言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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独りぼっち

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ドラゴンの件が長引き門番から追及を受ける。
流浪の民同様異人である以上立場は弱い。
ドラゴンは俺たちが持ち込んだのではないかとおかしな疑いを持たれてしまう。
「だから違うって! 俺たちはただ第三世界に用があって」
ハックが連日のように取り調べを受ける。
一番怪しく口も軽そうに見えるのだろう。
何と言っても自称世紀の大泥棒だからな。
嫌疑が晴れない限り第三世界には入れない。
だからと言って第二世界にも戻って良い訳でもない。
「この第三世界に何しに来た? 」
「だから人探し。ゲンからも何か言ってやってくれよ」
「何度も言っただろう? 俺たちは幼馴染を追いかけて来たんだって! 」
「そうよ。もう解放して! 」

第三世界。
結局三日も足止めを食った。体重が二キロも落ちた。
どうやら真相は第二世界の出入国で手順通りパスしなかったのが影響。
ハックの助けで脱獄したのが今になって響いてる。もちろん仕方ない部分はある。
あのまま大人しくしてれば結局はアンを追いかけられずに完全に見失っていた。
これは一種の賭け。

「お前らもう手間を取らせるなよな! 」
脱獄の件は不問。こうして自由を取り戻した。
ドラゴンの件はまだ分からない部分もあるが無関係だと納得してくれた。

「うおおおお! ゲン! 」
雄たけびを上げ喜びを噛みしめるハック。明るいと言うか単純と言うか。
対してずっと大人しいままのアプリン。暗いよ。
俺はと言うと空元気。無理に笑ってごまかす。

第三世界のスタート地点に立った三人。
エクセルがいなくてはチーム・パイソンズは締まらない。
「よし行こうぜ皆! 」
どうにか盛り上げるがやはり無理が出てくる。
それを察知したのかアプリンが真剣な表情を崩さない。

「ゲンちゃん…… ごめんなさい」
何を謝ってるのだろう? 別にこうなったのはアプリンのせいじゃない。
ただ運が悪かっただけ。それこそエクセルがいればもう少しマシだったかな。
「気にするなよゲン」
ハックまで。さっきから何を言ってるのだろう?
「二人ともおかしいぞ。さあアンを探そう」
目的はあくまでアンを探し告白すること。ついでに村の皆を助けること。
それは前から変わってない。
「それもごめんなさん。私ここで離れる。お別れね」
アプリンは離脱することを決意する。実際にはもっと前に決めていたのだろう。
「真実を知ってしまった私には耐えられない。ごめんなさい。ここでお別れよ」
随分と勝手なことを言うアプリン。
真実って何だよ? 俺の知らない真実って何だよ?
俺が知らなければそれは真実などではない。

「アプリン! どうしたんだ君は? 俺をもう愛してないのか? 」
つい恋愛モードになってしまう。
「愛してるから辛いんじゃない! 」
下を向くアプリン。
まったく意味が分からない。
こうしてチーム・パイソンズは崩壊。メンバーは残すところハックのみ。

「悪いゲン。俺もここで。アプリンについて行こうと思う」
清々しいほど男らしいハック。不思議と怒りが湧く。
「それはないよハック! 最後まで付き合うって言ったじゃないか! 」
ハックを責め立て考えを変えてもらおうとしたが上手く行かない。頑固なハック。
「悪いなゲン。それじゃ俺たち旅立つぜ」
「ゲンちゃんお元気で」
そう言うと二人は振り返りもせずに行ってしまった。

結局残ったのは俺一人。
チームパイソンズは完全崩壊の道をたどる。
誰が悪いとかではなくこれも運命なのだろう。
悲しいが受け入れるしかない。
去っていく二人をただ見守る。

「ハック! カンバック! 」
もはや仲間で親友のハックまで…… 俺って人望ないのかな?
自信喪失。力が抜ける。
「ハック! ハック! 」
その場に倒れ込む。

第三世界にたどり着いたばっかりにこんな悲劇に見舞われる。
本当についてない。本当に嫌になる。
もう嫌だ! やる気を完全に失った。

「ああ忘れるところだった。これを」
ハックが引き返す。やはり俺が心配?
ハック自慢のピッキング能力を見せると俺の手に重ねる。
こうしてピッキングを継承する。

レベルアップ。
第二世界までの経験から人間性がアップ。
ただ見た目に大きな変化なし。

「これで最後だ。じゃあなゲン。さよなら言右衛門。達者でな! 」
再びハックは行ってしまった。
絶望的に人望のない自分の情けなさに気づいて人間的に成長したらしい。
でもこれからどうしよう?
親友のハックもアプリンも去りエクセル行方不明ではどうにもならない。
俺はどうすれば? 誰を頼ればいいんだ?
故郷言の葉村を出発した頃に戻ってしまったよう。

初心に戻り己を再び見つめ直す。
でも俺にはそんな余裕はない。

                続く
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