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歓迎
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流浪の民の隠れ家。
彼らは誰も人が住まなくなった家を好み隠れ家にする。
もうこの辺りには住民はおろかその気配さえ感じられない。
棄て去られた村。そう言う箇所が第一世界だけでなく全国にいくらでも。
仲間の元へ通される。
「ハック! 」
「おう皆! 心配かけたな。このハック様が戻って来たからにはもう安心だぜ! 」
ハックの一声で流浪の民が次々に集まって来る。
「お前は…… ハック? ハックなのか? 」
「おい皆! ハックが戻って来たぞ! 」
「嘘だろ! お前本当にハックなのか? 」
仲間の帰還に全員集合。
消えたハックが帰って来たと大喜びで一人ずつ抱き合う。
「大げさだな。俺の力をもってすれば抜け出すのは訳ない」
「だがお前が捕まったのは相当危険なゴロツキだって話が…… 」
「そうだぞハック。いきなりいなくなるから心配しちまったよ」
「ははは…… よしてくれよ。俺は一流の泥棒さ。隙をついて逃げて来たんだ」
「それでこちらの方は? 」
ようやく再会の喜びを終え注目が集まる。
最初からいたんだけどな…… エクセルに至ってはまだ認識さえされていない。
「ああ彼らは逃げる時に助けてもらった恩人さ」
ハックは適当に話を盛る。逃げる時ではなく捕まってるのを助けたんだけどな。
これだとただ逃げる手助けをしたみたい。あれだけ苦労したのにこの言いぐさ。
本気で感謝してるのかよ? さすがは詐欺師。誤魔化すのがうまい。
本当によくやるよ…… 呆れよりも関心が上回る。
「これは盛大な歓迎をしなくてはいけませんね。どうぞこちらに」
みすぼらしい格好の年配の女性。どうやら位の高い者らしい。
ハックも多少言葉遣いを変えている。それも最初だけだが。
人は見かけによらない。どこにでもいるようなおばさんだからつい失礼な態度に。
「ああ、ありがとうございます。それであなたは? 」
「この子の母だよ。と言ってもここの若いのは皆我が子になるかね」
流浪の民は長い間生活を共にしてきたので深い絆で結ばれている。
そこに血の繋がりは関係ない。
「それでここの一番偉い人は? 」
歓迎の宴には近くの川で取れた巨大魚の丸焼きが。
それから聞いたこともない鳥の手羽先。
山菜の揚げ物。
はちみつを使ったハニーエッグ。
野草のお浸し。
デザートにプリン。
「ここには偉いも序列もないよ。家族だからね」
「では代表者は? 」
「ああそれだったら私だよ」
「これは失礼しました! ほらあなたも謝りなさい! 」
今まで様子を窺っていたエクセルが話に加わる。
「あら可愛らしい妖精さんね」
お褒めの言葉を頂き満更でもない様子のエクセル。
「もう…… 正直なんですから」
「おめえが妖精か? おったまげたな。初めて見るよ」
生意気そうなお子さんが妖精に興味を示す。
「こら! 失礼だろ。お前たちはそっちに行ってな! 」
「だって俺も妖精とお話をしてえよ」
まるでハックを小さくしたような生意気なガキ…… いやお子様かな。
三人のガキが周りを駆けまわる。うるさくてしょうがない。
「妖精は怖いってよ。近づかない方が良いって」
三人の内の一人が妖精に関する悪い噂を垂れ流す。
「それ知ってら! 嫉妬に狂って鬼だか竜にだかなるって奴だろ」
「静かに! ほらあっちに行ってな」
堪りかねたおばさんが一喝すると逃げて行ってしまった。
「本当にごめんなさいね。あの子たちにはきつく言い聞かせておきますので。
それでお礼がしたいのですが…… 」
「ああそうだ。ここにアンって人いませんか? 私たち人探しをしていまして」
エクセルは目的を忘れてない。
俺はと言うと歓迎の宴でつい良い気分になっていた。
食い物も飲み物も好きなだけ。
歓迎の気持ちに応えるのが俺の主義だ。
「アンさん…… ごめんなさい。ここにはいないわ」
「そうだ。あいつが手紙のやり取りしてたと思うんだけど。へへへ…… 」
俺よりも出来上がっているハック。
帰ってこれたのがよほどうれしかったのだろう。
「ああベルちゃんね」
ベルはこの中で一番遅くに加わった女の子。
グループが別れた時に最後までどちらに着くか迷っていたのだとか。
当時アンたちのグループだったが兄のブーリンが馴染めず別れることに。
だからベルは兄と共にこちらへ。
「ブーリンは居ないの? 」
「今二人でお買い物よ」
ブーリンとベルの兄妹。
三年前の襲来で両親と行き別れたそう。
ブーリンとハックはいつも悪さをして叱られる仲で。親友。
その妹がベルだからハックは手紙のやり取りをよく知っている。
続く
彼らは誰も人が住まなくなった家を好み隠れ家にする。
もうこの辺りには住民はおろかその気配さえ感じられない。
棄て去られた村。そう言う箇所が第一世界だけでなく全国にいくらでも。
仲間の元へ通される。
「ハック! 」
「おう皆! 心配かけたな。このハック様が戻って来たからにはもう安心だぜ! 」
ハックの一声で流浪の民が次々に集まって来る。
「お前は…… ハック? ハックなのか? 」
「おい皆! ハックが戻って来たぞ! 」
「嘘だろ! お前本当にハックなのか? 」
仲間の帰還に全員集合。
消えたハックが帰って来たと大喜びで一人ずつ抱き合う。
「大げさだな。俺の力をもってすれば抜け出すのは訳ない」
「だがお前が捕まったのは相当危険なゴロツキだって話が…… 」
「そうだぞハック。いきなりいなくなるから心配しちまったよ」
「ははは…… よしてくれよ。俺は一流の泥棒さ。隙をついて逃げて来たんだ」
「それでこちらの方は? 」
ようやく再会の喜びを終え注目が集まる。
最初からいたんだけどな…… エクセルに至ってはまだ認識さえされていない。
「ああ彼らは逃げる時に助けてもらった恩人さ」
ハックは適当に話を盛る。逃げる時ではなく捕まってるのを助けたんだけどな。
これだとただ逃げる手助けをしたみたい。あれだけ苦労したのにこの言いぐさ。
本気で感謝してるのかよ? さすがは詐欺師。誤魔化すのがうまい。
本当によくやるよ…… 呆れよりも関心が上回る。
「これは盛大な歓迎をしなくてはいけませんね。どうぞこちらに」
みすぼらしい格好の年配の女性。どうやら位の高い者らしい。
ハックも多少言葉遣いを変えている。それも最初だけだが。
人は見かけによらない。どこにでもいるようなおばさんだからつい失礼な態度に。
「ああ、ありがとうございます。それであなたは? 」
「この子の母だよ。と言ってもここの若いのは皆我が子になるかね」
流浪の民は長い間生活を共にしてきたので深い絆で結ばれている。
そこに血の繋がりは関係ない。
「それでここの一番偉い人は? 」
歓迎の宴には近くの川で取れた巨大魚の丸焼きが。
それから聞いたこともない鳥の手羽先。
山菜の揚げ物。
はちみつを使ったハニーエッグ。
野草のお浸し。
デザートにプリン。
「ここには偉いも序列もないよ。家族だからね」
「では代表者は? 」
「ああそれだったら私だよ」
「これは失礼しました! ほらあなたも謝りなさい! 」
今まで様子を窺っていたエクセルが話に加わる。
「あら可愛らしい妖精さんね」
お褒めの言葉を頂き満更でもない様子のエクセル。
「もう…… 正直なんですから」
「おめえが妖精か? おったまげたな。初めて見るよ」
生意気そうなお子さんが妖精に興味を示す。
「こら! 失礼だろ。お前たちはそっちに行ってな! 」
「だって俺も妖精とお話をしてえよ」
まるでハックを小さくしたような生意気なガキ…… いやお子様かな。
三人のガキが周りを駆けまわる。うるさくてしょうがない。
「妖精は怖いってよ。近づかない方が良いって」
三人の内の一人が妖精に関する悪い噂を垂れ流す。
「それ知ってら! 嫉妬に狂って鬼だか竜にだかなるって奴だろ」
「静かに! ほらあっちに行ってな」
堪りかねたおばさんが一喝すると逃げて行ってしまった。
「本当にごめんなさいね。あの子たちにはきつく言い聞かせておきますので。
それでお礼がしたいのですが…… 」
「ああそうだ。ここにアンって人いませんか? 私たち人探しをしていまして」
エクセルは目的を忘れてない。
俺はと言うと歓迎の宴でつい良い気分になっていた。
食い物も飲み物も好きなだけ。
歓迎の気持ちに応えるのが俺の主義だ。
「アンさん…… ごめんなさい。ここにはいないわ」
「そうだ。あいつが手紙のやり取りしてたと思うんだけど。へへへ…… 」
俺よりも出来上がっているハック。
帰ってこれたのがよほどうれしかったのだろう。
「ああベルちゃんね」
ベルはこの中で一番遅くに加わった女の子。
グループが別れた時に最後までどちらに着くか迷っていたのだとか。
当時アンたちのグループだったが兄のブーリンが馴染めず別れることに。
だからベルは兄と共にこちらへ。
「ブーリンは居ないの? 」
「今二人でお買い物よ」
ブーリンとベルの兄妹。
三年前の襲来で両親と行き別れたそう。
ブーリンとハックはいつも悪さをして叱られる仲で。親友。
その妹がベルだからハックは手紙のやり取りをよく知っている。
続く
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