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出港!
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無人島生活何日目か。
あれ…… 俺たち何をやってるんだ?
無人島生活にも馴染み我々は目標を見失っていた。
目標…… 目標って何? 目標ね……
もちろん一つには無人島から脱出すること。
それから忘れてはならないのはアンを探し出し告白すること。
その為にはレアアイテムの愛の言霊が必要。
ただ第三世界のどこかにあると噂されているだけで正確な位置など誰も知らない。
そうそうまだ目標があった。
チーム・スターフィッシュのリーダーとして仲間の手助けをすること。
爺さんだってただ船に乗っていた訳ではないだろう。
ノコタンにしても何か目的があったに違いない。
ただ優先すべきはアンだろうが。
その為にはやはりこの島を脱出するしかない。
「お待たせしました。さっそく海へ参りましょう」
アトリの力作。その名もスターフィッシュ号。
ただのイカダだけどね。
「よし急ぐぞ! 」
「ああ早く行っちまおうぜ! 速力全開! 」
もう間もなく夕暮れ。はっきり言って急ぐ旅だが一日ぐらいどうってことはない。
それなのに爺さんもノコタンもすぐに漕ぎ出そうと急かす。
焦る気持ちも分かるが爺さんはともかくノコタンまでどうしてしまったのだろう?
「いかが致しますかご主人様? 」
「いや待て! もう遅い。夜は暗くて見辛い上に危険が伴う。
明日一番で出港するのが良いだろう」
リーダーとして当然の意見を述べる。
「しかし早ければ早いほど良かろう。違うか? 」
「そうだよ爺さんの言う通り。もう行っちまおうぜ! あーもうイライラする! 」
二人はここでの生活に飽きてしまっている。
だからって一日ぐらい待てないはずない。
特に爺さんがせっかちだからノコタンまで。
「では多数決を採るぞ」
「ああそれ良いね」
「今すぐ行きたい者? 」
そう言って手を挙げる爺さん。ノコタンも手を。
もちろん俺は反対なので黙って見てる。
だがアトリが切り崩されてしまう。
「妖精はどっちじゃ? 急いだ方が良かろう? 」
アトリは決めかねている。
「明日が良いと思う者? 」
手を挙げるもアトリの反応がない。
まだ悩んでるらしい。困ったな。俺と一緒で優柔不断。流されてしまう。
「では今すぐ出港で決定! 」
ノコタンが騒ぐ。
「待ってくれ! リーダーの意見に従ってくれ! 」
だが二人は決してうんとは言わない。
「とにかく多数決の結果今すぐ出港だ! 」
「リーダーの意見! 」
「多数決! 」
意見が割れてしまい重たい空気が漂う。
これはまずいな。二人の意見を尊重するか。
「分かった。二人がどうしてもと言うのなら俺は何も言わない。出発だ! 」
「オウ! 」
こうしてチーム・スターフィッシュは夜の海へと消えていった。
夜とは言え波は穏やか。これなら心配は無用だったかな。
「なあアトリ。結局あの島は無人島だったんだろ? 」
島探索と食糧調達と船作りを並行してやっていた。
もう島の全容は見えたはずだ。
「はい。ご主人様のおっしゃる通り無人島です。
もちろん動植物はいるでしょうが所謂モンスターはいません。
仮にいても害をなすようなモンスターはおりません」
そうか無人島に漂着して一週間以上が経った。
願ってはいないが恐らく我々以外は存在しないのだろう。
とするとここから自力で脱出しない限り助けは来ない。
残酷な現実だがそれでも俺たちは生きて行かなければならない。
それが運命。
朝を迎えようやく島が見えて来た。
昨夜は二人ずつの交代制だったのだがどうもまたアトリの調子が良くない。
最初俺とノコタンで様子を見ていた。
だから仕方なく詳しいと豪語する爺さん一人にすべてを任せた。
「ご主人様。おはようございます」
アトリ復活。
ロボットだから錆びついたか? 水で制御不能にでもなったか?
それとも可愛らしく長いこと水に浸っていたせいで羽根が傷ついて体調を崩したか?
どの道酷使し過ぎたな。
「アトリ無理するな。これは命令だぞ」
「大丈夫ですご主人様。完全回復しましたから」
「しかし…… 錆びついてしまったろ? かわいそうに」
「だからロボットじゃありません! 」
「アトリ…… ごめん」
「私こそご主人様…… 」
「うっとうしいのう! 早く支度せい! 」
爺さんがキレる。
さあ新しい島に着いた。ここが有人島であればいいのだが。
「ノルマンディー上陸じゃ! 」
興奮する爺さん。まったくこれだから爺さんの世話は大変なんだよな。
「ほらほら落ち着けって爺さん! 」
ノコタンが抑える。
「フォフォフォ…… 財宝じゃ! ザックザック! 」
もうダメだ。完全にイカれてる。ただの島なのにある訳ないだろうが。
仮にあっても脱出出来なければ意味がない。
続く
あれ…… 俺たち何をやってるんだ?
無人島生活にも馴染み我々は目標を見失っていた。
目標…… 目標って何? 目標ね……
もちろん一つには無人島から脱出すること。
それから忘れてはならないのはアンを探し出し告白すること。
その為にはレアアイテムの愛の言霊が必要。
ただ第三世界のどこかにあると噂されているだけで正確な位置など誰も知らない。
そうそうまだ目標があった。
チーム・スターフィッシュのリーダーとして仲間の手助けをすること。
爺さんだってただ船に乗っていた訳ではないだろう。
ノコタンにしても何か目的があったに違いない。
ただ優先すべきはアンだろうが。
その為にはやはりこの島を脱出するしかない。
「お待たせしました。さっそく海へ参りましょう」
アトリの力作。その名もスターフィッシュ号。
ただのイカダだけどね。
「よし急ぐぞ! 」
「ああ早く行っちまおうぜ! 速力全開! 」
もう間もなく夕暮れ。はっきり言って急ぐ旅だが一日ぐらいどうってことはない。
それなのに爺さんもノコタンもすぐに漕ぎ出そうと急かす。
焦る気持ちも分かるが爺さんはともかくノコタンまでどうしてしまったのだろう?
「いかが致しますかご主人様? 」
「いや待て! もう遅い。夜は暗くて見辛い上に危険が伴う。
明日一番で出港するのが良いだろう」
リーダーとして当然の意見を述べる。
「しかし早ければ早いほど良かろう。違うか? 」
「そうだよ爺さんの言う通り。もう行っちまおうぜ! あーもうイライラする! 」
二人はここでの生活に飽きてしまっている。
だからって一日ぐらい待てないはずない。
特に爺さんがせっかちだからノコタンまで。
「では多数決を採るぞ」
「ああそれ良いね」
「今すぐ行きたい者? 」
そう言って手を挙げる爺さん。ノコタンも手を。
もちろん俺は反対なので黙って見てる。
だがアトリが切り崩されてしまう。
「妖精はどっちじゃ? 急いだ方が良かろう? 」
アトリは決めかねている。
「明日が良いと思う者? 」
手を挙げるもアトリの反応がない。
まだ悩んでるらしい。困ったな。俺と一緒で優柔不断。流されてしまう。
「では今すぐ出港で決定! 」
ノコタンが騒ぐ。
「待ってくれ! リーダーの意見に従ってくれ! 」
だが二人は決してうんとは言わない。
「とにかく多数決の結果今すぐ出港だ! 」
「リーダーの意見! 」
「多数決! 」
意見が割れてしまい重たい空気が漂う。
これはまずいな。二人の意見を尊重するか。
「分かった。二人がどうしてもと言うのなら俺は何も言わない。出発だ! 」
「オウ! 」
こうしてチーム・スターフィッシュは夜の海へと消えていった。
夜とは言え波は穏やか。これなら心配は無用だったかな。
「なあアトリ。結局あの島は無人島だったんだろ? 」
島探索と食糧調達と船作りを並行してやっていた。
もう島の全容は見えたはずだ。
「はい。ご主人様のおっしゃる通り無人島です。
もちろん動植物はいるでしょうが所謂モンスターはいません。
仮にいても害をなすようなモンスターはおりません」
そうか無人島に漂着して一週間以上が経った。
願ってはいないが恐らく我々以外は存在しないのだろう。
とするとここから自力で脱出しない限り助けは来ない。
残酷な現実だがそれでも俺たちは生きて行かなければならない。
それが運命。
朝を迎えようやく島が見えて来た。
昨夜は二人ずつの交代制だったのだがどうもまたアトリの調子が良くない。
最初俺とノコタンで様子を見ていた。
だから仕方なく詳しいと豪語する爺さん一人にすべてを任せた。
「ご主人様。おはようございます」
アトリ復活。
ロボットだから錆びついたか? 水で制御不能にでもなったか?
それとも可愛らしく長いこと水に浸っていたせいで羽根が傷ついて体調を崩したか?
どの道酷使し過ぎたな。
「アトリ無理するな。これは命令だぞ」
「大丈夫ですご主人様。完全回復しましたから」
「しかし…… 錆びついてしまったろ? かわいそうに」
「だからロボットじゃありません! 」
「アトリ…… ごめん」
「私こそご主人様…… 」
「うっとうしいのう! 早く支度せい! 」
爺さんがキレる。
さあ新しい島に着いた。ここが有人島であればいいのだが。
「ノルマンディー上陸じゃ! 」
興奮する爺さん。まったくこれだから爺さんの世話は大変なんだよな。
「ほらほら落ち着けって爺さん! 」
ノコタンが抑える。
「フォフォフォ…… 財宝じゃ! ザックザック! 」
もうダメだ。完全にイカれてる。ただの島なのにある訳ないだろうが。
仮にあっても脱出出来なければ意味がない。
続く
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