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スカイするダイビング
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さっきまで降り続いていた小雨も止み天気は回復、順調な飛行かと思われた。
「おお虹が見えるぞ。ほれ見てみい! 」
呑気な爺さんが騒いでる。もう元気になったらしい。
「うるさいな爺さん! 腹が減ってるんだよこっちは! 」
ノコタンは疲れと空腹と見えない恐怖で機嫌が悪い。
そう言えば脱出してから何も口にしてなかったな。
うん…… 騒々しいな。男たちが立ち上がって何か喚いてるぞ。
パイロットの肩を叩くといきなりドアが開く。
「故障じゃ! うわああ! 」
パニックに陥った通訳兼ただの爺。
躊躇うことなく男が外へ。
ここ雲の上なんですけど?
命知らずの男が視界から消える。
「ゴー! 」
「儂らも…… 行けと…… そうおっしゃっておる…… 」
男たちによる非情命令が下る。
パイロットの方を見るとまったく動じてない。これは予定通り?
顔面蒼白の爺さん。仮に助かってもこれは吐くな。
「ゲン行くよ! また地上で会おう」
呑気なノコタン。確率的には地上よりも天国の方が高いと思うけど。
「分かったノコタン。先に行ってくれ」
そう言って抱き合い別れを惜しむ。
取り換えの必要な爺さんが最後。ノコタン飛び立つ。
悪夢だ。何でこんなことに?。
命知らずのダイバーに心が折れる。
「先に行きますねご主人様」
アトリも決心したらしい。
俺だって…… やっぱり無理!
だが風が強くなりパイロットも怒り出す始末。
まさかこの状況で急かすのか? 冗談でしょう?
お先にとノコタンが姿を消すとアトリが続いた。
残すは俺と爺さんだけ。もう決断の時らしい。
当然だがお空を飛んだことなどこれまで一度もない。
それなのに…… それなのに……
どうしてこうなった?
ただ人を紹介してもらいたかっただけ。ただそれだけなのに。
もっと楽だと思っていたがその代償として飛ぶことになるなんて。
一体俺たちはどこで間違ってしまったのだろう?
「ほらいつまでやっとるんじゃ! 」
格好つけて時間稼ぎするも見逃してくれない。先がつっかえてるそうだ。
だったらお先にどうぞ。
どうしようかな? うーん。出来れば飛びたくない。そのまま昇天したくない。
これがいくらファンタジーでも命の保障が無い訳で。
「仕方ねえな! お先に失礼するぞ! 」
爺さんが通訳してるからイマイチ伝わってこない。
怒ってるのか? 笑ってるのか?
もちろんこの状況では怒ってるんだろうな。
「無念じゃ! うわああ! 」
こうして準備完了した爺さんと男が遠くの空に消えて行った。
すぐに目を離す。怖すぎてとてもとても爺の最後を見ていられない。
さあどうするかな。どんどん追い込まれていく。
大丈夫。大丈夫。俺なら飛べる。俺はこのチームのキャプテンなんだ。
落ちるところまで落ちたっていい。
俺は名手ゲンちゃんなのだから。
いいか。怖くない。お空は楽しいところだ。
自己暗示をかける。
こうすれば俺だって空も飛べるはず。
ノロノロしてるとなぜかパイロットが席を立つ。
いやいやいくらプライベートジェットでもパイロットがいなくては。
「待ってくれ! おい! おい! 」
懸命に呼びかけるが理解してはくれない。それでもボディーランゲージを駆使。
「ああん? 」
こちらの考えが伝わったかな?
「オート。 オート」
どうやら自動運転に切り替えたらしい。
だからってパイロットが持ち場を離れてはダメだ。そんなの常識。
一体彼はどこに行くんだ?
どこ? どこ? 何をする?
もはや恐怖でパニック状態。
一体俺は何をしてる?
パイロットは安全具を身につけ一切の躊躇いもなく空へ。
どこまで命知らずなんだ? 残された者のことも考えずに。
俺はまだここにいますよ?
俺…… 俺…… 僕は…… 僕はここにいる!
こうして恐怖の飛行が始まった。
飛行機の知識も当然操縦技術もない俺ではただ指をくわえて見てるしかない。
残念だ。実に残念だよなどとふざけてられない。
どうする? このまま無人のジェットにいるか? それとも諦めて飛ぶか?
もうどちらも似た様なもの。
クソ! 仕方がない。付き合ってやるか。
カウントテンで飛び降りることにした。
ナイン…… ワン、ゼロ!
それでは行って参ります!
うわあん!
勢いよく空へ。
ダイブ・トゥー・ブルー。
どーこまでも果てなく……
あれ…… これだと俺は地面に落下しちまうよな?
仕方ない。パラシュートを開くか。
確かこれで良かったよな?
妙に冷静な自分に驚いている。
あれ? 開かないぞ? ははは…… 冗談だよね?
冷静に。冷静に。ここは深呼吸。深呼吸。
いや無理だ。落ち着いてなんかいられない!
パニックに陥っては助からない。
しかし落ち着いたかってやはり助かる訳じゃない。
誰か…… 誰でもいいから助けてくれ!
その時だった。こんな大空で俺を呼ぶ声が。
続く
「おお虹が見えるぞ。ほれ見てみい! 」
呑気な爺さんが騒いでる。もう元気になったらしい。
「うるさいな爺さん! 腹が減ってるんだよこっちは! 」
ノコタンは疲れと空腹と見えない恐怖で機嫌が悪い。
そう言えば脱出してから何も口にしてなかったな。
うん…… 騒々しいな。男たちが立ち上がって何か喚いてるぞ。
パイロットの肩を叩くといきなりドアが開く。
「故障じゃ! うわああ! 」
パニックに陥った通訳兼ただの爺。
躊躇うことなく男が外へ。
ここ雲の上なんですけど?
命知らずの男が視界から消える。
「ゴー! 」
「儂らも…… 行けと…… そうおっしゃっておる…… 」
男たちによる非情命令が下る。
パイロットの方を見るとまったく動じてない。これは予定通り?
顔面蒼白の爺さん。仮に助かってもこれは吐くな。
「ゲン行くよ! また地上で会おう」
呑気なノコタン。確率的には地上よりも天国の方が高いと思うけど。
「分かったノコタン。先に行ってくれ」
そう言って抱き合い別れを惜しむ。
取り換えの必要な爺さんが最後。ノコタン飛び立つ。
悪夢だ。何でこんなことに?。
命知らずのダイバーに心が折れる。
「先に行きますねご主人様」
アトリも決心したらしい。
俺だって…… やっぱり無理!
だが風が強くなりパイロットも怒り出す始末。
まさかこの状況で急かすのか? 冗談でしょう?
お先にとノコタンが姿を消すとアトリが続いた。
残すは俺と爺さんだけ。もう決断の時らしい。
当然だがお空を飛んだことなどこれまで一度もない。
それなのに…… それなのに……
どうしてこうなった?
ただ人を紹介してもらいたかっただけ。ただそれだけなのに。
もっと楽だと思っていたがその代償として飛ぶことになるなんて。
一体俺たちはどこで間違ってしまったのだろう?
「ほらいつまでやっとるんじゃ! 」
格好つけて時間稼ぎするも見逃してくれない。先がつっかえてるそうだ。
だったらお先にどうぞ。
どうしようかな? うーん。出来れば飛びたくない。そのまま昇天したくない。
これがいくらファンタジーでも命の保障が無い訳で。
「仕方ねえな! お先に失礼するぞ! 」
爺さんが通訳してるからイマイチ伝わってこない。
怒ってるのか? 笑ってるのか?
もちろんこの状況では怒ってるんだろうな。
「無念じゃ! うわああ! 」
こうして準備完了した爺さんと男が遠くの空に消えて行った。
すぐに目を離す。怖すぎてとてもとても爺の最後を見ていられない。
さあどうするかな。どんどん追い込まれていく。
大丈夫。大丈夫。俺なら飛べる。俺はこのチームのキャプテンなんだ。
落ちるところまで落ちたっていい。
俺は名手ゲンちゃんなのだから。
いいか。怖くない。お空は楽しいところだ。
自己暗示をかける。
こうすれば俺だって空も飛べるはず。
ノロノロしてるとなぜかパイロットが席を立つ。
いやいやいくらプライベートジェットでもパイロットがいなくては。
「待ってくれ! おい! おい! 」
懸命に呼びかけるが理解してはくれない。それでもボディーランゲージを駆使。
「ああん? 」
こちらの考えが伝わったかな?
「オート。 オート」
どうやら自動運転に切り替えたらしい。
だからってパイロットが持ち場を離れてはダメだ。そんなの常識。
一体彼はどこに行くんだ?
どこ? どこ? 何をする?
もはや恐怖でパニック状態。
一体俺は何をしてる?
パイロットは安全具を身につけ一切の躊躇いもなく空へ。
どこまで命知らずなんだ? 残された者のことも考えずに。
俺はまだここにいますよ?
俺…… 俺…… 僕は…… 僕はここにいる!
こうして恐怖の飛行が始まった。
飛行機の知識も当然操縦技術もない俺ではただ指をくわえて見てるしかない。
残念だ。実に残念だよなどとふざけてられない。
どうする? このまま無人のジェットにいるか? それとも諦めて飛ぶか?
もうどちらも似た様なもの。
クソ! 仕方がない。付き合ってやるか。
カウントテンで飛び降りることにした。
ナイン…… ワン、ゼロ!
それでは行って参ります!
うわあん!
勢いよく空へ。
ダイブ・トゥー・ブルー。
どーこまでも果てなく……
あれ…… これだと俺は地面に落下しちまうよな?
仕方ない。パラシュートを開くか。
確かこれで良かったよな?
妙に冷静な自分に驚いている。
あれ? 開かないぞ? ははは…… 冗談だよね?
冷静に。冷静に。ここは深呼吸。深呼吸。
いや無理だ。落ち着いてなんかいられない!
パニックに陥っては助からない。
しかし落ち着いたかってやはり助かる訳じゃない。
誰か…… 誰でもいいから助けてくれ!
その時だった。こんな大空で俺を呼ぶ声が。
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