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妖精の子守歌
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宿屋に直行かと思いきやツリーハウスにご招待。
「あの寒いんですけど」
そんなはずはないのになぜか酷く寒く感じる。
この世界から受け入れられたと思っていた。でも違ったらしい。
いや…… 恐らくこれは違う意味の寒いなのだろう。
宿屋にも泊まれず木の上に作られた粗末な寝床。
貧しい。何て貧しくて寂しいのだろう。
ロクに飯を喰わせてもらえずに腹が鳴りっぱなし。
侘しくてひもじくて寒い。心が冷え切ってしまっている。
やっぱり宿屋が良かったな。
ツリーハウス? お洒落な妖精さんに付き合うのも一苦労だぜ。
エンゼルカードだってあるのだからいくらでも高いところに泊まれるのに。
まあここも高くないとは言わないけどさ。
真っ暗なので下が見えずに高さが分かりにくいが登った感覚から高いと感じる。
単に俺が臆病なだけかもしれないが。
「エクセル? 聞いてる? 」
「我慢なさい! 慣れれば快適なんだから」
「トイレ…… 」
「もう子供なんだから…… そこからしちゃいなさい」
本当にもうただの親子だよ。
この妖精は随分長生きだと聞いたけどまさかおばあちゃんと孫? それ以上?
村では目上の者は敬えと教えられたけど妖精は例外だよね。
そもそも種族が違う。見た目だってただの大きい虫。
「そうだエクセル。歳はいくつなの? 」
それとなく聞いてみる。今までずっとごまかしてきた妖精さん。
果たして正直に答えてくれるかな?
「もう失礼なんだから! 二百歳とちょっと…… 」
「ちょっとじゃ分からないよ! 正確な年齢を」
「いいでしょう? もう忘れたの! 」
妖精にお年を聞くのはやっぱり失礼なのかな?
「お願いだから教えてくれ! 」
「いい加減になさい! 」
「でもさあ…… 」
「もう寝なさい! 」
「だって…… 気になるじゃないか。教えてくれよ! 」
「これ以上言うと…… 」
「なあこれじゃ寝れないだろ」
押し問答を続ける。粘ればその内教えてくれると踏んで。
ピピピ!
ついにどこからか警告を受ける。
執拗な嫌がらせに該当するとして警告が出る。
累積③
「分かったよ。だったらあの空間屋で何を買ったか教えてくれ」
「はいはい。あれはあのかばんに合わせた空間を提供するところ」
そう言われても余計に訳が分からなくなる。俺を嵌める気か?
「もっと具体的に頼むよ」
「かばんを持つのはあなた。でもアイテムがありすぎて正直全然足りない。
そうは思わない? 」
「まあ確かに…… 重いの嫌だしな」
「一番大きいのでも大して入らない。そうでしょう? 」
「ああ、旅になればお土産がかさ張るし使用済みの服の処理が面倒。
臭いもきついしな。しかも他のにまで染みつくし。最低だよな」
旅に出た時の嫌な思い出が蘇る。
「そんな人の為にかばんの大きさに合わせて空間を提供してくれるのが空間屋」
「ああ何となく分かった気がする」
まだよく分からないが大体でいい。細かいことは気にしない。
「お金を払えば使用できる。でもその空間も決してどこでもいい訳ではない。
安全で動かされにくいところがいい。
それであのバックはあなたの家の押し入れに繋げることにしたの。
もっと大きければ巨大倉庫に繋げることも。
でも今からそれだとお金がかかるからまずはあなたの家の押し入れに繋げる」
「ははは…… それは安全だね」
「納得した? だったらもう寝ましょう。明日も早い」
「ちょっと待って! もし押し入れを開けられたらどうなる? 」
当然の疑問をぶつける。
勝手にうちの押し入れにぶち込まれても困るんですけど。
まったく本人の許可なしに何てことしやがる。
「残念だけど捨てられるかもね。貴重なアイテムも大切な言葉も」
ほとんどがカード類。その中にあるレアカードを捨てれば二度と……
「おいおい冗談だろ? 」
「心配しないで。ほとんどが不要ワード。モンスターが落としたゴミだから。
ただ取り出すのは空間屋でしかできないから気をつけて」
便利だか不便だかよく分からない。
「いい? 押し入れをパンクさせることは厳禁。
気づかれたら捨てられるわよ。ギュウギュウになるまで詰め込まないこと」
タイムセールかよ。
「袋が破れかけは? 」
「ギリギリセーフ」
これはラッキー。限界まで放置決定。
フォーフォー
フォーフォー
遠くの空からフクロウの鳴き声が。
さあもう遅いしそろそろ寝るとするか。
「うーんダメだ! 全然寝れないよ」
「仕方がないわね。子守唄を一つ」
≪ご注文はウサギですか? ウサギですか? ご注文はウサギ? ≫
ウサギの歌を披露。
「やめてくれ! 」
こうして長い一日を終える。
旅の記録。
故郷言の葉村を旅立ち途中妖精のエクセルと出会う。
エクセルの協力を得て第一の世界へ。
ウサギをキーワードにアンの居場所を探る。
こうして告白の旅は二日目へ。
続く
「あの寒いんですけど」
そんなはずはないのになぜか酷く寒く感じる。
この世界から受け入れられたと思っていた。でも違ったらしい。
いや…… 恐らくこれは違う意味の寒いなのだろう。
宿屋にも泊まれず木の上に作られた粗末な寝床。
貧しい。何て貧しくて寂しいのだろう。
ロクに飯を喰わせてもらえずに腹が鳴りっぱなし。
侘しくてひもじくて寒い。心が冷え切ってしまっている。
やっぱり宿屋が良かったな。
ツリーハウス? お洒落な妖精さんに付き合うのも一苦労だぜ。
エンゼルカードだってあるのだからいくらでも高いところに泊まれるのに。
まあここも高くないとは言わないけどさ。
真っ暗なので下が見えずに高さが分かりにくいが登った感覚から高いと感じる。
単に俺が臆病なだけかもしれないが。
「エクセル? 聞いてる? 」
「我慢なさい! 慣れれば快適なんだから」
「トイレ…… 」
「もう子供なんだから…… そこからしちゃいなさい」
本当にもうただの親子だよ。
この妖精は随分長生きだと聞いたけどまさかおばあちゃんと孫? それ以上?
村では目上の者は敬えと教えられたけど妖精は例外だよね。
そもそも種族が違う。見た目だってただの大きい虫。
「そうだエクセル。歳はいくつなの? 」
それとなく聞いてみる。今までずっとごまかしてきた妖精さん。
果たして正直に答えてくれるかな?
「もう失礼なんだから! 二百歳とちょっと…… 」
「ちょっとじゃ分からないよ! 正確な年齢を」
「いいでしょう? もう忘れたの! 」
妖精にお年を聞くのはやっぱり失礼なのかな?
「お願いだから教えてくれ! 」
「いい加減になさい! 」
「でもさあ…… 」
「もう寝なさい! 」
「だって…… 気になるじゃないか。教えてくれよ! 」
「これ以上言うと…… 」
「なあこれじゃ寝れないだろ」
押し問答を続ける。粘ればその内教えてくれると踏んで。
ピピピ!
ついにどこからか警告を受ける。
執拗な嫌がらせに該当するとして警告が出る。
累積③
「分かったよ。だったらあの空間屋で何を買ったか教えてくれ」
「はいはい。あれはあのかばんに合わせた空間を提供するところ」
そう言われても余計に訳が分からなくなる。俺を嵌める気か?
「もっと具体的に頼むよ」
「かばんを持つのはあなた。でもアイテムがありすぎて正直全然足りない。
そうは思わない? 」
「まあ確かに…… 重いの嫌だしな」
「一番大きいのでも大して入らない。そうでしょう? 」
「ああ、旅になればお土産がかさ張るし使用済みの服の処理が面倒。
臭いもきついしな。しかも他のにまで染みつくし。最低だよな」
旅に出た時の嫌な思い出が蘇る。
「そんな人の為にかばんの大きさに合わせて空間を提供してくれるのが空間屋」
「ああ何となく分かった気がする」
まだよく分からないが大体でいい。細かいことは気にしない。
「お金を払えば使用できる。でもその空間も決してどこでもいい訳ではない。
安全で動かされにくいところがいい。
それであのバックはあなたの家の押し入れに繋げることにしたの。
もっと大きければ巨大倉庫に繋げることも。
でも今からそれだとお金がかかるからまずはあなたの家の押し入れに繋げる」
「ははは…… それは安全だね」
「納得した? だったらもう寝ましょう。明日も早い」
「ちょっと待って! もし押し入れを開けられたらどうなる? 」
当然の疑問をぶつける。
勝手にうちの押し入れにぶち込まれても困るんですけど。
まったく本人の許可なしに何てことしやがる。
「残念だけど捨てられるかもね。貴重なアイテムも大切な言葉も」
ほとんどがカード類。その中にあるレアカードを捨てれば二度と……
「おいおい冗談だろ? 」
「心配しないで。ほとんどが不要ワード。モンスターが落としたゴミだから。
ただ取り出すのは空間屋でしかできないから気をつけて」
便利だか不便だかよく分からない。
「いい? 押し入れをパンクさせることは厳禁。
気づかれたら捨てられるわよ。ギュウギュウになるまで詰め込まないこと」
タイムセールかよ。
「袋が破れかけは? 」
「ギリギリセーフ」
これはラッキー。限界まで放置決定。
フォーフォー
フォーフォー
遠くの空からフクロウの鳴き声が。
さあもう遅いしそろそろ寝るとするか。
「うーんダメだ! 全然寝れないよ」
「仕方がないわね。子守唄を一つ」
≪ご注文はウサギですか? ウサギですか? ご注文はウサギ? ≫
ウサギの歌を披露。
「やめてくれ! 」
こうして長い一日を終える。
旅の記録。
故郷言の葉村を旅立ち途中妖精のエクセルと出会う。
エクセルの協力を得て第一の世界へ。
ウサギをキーワードにアンの居場所を探る。
こうして告白の旅は二日目へ。
続く
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