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チーム分け
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光と共に声が。どこからか鳴き声も。
「お嬢様! お嬢様! 」
「クレーラ! ほら何をやってるんだい! 早くこっちに来な! 」
お婆様がメイドを伴って駆けてくる。
「お婆様…… 」
助かった! のかな?
お婆様はたいまつを手に威嚇するように何事か叫んでいる。
もちろんそれに怯むような肉食獣ではありません。
こちらにロックオンして舌なめずり。
徐々に距離を詰めて行く。
うわちょっと…… ダメ来ないで!
もう少しのところで逃げ切れると思ったのに。
どうしてこうついてないのでしょう?
私が一体何をしたと言うの? 王子が何をしたと言うの?
そうか。王子はお父様を追放したんだった。これは仕方ないこと。
ここは王子に責任を取ってもらわなくては。
その時可愛らしい鳴き声が。
ワワンワン! ワン! ワン!
パンキーが勢いよく飛び出してきた。
「パンキーダメ! それ以上近づかないの! 」
必死に止めるも興奮したパンキーは肉食獣に向かって行く。
何て勇敢なの? でも相手をよく見て。
信じられないほど大きくて凶暴で言葉も冗談も通じないただの獣でしかありません。
捕まったらひとたまりもない。
「もうやけくそだよ! 」
そう言ってお婆様まで突撃。
たいまつを持った鬼の形相のお婆様とパンキーの迫力で肉食獣は諦めて逃走。
「ワン! ワワンワン! 」
なおも追いかけ続けるパンキー。何て勇猛果敢なのでしょう?
ご主人様を守ろうと必死。これがパンキーの中に残っている野生の本能?
「ほらもう大丈夫だよ。ここが危険だって奴も思い知ったはずさ」
「お婆様…… 助かった…… 」
気が抜けてその場にへたり込む。
「大丈夫かクレーラ? 」
「私たち助かったのね? 」
「そうだクレーラ。ほら手を」
王子が立ち上がらせてくれる。
こう言う時だけはそつがないのよね。
でも実際は立ち向かわずに私に任せてしまう臆病王子。
いくら格好をつけたところでもう遅い。
「王子! 」
「クレーラ! 」
抱き合って喜びを爆発させる。
王子がどうであろうと私がどう思おうと無事に切り抜けられればそれでいい。
今は素直に助かったことを喜び合いたい。
ああ怖かった。
「パンキーに礼を言うのね」
「ははは…… 本当に助かったよ」
「ほらいつまでもイチャイチャしてないで戻るよ! 」
「もうお婆様ったら…… 」
恥ずかしくてそれ以上言葉が継げない。
仕方なくパンキーを抱き上げる。
「ありがとう。パンキー」
「そうだ。よくやったぞ! 褒美をやろう。何がいい? 」
「パンでいいのでは? 大好物ですから」
「ではパンキー。お前に好きなだけパンをやろう」
パンキーも大喜び。王子の顔を舐め回す。
「おいパンキー何をする? ははは! 」
「ほらいつまでやってるんだい? 王子も早く! 」
「ですがお婆様。見回りを…… 」
「大丈夫。悩まされていた奴は追い払った。これで一週間は下りてこないだろう。
それに奴が出没したと分かれば愚か者だって近寄りはしないさ。
命あってのものだからね」
これでいいと。勇敢に立ち向かったと褒めてくれた。
ですがあんな獣が出没するなんて聞いてない。分かってたら絶対に断っていた。
いくら家のためとは言え大事な孫娘と王子を危険にさらすのはどうかと思いますよ。
「ほらパンキー。食べよう。ありがとうパンキー」
こうして真夜中の悲劇は回避された。
あれ? 何か忘れているような……
ちょっと待って! あそこで倒れてる男は結局何者?
「王子…… 」
どうやら無事みたい。
「お前は…… 」
王子は彼の正体に気づいたらしい。
翌朝。
ついにメンバーが揃った。
前回参加メンバーの八割が残った。
彼らは国王に恩義があり慕って集まった者たち。
賛同はするし協力もするが王子の下に付くことはないそう。
勝手にやらせてもらうと聞かない。
いないよりはマシだがただ数だけかけても勝てはしないでしょうね。
お互いがけん制し合ってまとまってるとはとても言えない。
個性豊かな彼らをまとめ上げ引っ張っていくカリスマが必要。
それはやはり彼を残していないでしょう。
マキシミン。
国王奪還作戦は明日の早朝に決行することに。
まずは三つに分けることに。
一つ目。前回集まってくれた者たちをA班に。
二つ目。マキシミン率いる自由連合をB班に。
三つめ。その他。我々四人とお父様たちをC班に。
これでチーム分けは完了。
明日の戦いに備える。
続く
「お嬢様! お嬢様! 」
「クレーラ! ほら何をやってるんだい! 早くこっちに来な! 」
お婆様がメイドを伴って駆けてくる。
「お婆様…… 」
助かった! のかな?
お婆様はたいまつを手に威嚇するように何事か叫んでいる。
もちろんそれに怯むような肉食獣ではありません。
こちらにロックオンして舌なめずり。
徐々に距離を詰めて行く。
うわちょっと…… ダメ来ないで!
もう少しのところで逃げ切れると思ったのに。
どうしてこうついてないのでしょう?
私が一体何をしたと言うの? 王子が何をしたと言うの?
そうか。王子はお父様を追放したんだった。これは仕方ないこと。
ここは王子に責任を取ってもらわなくては。
その時可愛らしい鳴き声が。
ワワンワン! ワン! ワン!
パンキーが勢いよく飛び出してきた。
「パンキーダメ! それ以上近づかないの! 」
必死に止めるも興奮したパンキーは肉食獣に向かって行く。
何て勇敢なの? でも相手をよく見て。
信じられないほど大きくて凶暴で言葉も冗談も通じないただの獣でしかありません。
捕まったらひとたまりもない。
「もうやけくそだよ! 」
そう言ってお婆様まで突撃。
たいまつを持った鬼の形相のお婆様とパンキーの迫力で肉食獣は諦めて逃走。
「ワン! ワワンワン! 」
なおも追いかけ続けるパンキー。何て勇猛果敢なのでしょう?
ご主人様を守ろうと必死。これがパンキーの中に残っている野生の本能?
「ほらもう大丈夫だよ。ここが危険だって奴も思い知ったはずさ」
「お婆様…… 助かった…… 」
気が抜けてその場にへたり込む。
「大丈夫かクレーラ? 」
「私たち助かったのね? 」
「そうだクレーラ。ほら手を」
王子が立ち上がらせてくれる。
こう言う時だけはそつがないのよね。
でも実際は立ち向かわずに私に任せてしまう臆病王子。
いくら格好をつけたところでもう遅い。
「王子! 」
「クレーラ! 」
抱き合って喜びを爆発させる。
王子がどうであろうと私がどう思おうと無事に切り抜けられればそれでいい。
今は素直に助かったことを喜び合いたい。
ああ怖かった。
「パンキーに礼を言うのね」
「ははは…… 本当に助かったよ」
「ほらいつまでもイチャイチャしてないで戻るよ! 」
「もうお婆様ったら…… 」
恥ずかしくてそれ以上言葉が継げない。
仕方なくパンキーを抱き上げる。
「ありがとう。パンキー」
「そうだ。よくやったぞ! 褒美をやろう。何がいい? 」
「パンでいいのでは? 大好物ですから」
「ではパンキー。お前に好きなだけパンをやろう」
パンキーも大喜び。王子の顔を舐め回す。
「おいパンキー何をする? ははは! 」
「ほらいつまでやってるんだい? 王子も早く! 」
「ですがお婆様。見回りを…… 」
「大丈夫。悩まされていた奴は追い払った。これで一週間は下りてこないだろう。
それに奴が出没したと分かれば愚か者だって近寄りはしないさ。
命あってのものだからね」
これでいいと。勇敢に立ち向かったと褒めてくれた。
ですがあんな獣が出没するなんて聞いてない。分かってたら絶対に断っていた。
いくら家のためとは言え大事な孫娘と王子を危険にさらすのはどうかと思いますよ。
「ほらパンキー。食べよう。ありがとうパンキー」
こうして真夜中の悲劇は回避された。
あれ? 何か忘れているような……
ちょっと待って! あそこで倒れてる男は結局何者?
「王子…… 」
どうやら無事みたい。
「お前は…… 」
王子は彼の正体に気づいたらしい。
翌朝。
ついにメンバーが揃った。
前回参加メンバーの八割が残った。
彼らは国王に恩義があり慕って集まった者たち。
賛同はするし協力もするが王子の下に付くことはないそう。
勝手にやらせてもらうと聞かない。
いないよりはマシだがただ数だけかけても勝てはしないでしょうね。
お互いがけん制し合ってまとまってるとはとても言えない。
個性豊かな彼らをまとめ上げ引っ張っていくカリスマが必要。
それはやはり彼を残していないでしょう。
マキシミン。
国王奪還作戦は明日の早朝に決行することに。
まずは三つに分けることに。
一つ目。前回集まってくれた者たちをA班に。
二つ目。マキシミン率いる自由連合をB班に。
三つめ。その他。我々四人とお父様たちをC班に。
これでチーム分けは完了。
明日の戦いに備える。
続く
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