお利口だから私が来るまで大人しく待ってる。
追い付くとすぐにまた走り出す。
それの繰り返し。
実はパンキーのお世話も躾もほぼメイドに任せきりで大してやってこなかった。
パンキーは大人しいので大丈夫だと勝手に判断したがやはり元気だから。
あーもうダメ。限界。
「もう待ってよパンキー! 勝手に行かないの! 」
ボールを咥えて戻ってくる。
「ちょっとパンキーったら口に咥えてるものは何? どこからそんなものを? 」
大好物のボールを見つけてご満悦のパンキー。
投げてくれ。一緒に遊んでくれとアピールする。
ふふふ…… もうパンキーったらしょうがない子。
それにしても一体どこから? まさか何かしたんじゃ……
息を切らし駆けてくる影が見えた。
「ちょっとあなた! 私を殺す気? 冗談じゃないわ! 」
お怒りモードの女性。文句を言ってるのは分かる。
でもこれって果たして私の責任でしょうか?
ボケっとしてる方が悪い場合だってある。
もちろんそんな言い訳通用するはずもなく頭を下げることに。
ひたすら謝る。
躾がなってないと散々嫌味を言われるもどうにか耐える。
「あなたの犬でしょう? もう少し自覚と責任を持って欲しいわ! 」
ガミガミ言って来るので反論せずに下を向く。
もうそろそろ静かになったかな?
「それでこのボールは? 」
「あなたちっとも反省してないじゃない! もういいわ! 」
何とか許してもらえたがボールについては口を閉ざす。
ケチケチせずに教えてくれたっていいじゃない?
反省? する訳ないでしょう。
「それでこのボールは? 」
避けるように逃げ出した女性に答えるまでしつこく迫る。
別に嫌がらせではありません。ただ凄く気になったものだから。
「残念賞ですって。もう頭に来ちゃう! 」
どうやらパンキーのせいではなく残念賞だったのが我慢ならなかったらしい。
二時間も並んでなので同情する。パンキーも可哀想な方に絡んでしまったみたい。
ただこれで手応えがあった。
女性に教えてもらい行列のある場所へ。
パンキーのおかげでならず者に襲撃されることもなく行列にまでたどり着いた。
これはもしかしたら今日はついてるかもしれない。
「あの…… 」
この国では珍しい黒髪の女性が最後尾に。
何て美しいのかしら? 生まれつきブロンドの私には憧れてしまう。
少しでもいいからお話がしたい。お近づきになれたらな。
極端な話ですが没落したことにより故郷にはもう私の居場所がない。
今まで良くしてくれた方も肩書がなくなった途端に冷たくなり離れて行った。
村にも隣村にもお友だちは大勢いた。
でも皆さん私よりも先に嫁いだものだからもう仲間なんていない。
時の流れは残酷なもので一人取り残された気分。
まさか婚約破棄されて戻って来るなんて思いもしなった。
このままでは絶対にダメ。新しくお友だちや仲間を作る必要がある。
でもそれも越すまでの短い間だから別にどっちでもいいが本音。
どうせすぐにここよりももっと田舎へ引っ込んでしまうのだから。
一か月をどう楽しく過ごすか。
お姉様たちのように抜け殻のように過ごしたくはありません。
できるだけ楽しく一日一日を大切にできたらなと思っている。
だから積極的に行く。でもちょっと恥ずかしいかな。
もしかしたらすべて知れ渡っているかもしれないと考えると動くに動けない。
家が没落し婚約破棄された哀れな娘とは思われたくないし。
ここはやっぱりパンキーに頼るしかないか。
続く
今日は予定通り遠くまで足を延ばすことに。
朝早くに隣村まで出かけてみた。
昨日行った村とは反対方面。歩けばどれだけ時間がかかることか。
でも馬車は高いし贅沢言える身分じゃないですからね。
「もうパンキー! ダメだってば! 」
パンキーはお散歩だと思ってるのか大騒ぎ。
制止を無視して自由に駆ける本当に困った子。
ワワンと元気にどんどん先に行ってしまう。
追いつくのがやっと。本気ならとっくに姿を消してるでしょう。
でもお利口だから私が来るまで大人しく待ってる。
追い付くとすぐにまた走り出す。
それの繰り返し。
実はパンキーのお世話も躾もほぼメイドに任せきりで大してやってこなかった。
パンキーは大人しいので大丈夫だと勝手に判断したがやはり元気だから。
あーもうダメ。限界。
「もう待ってよパンキー! 勝手に行かないの! 」
ボールを咥えて戻ってくる。
「ちょっとパンキーったら口に咥えてるものは何? どこからそんなものを? 」
大好物のボールを見つけてご満悦のパンキー。
投げてくれ。一緒に遊んでくれとアピールする。
ふふふ…… もうパンキーったらしょうがない子。
それにしても一体どこから? まさか何かしたんじゃ……
息を切らし駆けてくる影が見えた。
「ちょっとあなた! 私を殺す気? 冗談じゃないわ! 」
お怒りモードの女性。文句を言ってるのは分かる。
でもこれって果たして私の責任でしょうか?
ボケっとしてる方が悪い場合だってある。
もちろんそんな言い訳通用するはずもなく頭を下げることに。
ひたすら謝る。
躾がなってないと散々嫌味を言われるもどうにか耐える。
「あなたの犬でしょう? もう少し自覚と責任を持って欲しいわ! 」
ガミガミ言って来るので反論せずに下を向く。
もうそろそろ静かになったかな?
「それでこのボールは? 」
「あなたちっとも反省してないじゃない! もういいわ! 」
何とか許してもらえたがボールについては口を閉ざす。
ケチケチせずに教えてくれたっていいじゃない?
反省? する訳ないでしょう。
「それでこのボールは? 」
避けるように逃げ出した女性に答えるまでしつこく迫る。
別に嫌がらせではありません。ただ凄く気になったものだから。
「残念賞ですって。もう頭に来ちゃう! 」
どうやらパンキーのせいではなく残念賞だったのが我慢ならなかったらしい。
二時間も並んでなので同情する。パンキーも可哀想な方に絡んでしまったみたい。
ただこれで手応えがあった。
女性に教えてもらい行列のある場所へ。
パンキーのおかげでならず者に襲撃されることもなく行列にまでたどり着いた。
これはもしかしたら今日はついてるかもしれない。
「あの…… 」
この国では珍しい黒髪の女性が最後尾に。
何て美しいのかしら? 生まれつきブロンドの私には憧れてしまう。
少しでもいいからお話がしたい。お近づきになれたらな。
極端な話ですが没落したことにより故郷にはもう私の居場所がない。
今まで良くしてくれた方も肩書がなくなった途端に冷たくなり離れて行った。
村にも隣村にもお友だちは大勢いた。
でも皆さん私よりも先に嫁いだものだからもう仲間なんていない。
時の流れは残酷なもので一人取り残された気分。
まさか婚約破棄されて戻って来るなんて思いもしなった。
このままでは絶対にダメ。新しくお友だちや仲間を作る必要がある。
でもそれも越すまでの短い間だから別にどっちでもいいが本音。
どうせすぐにここよりももっと田舎へ引っ込んでしまうのだから。
一か月をどう楽しく過ごすか。
お姉様たちのように抜け殻のように過ごしたくはありません。
できるだけ楽しく一日一日を大切にできたらなと思っている。
だから積極的に行く。でもちょっと恥ずかしいかな。
もしかしたらすべて知れ渡っているかもしれないと考えると動くに動けない。
家が没落し婚約破棄された哀れな娘とは思われたくないし。
ここはやっぱりパンキーに頼るしかないか。
続く
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