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裏切りの神父
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現在地だけでも確認。
そうすればどうにか戻ってこれるだろう。自信はないが。
アン捜索の旅がいつの間にか命がけの旅へと変化した。
望んだものではなかったがこれも仕方がない。
「正確には地図と照らし合わせるから時間が掛かる。
でも大体なら八キロ弱。砂漠で歩いた分を含めると十三キロぐらい」
何だ意外にも大雑把なんだな。
「そうか。なら砂漠で迷わなければいいだけ。楽勝じゃないか」
具体的な数字を出してくれたので安心出来た。
「甘い! 砂漠を抜け出すのは並大抵じゃない。
一旦砂漠に入ったら現在地も分からずに果てしない砂漠旅を繰り返すことに。
私から絶対に離れてはダメ! 」
これは妖精からの忠告であるとともに挑戦状とも取れる。
自分の力だけでこの砂漠地獄から抜け出し町に戻ってみろと挑発しているよう。
「俺なら出来る。俺なら絶対! 」
「はい静かに。気づかれるでしょう。もうバカなんだから」
ちょっと大声出しただけじゃないか。こんな砂漠では届きはしないさ。
「エクセル…… 」
「だから黙りなさい! 」
見失った男が姿を見せる。
「もう分かったよ。自分勝手なんだから」
グチグチ文句を言うが受け付けてくれない。
完全な無視だ。切り替えのできる女、エクセル。
まるで機械のように感情が乏しい。そんなはずないのだが。
妖精だから仕方ないか。
例の男が姿を見せたと思ったらこちらに向かってくる。
妖精はすぐに気づき低い態勢でやり過ごそうともがく。
俺はと言うと何が起きたかよく分からずにその場に立ち尽くす。
ああ何て情けないんだろう。だって体が動かないんだ。
それに彼はもう俺たちの存在に気づいてる。
今更逃げたって意味がない。
捕まるのが五分遅れるだけだ。
「ちょっと! 」
エクセルがいくら言ったところで奴が近づいてきたのだから仕方がない。
別に気づかれたってどってこと……
「どうやら気づかれてしまったようですね」
意味不明の発言でかく乱する男。何を言ってるのかまったく分からない。
「あなたはまさか…… 」
俺たちが追跡していた人物はやはり神父。
エクセルは見抜いていたが直接確認するまでは確定じゃない。
「本当にお二人には悪いことをしたなと思っています。深く反省しております」
追及される前に言い訳を始める神父。
「どう言うことか説明して! 」
エクセルの口調がいつものよりもきつい。彼への視線も鋭い。
「申し訳ありません。錬金術でハニードロップをと思いましたが上手く行かずに」
「嘘は結構です! 自分の為に利用したんでしょう? 」
エクセル怒りの訴えに呆気なく神父は告白してしまう。
「はい。このハニードロップは物凄い高値で裏で売られているんです。
あなた方が持って来てくれたハニードロップは上物で量も豊富。
取引には有利に働きました」
どうやらハニードロップで何らかの取引をしたのは間違いない。
「信じていたのに! 」
ハニードロップそのものよりも裏切られたことが許せないと睨む。
「なぜこんなことするんだ? 俺たちを裏切りやがって! 」
黙ってられない。だがいくら吠えたところで決して真剣に答えてくれないだろう。
「分かりましたお教えしましょう」
あれ以外にもあっさりと。反省して改心してくれたようだ。
元々そんな酷いことが出来る人ではない。何か訳があるに違いない。
「私が得たのは奇跡の薬。ありとあらゆる病気や怪我を治癒させられる」
奇跡の薬? 一体どんなものだろうか興味が湧く。
神父はハニードロップと奇跡の薬を交換したらしい。
「どこ? まだ取り返せる! 」
「ふふふ…… もう遅いんですよ。恐らく彼らはもう動いてしまっている。
どうかこれ以上は関わらないで。あなたがいくらこちら側でも助けてはくれない。
それが掟。この世界は腐ってるんですよ」
そんなバカな。腐敗した世界だと言うのか?
それを神父が口にするのか?
狂っている。どこまでも狂っている。
押し問答はこれくらいでいい。神父に構ってる時ではない。
「行こうエクセル! 」
どうやらすぐそこが取引現場だったようだ。
「分かった。急ぎましょう」
「ダメだ! 行ってはいけない! 」
何をそれほど恐れているのだろう?
たかがアウトローの取引現場。
俺の力でねじ伏せてやる。
「戻って来るんだ! それ以上行ってはいけない! 」
自分勝手な神父にいくら説得されても響かない。
「ダメだ! 行ってはダメだ! 」
振り返らずに神父が辿った道を逆走する。
続く
そうすればどうにか戻ってこれるだろう。自信はないが。
アン捜索の旅がいつの間にか命がけの旅へと変化した。
望んだものではなかったがこれも仕方がない。
「正確には地図と照らし合わせるから時間が掛かる。
でも大体なら八キロ弱。砂漠で歩いた分を含めると十三キロぐらい」
何だ意外にも大雑把なんだな。
「そうか。なら砂漠で迷わなければいいだけ。楽勝じゃないか」
具体的な数字を出してくれたので安心出来た。
「甘い! 砂漠を抜け出すのは並大抵じゃない。
一旦砂漠に入ったら現在地も分からずに果てしない砂漠旅を繰り返すことに。
私から絶対に離れてはダメ! 」
これは妖精からの忠告であるとともに挑戦状とも取れる。
自分の力だけでこの砂漠地獄から抜け出し町に戻ってみろと挑発しているよう。
「俺なら出来る。俺なら絶対! 」
「はい静かに。気づかれるでしょう。もうバカなんだから」
ちょっと大声出しただけじゃないか。こんな砂漠では届きはしないさ。
「エクセル…… 」
「だから黙りなさい! 」
見失った男が姿を見せる。
「もう分かったよ。自分勝手なんだから」
グチグチ文句を言うが受け付けてくれない。
完全な無視だ。切り替えのできる女、エクセル。
まるで機械のように感情が乏しい。そんなはずないのだが。
妖精だから仕方ないか。
例の男が姿を見せたと思ったらこちらに向かってくる。
妖精はすぐに気づき低い態勢でやり過ごそうともがく。
俺はと言うと何が起きたかよく分からずにその場に立ち尽くす。
ああ何て情けないんだろう。だって体が動かないんだ。
それに彼はもう俺たちの存在に気づいてる。
今更逃げたって意味がない。
捕まるのが五分遅れるだけだ。
「ちょっと! 」
エクセルがいくら言ったところで奴が近づいてきたのだから仕方がない。
別に気づかれたってどってこと……
「どうやら気づかれてしまったようですね」
意味不明の発言でかく乱する男。何を言ってるのかまったく分からない。
「あなたはまさか…… 」
俺たちが追跡していた人物はやはり神父。
エクセルは見抜いていたが直接確認するまでは確定じゃない。
「本当にお二人には悪いことをしたなと思っています。深く反省しております」
追及される前に言い訳を始める神父。
「どう言うことか説明して! 」
エクセルの口調がいつものよりもきつい。彼への視線も鋭い。
「申し訳ありません。錬金術でハニードロップをと思いましたが上手く行かずに」
「嘘は結構です! 自分の為に利用したんでしょう? 」
エクセル怒りの訴えに呆気なく神父は告白してしまう。
「はい。このハニードロップは物凄い高値で裏で売られているんです。
あなた方が持って来てくれたハニードロップは上物で量も豊富。
取引には有利に働きました」
どうやらハニードロップで何らかの取引をしたのは間違いない。
「信じていたのに! 」
ハニードロップそのものよりも裏切られたことが許せないと睨む。
「なぜこんなことするんだ? 俺たちを裏切りやがって! 」
黙ってられない。だがいくら吠えたところで決して真剣に答えてくれないだろう。
「分かりましたお教えしましょう」
あれ以外にもあっさりと。反省して改心してくれたようだ。
元々そんな酷いことが出来る人ではない。何か訳があるに違いない。
「私が得たのは奇跡の薬。ありとあらゆる病気や怪我を治癒させられる」
奇跡の薬? 一体どんなものだろうか興味が湧く。
神父はハニードロップと奇跡の薬を交換したらしい。
「どこ? まだ取り返せる! 」
「ふふふ…… もう遅いんですよ。恐らく彼らはもう動いてしまっている。
どうかこれ以上は関わらないで。あなたがいくらこちら側でも助けてはくれない。
それが掟。この世界は腐ってるんですよ」
そんなバカな。腐敗した世界だと言うのか?
それを神父が口にするのか?
狂っている。どこまでも狂っている。
押し問答はこれくらいでいい。神父に構ってる時ではない。
「行こうエクセル! 」
どうやらすぐそこが取引現場だったようだ。
「分かった。急ぎましょう」
「ダメだ! 行ってはいけない! 」
何をそれほど恐れているのだろう?
たかがアウトローの取引現場。
俺の力でねじ伏せてやる。
「戻って来るんだ! それ以上行ってはいけない! 」
自分勝手な神父にいくら説得されても響かない。
「ダメだ! 行ってはダメだ! 」
振り返らずに神父が辿った道を逆走する。
続く
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