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盗みの天才
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朝起きると新入りのハックが消えていた。
ワードフォルダーとレアカードそれにエンゼルカードまでない。
怒りに我を失った妖精さんは飛び出して行ってしまった。
俺は独りぼっちでお留守番。そこに間抜けにもハックが戻って来る。
「ああゲンだっけ? このオモチャ返すね」
悪びれる様子もなくただガムを噛んでやがる。
それを渡せ! チップにするんだから。
うわ…… やっぱりいいです。
「お前どう言う神経してるんだ? 盗みを働くなんて」
「おいおい。ちょっと借りただけだろ」
口の減らない困った男。どこまでも迷惑を掛けるハッカーだ。
「まさか本気で言ってるのか? 」
ちっとも堪えないのでネチネチ説教することに。これで少しは反省する?
それでも顔色一つ変えずにいるから俺の方が悪いのかと思ってしまう。
「あれ最高に面白かったぜ。警告をもらうのは久しぶりだな。ははは…… 」
どうやらフィールドに出てモンスターを退治したらしい。
だがワードフォルダーのカードは異人以外使用出来ないはず。
まさか奴もよそからやって来たエクセルの言うところの異人か?
「俺もこれでモンスター狩りしてみたかったのよ。
でも皆といると俺に出番は回ってこない訳。
本当に気分が良い。俺は今生きてるって実感出来るのさ。
それからこのカード。エンゼルカードだっけ本当に何でも買えるんだな。
故郷にコメを送っておいたよ」
昨夜ついエンゼルカードを自慢したばっかりに…… そうするとこれも俺のせい?
まずいなよし聞かなかったことにしよう。
「米? それ以外は? どうせばれるんだぞ」
「他は食いもんぐらいだな…… 」
意外にも無駄遣いする訳ではないらしい。
でもエクセルが聞いたら怒るだろうな。
俺もついでに送っておくかな。
うん? いや待てよ…… 今使い放題じゃないか。
このままハックが姿を消せば俺が自由に使える。
どうせこの後は妖精さんの腹の中にしまわれるのだから。ここは思い切って。
「おいハック! 勝手しやがって! 反省しろ! 」
エンゼルカードを返してもらう。
後はもう一度どこかに消えてもらうのがいい。
「まずいぞお前。エクセルが物凄い形相で追いかけて行った。
二、三日は顔を出さない方が良い。
これもすべてお前のためだ。さあ逃げてくれ」
「ゲン…… 分かったよ」
嬉しさのあまり涙を流す単純なハック。
これで完全にブラックハッカーからホワイトハッカーへ。
心を入れ替えてくれて俺は嬉しいよ。
「さあ早く行ってくれ! 捕まる前に! 」
つい甘やかす。これも友情って奴かな?
だがその時運悪くエクセルが戻って来る。
「おいお前! 何てことしやがる! 」
もうカードで豪遊の夢は断たれた。ここは切り替えてハックの確保。
「へへへ…… だってお前が…… 良いだろうが使い放題なんだしよ! 」
ハックも仕方なく逃げる演技。良い奴だ。とは言え説教を受ける運命。
「お前にカードを使われたらえらいことになる。早く返すんだ! 」
「へへへ…… これはお前のものじゃないだろうが! 」
「待て! 止めろハック! 」
ハックは部屋から逃走するもあっさりエクセルに捕まってしまう。
「はい。反省の言葉は? 」
「冗談ですよ二人とも。仲間じゃないですか」
軽口をたたいてごまかそうとする悪党。いや小悪党か?
「へへへ…… お詫びの印に良いことをお教えしますから」
「うるさいわね! あんたのせいで予定が狂ったの!
せっかくの取引もパーじゃない。どう責任取ってくれるのよ?
この人これでまた落ち込んでしまう。そうなるとミッション失敗。
協力した私も散々な評価になる。最低でも目標達成しないと無能扱いを受けるのよ。
もう本当にどうしてくれるのよ! 」
エクセルは不満を爆発させる。
気持ちは分かるけど俺のせいにも聞こえるよね。
「だから反省してるって」
「もう二度としない? 」
「いや…… 俺の個性だから…… 」
ハックは手癖の悪い伝説の盗人だと告白した。
「稀代の大泥棒と恐れられたものさ」
格好をつけるがそんな雰囲気はない。
人は見かけによらない。だがどう見てもただの下っ端。
「その大泥棒さんはこの大ピンチどう切り抜けるつもり? 」
エクセルは本気らしい。
お仕置きと称して何をするか分からない。
「まあ待てよ。これ何だか分かるか? 」
そう言うと袋から黄色いリンゴを取り出す。
ハックはレアアイテムのゴールデンアップル(偽)を見せびらかす。
続く
ワードフォルダーとレアカードそれにエンゼルカードまでない。
怒りに我を失った妖精さんは飛び出して行ってしまった。
俺は独りぼっちでお留守番。そこに間抜けにもハックが戻って来る。
「ああゲンだっけ? このオモチャ返すね」
悪びれる様子もなくただガムを噛んでやがる。
それを渡せ! チップにするんだから。
うわ…… やっぱりいいです。
「お前どう言う神経してるんだ? 盗みを働くなんて」
「おいおい。ちょっと借りただけだろ」
口の減らない困った男。どこまでも迷惑を掛けるハッカーだ。
「まさか本気で言ってるのか? 」
ちっとも堪えないのでネチネチ説教することに。これで少しは反省する?
それでも顔色一つ変えずにいるから俺の方が悪いのかと思ってしまう。
「あれ最高に面白かったぜ。警告をもらうのは久しぶりだな。ははは…… 」
どうやらフィールドに出てモンスターを退治したらしい。
だがワードフォルダーのカードは異人以外使用出来ないはず。
まさか奴もよそからやって来たエクセルの言うところの異人か?
「俺もこれでモンスター狩りしてみたかったのよ。
でも皆といると俺に出番は回ってこない訳。
本当に気分が良い。俺は今生きてるって実感出来るのさ。
それからこのカード。エンゼルカードだっけ本当に何でも買えるんだな。
故郷にコメを送っておいたよ」
昨夜ついエンゼルカードを自慢したばっかりに…… そうするとこれも俺のせい?
まずいなよし聞かなかったことにしよう。
「米? それ以外は? どうせばれるんだぞ」
「他は食いもんぐらいだな…… 」
意外にも無駄遣いする訳ではないらしい。
でもエクセルが聞いたら怒るだろうな。
俺もついでに送っておくかな。
うん? いや待てよ…… 今使い放題じゃないか。
このままハックが姿を消せば俺が自由に使える。
どうせこの後は妖精さんの腹の中にしまわれるのだから。ここは思い切って。
「おいハック! 勝手しやがって! 反省しろ! 」
エンゼルカードを返してもらう。
後はもう一度どこかに消えてもらうのがいい。
「まずいぞお前。エクセルが物凄い形相で追いかけて行った。
二、三日は顔を出さない方が良い。
これもすべてお前のためだ。さあ逃げてくれ」
「ゲン…… 分かったよ」
嬉しさのあまり涙を流す単純なハック。
これで完全にブラックハッカーからホワイトハッカーへ。
心を入れ替えてくれて俺は嬉しいよ。
「さあ早く行ってくれ! 捕まる前に! 」
つい甘やかす。これも友情って奴かな?
だがその時運悪くエクセルが戻って来る。
「おいお前! 何てことしやがる! 」
もうカードで豪遊の夢は断たれた。ここは切り替えてハックの確保。
「へへへ…… だってお前が…… 良いだろうが使い放題なんだしよ! 」
ハックも仕方なく逃げる演技。良い奴だ。とは言え説教を受ける運命。
「お前にカードを使われたらえらいことになる。早く返すんだ! 」
「へへへ…… これはお前のものじゃないだろうが! 」
「待て! 止めろハック! 」
ハックは部屋から逃走するもあっさりエクセルに捕まってしまう。
「はい。反省の言葉は? 」
「冗談ですよ二人とも。仲間じゃないですか」
軽口をたたいてごまかそうとする悪党。いや小悪党か?
「へへへ…… お詫びの印に良いことをお教えしますから」
「うるさいわね! あんたのせいで予定が狂ったの!
せっかくの取引もパーじゃない。どう責任取ってくれるのよ?
この人これでまた落ち込んでしまう。そうなるとミッション失敗。
協力した私も散々な評価になる。最低でも目標達成しないと無能扱いを受けるのよ。
もう本当にどうしてくれるのよ! 」
エクセルは不満を爆発させる。
気持ちは分かるけど俺のせいにも聞こえるよね。
「だから反省してるって」
「もう二度としない? 」
「いや…… 俺の個性だから…… 」
ハックは手癖の悪い伝説の盗人だと告白した。
「稀代の大泥棒と恐れられたものさ」
格好をつけるがそんな雰囲気はない。
人は見かけによらない。だがどう見てもただの下っ端。
「その大泥棒さんはこの大ピンチどう切り抜けるつもり? 」
エクセルは本気らしい。
お仕置きと称して何をするか分からない。
「まあ待てよ。これ何だか分かるか? 」
そう言うと袋から黄色いリンゴを取り出す。
ハックはレアアイテムのゴールデンアップル(偽)を見せびらかす。
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