言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

文字の大きさ
68 / 200

ハック暴走

しおりを挟む
風呂を終え仮眠も取って回復。
後は宿自慢の料理を頂くとしますか。

「おいハック起きろよ! 」
気持ちよさそうにイビキを掻いてるところを無理矢理起こす。
ちょっと可哀想だったかな。でも豪勢なお食事が待ってるんだし早く起こさないと。
「あれ皆…… 俺どうしたんだ? 」
面目ねえといつになく真剣なハック。

「ハックは見たんだろ? 」
「俺たちを助けたのは誰か? いや俺も見てないや。意識が朦朧としてたしな。
ただ俺らを運んだんだから屈強な男に違いないさ」
「馬鹿ね。私が頼んでここの主人に運んでもらったの」
エクセルによりハックの推理は打ち砕かれる。
「ははは…… それなら早く言ってくれよな」
瀕死の俺たちを救った命の恩人の正体は分からないまま。

「皆さんお食事の用意が出来ましたよ」
主人が姿を見せる。
「はーい」
「まあいいか。細かいことはさ。それより飯だ飯だ! 」
いい加減なハック。
そう言えば俺も腹が減ったな。さあ喰うぞ!

お食事処には先にアプリンが。
「うおおお! 湯上りのアプリンとはこれは格別だぜ。ははは! 」
酔っぱらい親父のような下品な発言のハック。
俺は恥ずかしくてついて行けない。
「ちょっとそんなにジロジロ見ないで! 」
「いいじゃねえか減るもんじゃねえしよ」
もうダメだ。興奮したハックは我を失う。
ついには襲い掛かろうとするがアプリンの反撃に遭う。
ピンタではなくパンチ。
「へへへ…… やるな」
痛かったくせに負け惜しみを言う。
お風呂でひどい目に遭ったばかりなのに本当に懲りない奴だ。

反省中のハックを見ないようにしながらお食事を楽しむ。
「俺食っていい? 」
「良い訳ないでしょう! 大人しく反省してなさい! 」
エクセルは怒り心頭。アプリンもどうにか落ち着いたようだがまだ許せずにいる。
ハックは堪らず涎を垂らす。比喩ではなく本当に周りが迷惑になるほど。
うわ…… 涎を垂らすところは可哀想で見てられない。もう限界だろう。
お預けを喰らう情けないハック。

「ははは! お前何やってるんだ? 」
「正座してるぜ。何をやらかしたんだ兄ちゃん? 」
「このお兄ちゃん何で涎垂らしてるのママ? 」
「駄目! 見ちゃいけません! 馬鹿がうつります」
一人正座させられ涎を垂らすハックは注目の的。
面白がって何度も近づく者に心底嫌がる女性客など。
宿には老若男女問わずに多くの客がいる。
その中に俺たちを助けてくれた者がいるはずなんだが……
誰も名乗り出てはくれない。恥ずかしがり屋なのかな。

お肉が運ばれて限界を迎えたハックを許す。
これで奴も少しは反省しただろう。
「美味い! これは本当に美味いな! 」
ハックはそう言いながら大量の肉を平らげる。
遠慮も反省もする気がないらしい。
結局ハックが一番食べたかな?
アプリンは少食でエクセルはあの大きさにしては大食いだがそれでも少量。
俺も人の目が気になり集中出来なかった。
ハックが相変わらず恥ずかしい行動を取るから。

「そこに寝ないのハック! 」
もうただの保護者だよ。
「へへへ…… いいだろ? 気持ちいいんだから」
駄々をこねるハックに教育ママのエクセル。

「ゲン…… 」
アプリンが袖を引っ張る。
「どうしたの? 」
「ねえ庭に行って見ない」
妙に色っぽくあまりに大胆なアプリン。これは願ってもないチャンス。
エクセルがハックの世話に手を焼いてる隙をついて俺たちは外へ。
庭ぐらいなら危険はないだろう。
積極的なアプリン。これは何らかのご褒美がありそうだ。
いや…… 俺にはアンがいる。でも話ぐらい聞くのは仲間として当然だよな。

「ほらこっちに急いで! 」
そう言うといきなり手を掴む。
いや…… 本当に大胆なお方で。
「どうしたんだよアプリン? 」
「ほら見て大きな月」
どうやらアプリンは月が珍しいようだ。ははは…… そんなはずはないか。
「流れ星! 」
月明りと満天の星空。何と幻想的なんだろう。
そこに突如流れ星が降って来る。
「ゲン! 願いごとを! 」
嬉しさよりも義務的な感じで急かす。
「ああ…… もう行っちゃったじゃない! 」
真剣なアプリン。へへへ…… 可愛いな。

「そう言えばアプリンの趣味って何なの? 」
天文学が専門? それともただの旅行好き? 
「旅行が趣味かな。でも家ではゲームを」
「ははは! 極端だな」
アウトドアとインドア。
楽しいのが好きなのは分かるが。

俺だって昔は似たようなものだった。あの三年前のモンスター襲来までは。
よく近くの村々をアンと回って遊んだっけ。

                 続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...